デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
5節 災害救恤
5款 大震災善後会
■綱文

第31巻 p.387-397(DK310055k) ページ画像

大正13年3月13日(1924年)

是日、当会解散シ、残務委員会設置セラル。栄一、之ガ委員トナリ、同月二十二日副委員長ニ選任セラル。


■資料

集会日時通知表 大正一三年(DK310055k-0001)
第31巻 p.387-388 ページ画像

集会日時通知表  大正一三年      (渋沢子爵家所蔵)
三月十三日 木 午後四時半 大震災善後会総務部会(貴族院議長官舎)
 - 第31巻 p.388 -ページ画像 
        午後六時  同会結了報告晩餐会(帝国ホテル)


東京商業会議所報 第七巻第四号・第六―七頁 大正一三年四月刊 ○大震災善後会記事(DK310055k-0002)
第31巻 p.388 ページ画像

東京商業会議所報  第七巻第四号・第六―七頁 大正一三年四月刊
 ○大震災善後会記事
○総務部会
大正十三年三月十三日午後四時三十分より貴族院議長官舎に於て開会し、午後六時閉会せり
 徳川会長議長席に着き開議
一、会務報告の件
本件は河井幹事より、寄附金に関する件、前回総務部会に於て決定せる交付金処分の件、今日迄の会務概要報告書を印刷し寄附者に配付の件、会長以下予定通り災害地の復旧並に救済状況を視察したる件等に就き、詳細報告あり承認
一、寄附金未払者に対し督促の件
本件は寄附金払込比較的好成績にして、未払込額は金七千二百五円、人員八名となるを以て、此際尚一回督促をなすこと
一、寄附金中支出残金処分の件
本件は残金約二十一万円の使途に就き慎重調査の上、大体左記の通り処分することに決せり
 一、社会事業団体十六団体に対し一〇〇、〇〇〇円を割当交付する事
 一、惨死者追悼費として金参万円を支出する事
 一、私立中等学校焼失三十八校に対し、一校約壱千円を以て理化学器械を寄附する事
 一、集団バラツク六ケ所の図書及図書室を焼失したる小学校十二校に対し約金壱万円を以て図書寄附する事
 一、市内焼失小学校百十七校に対し、一校約二百円の割合を以て庭樹を寄附し、尚約七千円を以て運動具を寄附する事
一、本会解散並に残務員の件
本件は所期の目的を達したるを以て、規約第十一条により本日を以て解散し、残務を整理する為め、会長・副会長・両部長・会計監督・幹事を残務委員とす
以上議件の審議を終りたる後、徳川会長より解散の挨拶ありて閉会


東京商業会議所報 第七巻第四号・第七頁 大正一三年四月刊 ○大震災善後会記事(DK310055k-0003)
第31巻 p.388-389 ページ画像

東京商業会議所報  第七巻第四号・第七頁 大正一三年四月刊
 ○大震災善後会記事
○報告会
本会は所期の目的を達したるを以て、大正十三年三月十三日午後六時帝国ホテルに、関係当局、各新聞・通信社長、及本会委員を招待し、会務の報告をなしたる上、解散することゝせり
定刻井上内務次官、各新聞・通信社代表者、徳川会長、粕谷・渋沢両副会長、阪谷経済部長、其他委員六十余名参会せられ、午後七時食堂を開き、デザートコースに入り徳川会長より、昨年九月本会組織以来内外各方面よりの同情、各新聞・通信社の後援、委員各位の努力に拠
 - 第31巻 p.389 -ページ画像 
り、救済事業並経済復興事業共予期以上の効果を収め、規約第十一条により本日を以て解散するに至りたる謝辞を述べられ、併せて会務概要の報告なしたる後、盃を挙げて各位の健康を祝し、之に対し井上内務次官より被救済者を代表したる挨拶ありて、午後八時半散会せり


