デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

2部 社会公共事業

7章 軍事関係事業
1節 日清戦争
3款 東京商人有志奉迎会
■綱文

第28巻 p.450-455(DK280060k) ページ画像

明治28年5月14日(1895年)

明治天皇ノ広島ヨリ還幸ヲ奉迎ノ為メ、是日東京商人有志奉迎会設ケラル。栄一翌十五日之ガ専務委員ニ推薦セラル。


■資料

東京商人有志奉迎会報告 第一―五二頁 明治二八年七月刊(DK280060k-0001)
第28巻 p.450-454 ページ画像

東京商人有志奉迎会報告  第一―五二頁 明治二八年七月刊
    発起及成立
東京商人有志奉迎会ハ、明治二十八年五月十四日帝国ホテルニ於テ開キタル毎月会ノ席上ニ於テ始メテ議事ニ上リ、爾後同会員有志者・東京商業会議所会員有志者・東京銀行集会所及東京商工相談会ノ発企首唱ニヨリテ、始メテ玆ニ成立セラレタルモノニシテ、各首唱者ハ先ツ左ノ諸君ヲ委員ニ推薦シテ会務ノ処理ヲ委託シタリ
               毎月会
                    今村清之助君
                    原六郎君
                    豊川良平君
                    大江卓君
                    高田慎蔵君
                    中上川彦次郎君
                    山中隣之助君
                    山本達雄君
                    近藤廉平君
                    阿部泰蔵君
              東京商業会議所
                    岩谷松平君
                    加東徳三君
                    園田孝吉君
                    中沢彦吉君
                    岡部広君
                    益田孝君
                    銀林綱男君
                    荘田平五郎君
                    渋沢栄一君
                    関根親光君
              東京銀行集会所
                    岩下清周君
                    池田謙三君
                    山本直成君
                    安田善四郎君
                    佐々木慎思郎君
 - 第28巻 p.451 -ページ画像 
              東京商工相談会
                    土田政次郎君
右委員ハ五月十五日東京商業会議所ニ会同シテ、委員中ヨリ今村清之助・大江卓・山中隣之助・銀林綱男・渋沢栄一ノ五君ヲ専務委員ニ推薦シテ会務ノ専行ヲ託シ、猶東京商業会議所ニ依頼シテ同所内ニ仮事務所ヲ設ケ、同所書記長萩原源太郎君ニ事務取扱ノ主任ヲ託スルコトトシ、翌十六日附ヲ以テ市内商人及商事会社等二千五十五ケ所ニ向テ左ノ照会状ヲ発シ、以テ其賛成ヲ求メタリ
 拝啓、陳者今般日清事件平和ニ帰シ、来ル廿三日頃 御還幸被為在候趣ニ就テハ、此際商人有志者申合セ、別紙ノ手続ニ依リ東京商人有志奉迎会ヲ設ケ、奉迎ノ誠意ヲ表シ度存候間、御加入被下度候、尤モ御加入被下候ニ於テハ、金壱円以上随意ノ御寄附金額御定ノ上来二十日迄ニ京橋区木挽町十丁目東京商業会議所内奉迎会仮事務所ヘ御一報被下度、此段得貴意候 早々頓首
  明治二十八年五月十六日       東京商人有志奉迎会
    東京各商人及商事会社宛
  尚々、本文ノ御通知ハ急遽ノ際相洩候義モ可有之候間、御心附モ有之候ハヽ、御最寄ニテ御誘引被下度、此段申添候也
 (別紙)
    ○手続書
 一御還幸ノ際 御通輦ノ御道筋ニ於テ凱旋門ニ擬スル一大緑門ヲ建設シ、且ツ便利ノ場所ニテ煙火ヲ打揚クル事
 一東京ノ商人ハ、何人タルヲ問ハス該会ニ加入スルヲ得ル事
 一加入者ハ金壱円以上ヲ随意ニ寄附スル事
 一右寄附金ハ予メ其高ヲ定メ、来二十日迄ニ事務所ヘ通知スル事
 一首唱者中ヨリ左ノ諸氏ヲ委員ニ選ミ会務ノ処理ヲ託スル事
  岩谷松平君    岩下清周君    今村清之助君
  池田謙三君    原六郎君     豊川良平君
  大江卓君     岡部広君     加東徳三君
  高田慎蔵君    園田孝吉君    土田政次郎君
  中沢彦吉君    中上川彦次郎君  山中隣之助君
  山本達雄君    山本直成君    安田善四郎君
  益田孝君     近藤廉平君    阿部泰蔵君
  佐々木慎思郎君  銀林綱男君    渋沢栄一君
  荘田平五郎君   関根親光君
 一本会ノ諸経費ハ、会員ノ寄附金ヲ以テ支弁スル事
 一本会経費ノ収支ハ、追テ決算ノ上加入者ニ報告スル事
(参照)
 明治二十八年五月二十七日ノ官報号外ヲ以テ 御還幸ノ期日其他御発着割等ニ就キ左ノ如ク発表セラレタリ、参照ノ為メ玆ニ附記ス
    ○告示
 宮内省告示第十号
 来ル二十九日大本営ヲ東京ニ移サルヽニ就テハ、当日午前七時御出門 御発輦在ラセラルヘキ旨 仰出サル
