デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
2節 米国加州日本移民排斥問題
3款 日米関係委員会
■綱文

第34巻 p.251-255(DK340031k) ページ画像

大正13年5月21日(1924年)

是日栄一、アメリカ合衆国特命全権大使サイラス・
 - 第34巻 p.252 -ページ画像 
イー・ウッズヲ帝国ホテル内同国大使館ニ訪問ス。夜当委員会小委員会、東京銀行倶楽部ニ開カル。栄一出席シテアメリカ合衆国移民法ニ関シ、ジャッジ・ゲーリー、ヘンリー・タフト、ラモント等ニソノ立法阻止ノ運動ヲ依頼スルコト及ビ我政府ニ建議スルコトヲ決議ス。仍ツテ二十二日、栄一、内閣総理大臣子爵清浦奎吾ヲ訪問シテ之ヲ通ジ、翌二十三日決議書ヲ送附ス。


■資料

日米関係委員会往復書類(一)(DK340031k-0001)
第34巻 p.252 ページ画像

日米関係委員会往復書類(一)       (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、時下益御清適奉賀候、然ハ米国排日移民法案ニ付テハ爾来御同様種々苦心罷在候処、形勢誠ニ憂慮可致状態ニ有之候ニ付テハ、此際小数委員ノ会合ヲ催フシ篤ト御協議願度ト奉存候間、来廿一日午後五時銀行倶楽部ヘ御来駕被成下度候 敬具
  大正十三年五月十四日
                        渋沢栄一
    金子子爵・山田三良・阪谷男爵・添田寿一・頭本元貞・藤山雷太・団琢磨・串田万蔵・姉崎正治・渋沢子爵・服部文四郎・増田明六・小畑久五郎宛
     御諾否御一報被下度候


日米関係委員会集会記事摘要(DK340031k-0002)
第34巻 p.252-254 ページ画像

日米関係委員会集会記事摘要(渋沢子爵家所蔵)
 日米関係委員会小委員会、大正十三年五月二十一日午後五時、於銀行倶楽部開催
  出席者
  渋沢子爵・阪谷男爵・団博士・添田博士・姉崎博士・山田博士・頭本氏
  (幹事)服部氏・増田氏・小畑氏
渋沢子爵座長 別紙記載の報告と最近太平洋沿岸在留同胞に関して佐分利参事官、聯合高等委員設置の件に付き、藤沢利喜太郎博士等と懇談せられし結果の要領の報告とを与へらる
  七時食卓に就く、但し団博士及服部幹事は食前に退去せられたり
      食後の協議
渋沢子爵 本日ウツヅ大使を訪問せられし顛末を話され、同時に大使は六月六日帰国の為め発航せらるゝに付、日米関係委員会主催の下に送別会を開催すべしとの提案をなされ、満場一致の賛成を得られたり
ウツヅ大使送別会六月二日、招待範囲は大使並令夫人・米大使館員・在京代表的米国人実業家・外務大臣・外務次官其他
渋沢子爵 ウツヅ大使に対して何れ程の注文を為すべきか、又政府当局に対して何等かの方法を採用すべき様提言すべきものなるか、諸君の御意見を伺ひ度しと告げらる
添田博士 埴原大使の帰国を促す事、盛なるプロパガンダを行ふ方針を取ること肝要なり、現政府に対しては多くを期待すること能はさ
 - 第34巻 p.253 -ページ画像 
るべし
串田氏 此問題には直接の関係はないが、米国に在る会社商店の社員及店員等の地位は如何になるであらうか、従来の解釈上より見る時は彼等は移民である
阪谷男爵 大統領のヴエトウ問題が決定せぬ内は見当が附かない、予は四月十四日関西旅行に就きし時米国に対する日本の反感を恐れしが故、警視庁に対して米国大使を始め大使館員を保護すべきことを注意して出発せり、貴族院議員間の説として称へらるゝものは、国際議員なるものを組織して米国の上院議員を招待するか、或は当方より上院議員団を派遣するか、或は又渋沢子爵、金子子爵の如き人人より成る団体を送るか、兎に角此儘に捨置く訳には行くまいと思ふといふにありき
頭本氏 先方に抗議を提出するも一案ならんが、暫らくパツシヴ・レジスタンスの態度を維持し、先方より何等かの提案があつた時に之に乗ずるを得策とすべしと言はる
渋沢子爵 ヴエトウに関して先方の友人方を通じ大統領に迫つては如何、例へばジヤツジ・ゲーリー、ヘンリー・タフト、ラモント等の諸氏に事の重大なるを訴へて運動を依頼することにしては如何
右提案は満場一致可決せらる
山田博士 総理大臣に対しては「今回の問題に対しては成るべく国家に大なる累を及ぼさゞる様御考慮を願ふ」といふ意味を以て、警告を発せられては如何
右提案は可決せられ、渋沢子爵総理大臣を訪問して此旨を伝達することゝなれり
添田博士 日本政府に対し左の三点に関して注意を促すこと、即ち(一)排日移民法案の成立を見ざる様最善の努力を尽され度きこと(二)若し大統領が敗北に帰《(裁下)》したる時は、抗議を提出して将来改善の余地を残し置くこと(三)国家の体面を保つに足るべき相当の手段を講ぜられ度きこと
      日本政府ニ対スル希望大正十三、五、二一日米関係委員会小委員会ニテ決議
第一 排日法案ノ成立ヲ見サル様最後ノ努力ヲ尽サレ度キ事
第二 総テノ努力効ヲ奏セサルトキハ、我国家ノ体面ヲ保ツへキ相当ノ手段ヲ講セラレ度キ事

