デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
1節 東京市養育院其他
4款 東京市設職業紹介所
■綱文

第30巻 p.371-375(DK300033k) ページ画像

明治44年11月15日(1911年)

是日、東京市設職業紹介所設置セラレ、栄一、養育院長トシテ之ガ管理ニ任ズ。大正九年五月ニ至リ当紹介所ハ東京市社会局ニ移管セラル。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四二年(DK300033k-0001)
第30巻 p.371 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四二年     (渋沢子爵家所蔵)
六月十三日 曇 暑
○上略 午後一時巣鴨養育院分院ニ抵リ、安達・高畠・吉藤・高田諸氏ト済貧恤救ニ関スル方法ヲ談ス、労働紹介所ノ事ヲ協議ス ○下略


渋沢栄一 日記 明治四三年(DK300033k-0002)
第30巻 p.371 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四三年     (渋沢子爵家所蔵)
二月十四日 晴 寒
○上略
安達憲忠氏来リ ○中略 職業紹介所ノ事ヲ談ス
○下略


渋沢栄一 日記 明治四四年(DK300033k-0003)
第30巻 p.371-372 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四四年     (渋沢子爵家所蔵)
三月二十六日 曇 軽寒
○上略 安達氏来リ、労働紹介所ノ事ニ関シテ協議ス ○下略
   ○中略。
四月十二日 晴 軽暖
○上略 東京市ニ抵リ、市長ニ面会シテ労働紹介所ノ事ヲ談ス ○下略
四月十三日 晴 軽暖
○上略 十一時本院 ○養育院ニ抵リ、安達・高畠二氏ト職業紹介所ノ事ヲ談ス ○下略
   ○中略。
七月七日 晴 暑
○上略 矢野由次郎氏ノ来訪ニ接シテ、労働紹介事業ニ付意見ヲ述フ ○下略
   ○中略。
九月十三日 雨 冷
○上略 午前九時半巣鴨養育院分院ニ抵リ ○中略 労働紹介ノ事 ○中略 其他ノ件ヲ安達・高畠・高田ノ諸氏ト協議ス ○下略
   ○中略。
十一月一日 晴 寒
○上略 大橋勇氏ノ来訪ニ接シテ労働紹介ノ方法ヲ談ス ○下略
   ○中略。
十二月十三日 曇 寒
○上略 午前九時半巣鴨ナル養育院分院ニ抵リ、安達・高田二氏ト貧児収養方法ニ関スル意見ヲ討議ス、十一時本院ニ於テ ○中略 労働紹介所ノ件ヲ談ス、安達・高畑・桜井三氏来会ス ○下略
 - 第30巻 p.372 -ページ画像 
   ○中略。
十二月十九日 雨 寒
○上略 芝新堀町ニ抵リ、労働紹介所ノ実況ヲ視察ス、更ニ転シテ玉姫町ニ抵リ、東京市ニ於テ設置セシ貸長屋ヲ一覧シ、各借家人ニ就テ現状ヲ視察ス、又労働紹介所ノ設備ヲ一見ス ○下略


