デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2017.12.19

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
1節 外遊
1款 渡米実業団
■綱文

第32巻 p.448-453(DK320018k) ページ画像

明治42年12月28日(1909年)

是日栄一、宮内大臣公爵岩倉具定ニ面会シ、先ニアメリカ合衆国造幣局長ヨリ託サレタル金牌、及ビ同国太平洋沿岸聯合商業会議所ヨリ託サレタル金剛石入徽章ヲ伝献ス。翌四十三年一月五日嘉納ノ旨通達アリ、仍テ十四日之ヲ米国ノ関係者ニ通知ス。


■資料

竜門雑誌 第二六〇号・第四六―四七頁明治四三年一月 ○金牌並徽章御嘉納(DK320018k-0001)
第32巻 p.448-449 ページ画像

竜門雑誌  第二六〇号・第四六―四七頁明治四三年一月
    ○金牌並徽章御嘉納
兼て青淵先生は合衆国造幣局より金牌を、米国太平洋沿岸聯合商業会議所より紀念徽章を
陛下へ献納の儀それそれ手続を経て嘱託ありしに付き、青淵先生は昨年十二月二十八日岩倉宮内大臣へ執奏の儀を願ひ出でたるに、本年一月五日附を以て御嘉納あらせられし旨、宮内大臣より御沙汰ありたり其次第左の如し
   記
一金牌 一個
 是は今般渡米実業団一行が米国フイラデルフイヤ府合衆国政府の造幣局参観の節、同局長より一行へ紀念品として銀牌一個宛を贈与せられ、特に模型として此金牌を製し、之を
 陛下に献納致度旨申出有之、其後一行華頓盛府へ罷越したる際、同地国務省次官ヱツチ・ウイルソン氏の手を経て改めて寄贈せられたるものに御座候
一金製徽章 一個
 是は米国太平洋沿岸聯合商業会議所に於て、今般渡米実業団一行米国旅行中徽章として佩用の為調製のものと同模型にして、特に之を金製とし、且美麗の装飾を加へて、紀念の為め
 陛下に献納し、且米国大統領へも差出し候旨申聞、即ち聯合商業会議所会頭ジエー・デー・ローマン氏より別紙書面を添へて寄贈せられたるものに御座候
右二品奉呈仕候間、可然御執奏被成下度奉願候也
  明治四十二年十二月二十八日
                   男爵渋沢栄一
    宮内大臣 公爵 岩倉具定殿
        ―――――――
                     用紙奉書巻紙
 - 第32巻 p.449 -ページ画像 
一金製徽章 壱個
右先般米国視察実業団長として御渡米の際、太平洋沿岸聯合商業会議所に於て同団一行の為め鋳造せし徽章の原型により、紀念として
天皇陛下へ献納且大統領へ進呈の目的にて、特別調製候二個の一に有之、即伝献の儀我天長之佳節を卜して申入候趣を以て献上相成、早速
 御前へ差出候処、彼国商業団の我国に対する誠実不渝の友誼、殊に御満足被 思召候旨
御沙汰候条、太平洋沿岸聯合商業会議所長へ可然御伝達有之度、此段申入候也
  明治四十三年一月五日
               宮内大臣 公爵岩倉具定
    男爵 渋沢栄一殿
        ―――――――
                     用紙奉書巻紙
一金牌 壱個
右先般米国視察実業団長として御渡米、同国政府の造幣局参観之節、御一行へ贈り候紀念牌の原型に依り、特別調製候分、造幣局長より同国々務次官を経て
天皇陛下へ献納申入有之候趣を以て、伝献相成、即御前へ差出候処、御満足に被
思召候条、先方へ挨拶之儀可然御取計有之度、此段申入候也
  明治四十三年一月五日
              宮内大臣 公爵岩倉具定
  男爵 渋沢栄一殿