大震災善後会報告書 同会編 第二五―三一頁 大正一四年一二月刊(DK310055k-0004)
第31巻 p.389-391 ページ画像

大震災善後会報告書 同会編  第二五―三一頁 大正一四年一二月刊
 ○第一章 総説
    第四節 解散及残務取扱
(一)解散
○中略
解散ノ当日午後六時、徳川会長ハ本会ノ為メ特ニ尽力セラレタル官民諸氏百余名ヲ帝国「ホテル」ニ招待シテ晩餐会ヲ催シ、左ノ挨拶ヲ為シタルニ、井上内務次官ハ来賓一同ヲ代表シテ本会ノ成功ト功績トヲ縷述シ謝辞ヲ述ヘ、午後九時盛会裡ニ散会シタリ
 閣下、諸君
 本日ハ御繁用ノ折柄ニモ拘ラス、多数諸君ノ御来臨ヲ忝ウイタシマシテ、洵ニ光栄ノ至リニ存シマス
 大震災善後会ハ本日ヲ以テ所期ノ目的ヲ達シテ終ヒマシタノテ、規約第十一条ニ依リマシテ、本日ヲ限リトシテ解散致スコトニ決定致シマシタ、今後ハ残務ヲ処理スル為ニ残務委員ヲ設ケ、会長・副会長・部長・会計監督及幹事ノ方々ニ、其任務ヲ御担当願フコトト致シマシタ
 ソレ故ニ本日ハ取敢ヘス、善後会組織以来ノ経過ト其事業ノ大要トヲ御報告申上ケ、且同会ニ対シテ是迄一方ナラサル御援助ト御尽瘁トヲ下サリマシタ各位ニ対シテ、満腔ノ謝意ヲ表セムカ為ニ、此御会合ヲ願ヒマシタ次第テコサイマス
 昨年九月突発致シマシタル大震火災ノ惨害ニ付キマシテハ、今尚ホ恐怖ヲ禁シ得サル所テコサイマシテ、世間普通ノ災害ト異リ、時ヲ経ルニ従ヒマシテ、其印象ガ倍々増大スルノ感アルモノテコサイマス、大震災善後会ハ此危難ノ時ニ当リ、罹災者ノ救済ト経済復興上ノ施設ノ攻究トノ二大目的ヲ達成セムカ為ニ、主トシテ民間有志者ノ間ニ組織セラレタノテコサイマス、従ツテ同会ノ役員ハ、震災地域ニ於ケル官公衙・両院議員・実業家ノ代表的勢力ヲ網羅シテ居ルノテコサイマス、而シテ是等ノ諸君ハ震災直後、余燼未タ収ラス震動尚ホ歇マサルノ時ヨリ此計画ヲ進メラレ、残暑ト塵埃トニ悩マサレツツ、連日東京商業会議所ニ御集合相成リマシテ、各種ノ会議ヲ開カレマシタノテコサイマシテ、其結果ハ総ユル方面ニ亘リ全智全能ヲ尽シタル決議トナリテ現ハレタノテコサイマス、又之カ実施ニ付キマシテハ、常ニ政府当局・地方庁ノ首脳ヲ初メト致シマシテ、罹災者並一般社会ニ向ツテ夫々進言スルコトニ努メマシタ、其他東京・横浜両市ハ勿論、洽ク罹災府県ノ主要地ヲ視察シ、被害者ヲ慰問スルト同時ニ、適切ナル施設ノ案出ニ怠ラナカツタノテコサイマス、凡ソ是等ノ事業ニ付テハ、其詳細ハ只今御手許ヘ差上ケマシタル報告書ニ譲リマスカ、会議ヲ開キマシタルコトノミニテモ五十五
 - 第31巻 p.390 -ページ画像 
回、決議事項ノミニテモ百二十二件ノ多数ニ上リマシテ、此決議カ当時ノ実際ニ照シテ如何ニ有力有効ナリシカハ、私ノ贅言ヲ俟チマセヌ
 救済資金ニ充ツル為ニスル寄附金ノ募集ハ、幸ニシテ政府当局ノ厚意ト、我国民ノ熱烈ナル同情ト、海外ヨリノ厚キ義侠トニ依リマシテ、応募者千四百六十一口、申込ノ現金及公債・債券ヲ合セマシテ四百四十六万二千百二十九円四十九銭ノ多額ニ上リマシテ、其内払込未済額ノ如キモ極メテ少額ニ止ツテ居リマス、此等寄附金ハ最高額五十万円ヨリ最低五銭ニ及ヒ、帝都ハ勿論僻遠ノ地ヨリモ続々ト集マリマシテ、孰レモ熱烈ナル同情ノ貴キ結晶テアリマス、又海外ノ人士ヨリ寄セラレタル義金モ相当多額ニ達シマシテ、之ニ添付セル書状ノ如キハ、一々感涙ニ咽ハシムルモノカアリマシタ、此内外ヨリノ義侠心ノ総動員ノ結果トモ申スベキ寄附ニ対シマシテハ、私ハ諸君ト共ニ感謝ノ意ヲ表シテ已マナイノテコサイマス、是等寄附金ノ処分ニ関シマシテハ、一切ノ事務費トシテ約五万円、指定寄附金約三万三千余円ヲ除キマシテ、其余ハ三百十一万五千円ヲ罹災府県ト東京・横浜ノ二市ニ、十万ヲ陸海軍在営ノ罹災兵士ニ、八万五千円ヲ京浜在留罹災欧米人仮住宅建築費ニ、百四万八千円ヲ社会事業団体ニ、三万円及残余金ノ全額ヲ惨死者追悼記念事業ニ向ツテ支出スルコトニ致シマシタ、其内府県二市ヘ支出シマシタル分配標準ハ、最初ノ百万円ハ主トシテ罹災ノ戸数及人口数ニ依リ、第二回ノ百万円ハ、此標準ニ加フルニ救護施設ヲ必要トスル程度ヲ参酌シテ定メマシタ、又第三回ノ百万円ハ、別ニ社会事業団体ニ交付シタル金百余万円カ其大部分ハ都市ニ於ケル救護施設ニ配分セラレタルヲ以テ之ヲ参酌シ、東京市・横浜市ニハ交付致サヌコトト致シタノテコサイマス、此ノ如クニシテ善後会ヨリノ交付金ハ、最初成立ノ目的ノ範囲内ニ於テ、又敏速ニ適切ナル事業ニ投セラルルヤウ、即チ苟クモ寄附者ノ意ニ違ハサルコトヲ期シタノテアリマス、加之之カ使用ノ事業ニ付テハ、予メ会ノ承認ヲ求ムルコトトシ、其事業ノ遂行ニ付テハ悉ク詳細ナル報告ヲ求ムルコトト致シ、最後ニ残務委員ノ手ニ於テ、将来各事業ノ実地ニ付キ調査ヲ遂クルノ手筈ヲ定メテアルノテコサイマス
 又寄附金ノ外ニ、久留米商業会議所ヨリ衣類約二万点ノ寄贈ヲ受ケマシタカ、之ハ東京府・神奈川県・千葉県ノ罹災者ニ適当ニ分配致シマシタ
 次ニ経済復興ニ関スル施設ノ攻究ニ至リマシテハ、物資供給問題・物価問題・火災保険金支払問題・家屋建築資金及復興資金供給問題都市計画問題・交通通信復旧問題・借地借家ニ関スル法律問題・商法中除外規定ヲ設クル問題等ヲ初メトシ、総ユル方面ニ亘リ多数ノ決議ヲ致シマシタ、是等ノ決議ハ内閣総理大臣ヲ初メトシ、政府・地方庁・市役所ノ当局者等ニ夫々手続ヲ執リマシタノミナラス、重要問題ニ付テハ、会長・副会長自ラ之カ進言ト貫徹トニ努メマシタノテコサイマス、而シテ其結果ハ、既ニ採用セラレテ現ニ実施セラレタルモノモアリ、其一部ノ実現ヲ見タルニ過キサルモノモアリ、
 - 第31巻 p.391 -ページ画像 
又今尚ホ、解決ヲ経サルモノモコサイマス、殊ニ最近内閣ノ更迭アリ、衆議院ノ解散カアリ、復興事業ノ遂行上未解決ノ問題ノ存シマスコトハ誠ニ遺憾ニ存シマスガ、之ハ善後会トシテハ如何トモナシ能ハサル次第テコサイマス、私ハ政府当局者ニ於カレマシテモ、是等ノ決議ヲ参酌セラレ、速ニ適当ノ措置ヲ執ラレムコトヲ切望致スノテコサイマス
 大震災善後会ノ成立ト事業ノ大要トハ右ノ如クテアリマス、而シテ同会ハ、震災直後ニ起レル不幸ヲ善処スルヲ以テ目的トスル一時的ノ組織テコサイマスカラ、以上申上ケマシタ如ク、大体ニ於テ事業ヲ遂行シ、所期ノ目的ヲ達シタルモノト認メマシテ、玆ニ解散致シマシタ次第テコサイマス、併シナカラ私カ最近数日ニ亘リ各地ノ実況ヲ視察致シマシタル結果ニ鑑ミマスルニ、将来ニ対シ更ニ善後策ノ必要ヲ痛感スルノテコサイマス、幸ニシテ卓抜ナル経綸ト熱烈ナル努力トニ依リ、官民一致此事ヲ遂行セラレマスルナラハ、禍ヲ転シテ福トナスコトカ出来ルモノト確信致シマス、之ニ関シマシテ、私ハ一個人トシテ多少ノ意見ヲ有シマスケレトモ、爰ニ之ヲ述フルコトヲ差控ヘマス、要スルニ復興ハ今後ノ施設ニ繋ルトノ一言ニ帰著致スノテアリマス
 閣下、諸君、私ハ不肖ノ身ヲ以チマシテ、揣ラスモ善後会会長ノ職ヲ涜シマシテ、幸ニシテ諸君ノ御熱誠ト御奮励トニ依リマシテ、此大事業完成ノ日マテ大過ナク職務ヲ奉スルコトカ出来マシタノテ、洵ニ欣栄ノ至リテコサイマス、爰ニ此機会ニ於キマシテ、政府当局ノ御方々、粕谷・渋沢・藤山副会長、委員及幹事ノ諸君、並特ニ御来会下サレマシタル新聞社・通信社等ノ各位ニ対シテ、深甚ナル謝意ヲ表シ、併セテ閣下並諸君ノ御健康ヲ祝シマス
○下略


