公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第28巻 p.186-191(DK280021k) ページ画像
明治25年10月3日(1892年)
是日栄一、当委員会ニ出席シ、深川八名川町ヨリ西六間堀町ニ至ル外一ケ所及ビ本所区新小梅町外二ケ所ヘ電話柱建設ノ件、芝区西ノ久保神谷町通リ下水新設ノ件、魚鳥・青物・獣畜市場及ビ屠畜場・火葬場移転期限延期ノ件、芝給水工場敷地縮少並ニ該場ニ沿フ道路幅員更正ノ件、本郷給水工場ヨリ東竹町五等道路ニ達スル道路取拡ノ件ニ関スル議事ニ与ル。
東京市区改正委員会議事録 第五巻・第四三―五一丁(DK280021k-0001)
第28巻 p.186-191 ページ画像
東京市区改正委員会議事録 第五巻・第四三―五一丁
(東京府文庫所蔵)
東京市区改正委員会議事録第八十四号
明治二十五年十月三日午前十一時開議
闕席 大森鍾一 加藤高明 桐原捨三
兵頭正懿 古市公威 田健次郎
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佐久間貞一 長与専斎 益田孝
出席十九員(二十九番・三十番・三十一番・三十二番ハ召集セス。中島鋭治番外席ニ着ク)
○委員長曰 開議ニ先タチ報告セン、市会議員半数改撰ノ結果ニ依リ本会委員中芳野世経君・松田秀雄君・須藤時一郎君・山中隣之助君渡部温君・大貫実君退任シ、更ニ芳野世経君・松田秀雄君・仁杉英君・須藤時一郎君・白石剛君・末吉忠晴君・佐久間貞一君当撰セラレ、楳川忠兵衛君ハ東京市水道改良事務員ニ撰任ニ付、本会委員ノ資格消滅シ、其補欠トシテ市会議員山崎塊一君本会委員ニ当撰セラレタル旨、孰レモ東京市参事会ヨリ報告アリタリ、又委員佐藤秀顕君転任ニ付免セラレ、農商務書記官葦原清風君本会委員ヲ命セラル尚本年一月ヨリ六月ニ至ル幹事会限リ処理セシ事件ヲ、報告セシムヘシ
書記朗読
報第四十号
自明治二十五年一月至同六月幹事会限リ処理セシ事件報告
一小石川区大塚町五十二番地々先廃道ノ件
一麹町区永田町二丁目十六番地々先道路取拡ノ件
一小石川区表町久堅町新道開設ノ件
一浅草区千束町二丁目二百九番・二百十番・二百十一番地々先廃道ノ件
一下谷区練塀町五十六番五十七番地々先廃道ノ件
一深川区深川島田町五番地外五ケ所地先廃道ノ件
一神田区末広町十番地民有道路廃止ノ件
一芝区愛宕下町二丁目二番地民有道路変換ノ件
一牛込区箪笥町十五番地ヨリ十七番地ニ至ル地先道路廃止ノ件
外
電信電話並電灯ニ関スルモノ 三十二件
○小石川区小石川大塚町五十二番地先廃道之図(附図第三一)。
○麹町区永田町二丁目十六番地先道路取拡之図(附図第三二)。
○小石川区表町久堅町新道開設之図(附図第三三)。
○浅草区千束町二丁目二百九番二百十番二百十一番地先廃道之図(附図第三四)。
○下谷区練塀町五十六番五十七番地先廃道之図(附図第三五)。
○深川区深川島田町二番地外五ケ所地先廃道之図(附図三六)。
○神田区末広町十番地民有廃道之図(附図第三七)。
○芝区愛宕下町二丁目二番地内民有道路変換之図(附図第三八)。
○牛込区箪笥町十五・十六・十七番地先廃道之図(附図第三九)。
○委員長曰 是ヨリ議事ヲ開ク、第百四十四号議案深川八名川町ヨリ西六間堀町ニ至ル外一ケ所(谷中初音町)ヘ電話柱建設ノ件ヲ議スヘシ
書記朗読
