デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
2節 米国加州日本移民排斥問題
3款 日米関係委員会
■綱文

第34巻 p.88-91(DK340010k) ページ画像

大正12年6月21日(1923年)

是日栄一、当委員会常務委員トシテ、会員法学博士山田三良及ビ会員頭本元貞ヲ伴ヒ、芝公園内政友会本部ニ赴キ、同会所属在京衆議院議員ニ対シ、日米三都ニ設置サレアル日米関係委員会ノ由来及ビ今回ノ陳述書ニツイテ説明シ、二重国籍問題・外国人土地所有権問題ノ解決ノ必要ヲ力説ス。次イデ二十三日、芝区新桜田町憲政会本部ニ赴キ、同会所属衆議院議員ニ対シ、同ジク説明ヲナス。更ニ七月五日、貴族院ノ研究会会員ニ対シ東京倶楽部ニ於イテ、日米問題ニ関スル講演ヲナス。


■資料

集会日時通知表 大正一二年(DK340010k-0001)
第34巻 p.88 ページ画像

集会日時通知表  大正一二年      (渋沢子爵家所蔵)
六月廿一日 木 午後二時 政友会在京代議士ノ為ニ日米問題ニ関シ御講演、芝公園(同会本部)
  ○中略。
六月廿三日 土 午後二時 憲政会代議士ノ為ニ日米問題ニ関シ御講演(同会本部)芝新桜田町
  ○中略。
七月五日  木 午後七時 研究会々員ノ為ニ日米ニ問題ニ関シ御講演(東京クラブ)


竜門雑誌 第四二二号・第六〇―六一頁 大正一二年七月 ○政友会と日米関係委員会(DK340010k-0002)
第34巻 p.88-89 ページ画像

竜門雑誌  第四二二号・第六〇―六一頁 大正一二年七月
○政友会と日米関係委員会 政友会政務調査外務部会の懇請に依り、六月廿一日午後一時、日米関係委員会常務委員青淵先生には、山田三良・頭本元貞両委員と共に、同会本部に赴かれ、出席の野田会長以下調査委員五十余名、高橋総裁、小川・三土両総務、望月幹事長以下幹
 - 第34巻 p.89 -ページ画像 
事、岡崎・川原・広岡各顧問等に対し、先づ青淵先生より、東京・桑港・紐育に設置せる日米関係委員会の由来、並に今回の陳述書(前号参照)発表の主旨を詳細に縷述せられ、次に頭本委員より米国大統領選挙と、加州問題との間に密接なる関係ある旨を説明し、最後に山田委員は前述の目的を達成せんと欲せば、先づ其前提として左記二点の改訂を緊要とすべしとて、二重国籍問題解決の必要と、外国人土地所有権法改正の急務を力説せるに対し、鄭重なる野田会長の謝辞ありて午後四時散会せりと云ふ。
 (一)二重国籍問題 我国は従来の加州問題の経過に省み、在米同胞子弟の為め、我国籍を離脱し得るの法律を制定したが、該法律たるや満十七歳迄は、内務大臣の許可を得て我が国籍を離脱し得るの趣旨が規定されてゐるが、十七歳以上のものには許可しないことになつてゐる、之れ日本の軍国主義的立法であるとする米人の誤解を徒らに濃厚ならしむるものであるから、宜しく年齢の制限を撤去するを要する、蓋し斯くの如きは、徴兵適齢迄本国にありたるものが米国に移住して然る後国籍離脱を要求するものに対してのみ規定すべき性質のものであるからである。
 (二)我が国に於ける外国人土地所有権問題 我が国では、既に明治四十三年之を認むるの法律案が協賛されてゐる、然るに十年後の今日に至る迄未だ実施されて居らぬ、此の点は加州問題に関する我が抗弁に甚だ悪影響を及ぼすものである故に、一日も早く実施するの要がある。
○憲政会と日米問題調査 日米関係委員会にては、六月二十三日午後二時より憲政会政務調査会の懇請を容れ、青淵先生には山田・頭本両委員と共に同会本部に於て、出席の箕浦・若槻・安達・浜口・江木・下岡・望月・小泉の各幹事其他の諸氏に対し、日米関係委員会設置の由来、並に日米関係の諸問題に就き、三氏より前項政友会に於けると略同様の説明を試みられたるに対し、若槻総務の鄭重なる謝辞ありて午後五時散会せる由なり。