東京市養育院月報 第一二九号・第一三―一四頁 明治四四年一一月 ○市設職業紹介所(DK300033k-0004)
第30巻 p.372-373 ページ画像

東京市養育院月報  第一二九号・第一三―一四頁 明治四四年一一月
○市設職業紹介所 予て本市に於ては、市内に於ける失業者無職業者に対しこれが救済の方策として市設職業紹介所創設の企てありしが、今回愈々浅草区玉姫町百二十六番地市設貸長家建築竣工と同時に、又芝区新堀町三十番地に於ても家屋を買収し、附設宿泊所を兼ねて同時に職業紹介の労を執ることゝなり、十一月十五日二ケ所とも同時に開始し、而して是等事業は一切本院へ嘱託せられたり、右に関する処務規程・職業紹介規程並事務取扱手続を紹介すれば左の如し。
    職業紹介所処務規程
第一条 職業紹介所は養育院長の管理に属し、市長の指揮監督を承け市内居住の失業者及無業者に業務を紹介し、兼て宿泊のことを経営す。
第二条 職業紹介所に主幹一名及事務員若干名を置く。
第三条 主幹は主事又は事務員を以て之に充つ。
第四条 主幹は養育院長の指揮を承け所務を掌理し、所員を指揮監督す。
第五条 事務員は上司の命を承け事務に従事す。
第六条 養育院長は市長の認可を受け、事務執行に関する必要の規定を設くることを得。
    職業紹介規程
第一条 本所は東京市内に居住する失業者及無業者に無手数料を以て業務を紹介す、其紹介すべき業務の種類は別に之を定む。
第二条 本所の附設宿泊所は料金を徴して境遇困難なる者に宿泊をなさしむ。
第三条 業務の紹介を求むる者は、其の申込を為し、求職票の登録を受くべし。
第四条 登録を受けたる求職者来所の際は、登録証を携帯すべし。
第五条 登録証を失ひたる者は其旨届出で、更に交付を受くべし。
第六条 求職者本所の紹介に依らずして就職したるとき、若しくは求職申込条件に変更を生じたるときは、其旨直に届出づべし。
第七条 求職者は求職者心得を遵守すべし、之に違反するときは紹介を拒絶し、既に登録を受けたるものは其登録を抹消す。
第八条 求職者に対する業務の紹介は登録の前後に依る、但し事情切迫者は特に優先せしむることあるべし。
第九条 本所は求職者の身元保証を為さず。
第十条 使用人需要者は書面又は口頭若しくは電話を以て需要の申込を為なすことを得、其紹介は無手数料とす。
第十一条 使用人需要者は市内居住者たることを要せず。
 - 第30巻 p.373 -ページ画像 
第十二条 使用人需要者本所の紹介に依らずして使用人を雇入れたるとき、若しくは需要申込の条件に変更を生じたるときは其旨直に届出づべし。
第十三条 本所附設の宿泊所に宿泊を乞はんと欲する者は其旨申込むべし。
第十四条 前条申込人に対し本所は境遇査察の上宿泊せしむるの必要ありと認めたるときに限り之を許可す、但昼間在宿を許さず。
第十五条 宿泊料は一日金四銭とす、但し入浴せしめざる場合は之を金参銭とす。
第十六条 日傭労働者は本規程第三条・第四条及第五条に依らずして取扱ふことを得。
    職業紹介事務取扱手続
第一条 求職の申込ある毎に、掛員は求職票に記載の各調査事項に従ひ申込人に対して詳細なる尋問を行ひ、之を該票に記入すべし。
第二条 掛員は求職者に対し懇切丁寧を旨とすべし。
第三条 求職者に関する調査事項に就き必要と認むるときは、官公署前雇主隣保等に就き調査を行ふべし。
第四条 求職票は就職・取消・未了の三種に区別し、且男女別及職業別に依りて之を分類整理すべし。
第五条 男票及女票は用紙の色彩に依りて之を別異す。
第六条 使用人需要者より需要の申込を受けたる時は之を使用人需要票に記載の事項に従ひ、適当の記入を為すべし。
第七条 使用人需要者に就き其身元証査を為すの必要あると認めたる時は、適当の方法に依り調査を行ふべし。
第八条 使用人需要票は雇入済・取消・未了の三種に区別し分類整理すべし。
第九条 宿泊申込人に対しては、相当調査を行ひたる上宿泊者心得を遵守するを条件として之を許可すべし。
第十条 紹介及宿泊の事項は翌月五日迄に養育院長に報告すべし。
第十一条 附設宿泊所に関する執務は、午後五時より翌日午前七時迄とす。


