デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
2節 米国加州日本移民排斥問題
3款 日米関係委員会
■綱文

第34巻 p.643-647(DK340074k) ページ画像

大正15年7月14日(1926年)

是日、当委員会主催アメリカ合衆国哲学者ルーファス・エム・ジョーンズ博士歓迎午餐会、丸ノ内東京銀行倶楽部ニ開カル。栄一出席シテ挨拶ヲ述ブ。


■資料

(ジェー・バーナード・ウォルトン)書翰 渋沢栄一宛一九二六年五月二九日(DK340074k-0001)
第34巻 p.643-645 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

渋沢栄一 書翰 控 ジェー・バーナード・ウォルトン宛大正一五年八月一七日(DK340074k-0002)
第34巻 p.645 ページ画像

渋沢栄一 書翰 控 ジェー・バーナード・ウォルトン宛大正一五年八月一七日
                     (渋沢子爵家所蔵)
        (栄一鉛筆)
        十五年八月四日伊香保客舎ニテ一覧
        早々発送可致事
      案
 費府
  ジエー・バーナード・ウオルトン殿
    大正十五年七月 日
                  東京市 渋沢栄一
拝復、五月九日附の尊書正に落手拝誦仕候、然ば御紹介のルーフアスエム・ジヨーンス博士本月初旬来遊せられ候に付、本月十四日東京銀行倶楽部に於て、老生主として世話致居候日米関係委員会を開催し、博士を招待致午餐を共にし、日米問題特に一昨年米国議会を通過せし排日移民法改正に付懇談致、且其他の問題につきて意見を交換致し非常に愉快を覚え候、同博士の如き哲学者として名声高く而も国際問題に多大の興味を抱かる紳士を御紹介被下候は、小生の欣幸とする処にして御厚意を奉深謝候
右御回答旁々得貴意度如此御座候 敬具
   ○右英文書翰ハ八月十七日付ニテ発送セラレタリ。


(増田明六)日誌 大正一五年(DK340074k-0003)
第34巻 p.645 ページ画像

(増田明六)日誌 大正一五年   (増田正純氏所蔵)
七月十四日 水 晴 出勤
正午銀行倶楽部ニ於ける日米関係委員会主催の会員原田助博士帰朝歓迎、及米国哲学家ジヨンス氏の同歓迎会ニ出席す、渋沢子爵の両博士ニ対する歓迎の辞ニ次き両士の答辞あり
○下略


集会日時通知表 大正一五年(DK340074k-0004)
第34巻 p.645 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年     (渋沢子爵家所蔵)
七月八日 木 午前九時 ボールス氏来約(飛鳥山邸)
   ○中略。
七月十四日 水 午前十一時 日米関係委員会催ジヨーンス氏招待午餐会(銀行クラブ)


日米関係委員会集会記事摘要(DK340074k-0005)
第34巻 p.645-646 ページ画像

日米関係委員会集会記事摘要     (渋沢子爵家所蔵)
 日米関係委員会
 大正十五年七月十四日(水)午前十一時、於東京銀行倶楽部、米国哲学者ルフス・エム・ジヨーンス氏歓迎午餐会
 出席者
  来賓 ルフス・エム・ジヨーンス博士、ギルバート・ボールス博士、原田助博士
 - 第34巻 p.646 -ページ画像 
  委員 服部金太郎氏・堀越善重郎氏・大谷嘉兵衛氏・小野英二郎氏・団琢磨氏・添田寿一氏・頭本元貞氏・内田嘉吉氏、串田万蔵氏・山田三郎氏《(山田三良)》・藤山雷太氏・姉崎正治氏・浅野総一郎氏・男爵阪谷芳郎氏・渋沢子爵・白仁武氏
  幹事 服部文四郎氏・増田明六氏・小畑久五郎氏
  調査嘱託 高木八尺氏
    挨拶並に答辞
渋沢子爵 学者にして実際問題特に国際親善に大なる興味を抱き居らるゝジヨーンス博士を御迎へ致したる事を喜び、且つ委員一同に代りて一言申述ぶと冒頭せられ、日米関係委員会の沿革に付き語らる
ジヨーンス教授 渋沢子爵並に日米関係委員諸君、本日光栄ある歓迎を蒙りまして感謝に堪へぬ次第であります、私は渋沢子爵と已に日米両国の親善増進に関して対談致すことを得て大に満足に存じます私の考にては今後の国際問題は、国際法や外交でなく哲学と宗教との方面より解決を求むべきであると思ひます。問題は私共の文明を協力と同情との基礎に築き、決して恐怖とか脅喝とかを許さない事であります、真の友情は私共の生命の改造に基くと思ひます。ゲーテがフアウストの口を貸りて「破壊された世界は先つ第一に吾等の胸中に再興せねばならぬ」といふ意味の言をなして居ります、哲人カントも吾々の内心を改造する必要を主張して居ります、恐怖・猜疑及競争の代りに信用・認諾及協力に進まねばなりません、人類の本能に関して二種の正反対の学説か御座います、一つは本能は千古不変のものにて改善の余地か無いと称へ他は教育によりて改善する事が出来るといふのであります、故ルースヴエルト大統領は、人と人との関係は正当なるものでなければならぬと申されました、従来に優る教育・外交及宗教が必要であります、我が商務卿フーヴアー氏は教育の重要なる例として、戦後に於ける数万の独逸児童は米国の厚意に対して衷心から感謝の意を表して居ると言はれました。真の政治家、例へば貴国の金子子爵の如き方は常に国際関係を改善し国際間の軋轢を生ぜしむる一切の根源を除去するに努むべきであると思ひます、言ひ換へれば実際の状況か許す範囲に於て、理想に近い正義を実施するにあると存じます。……


(ギルバート・ボールズ)書翰 渋沢栄一宛一九二六年七月一七日(DK340074k-0006)
第34巻 p.646-647 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。