大震災善後会報告書 同会編 第八八―九〇頁 大正一四年一二月刊(DK310055k-0005)
第31巻 p.391-392 ページ画像

大震災善後会報告書 同会編  第八八―九〇頁 大正一四年一二月刊
 ○第三章 救済事業
    第一節 会議事項及其措置
○上略
 六六 罹災地ヘ寄附金ノ内金拾壱万五千円(第四回)支出ノ件
  右ハ三月十三日総務部会ニ於テ決議シ、救済上必緊ノ事業ヲ府県市当局者ト協議シ、左ノ如ク配分シタリ、事業報告ニ付テハ前例ニ準ス

図表を画像で表示--

 配分先    金額      内訳及使途 一 東京市  七〇、〇〇〇  イ  東京市罹災小学校百十七校植樹ノ為、樹木代並植付費              二三、〇〇〇円                ロ  同校備付用運動具購入費                            七、〇〇〇                ハ  東京市内六ケ所ノ集団「バラツク」及十二ケ所ノ小学校図書館備付用図書購入費  一〇、〇〇〇                ニ  大震災死亡者祭祀堂建立費ノ内ヘ                       三〇、〇〇〇                本件ハ其後市ノ直接ノ事業ト為サス、別ニ設立セル東京震災記念事業協会ニ於テ実行スルコトトナリタル関係上、市当局ノ協議ヲ承認シ、九月一日市ヘノ寄附ヲ取消シ、一面同額ヲ同協会ニ寄附スルコトニ変更シタリ  以下p.392 ページ画像  二 東京府  三五、〇〇〇  東京府管内罹災私立中等学校三十八校理化学器械購入費 三 神奈川県 一〇、〇〇〇  秦野町罹災家屋建築費 


 六七 罹災者救護ニ従事スル社会事業団体ニ寄附金ノ内九万円(第三回)交付ノ件
  右ハ三月十三日総務部会ニ於テ決議シ、交付条件ハ前例ニ準シ、左ノ如ク配当シタリ

図表を画像で表示--

 団体名              金額   円   使途 一  聖路加国際病院       二五、〇〇〇   施療 二  東京基督教女子青年会    一〇、〇〇〇   婦人ノ職業補導・職業紹介・身上相談 三  婦人向上会          五、〇〇〇   罹災婦人ノ職業補導並託児 四  同愛会本部          五、〇〇〇   託児 五  東京一灯園          五、〇〇〇   託児・診療・慰問及救済事業奉仕 六  有隣園            三、〇〇〇   児童遊園及託児、迷子収容 七  ガントレツト服装研究会    二、〇〇〇   罹災婦人ノ収容及職業補導 八  新宿御苑保育所        五、〇〇〇   新宿御苑ニ於ケル幼稚園・託児其他救済事業 九  皇道会本部          五、〇〇〇   罹災婦人ノ授産 十  慈光学園           一、〇〇〇   託児 十一 芝麻布共立幼稚園       五、〇〇〇   託児 十二 東京基督教婦人矯風会外人部  三、〇〇〇   託児 十三 二葉保育園          三、〇〇〇   託児 十四 神奈川県匡済会横浜社会館  一〇、〇〇〇   簡易宿泊・食堂・施療・慰安 十五 大東同志会東京出張所     三、〇〇〇   罹災鮮人学生救済              計   九〇、〇〇〇 



