公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
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中外商業新報 第一三七三五号 大正一三年六月二日 感動の拍手と愉快な笑ひとに半日を 昨日わが社主催の商工青少年向上助成会(DK310099k-0001)
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中外商業新報 第一三七三五号 大正一三年六月二日
感動の拍手と愉快な笑ひとに
昨日わが社主催の商
半日を…
工青少年向上助成会
次代の富の日本を背負つて立つべき商工青少年のために――本社が新築落成記念事業の一つとして企てた商工青少年向上助成会の
第一回は 既記の如く一日午後一時から本社楼上で開かれた、時刻前からこの休日を最も有効に用ゐやうとする質実な青少年諸君は続々と詰めかけ、中には埼玉・茨城あたりから参会した人もあつて、本社の佐藤参事が開会の挨拶をする頃には、会衆五百を容れる準備をした会場はもう一つの空椅子も見出だせなかつた、開会の挨拶がすむと、拍手に迎へられた本社の簗田専務は、日本の現状から商工青少年の
覚悟を説き 諄々としてこの会を起した趣旨を述べて青少年諸君の奮発を促し、次いで岸辺福雄氏は、その巧妙な話術をもつて、ニユーヨークに渡つた青年洋服裁縫師の黒人偉才の立志談を試みて、若き会衆を感動せしめ、それから桃川如燕氏の講談「高田の馬場」に瓢逸にして武侠の化身のやうな堀部安兵衛の面目をしのんだ、午後四時過ぎ更に渋沢老子爵をこの
壇上に迎へて その八十余年の経歴と世相とを織まぜた老練な講話の間に、子爵の唱道する経済道徳の極めて切要なことを深くその胸にきざみ込み、会衆は期せずして感謝の拍手を子爵に送つた、かくて興味多き数編の活動写真や蓄音器の新譜に、笑声絶えず極めて愉快なる成功をもつて、七時この会を終つた、本社は本社の微挙のこの成功を深く喜ぶと共に、しばしばこの会を開いて、更に大に商工青少年諸君の向上助成に努力したいと思ふ