デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
2節 中央社会事業協会其他
2款 社会事業協会 = 財団法人中央社会事業協会
■綱文

第30巻 p.600-606(DK300078k) ページ画像

昭和4年2月14日(1929年)

是ヨリ先、前年十二月開カレタル第一回全国救護
 - 第30巻 p.601 -ページ画像 
事業会議ノ決議ニ基キ、是日栄一、当協会会長トシテ救護法ノ制定・実施ヲ総理大臣田中義一・内務大臣望月圭介及ビ大蔵大臣三土忠造ニ建議シ、次イデ三月、貴衆両院議員ニ対シ同法ノ議会通過ノ尽力方ヲ依頼ス。


■資料

救護法実施促進運動史 柴田敬次郎著 第二四―二七頁 昭和一五年五月刊(DK300078k-0001)
第30巻 p.601-602 ページ画像

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社会事業 第一三巻第一号・第一六頁 昭和四年四月 救護法の成立(DK300078k-0002)
第30巻 p.602-603 ページ画像

社会事業  第一三巻第一号・第一六頁 昭和四年四月
    救護法の成立
 救護法の制定に関しては、中央社会事業協会は、曩に陳情委員を選定して議会に内務・大蔵両大臣を訪ひ、救護法の提案と実施に関し陳情建議し、更に三月十四日衆議院に提出されるに及んでは、該法案の通過するやう貴衆両院議員に左の如き尽力方依頼の書状を発すると同時に、各府県社会事業協会に対しても地方選出議員督励法依頼の電報を発する等、全力を尽して救護法案の通過に努力して来たが、該法案は三月十九日に衆議院を、同二十三日貴族院を無事通過した。かくて多年の懸案であつた救護法が成立したわけである。
 因みに社会局の調査に依る全国要救護者数は約十一万人、之に要する経費総額は一ケ年約八百万円である。
  貴衆両院議員に発した依頼状
 謹啓、益御清穆奉慶賀候、陳者近時社会事情の変遷に伴ひ、国民生活不安の度益甚だしく社会思想は動もすれば詭激に趨かんとする傾向に有之候は、寔に国家深憂の存する所に御座候、国民生活安定の
 - 第30巻 p.603 -ページ画像 
方途を講じ匡救の方法を策するは刻下喫緊の要務と被存候、然処我国に於ける救貧制度は甚だ不備にして社会の要求に順応せざるものに御座候
 本期議会に提案せられたる救護法案は、鰥寡孤独・老幼・癈疾を救護し、窮民をして其の生に安んぜしめんとするものに有之、多年社会の翹望し措かざる所、幸に救護法の成立を見るを得ば国家の慶福之に過ぐるもの無之と被存候、本法実現の為何卒貴下の御尽瘁を仰ぎ度、先は右得貴意度如斯に御座候 敬具
  昭和四年三月 日
             財団法人中央社会事業協会
                 会長 子爵 渋沢栄一
        殿
  各府県社会事業協会に発した電文
救護法案議会に提案せられたり、我国救貧制度確立の為速に該法案の通過するやう電報にて促進方願ふ
                     中央社会事業協会


救護法実施促進運動史 柴田敬次郎著 第二七頁 昭和一五年五月刊(DK300078k-0003)
第30巻 p.603 ページ画像

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法令全書 昭和四年・第四号 内閣印刷局編 刊 【朕帝国議会ノ協賛ヲ…】(DK300078k-0004)
第30巻 p.603-606 ページ画像