 - 第28巻 p.452 -ページ画像 
  明治二十八年五月二十七日 宮内大臣 子爵 土方久元
 宮内省告示第十一号
 皇后陛下来ル三十日京都 御発輿、東京 還御 仰出サル
  明治二十八年五月二十七日 宮内大臣 子爵 土方久元
    ○宮廷録事
 ○御発着割
      聖上御発着割
  五月二十九日午前七時    御出門
  同日午前七時五十分     京都停車場御発車
  五月二十九日午後六時十分  静岡停車場御着車
      御泊  静岡大東館
  五月三十日午前八時     静岡停車場御発車
  同日午後二時        新橋停車場御着車
      還幸
     市内御道筋
 新橋停車場ヨリ二葉町通右ヘ幸橋ヲ渡リ、内幸町通右ヘ外務省前、桜田門ヲ入リ宮城
      皇后陛下御発着割
  五月三十日午前七時     御出門
  同日午前七時五十分     京都停車場御発車
  同日午後六時十分      静岡停車場御着車
      御泊  静岡大東館
  五月三十一日午前八時    静岡停車場御発車
  同日午後二時        新橋停車場御着車
      還御
     市内御道筋
 新橋停車場ヨリ二葉町通右ヘ幸橋ヲ渡リ、内幸町通右ヘ外務省前、桜田門ヲ入リ宮城
    会員氏名及寄附金額
前記照会ノ趣旨ヲ賛成シ、本会ニ加入ヲ申込マレタル者ノ氏名及寄附金額ハ左ノ如シ
 金弐百円            日本銀行
 金百五拾円           日本鉄道株式会社
 金百円             岩崎弥之助君
 金百円             岩崎久弥君
 金百円             日本郵船株式会社
 金百円             東京銀行集会所
 金七拾円            三井八郎右衛門君
 金五拾円            北海道炭鉱鉄道株式会社
 金五拾円            株式会社東京株式取引所
 金五拾円            東京株式取引所仲買人組合
 金五拾円            株式会社東京米穀取引所
 金五拾円            東京米穀取引所仲買組合
 金五拾円            合名会社大倉組
 - 第28巻 p.453 -ページ画像 
 金五拾円            古河市兵衛君
 金五拾円            三井物産合名会社
 金五拾円            合名会社三井銀行
 金三拾五円           三井元之助君
 金三拾五円           三井源右衛門君
 金三拾五円           三井高保君
 金三拾五円           三井八郎次郎君
 金三拾五円           三井三郎助君
 金三拾円            東京商工相談会
 金三拾円            東京海上保険株式会社
 金三拾円            東京電灯株式会社
 金三拾円            大倉喜八郎君
 金三拾円            川田小一郎君
 金三拾円            渋沢栄一君
 金三拾円            第百十九国立銀行
   ○二十五円以下氏名略。「紀念章」・「凱旋門」・「煙火」略。
    奉迎所
御還幸ノ当日、会員奉迎ノ便利ヲ図リ麹町区内幸町旧東京府庁跡三菱合資会社所有ノ土地ヲ借用シ、奉迎所ヲ設ケ、会員一同整列シテ 聖駕ヲ奉迎シタリ、其地割左ノ如シ ○図略ス
又当日右奉迎所取締ノ為メ、左ノ諸会社派出ノ非番巡査十七名ニ出張ヲ請ヒ、警備ヲ委託シタリ
          日本銀行派出非番巡査     五名
          東京倉庫株式会社同      三名
          第一国立銀行同        二名
          第三国立銀行同        二名
          合名会社三井銀行同      二名
          合資会社川崎銀行同      二名
          株式会社東京株式取引所同   一名
○中略
    名簿ノ奉呈及写真ノ献上
本会専務委員渋沢栄一君ニ託シ、宮内大臣ヲ経テ本会奉迎ノ赤誠ヲ表彰センカ為メ、本会々員ノ名簿ヲ奉呈シ、且ツ凱旋門ヲ撮影シタル写真ヲ献上シタリ
    経費決算
      記
一金弐千四拾円七拾六銭       凱旋門建設諸費
一金五百円             清水満之助氏ヘ報酬
一金壱千弐拾円           煙火
一金参百九拾壱円四拾八銭      電灯及瓦斯
一金四百五拾円           紀念章
一金百四拾壱円四拾七銭七厘     報告書
一金四拾六円五拾四銭        通信費
一金拾五円九拾銭八厘        広告費
 - 第28巻 p.454 -ページ画像 
一金四拾円八拾弐銭五厘       印刷費
一金九円五拾六銭八厘        消耗費
一金参拾弐円四拾壱銭        賄費
一金参拾壱円拾八銭七厘       集金及配達費
一金六拾五円            諸給
一金弐拾四円六拾参銭        運搬費
一金拾五円参拾壱銭壱厘       諸雑費
計金四千八百弐拾五円九銭六厘
      内
 金四千六百七拾九円七拾銭     会員寄附金
差引
金百四拾五円参拾九銭六厘      不足委員分担