養育院六十年史 東京市養育院編 第三九一―三九三頁 昭和八年三月刊(DK300033k-0005)
第30巻 p.373-374 ページ画像

養育院六十年史 東京市養育院編  第三九一―三九三頁 昭和八年三月刊
 ○第五章 東京市営時代
    第八節 職業紹介及宿泊施設
 慶庵即ち雇人口入宿なるものは、旧幕時代より数多市内に散在して一般家庭に於て使役する僕婢又は商店の使用人を世話し、理髪その他の特殊職人は寄子業者なるものありて、これを周旋してゐた。彼等は傭用の契約成れば、雇主と被雇者との双方より若干の手数料を徴収しその所得に生活するのである。明治の末期に至り職業紹介を営利事業とするは、現代社会の通念上妥当ならず、須らくこれを国営とし、又は公共団体自らこれが経営に当り、全然無料にて紹介すべしとの意見が高まり、特に従来の口入宿には幾多の弊害存するを以て、こゝに公設職業紹介所の設置が鼓吹された。この形勢に順応して率先設立され
 - 第30巻 p.374 -ページ画像 
たのは、東京市職業紹介所にて、実に明治四十四年(一九一一)十一月に属する。しかもその紹介所は我が養育院長の管理に属し、院長その事務を指揮したのであつた。当時の処務規定は六ケ条より成り左の通りである。
      職業紹介所処務規程 ○前掲ニツキ略ス
明治四十四年十一月先づ浅草・芝の両区に各一ケ所を設置し、翌四十五年(一九一二)三月小石川区に一ケ所を加へ、大正三年(一九一四)九月神田区に一ケ所を増設したるが、同所は大正七年(一九一八)三月経費節減上これを閉鎖した。職業紹介の傍労働者宿泊の事業に従事したるが、大正二年度より更に附帯事業として、授産場を浅草職業紹介所内に、又市内を浮浪する少年男女の保護を目的とする児童保護所を、小石川職業紹介所内に併置した。大正四年(一九一五)七月事務の都合上これを浅草職業紹介所に移せしが、大正六年(一九一七)七月、再び小石川職業紹介所に移管し、大正十年(一九二一)これを東京市幼年保護所と改称した。創立以来大正八年(一九一九)十二月、市社会局の所属として移管せらるゝまで九ケ年間は、市庶務課に於て取扱ひ、養育院長の管理に属し、その指揮を承けて事務を執行した当時は、市感化救済事業嘱託田中太郎主としてこれに与つてゐた。その毎年発行されたる報告「年報」は最新式にして、統計様式の如き特に精細を極め、他に全く類例を絶してゐた。大正元年(一九一二)度の第二回年報によれば芝・浅草・小石川の三ケ所を通じて取扱へる求職人員は八千四百四十一人、宿泊者四万九百五十六人に上るの成績を挙げ、大正二年度の経費予算金一万三百八十七円に対し、支出九千百二十一円余を算した。而して就業希望業務と其年齢別・求職者住所と在京年数・求職者出生府県別・就職希望業務と教育程度・希望業務と就職業務・就職業務と年齢・需要業務と需要者住所・需要業務別と支給賃金・宿泊者職業と年齢及宿泊者出生府県別等の諸統計は、極めて整然、今日と雖もこれ以上に出づるは、容易に発見し難い所である。
 この東京市職業紹介所創立以来、九ケ年の後、即ち大正八年(一九一九)に至り、この種公設職業紹介所が其筋より大に奨励せられたる結果として、同年二月に大阪市、六月に京都市、七月に横浜市、十月に横須賀市等の各地に市設職業紹介所の設置を見るに至つた。
○下略


東京市養育院年報 大正九年度第四十九回 第三頁 大正一〇年一一月刊 一 本院の沿革(DK300033k-0006)
第30巻 p.374 ページ画像

東京市養育院年報 大正九年度第四十九回  第三頁 大正一〇年一一月刊
    一 本院の沿革
○上略
同年 ○大正九年 従来本院長主管の東京市職業紹介所は、市社会局の新設により同局に移管せられたり。
○下略


東京市養育院年報 大正九年度第四十九回 第八二―八三頁 大正一〇年一一月 五 本年度中記事摘要(DK300033k-0007)
第30巻 p.374-375 ページ画像

東京市養育院年報 大正九年度第四十九回  第八二―八三頁 大正一〇年一一月
 ○五 本年度中記事摘要
    1 主要事項
 - 第30巻 p.375 -ページ画像 
○上略
一、職業紹介所雇員の進退専行の件廃止
 本年五月廿日附市訓令甲第十九号を以て、明治四十四年五月市訓令甲第二十四号職業紹介所雇員の進退養育院長限り専行の件は、之を廃止せられたり
○下略