本案道路ハ規程ノ幅員ニ充タサルモ、往来頻繁ナラサルニ由リ、建柱シ支障ナシト認ム(図面略ス)
又曰 異議ナキヲ以テ原案ニ決シ、次ハ第百四十五号議案本所区新小梅町外二ケ所(浅草今戸町・深川治兵衛新田)ヘ電話柱建設ノ件ヲ議スヘシ
書記朗読
本案道路ハ規程ノ幅員ニ充タサルモ、往来頻繁ナラサルニ由リ、建柱シ支障ナシト認ム(図面略ス)
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又曰 異議ナキヲ以テ原案ニ決シ、次ハ第百四十六号・第百四十七号議案ハ都合ニ拠リ跡廻トシ、第百四十八号議案芝区西ノ久保神谷町通リ下水新設ノ件ヲ議スヘシ
書記朗読
芝区西ノ久保神谷町通焼失跡道路取拡ノ儀、本年度ニ於テハ同所地先下水別紙図面ノ通リ新設可致ト存候条、此段及御照会候也
昭和二十五年九月十二日
東京市参事会
東京府知事 富田鉄之助
東京市区改正委員長 富田鉄之助殿
尚以費用概算候処、金六百八拾八円五拾五銭五厘ヲ要候ニ付、本年度市区改正費中予備費ヨリ支出ノ積リニ有之候、此段申添候也
○議第百四十八号、芝区西ノ久保神谷町通リ下水新設之図(附図第四〇)。
○委員長曰 異議ナキヲ以テ原案ニ決シ、第百四十三号議案魚鳥・青物・獣畜市場及屠場・火葬場移転期限延期ノ件ヲ議スヘシ
書記朗読
東京市区改正委員会
魚鳥市場・青物市場・屠畜場及火葬場移転延期ノ件ニ付、別紙写之通警視総監・東京府知事ヨリ上申候条、意見申出ツヘシ
右訓示ス
明治二十五年六月二十日
内務大臣 伯爵 松方正義
(別紙)
魚鳥市場・青物市場・屠畜場及火葬場移転延期ノ儀上申
去ル明治二十二年五月二十二日訓令第四二二号ヲ以テ警視庁・東京府両庁ニ対シ、魚鳥市場・青物市場ハ十ケ年、屠獣場及火葬場ハ五ケ年以内ニ指定地ニ移転ノ儀訓令セラレタルヲ以テ、両庁ハ協議ノ上警察令ヲ発布セリ、又同時ニ該営業者ニ係ル諸費ハ総テ其設立者又ハ所有者ノ負担タルヘキ旨、東京府ヘ訓令セラレ、府庁ハ其旨告示セリ、故ニ其期限内ニ於テ各自費ヲ以テ移転セサルヲ得ス、該業者ノ困難不容易儀ニ有之候、就中火葬場・屠獣場ノ如キハ近年取締規則ニ従ヒ建設シタルモノニシテ、未タ数年ヲ出テサルニ突然僅少ノ年限内ニ移転セサルヲ得サルニ至テハ、頗ル難事ト思考致候、依テ其事情ノ大略左ニ開申ス
第一、火葬場ハ五年以前ニテハ数百年来ノ旧慣ヲ依然持続シ来リ其火葬法タル不完全ニシテ悪臭四隣ニ飛散シ、或時ハ里余ノ遠距離ニモ達スルコトアリ、世人之ヲ忌ムコト甚シカリキ、故ニ警視庁ハ之ヲ改良スルノ必要ヲ認メ、明治二十年四月警察令第五号ヲ以テ取締規則ノ改正ヲ断行シ、火葬竈ハ個別ニ煉瓦ヲ以テ築キ、臭煙ハ六十尺以上ノ煙筒ニ導キ加フルニ焼煙ノ法ヲ以テシ、又伝染病予防ノ為メ排泄物焼却場・浴室及薫蒸室等ニ至ル迄夫々構造法ヲ規定セリ、営業者ハ斯ク厳酷ナル規則ノ制定ニ遇ヒ、熱心以テ改良ヲ計リ、屡々試験ヲ経テ全良ノ火葬法ヲ案出シ、警視庁モ
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亦取締上種々ノ改良ヲ命シテ建設ヲ許可シタルカ故ニ、各余贏ナキニモ拘ラス永遠ノ目的ヲ立テ、数万ノ資本ヲ投シ漸ク完全ナル火葬場ヲ建設スルコトヲ得タリ、今日ノ状況ヲ以テスレハ仮令市街ノ中央ニ置クモ、敢テ近隣ヲシテ臭気ヲ感セシムルコトナカルヘシ、然ルヲ開業後未タ数年ヲ出テサルニ何等ノ費用ヲモ給セスシテ、急激ニ移転ヲ命セラルヽニ於テハ、市区改正ノ為メニ資産ヲ没収セラルヽノ憾ナキ能ハス、何トナレハ火葬営業ハ他ノ営業ト異リ、火炉煙筒ノ如キ建造物ノ外ニ運用ノ資本アルモノニアラス、其資本トスル所ノ建造物ハ多ク煉瓦造ニ係ルヲ以テ、之ヲ移転スルニ当リテハ普通家屋ノ如ク再ヒ建築ノ材料ニ供スルコト能ハス、名ハ移転ニシテ其実新タニ建設ヲ為スト殆ト同様ノ資本ヲ要シ、既ニ現在ノ火葬場ニ費シタル資本ハ悉ク水泡ニ属セサルヲ得サレハナリ