 六八 解散並残務整理ノ件
  右ハ三月十三日最後ノ総務部会ニ於テ決議シタリ(第一章総説参照)
○下略


大震災善後会報告書 同会編 第二六―三二頁 大正一四年一二月刊(DK310055k-0006)
第31巻 p.392-393 ページ画像

大震災善後会報告書 同会編  第二六―三二頁 大正一四年一二月刊
 ○第一章 総説
    第四節 解散及残務取扱
(一)解散
○上略 是ニ於テ本会ハ遺憾ナク所期ノ目的ヲ達シタルヲ以テ、大正十三年三月十三日総務部会ノ決議ヲ経、規約第十一条ニ依リ当日ヲ以テ解散シタリ ○中略
(二)残務取扱
三月十三日本会ハ解散ヲ告ケタリト雖モ、尚寄附金ノ一部未タ処分ヲ終ラサルモノ、事業ノ関係上未タ現金ヲ交付シ得サルモノ、更ニ寄附金使途ニ対スル事業報告ノ未タ徴シ得サルモノ等存スルコトハ既ニ述ヘタルカ如シ、而已ナラス、二月十二日総務部会ニ於テ阪谷経済部長ヨリ、会務報告書作成ニ付キテハ、寄附金使途事業ノ実地視察ヲ遂ケ其成績ニ関シ可成詳細ニ之カ掲載ヲ希望スルトコロアリ、仍テ残務取扱ニ関シ解散決議ト同時ニ之カ整理方法ヲ定メ、残務一切ノ処理ヲ為ス為メ左ノ残務委員ヲ選任シタリ
                  公爵 徳川家達
                     粕谷義三
 - 第31巻 p.393 -ページ画像 
                  子爵 渋沢栄一
                     藤山雷太
                  子爵 黒田清輝
                  男爵 阪谷芳郎
                     山科礼蔵
                     大橋新太郎
                     佐々木勇之助
                     河井弥八
                     中村藤兵衛
                     服部文四郎
○下略


集会日時通知表 大正一三年(DK310055k-0007)
第31巻 p.393 ページ画像

集会日時通知表  大正一三年      (渋沢子爵家所蔵)
三月廿二日 土 午前十一時 大震災善後会残務委員会(貴族院議長官舎)


大震災善後会報告書 同会編 第三二―三三頁 大正一四年一二月刊(DK310055k-0008)
第31巻 p.393 ページ画像

大震災善後会報告書 同会編  第三二―三三頁 大正一四年一二月刊
 ○第一章 総説
    第四節 解散及残務取扱
○上略
(二)残務取扱
○中略
三月二十二日午前十一時貴族院議長官舎ニ於テ第一回残務委員会ヲ開会シ、残務委員ノ組織トシテ委員長一名・副委員長一名・常務委員三名ヲ置クコトトシ、左ノ如ク選任シタリ
          残務委員長  公爵 徳川家達
          残務副委員長 子爵 渋沢栄一
          残務常務委員    河井弥八
          同         中村藤兵衛
          同         服部文四郎
○中略 第二回残務委員会ハ六月二十二日午前十一時貴族院議長官舎ニ於テ開会シ、残余金一部ノ処分ヲ為スト共ニ、今後ハ残務委員会ヲ開クコトナク、残余金ノ処分其他一切ノ事務ハ、挙ケテ残務委員長・同副委員長・同常務委員ニ一任スルコトニ決シタリ ○下略


大震災善後会書類 【大正十三年三月廿二日決定《(別筆)》】(DK310055k-0009)
第31巻 p.393-394 ページ画像

大震災善後会書類            (渋沢子爵家所蔵)
                 大正十三年三月廿二日決定《(別筆)》
一、残務委員ノ組織ヲ定ムルコト
    委員長一名   副委員長一名
    幹事三名
一、残務委員ノ権限ヲ定ム
   善後会事務ノ終末ヲ付クル為、必要ナル一切ノ処理ヲ為ス
   右ノ決定ニ従ヒ左ノ事項ヲ決定ス
    事務所 商業会議所ニ之ヲ置ク、但会計以前ノ事務ハ便宜ノ為貴族院事務局内ニ於テ之ヲ執ルモ差支ナシ
 - 第31巻 p.394 -ページ画像 
    会計事務
     寄付金未納額ノ取集メ
     寄付金ノ受入
     支出事務
     残金処分
     決算報告
    其他ノ事務
     事業ノ視察及報告
     褒章条例ニ依ル取扱
     報告書ノ作成 頒布
     新聞紙上ニ最終ノ広告
     其他
   事務員ニ対スル報酬給与ノ決定