〔参考〕新聞集成明治編年史 同史編纂会編 第九巻・第二五四頁 昭和一一年一月刊(DK280060k-0002)
第28巻 p.454 ページ画像

新聞集成明治編年史 同史編纂会編  第九巻・第二五四頁 昭和一一年一月刊
    当節流行凱旋門
〔五・二一 ○明治二八年東京日日〕 本図 ○略は東京市有志奉迎会の依托に拠り清水組の技師田島格造・岡本《(不明)》□太郎の両学士が考案に為りたる設計にして、長さ一町に余り、央に高百尺以上の高塔を設け、前後に貫通門巾二十七尺のアーチを備へ、高さ四十尺・幅三十三尺の廻廊を以て連続す、蓋し設計者は欧米にも前例なき斬新なるTriumph Archade の仮設工事を為す考案なりと云ふ。又工学博士辰野金吾氏は凱旋門建築に就き、大学に於て種々研究中なるを以て、奉迎会の依托を受け、設計上に就き相談に与かる事を承諾せられしと云ふ。
 尚図中前後貫通門の上正面には草花を以て「聖駕奉迎」の四大字を造出せし大額面を製し、其上には大国旗を交叉し、其左右に菊花の御紋章を造り、門の両側は左に「東京市商人」、右に「有志奉迎会」と是亦草花を以て書き出し、高塔及前後貫通門の天井は、孰れも草花を以て八角に組合す計画なり、而して其成功は来る廿三日なりといふ。



〔参考〕竜門雑誌 第八六号・第三八―三九頁 明治二八年七月 ○奉迎門(DK280060k-0003)
第28巻 p.454-455 ページ画像

竜門雑誌  第八六号・第三八―三九頁 明治二八年七月
○奉迎門 去る五月三十日 大元帥陛下の御還幸奉迎のため、東京商人有志奉迎会に於て日比谷に建設したる奉迎門は、清水満之助氏其工事を受負ひ、特別に尽力せられたるを以て頗ふる好結果を得、非常の好評を博したり、それが為同氏は去月十八日同会より左の如き辞状と目録とを寄贈せらるゝの栄を得たる由、実に建築家として一大名誉といふべし
 拝啓、過般本会に於て御委嘱致候凱旋門に擬したる一大緑門建設に付ては、特別の御尽力を以て其工事頗ふる好結果を呈し、本会の素志を達するを得たるのみならす、大に世人の好評を博し候段、満足の至に存候、依て聊謝意を表する為め別紙目録の通り進呈致候間、御受納相成度候、先は此段得貴意度如此御坐候 敬具
  明治廿八年六月十八日    東京商人有志奉迎会
                  専務委員
                    渋沢栄一
 - 第28巻 p.455 -ページ画像 
                    銀林綱男
                    山中隣之助
                    大江卓
                    今村清之助
   清水満之助殿
(別紙)
   目録
一金五百円
    以上