デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

2部 社会公共事業

5章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
6款 穂積奨学財団(附)穂積博士就職満廿五年祝賀会
■綱文

第27巻 p.363-364(DK270107k) ページ画像

明治38年6月(1905年)

是ヨリ先、法学博士富井政章等、東京帝国大学教授法学博士穂積陳重ノ就職満二十五年ヲ記念シ、当財団ヲ設立セントシ、是月、発起人連名ヲ以テ之ガ基金勧募ニ着手ス。栄一、金二千円ヲ寄附ス。翌三十九年十一月六日当財団成立ス。


■資料

竜門雑誌 第二二三号・第四七頁 明治三九年一二月 穂積奨学財団の設立(DK270107k-0001)
第27巻 p.363-364 ページ画像

竜門雑誌  第二二三号・第四七頁 明治三九年一二月
○穂積奨学財団の設立 本年八月は、我東京帝国大学法科大学教授にして本社名誉社員たる法学博士穂積陳重氏が、去る明治十四年八月始めて教鞭を執られし以来正に満二十五年に相当するを以て、之を祝賀するが為め紀念財団を設立して法学の進歩に貢献し、以て博士が過去二十五年間学んで怠らず、教へて倦まず、孜孜として法科大学の発達を企図せられたる功績を不朽に伝へんとするの議、昨年新春東西両大学の教授間に起りし所、此計画を発起せんことを賛成せらるゝ朝野の法学者百二十余名の多に達したるを以て、昨年四月二十三日上野精養軒に於て第一回発起人総会を開き、富井博士を座長として左の諸項を議決するに至れり
 一、穂積先生就職満二十五年祝賀紀念の為め、法科大学に縁故ある者より寄附金を募集して、財団法人を設立すること
 二 財団の基本金は永遠に之を保存し、其利殖金を以て法学奨励の目的を達すること
 三 此財団法人は穂積奨学財団と称すること
 四 法科大学に縁故無き者と雖も、有志者の寄附は之を受領すること
 五 右寄附金の募集其他財団法人設立に関する一切の事項を委任するが為め、委員十四名を置くこと
尚右委員の選任は座長に一任せしを以て、富井博士は、土方・岡野・岡田・志田・小野塚・加藤・美濃部・山田(以上東京)・織田・高根・井上・岡松・仁井田・仁保(以上京都)の十四名を委員に指名し、爾来委員は熟議の上昨年六月以来発起人一同の連名を以て寄附金募集の広告を為し現金の受領と其保管とを村田俊彦氏に委託することゝせるが、本年九月末に至り応募者既に八百余名、寄附金額壱万千余円の多に達したるを以て、愈十一月中旬を期して祝賀式を挙行することゝし岡野・志田・山田の三委員に寄附行為の起草を委託し、去る十月三十日大学会議所に於て第二回発起人総会を開き、第一回総会以後の成果を報告し、次で当日の議題に入り、法人設立上の便宜の為め土方・岡
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野両博士の名義を以て寄附行為を為し、各寄附者の姓名及金額は別冊に記録して寄附行為証書と共に永久之を保存することゝして、財団法人の条款を可決せり、引続き就職満二十五年祝賀会の方法を議せしに穂積博士を招待して財団法人の設立を披露し、以て在職満二十五年を祝賀することゝし、極めて質素なる宴会を開き且来会者は寄附者に限ることゝせり、次で評議員二十五名を推薦して財団法人の設立行為漸く完結せしを以て、十一月五日民法第三十四条に依り文部大臣に許可を出願せしに、其翌日直に之を許可せられ、同六日を以て始めて財団法人穂積奨学財団の成立を見るに至れり、於是同月十五日を以て別項記載の如く、同財団の披露を兼ね、博士就職満二十五年祝賀会を開かれたりと云ふ
尚青淵先生を始め阪谷博士及渋沢本社長、並に本社々員にして同財団に寄附せられたる各位の寄附金額及氏名を収録すれば左の如し
 一金弐千円              青淵先生
 一金壱百円              阪谷博士
 一金五拾円              渋沢篤二君
 一金壱百円              佐々木勇之助君
 一金壱百円              土岐僙君
 一金壱百円              山下亀三郎君
 一金五拾円              山口荘吉君
 一金五拾円              佐々木清麿君
 一金五拾円              穂積八束君
 一金五拾円              仁保亀松君
 一金五拾円              田島錦治君
 一金参拾円            故 清水泰吉君
 一金弐拾円              尾高幸五郎君
 一金拾円               八十島親徳君
 一金拾円               諸井六郎君
 一金拾円               杉田富君
 一金拾円               清水一雄君
 一金拾円               野口弘毅君
 一金拾円               渋沢義一君
 一金拾円               伊吹山徳司君
 一金拾円               松本武一郎君
 一金五円               野口弥三君
 一金五円               諸井四郎君
 一金弐円               鈴木博君