大震災善後会報告書 同会編 第九〇―九二頁 大正一四年一二月刊(DK310055k-0010)
第31巻 p.394-395 ページ画像

大震災善後会報告書 同会編  第九〇―九二頁 大正一四年一二月刊
 ○第三章 救済事業
    第一節 会議事項及其措置
○上略
 七〇 罹災者救護ニ従事スル社事事業団体ニ、寄附金ノ内金壱万七千円(第四回)交付ノ件
  右ハ六月二十二日残務委員会ニ於テ決議シ、交付条件ハ前例ニ準シ左ノ如ク配当シタリ

    団体名             金額       使途
                       円
一 独立社              二、五〇〇 青少年ノ授産ト感化教育
二 家庭製作品奨励会         二、〇〇〇 家庭副業ノ奨励普及
三 婦人会館             三、〇〇〇 婦人会館並職業ノ紹介補導
四 基督教婦人矯風会         二、〇〇〇 婦人「ホーム」
五 財団法人自慶会          二、〇〇〇 民衆教化ノ宣伝
六 恩賜財団済生会臨時善隣館診療所  三、五〇〇 救療
七 東京府看護婦会聯合組合      二、〇〇〇 看護婦養成
    計             一七、〇〇〇

 七一 罹災地ヘ寄附金ノ内金弐万円(第五回)支出ノ件
  右ハ六月二十二日残務委員会ニ於テ決議シ、救済上必緊ノ事業ト認メ左ノ如ク配分シタリ、交付条件ハ前例ニ準ス

    配分先   金額       内訳及使途
              円                      円
                足柄下郡片浦村罹災家屋建築費  一五、〇〇〇
   神奈川県  二〇、〇〇〇
                愛甲郡下川入村上水道工事費    五、〇〇〇

 七二 罹災地ヘ寄附金ノ内金弐千円(第六回)支出ノ件
  右ハ十月十日残務委員長・同副委員長及同常務委員ノ持廻協議ヲ経、左ノ如ク配分シタリ
    配分先   金額       使途
             円
   東京府   二、〇〇〇 「大正震災美績」一千部印刷頒布
 七三 罹災者救護ニ従事スル社会事業団体ニ寄附金ノ内五百円(第五回)交付ノ件
  右ハ十二月二十五日残務委員長・同副委員長及同常務委員ノ持廻協議ヲ経、交付条件ハ前例ニ準シ左ノ如ク配分シタリ
 - 第31巻 p.395 -ページ画像 
    配分先   金額       使途
            円
   甘露園    五〇〇      託児
○下略


大震災善後会報告書 同会編 第四三五―四三六頁 大正一四年一二月刊(DK310055k-0011)
第31巻 p.395 ページ画像

大震災善後会報告書 同会編  第四三五―四三六頁 大正一四年一二月刊
 ○第五章 視察・慰問及敬弔
(一) 視察・慰問
○上略
 四六 十月三十一日 ○大正一三年(東京市外)
  渋沢残務副委員長及河井残務委員ハ、午後一時半王子町ニ到リ、寄附金使途事業ノ一タル東京府経営ノ王子隣保館落成式ニ臨ミ、渋沢残務副委員長ハ一場ノ演説ヲ試ミ、式後事業一般ノ実地視察ヲ為シタリ
   ○当日ノ演説筆記ヲ欠ク。
 四七 十一月九日(房総方面)
  徳川残務委員長、渋沢同副委員長及河井残務委員ノ一行ハ、午前八時両国発、同十二時北条町着、寄附金使途事業ノ一ナル集会所(善導会館)ノ落成式ニ臨ミ、徳川残務委員長及渋沢残務副委員長ハ一場ノ演説ヲ試ミ、式後同会館ノ設備ヲ視察シ、午後十時帰京セリ
   ○当日ノ演説筆記ヲ欠ク。
○下略


(増田明六) 日誌 大正一四年(DK310055k-0012)
第31巻 p.395 ページ画像

(増田明六) 日誌  大正一四年    (増田正純氏所蔵)
二日 ○六月 火 曇
○上略
午三時河井書記官長を貴族院ニ訪問して、大震災善後会の残金処分方ニ就き子爵の希望を伝へたり
○下略