法令全書 昭和四年・第四号 内閣印刷局編 刊
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル救護法ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム
 御名御璽
  昭和四年四月一日
             内閣総理大臣 男爵 田中義一
             内務大臣      望月圭介
法律第三十九号(官報四月二日)
救護法
    第一章 被救護者
第一条 左ニ掲グル者貧困ノ為生活スルコト能ハザルトキハ本法ニ依リ之ヲ救護ス
 一 六十五歳以上ノ老衰者
 二 十三歳以下ノ幼者
 三 妊産婦
 - 第30巻 p.604 -ページ画像 
 四 不具癈疾・疾病・傷痍、其ノ他精神又ハ身体ノ障碍ニ因リ労務ヲ行フニ故障アル者
 前項第三号ノ妊産婦ヲ救護スベキ期間並ニ同項第四号ニ掲グル事由ノ範囲及程度ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 前条ノ規定ニ依リ救護ヲ受クベキ者ノ扶養義務者扶養ヲ為スコトヲ得ルトキハ之ヲ救護セズ、但シ急迫ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
    第二章 救護機関
第三条 救護ハ救護ヲ受クベキ者ノ居住地ノ市町村長、其ノ居住地ナキトキ又ハ居住地分明ナラザルトキハ、其ノ現在地ノ市町村長之ヲ行フ
第四条 市町村ニ救護事務ノ為委員ヲ設置スルコトヲ得
 委員ハ名誉職トシ、救護事務ニ関シ市町村長ヲ補助ス
第五条 委員ノ選任・解任・職務執行、其ノ他委員ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
    第三章 救護施設
第六条 本法ニ於テ救護施設ト称スルハ養老院・孤児院・病院、其ノ他ノ本法ニ依ル救護ヲ目的トスル施設ヲ謂フ
第七条 市町村救護施設ヲ設置セントスルトキハ、其ノ設備ニ付地方長官ノ認可ヲ受クベシ
 私人救護施設ヲ設置セントスルトキハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第八条 前条第二項ノ規定ニ依リ設置シタル救護施設ハ、市町村長ガ救護ノ為行フ委託ヲ拒ムコトヲ得ズ
第九条 本法ニ定ムルモノノ外、救護施設ノ設置・管理・廃止、其ノ他救護施設ニ関シ必要ナル事項ハ、命令ヲ以テ之ヲ定ム
    第四章 救護ノ種類及方法
第十条 救護ノ種類左ノ如シ
 一 生活扶助
 二 医療
 三 助産
 四 生業扶助
 前項各号ノ救護ノ範囲、程度及方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一条 救護ハ救護ヲ受クル者ノ居宅ニ於テ之ヲ行フ
第十二条 幼者居宅救護ヲ受クベキ場合ニ於テ、市町村長其ノ哺育上必要アリト認ムルトキハ、勅令ノ定ムル所ニ依リ幼者ト併セ其ノ母ノ救護ヲ為スコトヲ得
第十三条 市町村長居宅救護ヲ為スコト能ハズ又ハ之ヲ適当ナラズト認ムルトキハ、救護ヲ受クル者ヲ救護施設ニ収容シ、若ハ収容ヲ委託シ又ハ私人ノ家庭若ハ適当ナル施設ニ収容ヲ委託スルコトヲ得
第十四条 市町村長ハ救護ヲ受クル者ノ親権者又ハ後見人ガ適当ニ其権利ヲ行ハザル場合ニ於テハ、其ノ異議アルトキト雖モ前条ノ処分ヲ為スコトヲ得
第十五条 救護施設ノ長ハ、命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ施設ニ収容セラレタル者ニ対シ適当ナル作業ヲ課スルコトヲ得
 - 第30巻 p.605 -ページ画像 
第十六条 第十三条ノ規定ニ依リ収容セラレ又ハ収容ヲ委託セラレタル未成年者ニ付、親権者及後見人ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ、市町村長又ハ其ノ指定シタル者、勅令ノ定ムル所ニ依リ後見人ノ職務ヲ行フ
第十七条 救護ヲ受クル者死亡シタル場合ニ於テハ、勅令ノ定ムル所ニ依リ埋葬ヲ行フ者ニ対シ埋葬費ヲ給スルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テ埋葬ヲ行フ者ナキトキハ、救護ヲ為シタル市町村長ニ於テ埋葬ヲ行フベシ
    第五章 救護費
第十八条 救護ヲ受クル者同一市町村ニ一年以上引続キ居住スル者ナルトキハ、救護ニ要スル費用ハ其ノ居住地ノ市町村ノ負担トス
第十九条 救護ヲ受クル者左ノ各号ノ一ニ該当スル者ナルトキハ、其ノ居住期間一年ニ満タザル場合ニ於テモ救護ニ要スル費用ハ其ノ居住地ノ市町村ノ負担トス
 一 夫婦ノ一方居住一年以上ナルトキ同居ノ他ノ一方
 二 父母其ノ他ノ直系尊属居住一年以上ナルトキ同居ノ子其ノ他ノ直系卑属
