デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
2節 米国加州日本移民排斥問題
3款 日米関係委員会
■綱文

第33巻 p.467-470(DK330036k) ページ画像

大正6年3月7日(1917年)

是日、当委員会東京銀行倶楽部ニ開カル。栄一出席シテ、会員増加ノ件、日米関係調査委員選定ノ件、大日本平和協会負担金負担ノ件等ヲ議シ、吉野作造ノ調査報告ヲ聴取ス。


■資料

米国排日問題書類 第参(DK330036k-0001)
第33巻 p.467 ページ画像

米国排日問題書類 第参         (阪谷子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓、益御清適奉賀候、然ハ来ル三月七日本会々議ニ提出致候議案、別紙ノ通爰ニ同封供覧仕候、当日御出席ノ際ハ右御持参被成下候様願上候、右得貴意度如此御坐候、敬具
  大正六年三月六日
                     日米関係委員会
    (手書)
    阪谷男爵殿


米国排日問題書類 第参(DK330036k-0002)
第33巻 p.467-468 ページ画像

米国排日問題書類 第参         (阪谷子爵家所蔵)
(謄写版)
  大正六年三月七日
    日米関係委員会議案
一 大正五年自五月至十二月会計ノ承認
二 大正六年度会計予算ノ決議
三 本会規約中会員ノ定数二十四名以内トアルヲ、三十名以内ト改正スルノ件
四 江原素六 福岡秀猪 鎌田栄吉 宮岡恒次郎
  男爵目賀田種太郎 高田早苗 以上六氏ノ
  入会ヲ承諾スルノ件
五 日米関係調査委員ヲ設クルコトヽシ、之カ委員十五名ヲ選定スルノ件
六 大日本平和協会ト在日本米国人平和協会トノ間ニ協定セル通信公表機関ニ要スル経費中、大日本平和協会ノ負担ニ属スル年額凡千弐百円ヲ本会ヨリ支出スルノ件
   前紙通信公表機関設置ニ関スル協議参照
七 大日本平和協会ヨリ本会宛申越サレタル「ウヰルソン・ブライアン」平和条約ニ対スル本会ノ意見決定ノ件
   前紙同書状写及「ウヰルソン・ブライアン」平和案参照
    報告
一 日米問題ニ関スル調査ノ梗概
   右ハ前回ノ決議ニ依リ、之カ調査ヲ嘱託シタル法学博士吉野作
 - 第33巻 p.468 -ページ画像 
造氏ヨリ報告


米国排日問題書類 第参(DK330036k-0003)
第33巻 p.468-469 ページ画像

米国排日問題書類 第参         (阪谷子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓、陳者二月九日大日本平和協会及在日本米国人平和協会ニ於テ組織セル日米関係調査委員ノ聯合会ヲ開催致候節、米人側ヨリ左記ノ提議有之候
 大正二年四月二十四日北米合衆国ノ提議ニ係ル所謂「ウヰルソン・ブライアン」平和条約ニ対シ、世界ノ三十九ケ国ノ内三十ケ国ハ既ニ承諾ノ通知ヲ与ヘタリ、就テハ日本国モ速ニ該条約ニ加入セラレ度、是世界ノ平和促進上必要ナルノミナラズ、亦日米関係上米国人ノ最モ満足スル所ナリ、依テ日本人側委員ニ於テ若シ御同感ナレバ米国人側ノ発意トナサズ、全ク日本人側委員諸君ノ御気付トシテ、相当ノ処置ヲ採ラレンコトヲ望ム
右ニ対シ日本人側ヨリ左記ノ答ヲ為シタリ
 米人側ノ御提議ニ就テハ、国際上重大ノ案件ナルヲ以テ、充分研究ノ上ニテ何分ノ御答ヲ為スベシ、但米人側ニ於テモ左ノ二件ヲ御含ミ置アリタシ
 一、明治四十四年「タフト」平和条約ヲ北米合衆国ヨリ提議アリ、英米間ニ於テ調印済トナリタルニモ拘ラス、其後合衆国上院ハ之ニ批准ヲ与ヘズ、条約文ニ修正ヲ加ヘ、遂ニ不成立ニ終ラシメタルコトハ、日本人ニ意外ノ感ヲ懐カシメタリ、而シテ今回ノ「ウヰルソン・ブライアン」平和条約ハ、右「タフト」平和案ノ一部分ヲ取リタルモノニテ、日本人ハ其効力如何ニ就テ多少ノ疑ヲ有スルヲ免レズ
 一、独乙国ガ白耳義国ノ中立条約ヲ侵害シタル行為、所謂「条約ハ古紙《スクラツプ・オブ・ペーパー》」ナリトノ一言ハ、日本人ヲシテ条約ヲ尊重スル欧洲人ノ道徳的観念ヲ頗ル疑ハシメ、延テ「ウヰルソン・ブライアン」平和条約ニ加入ノ価値如何ヲ危マシムルノ傾向アルヲ免レズ
以上ノ次第ニ有之候ニ付、前記米人側提議ニ関シテノ、貴委員諸君ノ御意見先以テ承知致度存候間、乍御手数何分ノ御回答被下候様願上候
                           敬具
  大正六年二月二十三日
                大日本平和協会会長
                   侯爵 大隈重信
  日米関係委員
    男爵 渋沢栄一殿
   追テ別紙「ウヰルソン・ブライアン」平和条約文字ヲ添付致置候
(別紙)
    ウヰルソン・ブライアン平和案
      第一条
両締約国は、外交手段により処理し得ざる凡ての国際紛議は、其性質の何たるを問はず、左記協定の方法により組織さるべき国際委員会に
 - 第33巻 p.469 -ページ画像 
附議し、之を調査し報告せしめ、其調査報告の完了せざる間は、戦を宣言し又は戦を開始せざることに同意す
    第二条
国際委員会は、左記選任方法による五人の委員を以て組織するものとす、即ち各政府は自国より各一人を任命し、又第三国より各一人を選任す、而して両政府は協議の上更に一人を選定す
国際委員会の費用は、両政府同一の割合を以て之を負担すべく、其委員は、本条約批准交換後四ケ月内に於て前記の方法により之を選任す而して其欠員は亦同一の方法によりて補充するものとす
    第三条
両国間に紛議起り、外交手段により之を処理すること能はざる場合は条約国は直に之を国際委員会に附託すべし、而して委員会は又自ら之を発議することを得、此の場合には両政府に其旨を通告し、其調査に関して協力を要求すべし、委員会の報告は締約国の同意により之を延期せざる限りは、調査開始を宣言せる日より一ケ年以内に完結するを要す、而して委員会は報告書三通を作成し、両政府に各一通を提出し一通は之を委員会に保存すべし
締約国は委員会の報告ありたる後、其の紛議事件に関しては、随意行動の権利を留保す
    第四条
国際委員会の調査報告期間中は、締約国は陸海軍備を増加せざることに同意す、但し第三国よりの危険に由り特に必要なる時は、此場合に於ては、危険に迫れる締約国は、他の一方に文書を以て其事情を報告するを要す、而して之によりて陸海軍備現状維持の義務は免除せらるるものとす
    第五条
本条約は、亜米利加合衆国に於ては上院の協賛ありたる後、サルヴアドル共和国に於ては、議会の承認を経たる後、両国の大統領によりて批准せらるべく、而して其批准は成可く速に交換せらるべし
本条約は批准交換後直に効力を生じ、爾後五年間有効なるものとす、而して期限経過後に於ても、締約国の一方が他の一方に、之を以て終局となすべき旨を通告したる後、猶十二ケ月間効力あるものとす