(増田明六) 日誌 大正一四年(DK310055k-0013)
第31巻 p.395 ページ画像

(増田明六) 日誌  大正一四年    (増田正純氏所蔵)
十四日 ○十月 水 晴
本日来訪者及其要件
○中略
二佐藤潤男 東京商業会議所員、大震災善後会終了報告書口絵ニ渋沢子爵写真掲載の件
○下略


(増田明六) 日誌 大正一四年(DK310055k-0014)
第31巻 p.395-396 ページ画像

(増田明六) 日誌  大正一四年    (増田正純氏所蔵)
四日 ○一二月 金 晴    出勤
○上略
後三時貴族院書記官長河井弥八氏を官舎ニ訪問す、大震災善後会事業終結ニ関する件及同会残金を愛の家維持資金として下付ニ関する件ニ付き、子爵の代理として協議の為めなり
○下略
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   ○中略。
十二日 土 晴     出勤
○上略
来訪者氏名及要談
○中略
7河井弥八氏 大震災善後会の件
○下略
   ○本資料第三十巻所収「東京府慈善協会=東京府社会事業協会」大正十三年十月三十日ノ条参照。



〔参考〕大正大震災大火災 大日本雄弁会講談社編 第二七五―二七六頁 大正一二年一〇月刊 【一国民として (震災善後会副会長帝都復興審議会委員 子爵 渋沢栄一)】(DK310055k-0015)
第31巻 p.396-397 ページ画像

大正大震災大火災 大日本雄弁会講談社編  第二七五―二七六頁 大正一二年一〇月刊
    一国民として (震災善後会副会長帝都復興審議会委員 子爵 渋沢栄一)
  子爵は此の度の大震災に際しては、老躯を提げ、衆に先んじて救護の任に膺られ、席暖まるに遑もないことは、人皆の景仰措かざるところである。此の激忙の時に方り、子爵が特に本書の為めに貴重なる時間を割いて、こゝにその高見の一端を示されたことは吾人の深く感謝するところである。
 人は身衰へたるの故を以て、種々の職務は之を辞することを得るも国民たるの務めは終生之を辞することが出来ない。即ち斃れて而して後已むのである。予は常に此の事を思ひ、外形の活動は出来なくとも精神的の方面に於ては、不断の努力を怠らなかつた。然るに、今回の如き大事変に際会しては、外形的の方面に於ても亦大いに若がへつて働かねばならぬと考へた。それで事変の翌日以来、殆ど昼夜兼行で、立ちはたらいて居る次第である。
 先づ震災と同時に、直ちに念頭に浮んだことは、糧食の充足、乱民の警戒、此の二点である。此の事に就ては、二日の朝、時の内閣及び赤池警視総監にも進言して置いた。次いで予は、自分の居住地である滝野川町の為めに、差しあたり米を埼玉県より搬入することにし、キリスト教徒及び町役場吏員などを督励して、救護に努め、続いて市内外全般に及ぼすの考慮を廻らした。然るに、間もなく、戒厳令の発布を見、更に進んで新内閣の種々機敏なる活動によつて、漸次に手が行届いて来た。四日、後藤内相よりの急使によつて、救護事務局の大方針を聴き、予も亦愚見を述べて、協議するところがあつた。その結果実業家及び両院議員相協同して、大震災善後会なるものを組織したのである。此の事に就いては、新聞紙に趣意書も委しく記してある通りである。
 要するに、此の際、政治・経済、両々相俟ちて、災害に関する応急救護、及び東京経済の回復を最も適当に図らなければならぬ。市区改正に就ても、新聞紙上に種々意見が出て居る。或はパリスの形式に倣うて其の巷衢を整へるが可いとか、巧妙なる計画案もあるやうであるが、予は決してこれが悪いとは云はぬけれども、理論と実行とは往々一致しないことがあるものであるから、宜しく緩急を慮つて、遺算なきやう万全を期すべきである。然し斯くの如き大変に際し、大事を決行するにあたつては、非常なる勇気を要するので、敢へて之を是非す
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る訳ではない。
 終りに、国民各自は、互に相戒めて、帝都復興の大業に参加し、世界に恥しからぬやうありたい。予も亦一国民として、及ばずながら、その務めに服する覚悟である。