 三 子其ノ他ノ直系卑属居住一年以上ナルトキ同居ノ父母其ノ他ノ直系尊属
第二十条 前二条ニ規定スル期間ノ計算ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第二十一条 救護ニ要スル費用ガ前三条ノ規定ニ依リ市町村ノ負担ニ属セザル場合ニ於テハ、其ノ費用ハ救護ヲ受クル者ノ居住地ノ道府県、其ノ居住地ナキトキ又ハ居住地分明ナラザルトキハ其ノ現在地ノ道府県ノ負担トス
第二十二条 第十七条ノ規定ニ依ル埋葬ニ要スル費用ノ負担ニ関シテハ前四条ノ規定ヲ準用ス
第二十三条 委員ニ関スル費用ハ市町村ノ負担トス
第二十四条 第二十一条及第二十二条ノ規定ニ依リ道府県ノ負担スル費用ハ、救護ヲ為シタル地ノ市町村ニ於テ一時之ヲ繰替支弁スベシ
第二十五条 国庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ対シ其ノ二分ノ一以内ヲ補助ス
 一 第十八条乃至第二十三条ノ規定ニ依リ市町村又ハ道府県ノ負担シタル費用
 二 道府県ノ設置シタル救護施設及第七条第一項ノ規定ニ依リ市町村ノ設置シタル救護施設ノ費用
 三 第七条第二項ノ規定ニ依リ私人ノ設置シタル救護施設ノ設備ニ要スル費用
 道府県ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ、左ノ諸費ニ対シ其ノ四分ノ一ヲ補助スベシ
 一 第十八条乃至第二十条、第二十二条及第二十三条ノ規定ニ依リ市町村ノ負担シタル費用
 二 第七条第一項ノ規定ニ依リ市町村ノ設置シタル救護施設ノ費用
 三 第七条第二項ノ規定ニ依リ私人ノ設置シタル救護施設ノ設備ニ
 - 第30巻 p.606 -ページ画像 
要スル費用
第二十六条 救護ヲ受クル者資力アルニ拘ラズ救護ヲ為シタルトキハ救護ニ要スル費用ヲ負担シタル市町村又ハ道府県ハ、其ノ者ヨリ其ノ費用ノ全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得
第二十七条 救護ヲ受ケタル者救護ニ要シタル費用ノ弁償ヲ為スノ資力アルニ至リタルトキハ、救護ノ費用ヲ負担シタル市町村又ハ道府県ハ、救護ヲ廃止シタル日ヨリ五年以内ニ其ノ費用ノ全部又ハ一部ノ償還ヲ命ズルコトヲ得
第二十八条 救護ヲ受クル者死亡シタルトキハ、市町村長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ遺留ノ金銭ヲ以テ救護及埋葬ニ要スル費用ニ充当シ、仍足ラザルトキハ遺留ノ物品ヲ売却シテ之ニ充当スルコトヲ得
      第六章 雑則
第二十九条 救護ヲ受クル者左ニ掲グル事由ノ一ニ該当スルトキハ、市町村長ハ救護ヲ為サザルコトヲ得
 一 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ市町村長又ハ救護施設ノ長ノ為シタル処分ニ従ハザルトキ
 二 故ナク救護ニ関スル検診又ハ調査ヲ拒ミタルトキ
 三 性行著シク不良ナルトキ又ハ著シク怠惰ナルトキ
第三十条 第七条第二項ノ規定ニ依リ設置シタル救護施設ガ、本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ、地方長官ハ同項ノ認可ヲ取消スコトヲ得
第三十一条 道府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ左ニ掲グル土地建物ニ対シテハ、租税其ノ他ノ公課ヲ課スルコトヲ得ズ、但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
 一 主トシテ救護施設ノ用ニ供スル建物
 二 前号ニ掲グル建物ノ敷地其ノ他主トシテ救護施設ノ用ニ供スル土地
第三十二条 詐偽其ノ他ノ不正ノ手段ニ依リ救護ヲ受ケ又ハ受ケシメタル者ハ三月以下ノ懲役又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十三条 本法中町村ニ関スル規定ハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準ズベキ者ニ之ヲ適用ス
    附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
左ノ法令ハ之ヲ廃止ス
 明治四年太政官達第三百号
 明治六年太政官布告第七十九号
 明治六年太政官布告第百三十八号
 明治七年太政官達第百六十二号恤救規則
 〔参照〕
 明治四年六月二十日太政官達第三百号ハ棄児養育米給与方、同六年三月三日太政官布告第七十九号ハ三子出生貧困ノ者ヘ養育料ヲ給与スル件、同年四月二十五日同第百三十八号ハ棄児養育米被下ハ自今満十三年ヲ限リトシ、及年齢定方ナリ