 大正十三年五月二十一日、於東京銀行倶楽部
 日米関係小委員会
報告事項
 一前会議後取扱事項
  一排日移民法案阻止ニ関スル電報文・宛先・答電
  一堀越氏宛電報・答電
  一牛島氏ヨリ来電・答電
    佐分利参事官トノ会談
  一ウイツカーシヤム外三氏ヨリノ来電・答電
  一フランクリン氏ヨリ来電
 - 第34巻 p.254 -ページ画像 
  右幹事ヲシテ朗読セシム
  一四月廿五日フランクリン氏ト会談
  一同 廿八日アキスリング氏ト会談
  一五月六日ウツヅ大使招待会ニ於ケル会談
  一五月十二日バイラム氏〃
  一同 廿一日ウツバ《(ウツヅ)》大使訪問会談
  協議事項
  一布哇大学教授リーブリツク氏招待会
    二十八日正午 午餐会
  一ホノルヽ市セーヤー氏招待会
    二十六日午 午餐会
  一ウツヅ大使送別会 望月小太郎氏ノ催モアリ
    六月二日夕 晩餐会
    場所 華族会館
    招待者 大使並令夫人 米大使館員
        外務大臣・次官其他
    主人側 日米関係委員会々員
      其他ハ
一佐分利参事官(通商局長代理)ノ談話ヲ関係委員会ニテ聴取スル事
 二十六日前十一《(時)》セーヤー招待会ノトキトスル事
一排日問題ニ対スル本会ノ取ルベキ方針
   ○本章第五節所収「其他ノ外国人接待」大正十三年四月四日・五月六日・五月十二日・五月二十八日ノ各条参照。


(増田明六)日誌 大正一三年(DK340031k-0003)
第34巻 p.254 ページ画像

(増田明六)日誌 大正一三年(増田正純氏所蔵)
五月廿一日 水 雨
○上略
午後五時銀行倶楽部ニ於ける日米関係委員会の小委員会に出席、本会議ニ於てハ日米問題ニ関して、日本政府に重大な希望を申込む事を決議せられた


日米関係委員会緊要書類(DK340031k-0004)
第34巻 p.254-255 ページ画像

日米関係委員会緊要書類(渋沢子爵家所蔵)
拝啓、時下益御清適奉賀候、然は去廿一日の御決議に依り昨日総理大臣を訪問、本委員会爾来の経過を報告し且当日種々協議の末政府に対する希望二ケ条を決議したる趣旨を縷述致候処、同大臣は愈該法案通過の上は後事を他人に依頼する覚悟なりと言明被致候、次て外務大臣を訪ね、総理に対すると同様之談話を為し、又総理の御決意をも伝置候、尚同日決議書を持参せざりし為め本日之を送附致置候
右は重要の御議決に対し急き御内報申上候次第に御座候間、何卒御内密被成度特に願上候 敬具
  大正十三年五月廿三日           渋沢栄一
  宛
   阪谷男爵 団琢磨
   添田寿一 藤山雷太 後送附したり五月廿四日
 - 第34巻 p.255 -ページ画像 
   山田三良 服部文四郎
   姉崎正治 此三氏ハ会議ニ列セサリシニ付出状見合ハセ
   串田万蔵
   頭本元貞


集会日時通知表 大正一三年(DK340031k-0005)
第34巻 p.255 ページ画像

集会日時通知表 大正一三年(渋沢子爵家所蔵)
五月十九日 月 午後四―五時 藤沢利喜太郎博士来約(事ム所)
   ○中略。
五月廿一日 水 午前十時 ウツヅ米大使ト御会談ノ約(帝国ホテル内同大使館)
        午後五時 日米関係委員会小委員会(銀行クラブ)
五月廿二日 木 午後一時 清浦首相ト御会見ノ約(同官邸)
        午後二時 松井外相ト御会見ノ約(外務省)
   ○中略。
五月廿九日 木 午前十一時 首相官邸御訪問


(阪谷芳郎)日米関係委員会日記 大正一三年(DK340031k-0006)
第34巻 p.255 ページ画像

(阪谷芳郎)日米関係委員会日記 大正一三年
                   (阪谷子爵家所蔵)
十三、五、二一 日米関係小委員銀行クラフ渋沢・阪谷・団・添田・頭本・山田・姉崎・串田・服部