〔参考〕官報 号外 大正一三年七月二二日 法律(DK340010k-0003)
第34巻 p.89-90 ページ画像

官報  号外 大正一三年七月二二日
    法律
朕、帝国議会ノ協賛ヲ経タル国籍法中改正法律ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム
 御名 御璽
  摂政名
   大正十三年七月二十二日
           内閣総理大臣 子爵 加藤高明
           内務大臣      若槻礼次郎
法律第十九号
 国籍法中左ノ通改正ス
第二十条ノ二 勅令ヲ以テ指定スル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ、其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人ハ、命令ノ定ムル所ニ依リ、日本ノ国籍ヲ留保スルノ意思ヲ表示スルニ非サレハ、其出生ノ時ニ遡リテ
 - 第34巻 p.90 -ページ画像 
日本ノ国籍ヲ失フ
 前項ノ規定ニ依リ日本ノ国籍ヲ留保シタル者、又ハ前項ノ規定ニ依ル指定前、其指定セラレタル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人、当該外国ノ国籍ヲ有シ且其国ニ住所ヲ有スルトキハ、其志望ニ依リ日本ノ国籍ノ離脱ヲ為スコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ、国籍ノ離脱ヲ為シタル者ハ、日本ノ国籍ヲ失フ
第二十条ノ三 前条第一項ノ外国以外ノ外国ニ於テ生マレタルニ因リテ、其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人ガ、其国ニ住所ヲ有スルトキハ内務大臣ノ許可ヲ得テ日本ノ国籍ノ離脱ヲ為スコトヲ得
 前条第三項ノ規定ハ、前項ノ規定ニ依リ国籍ノ離脱ヲ為シタル者ニ之ヲ準用ス
第二十四条中「前六条」ヲ「第十九条・第二十条及前三条」ニ、「前七条」ヲ「前八条」ニ改ム
第二十六条中「第二十条・第二十条ノ二又ハ第二十一条」ヲ「第二十条乃至第二十一条」ニ改メ、同条第二項ヲ削ル
第二十七条ノ二 国籍ノ離脱及回復ニ関スル手続ハ、命令ヲ以テ之ヲ定ム
   附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム



〔参考〕官報 第三七八〇号 大正一四年四月一日 法律(DK340010k-0004)
第34巻 p.90-91 ページ画像

官報  第三七八〇号 大正一四年四月一日
    法律
朕、帝国議会ノ協賛ヲ経タル外国人土地法ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム
 御名 御璽
  摂政名
   大正十四年三月三十一日
           内閣総理大臣 子爵 加藤高明
           外務大臣   男爵 幣原喜重郎
           内務大臣      小川平吉
法律第四十二号
  外国人土地法
第一条 帝国臣民又ハ帝国法人ニ対シ、土地ニ関スル権利ノ享有ニ付禁止ヲ為シ、又ハ条件若ハ制限ヲ附スル国ニ属スル外国人又ハ外国法人ニ対シテハ、勅令ヲ以テ帝国ニ於ケル土地ニ関スル権利ノ享有ニ付、同一若ハ類似ノ禁止ヲ為シ、又ハ同一若ハ類似ノ条件、若ハ制限ヲ附スルコトヲ得
第二条 帝国法人又ハ外国法人ニシテ、社員・株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上、又ハ資本ノ半額以上、若ハ議決権ノ過半数カ、前条ノ外国人又ハ外国法人ニ属スルモノニ対シテハ、勅令ノ定ムル所ニ依リ、之ヲ其ノ外国人又ハ外国法人ト同一ノ国ニ属スルモノト看做シ、前条ノ規定ヲ適用ス
 前項ノ資本ノ額又ハ議決権ノ数ノ計算ハ、勅令ノ定ムル所ニ依ル
第三条 外国ノ一部ニシテ、土地ニ関シ特別ノ立法権ヲ有スルモノハ
 - 第34巻 p.91 -ページ画像 
本法ノ適用ニ付テハ之ヲ国ト看做ス
第四条 国防上必要ナル地区ニ於テハ、勅令ヲ以テ外国人又ハ外国法人ノ土地ニ関スル権利ノ取得ニ付禁止ヲ為シ、又ハ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得
 前項ノ地区ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス
第五条 帝国法人ニシテ、社員・株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上、又ハ資本ノ半額以上、若ハ議決権ノ過半数カ外国人又ハ外国法人ニ属スルモノニ対シテハ、前条ノ規定ヲ適用ス
 前項ノ資本ノ額又ハ議決権ノ数ノ計算ニ付テハ、第二条第二項ノ規定ヲ準用ス
第六条 土地ニ関スル権利ヲ有スル者カ、本法ニ依リ其ノ権利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テハ、一年内ニ之ヲ譲渡スコトヲ要ス
 前項ノ規定ニ依ル権利ノ譲渡ナカリシ場合ニ於テ、其ノ権利ノ処分ニ関シ必要ナル事項ハ、勅令ヲ以テ之ヲ定ム
 前二項ノ規定ハ、土地ニ関スル権利ヲ有スル者ノ相続人、其ノ他ノ包括承継人カ、本法ニ依リ其ノ権利ヲ取得スルコトヲ得サル場合ニ之ヲ準用ス、但シ第一項ニ規定スル期間ハ、之ヲ三年トス
 第一項及前項ニ規定スル期間ハ、通シテ三年ヲ超ユルコトヲ得ス
   附則
第七条 本法施行ノ期日ハ、勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 本法ノ施行ニ伴フ不動産登記法ニ関スル特例ハ、勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 明治六年第十八号布告及明治四十三年法律第五十一号ハ之ヲ廃止ス
第十条 明治三十二年法律第六十七号中「土地ノ抵当権者ナル外国人カ」ヲ「抵当権者カ抵当権ノ目的タル権利ヲ享有スルコトヲ得サル場合ニ於テ」ニ、「抵当不動産」ヲ「抵当権ノ目的タル権利」ニ改ム
第十一条 民法第九百九十条中「日本人ニ非サレハ享有スルコトヲ得サル権利ヲ有スル場合」ヲ、「国籍ノ喪失ニ因リテ其有スル権利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合」ニ改メ、「日本人ニ」ヲ削ル