渡米実業団誌 同団残務整理委員編 第五七六―五八二頁明治四三年一〇月刊(DK320018k-0002)
第32巻 p.449-451 ページ画像

渡米実業団誌 同団残務整理委員編  第五七六―五八二頁明治四三年一〇月刊
 ○第三編 第五章 徽章及び金牌伝献の件
    第一節 実業団渡米紀念金牌
               (本書写真版第一頁参照)○写真版略ス
我団が十月二十九日フィラデルフィヤ滞在中、同市にある米国造幣局を参観したる際、同局長は局内の各部を案内し、一行を階下の一室に導き、爰に据付られたる極印機械を説明し、我一行に対する歓迎紀念牌の原型を示したる末、即座に該型に由り、金牌一個を製作し、直ちに之を渋沢団長に交付し、我 天皇陛下に捧呈されんことを要求し、尚ほ団員一同に対しては、同一の原型に由れる銀牌を調製し、追つて旅宿に送附すべき由申述べたり。然るに此金銀牌は、之れを合衆国政府の寄贈と云ひ、或は之れを造幣局長の寄贈と云ふも、何れにしても米国官憲より、我 天皇陛下に対しての献納品たる以上は、其捧呈又は伝献の手続並ひに交付の方法につき、如何に民主国とは云へ、聊か不備の嫌なしと云ひ難きを以て、同行のグリーン領事に諮り、一応之れを返付し、更に相当の手続を履みて、交付されんことを求めたるに先方に於ても其意を諒したり。
越へて十一月二日、一行ワシントン滞在中、国務卿ノックス氏が特に一行の為めに、午餐を饗せられる予定なりしを以つて、其の席にて贈
 - 第32巻 p.450 -ページ画像 
呈の筈なりしも、当時国務卿の家内に不幸ありて、之れを履行し難きを以つて、同次官ウイルソン氏(嘗て本邦に在勤したることあり)代つて一行に午餐を饗し、其席上氏は前日の金牌を提出し、渋沢団長に対して、該金牌は費府造幣局長の寄贈に係り、合衆国政府の承認を以つて、日本 天皇陛下に捧呈したし、依て渋沢男に之れを托し、帰朝の上 天皇陛下に伝献方依頼したき旨演説せり。尚ほ一行の正賓・専門家及び婦人に対し、同型の銀牌を各一個宛贈付したり。渋沢男は右国務次官演説の旨を諒し、帰朝の上は謹んで伝献方取計ふべき旨を答へ、該金牌を落手せり。
右金牌に付き斯の如き手続に出でたる内情は、若し該金牌を米国中央政府より、我 天皇陛下に捧呈するものとなすときは、国際の慣例に由り、在本邦米国大使、又は在米国本邦大使の手を経ざる可からざる次第なるが、素と此金牌たるや、一行の渡米を紀念する為めに調製したるものなるに付、是非共実業団長の手を経て、我 天皇陛下に伝献されんことを希望せしより、之れを米国中央政府の名を以て捧呈することを見合せ、造幣局長よりの献納品となし、而も米国国務省の承認を経たることを表する為めに、殊更に国務卿代理たる次官より、渋沢団長に伝献方を依頼したるものなり。
    第二節 金剛石入金製徽章
               (本書写真版第一頁参照)○写真版略ス
我実業団の一行がシヤトルに上陸したる時、主人側たる太平洋聯合商業会議所は、特に意匠を凝して調製し置きたる徽章を(渋沢男爵には金製にて、其他には銀製にて)一行に配付したるに由り、其後各地を訪問し、到る処美麗又は高価なる徽章・紀念牌等を受領したるに拘らず、右等は当該都市限り佩用するを常としたるも、該聯合商業会議所の調製に係る徽章は、本邦より携へ行きたる我実業団の徽章と相並んで終始団員一同の佩用する所となれり、然るに主人側の聯合商業会議所は、右徽章と略々同一の意匠に由り、特に美麗なる徽章二個を調製したり。即ち本書写真版第一頁に揚げたる徽章の旭日旗を皇族旗に改め、米国旗の星章を全部金剛石を以て鏤めたるものなり。一行が九月十九日ミネアポリスに於て、大統領タフト閣下に謁見するの栄を得たるとき、会頭ローマン氏は、該特製徽章の一を捧げて、恭々しく大統領に呈したる所、タフト氏は凝視稍々久くして、深く其美麗なるを嘆賞し、此徽章は日本実業団渡米の愉快を紀念すると共に、幾久しく保存すべき旨を述べられたり。
十一月三日即ち我天長節に際しては、一行はワシントン府滞在中なりしが、同日ローマン氏は、太平洋聯合商業会議所会頭の資格にて、左の一書を渋沢団長に寄せたり。(原文英語)
 拝啓、下名は爰に太平洋聯合商業会議所を代表して、貴国天長の佳節に際し、実業団の特製徽章を閣下に交付し、之れを貴国 天皇陛下に伝献されんことを御依頼するの愉快と光栄とを有し候。
 貴我両国の真正且つ不渝の友誼は、此徽章の金属の如くあらんことは下名の希望し、且つ信ずる所に有之候 敬具
  千九百九年十一月三日
 - 第32巻 p.451 -ページ画像 
           ワシントン府に於て
             太平洋沿岸聯合商業会議所会頭
               ジェー・デー・ローマン(署名)
    日本実業団長
      渋沢男爵閣下
ローマン氏は此書面と共に、前きに大統領に捧呈したると同一の金剛石入特製徽章を、本文の趣旨に従ひ、帰国の上 天皇陛下に伝献方を渋沢団長に依頼したるに由り、渋沢団長は深厚の謝意を表して之れを受領し、且つ帰国の上は早速相当の手続をなすべく、我 聖上の御嘉納あるべきは、信じて疑はざる旨を述べ置きたり。
    第三《(節脱カ)》 伝献の手続
右の次第なるに由り、渋沢団長は十二月二十八日宮内省に出頭し、宮内大臣に面会して、以上の次第を述べ、且つ右の金牌及び金製徽章を陛下に捧呈方を願出で置きたるに、越へて翌年一月五日付を以て、左の通り宮内大臣より来簡ありて、爰に何れも御嘉納あらせられたる趣の通知に接せり。
  ○宮内大臣ノ来翰前出ニツキ略ス。
仍つて一月十四日付を以て、渋沢団長より国務次官ウィルソン氏、及び聯合商業会議所会頭ローマン氏に右の趣を通知し、尚後者に対しては、右の趣を氏の同僚たる各商業会議所会頭に通知されんことを請求したり。