第二、屠獣場モ亦明治二十年三月警察令ヲ以テ規則ヲ改正シ、本則ニ基キ移転若クハ新設ニ係ルモノニシテ、就中元千束村屠獣場ノ如キハ人家トノ距離ヲ要スルカ為メ、日本堤以東ノ田圃ヲ数尺ノ高サニ埋立テ之ヲ建設シタルヲ以テ、其費シタル資金モ亦万ヲ下ラス、故ニ移転ヲ命セラルヽニ当リ損害ノ及フ所火葬場ト大同小異ノミ
第三、魚鳥市場・青物市場営業人ニ在テハ、家屋ノ構造ノ如キハ普通商店ニ異ナラス、随テ之ヲ移転スルハ前二者ニ比シ易々タルカ如シト雖トモ、商人ノ住居ヲ転スルハ、営業ノ盛衰ニ大ナル関係ヲ有スル事論ヲ竢タス、特ニ本業者ハ単独営業ヲ為シ得ヘキ者ニ非ス、其移転ニ於テハ市場団体ヲ以テセサルヘカラサルカ故ニ訓令ノ期限内ニハ到底移転シ得ラレサルモノト信ス、以上述ルカ如キ事情ニ付、訓令ノ期限内ニ移転ヲ為サシムルハ頗ル難事ト思考致候、熟ラ市区改正ノ事業ヲ案スルニ、其ノ完成ヲ期スルハ五十ケ年ノ後ニアリ、之ヲ推ストキハ、十ケ年ニシテ漸ク五分ノ一ヲ改正シ得ルノ割合トス、然ルニ最モ主眼タル道路・河渠ノ改正未タ五分ノ一ニモ達セサル以前ニ於テ、予メ以上ノ営業者ノミ短期間ニ移転セシメサルヲ得サルハ、不権衡ノミナラス亦其必要ヲ感セサルナリ、依テ市区改正ニ支障ナキ限リハ充分ノ準備ヲ整フル為メ、各二十ケ年位ノ移転猶予ヲ与ヘサルニ於テハ、到底行ハレサル儀ト信認候条、至急何分ノ御詮議相成候様致度、連署ヲ以テ此段稟申候也
明治二十五年五月三十日
警視総監 園田安賢
東京府知事 富田鉄之助
内務大臣 伯爵 副島種臣殿
魚鳥・青物・獣畜市場、屠場及火葬場移転延期ノ件、内務大臣ノ諮問ニ対シ左之通復申セントス
魚鳥市場・青物市場・獣畜市場・屠場及火葬場ハ、移転準備ノ為メ事実已ムヲ得サルモノニ限リ、其出願ニ依リ、魚鳥市場・青物市場ハ十ケ年以内、獣畜市場及屠場・火葬場ハ五ケ年以内
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延期スルコトアルヘシ
○六番角田曰 火葬場ハ幾箇所アリヤ
○十四番杉本曰 六ケ所ニシテ、移転スヘキモノ二ケ所ナリ
○六番角田曰 日暮里ハ幾年ヲ経過セシヤ
○十九番銀林曰 期限内二年半ヲ経過セシナリ、故ニ尚五ケ年ヲ許可セハ七年半トナルナリ
○八番葦原曰 期限切迫ノ際願出シムルヤ、或ハ今ヨリ出願セシムルルヤ
○十九番銀林曰 今ヨリ出願スルモ差支ナシ
○六番角田曰 其火葬場ハ近傍地主ニ対シ永遠ノ目的ニテ建立セシモノナルカ
○十四番杉本曰 然リ、警察令ニ拠レハ人家ヲ去ル百二十間ノ距離ヲ有スヘキモノナリト雖トモ、日暮里ノ如キハ其ノ近隣ニ人家ナカリシヲ以テ、別ニ地主トノ契約ハアラサリキ
○六番角田曰 移転セシメントセハ、移転料ヲ給スルヤ如何
○十九番銀林曰 年限以外ハ営業ナラストノ明文ニ拠ルモノナレハ、別ニ移転料ヲ給セス、恰モ根津遊廓ノ移転ト同様ナリ
○五番白石曰 獣畜市場ト青物市場等ト年限ヲ異ニスルハ如何ナル理由ナリヤ