(阪谷芳郎)大日本平和協会日記 大正六年(DK330036k-0004)
第33巻 p.469 ページ画像

(阪谷芳郎)大日本平和協会日記 大正六年
                 (阪谷子爵家所蔵)
○六年二月九日両協米人大日本会日米関係委員会 山城町ニテ
  一、余ノ北米旅行報告、日支関係、ジヨイント・コンミツシヨン等
  一、ガージナー氏、ブライヤン条約ニ日本加入ノ件云々
    右日本側委員ニテ考究ノコト
  出席 目賀田、添田、宮岡、新渡戸、阪谷、ガージナー、クレメント、ボールス、マコーレー、ゲリー、其他


集会日時通知表 大正六年(DK330036k-0005)
第33巻 p.469-470 ページ画像

集会日時通知表 大正六年     (渋沢子爵家所蔵)
 - 第33巻 p.470 -ページ画像 
三月七日 水 午後五時 日米関係委員会第五会合(銀行クラブ)
   ○本資料第三十五巻所収「大日本平和協会」大正六年二月十四日ノ条参照。


(阪谷芳郎) 日米関係委員会日記 大正六年(DK330036k-0006)
第33巻 p.470 ページ画像

(阪谷芳郎) 日米関係委員会日記 大正六年
                 (阪谷子爵家所蔵)
 六年一月六日 金子氏ヨリルーズベルト氏来遊(三月初)ニ付、吉野氏ノ調査ヲ急カレ度云々話アリ
 六年三月七日 委員総会吉野○作造神川二氏出席、外渋沢・中野・金子・井上・志村・串田等(姉崎)日本聯合会ノコト大日本平和協会ヨリ交渉ノ三件(日米関係調査委員通信機関・ブライヤン条約)其他
 三月廿九   受クラーク氏来状(二月廿七日付)ルート氏意見其他云々、之ヨリ先キ二月五日付同氏来状
 五月廿六   吉野博士来宅、二三十円ノ反訳助手採用ノ件話アリ
 五月三十   此日吉野来状、文学士某ヘ六月ヨリ毎月三十円支給アリ度云々、右増田ヘ申送リ、其旨吉野ヘ回答ス
六、九、二九 吉野博士ニ催促状ヲ送ル
   ○吉野作造提出ノ「日米問題の調査要目」ト題スル謄写版刷美濃判五十六丁ノ報告書、阪谷子爵家ニ所蔵セラル、惟フニ日米関係委員会ガ吉野作造ニ依嘱シタル調査ノ報告ニシテ、大正六年三月七日ニ催サレタル同会席上ニ於テ報告シタル筆記ナラン。


米国排日問題書類 第参(DK330036k-0007)
第33巻 p.470 ページ画像

米国排日問題書類 第参      (阪谷子爵家所蔵)
(謄写版)
  大正六年経費予算
                     日米関係委員会
一 金弐千弐百円也
    内訳
   金六百円  報酬
   金壱百円  通信費
   金参百円  印刷費及雑費
   金千弐百円 日米関係調査委員会通信公表機関ニ要スル費用
    〆
   但米国宛随時必要電報料及宴会費ハ、予メ計算難致ニ付、爰ニ計上セズ、依テ其支出ヲ必要トスル場合ニハ、本予算以外ニ計算スルコトヽセリ