(ジェームス・ディー・ローマン)書翰控 渋沢栄一宛一九〇九年一一月三日(DK320018k-0003)
第32巻 p.451 ページ画像

(ジェームス・ディー・ローマン)書翰控  渋沢栄一宛一九〇九年一一月三日
           (ジェームス・ディー・ローマン氏所蔵)
             (COPY)
To Baron Shibusawa,
  President Honorary Commercial
  Commission of Japan:
  Representing the Associated Chambers of Commerce of the Pacific Coast,it is my pleasure and honor on this,the anniversary of the birth of your Emperor, to present to you, for transmission to him, this insignia of membership in our commission.
  The symbolical metal (gold) of which it is made is indicative, I hope, of true and everlasting friendship between our two nations.
                  J. D. Lowman,
               President Associated Chambers of Commerce of Pacific Coast
Washington,
  November third,
    Nineteen Hundred Nine.


渋沢栄一書翰 ジェームス・ディー・ローマン宛一九〇九年一一月三日(DK320018k-0004)
第32巻 p.451-452 ページ画像

渋沢栄一書翰  ジェームス・ディー・ローマン宛一九〇九年一一月三日
           (ジェームス・ディー・ローマン氏所蔵)
 - 第32巻 p.452 -ページ画像 
             (COPY)
            Washington, D. C. Nov. 3, 1909.
Mr. J. D. Lowman,
  President, Associated Chambers of Commerce
  of the Pacific Coast.
Dear Sir:-
  On behalf of the Honorary Commercial Commissioners of Japan to the United States, 1909, I have the honor to acknowledge receipt of your note of even date, in which you request me to receive the insignia of membership in our commission for transmission to His Majesty, the Emperor of Japan, my August Sovereign, the anniversary of whose birthday we had the pleasure of celebrating with you and your associates.
  In reply I have the honor to say that it was a great honor and pleasure to receive this token of friendship from our Pacific Coast friends, commemorative as it is of The good relations and everlasting friendship between the two nations. I would further say that on my return to Japan I will ask a special audience and have the great honor and pleasure of presenting the said insignia to His Imperial Majesty, with the best wishes of the Pacific Coast Chambers of Commerce.
  With renewed thanks for the honor you have conferred upon me, I remain,
                  Yours very truly,
                (Signed) Baron E. Shibusawa
                    Chairman of the Honorary
                    Commercial Commission of Japan.


渋沢栄一書翰 ジェームス・ディー・ローマン宛一九一〇年一月一四日(DK320018k-0005)
第32巻 p.452-453 ページ画像

渋沢栄一書翰  ジェームス・ディー・ローマン宛一九一〇年一月一四日
           (ジェームス・ディー・ローマン氏所蔵)
             (COPY)
                  TOkio. Jan. 14, 1910.
J. D. Lowman, Esq.,
  President, Associated Chambers of Commerce,
        of Pacific Coast.
        Chamber of Commerce,
        Seattle, Wash., U.S.A.
Dear Sir,
  In reference to your note dated Washington, D.C. the third November, 1909 with which you have in the name of the Associated Chambers of Commerce of the Pacific Coast Presented to me a specially prepared insignia of membership of the Commercial Commission for transmission to His Imperial Majesty, My August Sovereign, I have the honor to inform you that on arriving in Japan I have taken necessary steps for its presentation to the Emperor.
 - 第32巻 p.453 -ページ画像 
  It gives me great pleasure to inform you that His Imperial Majesty has been graciously pleased to accept the said insignia and expressed through the Minister of the Imperial Household the Imperial appreciation of kindly sentiment and unchangeable friendship of your Associated Chambers of Commerce which prompted the presentation of such a valuable souvenir which was so thoughtfully arranged on the Imperial birthday. Hoping that you will kindly make the above known to your associates, I avail myself of this opportunity to renew to you, My dear Mr. Lowman, the assurance of my highest consideration.
                (Signed)
            Baron E. Shibusawa.