○十九番銀林曰 本期限ヲ定メタル当時ノ精神ハ知ラサレトモ、蓋シ魚鳥・青物市場ハ人家多キヲ以テ移転セシムルニモ容易ナラサルユエ十年ト為セシモノナラン
○二十五番芳野曰 市場等ノ中移転期限ノ短キハ火葬場ニシテ、早ク移転ヲ要スヘキモノモ亦火葬場ナリ、然レトモ実際已ムヲ得サル事情アリテ斯ク延期セシムルモノナラン、然ルニ聞ク所ニ依レハ未タ臭気ノ近隣ヘ飛散スル由ナレハ、以来警視庁ハ充分注意セラレ、斯クノ如キコトナキ様取締アランコトヲ希望ス
○十四番杉本曰 委細了承セリ
○委員長曰 他ニ異議ナキヲ以テ原案ニ決シ、次ハ第百四十六号議案芝給水工場敷地縮少並道路幅員更正ノ件ヲ議スヘシ
書記朗読
新水道設計中芝給水工場敷地ノ儀、工事上ノ都合ニ由リ別紙図面朱字ノ通南北二間宛縮少可致ト存候得共、御差支無之候哉、御意見承知致度、此段及御照会候也
明治二十五年八月二十七日
東京市参事会
東京府知事 富田鉄之助
市区改正委員長 富田鉄之助殿
芝給水工場敷地取縮ノ儀ニ付、客月二十七日第四〇三号ヲ以テ及照会候処、該場ニ沿フ道路幅員ノ儀五間ニ更正可致ト存候間、併セテ御意見承知致度、此段重テ及御照会候也
明治二十五年九月七日
東京市参事会
東京府知事 富田鉄之助
- 第28巻 p.191 -ページ画像
市区改正委員長 富田鉄之助殿
追テ別紙図面一葉相添候間、図面ト御対照相成度此段申添候也
○議第百四十六号、芝給水工場敷地縮小並道路幅員更正之図(附図第四一)。
○十九番銀林曰 本案ハ曩キニ議決セシモノナレトモ、実際篤ト取調タルニ、神社ノ移転等頗ル困難ニ付、先キノ決議ヲ聊カ変更セントスルニアリ、尤モ工場ニハ差支ナキ見込ナリ
○七番松田曰 金地院ノ門ニハ係ラサルヤ
○十九番銀林曰 然リ(此際二十八番着席)
○七番松田曰 然ラハ樫樹ノ森ヘハ掛ラサルヤ
○十九番銀林曰 少シハ掛ルヘシ
○十一番古川曰 憲兵屯所ノ処、曲リ角五間ノ道幅ハ前会ニ於テ議決セシモノト相違セルヤ、又之レカ為メ費用ヲ節減シ得ルヤ如何
○番外中島曰 前会決議ノ道幅ハ六間ナリシカ、之ヲ五間ニ改ムルナリ、又移転料参千円、地所百七十坪八合ヲ減シ得ヘキ計算ナリ
○十一番古川曰 栄町ノ道幅ハ幾何ナリヤ
○十九番銀林曰 五間ニ取拡ルナリ
○委員長曰 異議ナキヲ以テ原案ニ決シ、次ハ第百四十七号議案本郷給水工場ヨリ東竹町五等道路ニ達スル道路取拡ノ件ヲ議スヘシ
書記朗読
本郷給水工場ヨリ、今般道路取拡可相成東竹町五等線路ニ至ル一小路ハ、水道鉄管布設可相成路線ニ付、右給水工場及五等線ト相伴フテ取拡ケサレハ工事上甚不都合ニ候間、此際該路線取拡方着手之儀御意見承知致度、別紙図面相添、此段及照会候也
明治二十五年九月二十八日
東京市参事会
東京府知事 富田鉄之助
東京市区改正委員長 富田鉄之助殿
追テ該取拡費予算金参千〇〇弐円弐拾五銭ハ、本年度水道改良費ヨリ支出ノ見込ニ有之候、此段申添候也
○議第百四十七号、本郷給水工場ヨリ東竹町五等路線ニ達スル道路取拡之図(附図第四二)。
○番外中島曰 本郷給水工場ヨリ三十六吋ト三十吋トノ二条ノ鉄管ヲ布設スルユエ、此際道路ヲ取拡メ置カントスルモノナリ、殊ニ先会五等道路トアル処ヲ取拡メルコトニ議決シ、当時其工事ニ着手セントスル場合ナレハ此際共ニ実施セハ大ニ便利ヲ得ヘシ、此道敷ノ坪数ハ百四十坪二合ナリ
○十九番銀林曰 五等路線ヲ改正スルニ際シ居レハ、共ニ着手セハ家屋ヲ購買スルニモ至極便利ナレハナリ
○委員長曰 異議ナキヲ以テ原案ニ決シ、本日ハ是ニテ散会トセン
于時午前十一時五十分