デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和3年4月5日（1928年）

是ヨリ先栄一、アメリカ合衆国ニュー・ヨーク日
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本協会幹事ダグラス・エル・ダンバー夫妻来遊ニツキ尽力スル所アリ。是日、当委員会主催同夫妻招待茶話会丸ノ内東京会館ニ開カレ、栄一出席ス。

外務省関係書類　（三）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　昭和二年三月九日若杉氏自ら持参
　　昭和二年三月九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　外務省情報部次長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小村欣一
　　　　　　　　（常務委員）
　　日米関係委員会会長
　　　子爵渋沢栄一閣下
　　　　紐育日本協会書記ダンバー氏渡日ニ関スル件
拝啓、時下益々御清穆奉慶賀候、陳者在紐育日本協会書記ダンバー氏(Douglas L. Dumber)ハ永年同協会ノ事務ニ尽瘁シ、有能ノ士ニテ、年来渡日ノ希望ヲ懐キ居ルニ拘ラス、今日迄其実現ノ機ヲ得サリシ次第ニ有之候処、此ノ際同人渡日ノ希望ヲ達成セシムルハ、今後同協会ノ事業遂行上便益アルノミナラス、延イテハ日米関係上ニモ裨益可不少ト認メラルル趣ヲ以テ、今般同地斎藤総領事ヨリダンバー氏夫妻ヲシテ一定期日間日本各地ヲ視察観光セシムル為メ、其ノ費用的壱万円見当貴委員会《＊》ノ御援助ヲ得ル様斡旋方依頼越ノ次第有之候ニ付テハ、右何卒宜敷御配慮相煩度、尚本件《＊＊》ニ付テハ既ニ先般帰朝ノ三井物産紐育支店長並ニ正金銀行紐育支店長ヨリモ、直接団琢磨氏及一宮鈴太郎氏ノ御了解ヲ得居趣ニ有之候ニ付、右御含ノ上可成至急取運フ様特ニ御配慮願上度、最近斎藤総領事ヨリ照電致越次第モ有之、右取急キ奉得貴意候　匆々
（欄外記事）
　＊[赤線ハ増田ノ施セルモノナリ
　＊＊紐育ニ支店又ハ出張所ヲ有スル銀行・会社諸人ヨリ賛助ヲ受クル方法ヲ執ルコト

日米関係委員会往復書類　（二）　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（写）
拝啓、時下益御清適賀上候、然ば紐育日本協会書記ダンバー氏渡日旅費補助方に関し、同地に支店又は出張所を有せらるゝ各位に御協議致呉候様と同地在任の斎藤総領事より外務省を経て当方へ依頼有之候、右ダンバー氏は永年同協会の事務に尽瘁し其功労の見るべきもの有之候由にて、今回此が補助を為すは将来同地在留邦人の便益あるのみならず、延て日米関係上にも裨益不尠と被思候に付、来四月五日午後二時丸之内仲通廿八号館拙生事務所に於て右御相談申上度候間、御多忙中恐縮に候得共、御繰合はせ御来駕被成下度願上候、右得貴意度如此御座候　敬具
　　昭和二年三月廿九日　　　　　　　日米関係委員会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　尚々御差支の場合は何卒御代理人御遺し被下度願上候

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集会日時通知表　昭和二年　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
四月五日　火　午後二時　ダムバー氏旅ヒ補助ニ関スル相談会（事ム所）

（増田明六）　日誌　昭和二年　　　　　　　（増田正純氏所蔵）
四月五日　火　晴　　　　　出席
○上略
後二事務処ニ於て紐育日本協会書記ダンバー氏夫妻本邦観光旅費補助の件ニ付き、紐育に支店を有する本邦銀行・会社本店の人々ニ来会を請ふ、横浜正金副頭取一宮氏外十数名来り会す、渋沢子爵より本件は紐育斎藤総領事より日米親善増進の意味に於て是非補助を請ふと外務省情報部を経て依頼ありしニ付き、玆ニ各位ニ協議を請ふ次第なりと陳へしニ対し、来会者は一致して補助金の割当を子爵ニ請ふと決し、子爵ハ後日之を立案通知すべしと答へ、同三時解散
○下略

紐育日本協会関係書類　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　情報部第二課
　　若杉要殿
拝啓、然ハ予テ小村情報部次長ヨリ渋沢子爵宛御申越有之候紐育日本協会書記ダンバー氏夫妻本邦視察旅費補助ノ件ハ、同地ニ支店・出張所ヲ有スル銀行・会社ニ協議致候処、別紙所載ノ通補助承諾ヲ得候間御通知致候、最モ右金額ノ払込ハモラトリアムノ期間経過後ニ可相成候間御承知置相成度候、右得芳意候　拝具
　　昭和二年四月廿三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢事務所
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　増田明六
（別紙）
　　　　紐育日本協会書記ダンバー氏夫妻日本視察旅費補助ノ件
　　　　　在紐育銀行・会社及商店
　　　　　　　　一金七百円也　　　　日本銀行
　　　　　　　　一金壱千五百円也　　横浜正金銀行
　　　　　　　　一金五百円也　　　　朝鮮銀行
　　　　　　　　一金七百円也　　　　三井銀行
　　　　　　　　一金七百円也　　　　三菱銀行
　　　　　　　　一金七百円也　　　　住友銀行
　　　　　　　　一金参百円也　　　　藤本ビルブローカー銀行
　　　　　　　　一金壱千五百円也　　三井物産会社
　　　　　　　　一金七百円也　　　　三菱商事会社
　　　　　　　　一金弐百円也　　　　東京鈴木商店
　　　　　　　　一金七百円也　　　　日本棉花株式会社
　　　　　　　　一金参百円也　　　　原合名会社
　　　　　　　　一金七百円也　　　　森村組
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　　　　　　　　片道船賃出金　　　　日本郵船会社
　　　　　　　　片道船賃出金　　　　大阪商船会社
　　　　　　　　一金五百円也　　　　南満洲鉄道会社
　　　　　　　　一金参百円也　　　　浅野物産会社
　　　　　　　　一金参百円也　　　　江商株式会社
　　　　　　　　一金五百円也　　　　大倉組
　　　　　　　　一金参百円也　　　　堀越商会

外務省関係書類　（三）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　明六
拝啓、陳者紐育日本協会書記「ダンバー」氏夫妻本邦視察旅費補助ノ件ニ関シ種々御配慮ニ預リ、今般首尾克ク醵金御取纏メ被下候趣、四月二十三日附ヲ以テ貴事務所増田氏ヨリ御通知ニ接シ、御高配ノ段厚ク御礼申上候、就テハ早速在紐育斎藤総領事宛其旨電報致候間、左様御承知相成度、此段御挨拶旁々得貴意候、尚出資者各位ニ対シテハ貴方ヨリ可然謝意伝達方御取計願上候　敬具
　　昭和二年四月二十八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　出淵外務次官
　　　　　　　　　　（常務委員）　　（別筆）
　　　　渋沢日米関係委員会々長　　　二年四月三十日入手

外務省関係書類　（三）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　本件ニ関する一切の書類は紐育日本協会に関する綴込中にあり
　外務省情報部
　　侯爵　小村欣一殿
拝啓、時下益御清適賀上候、然ハ予テ御依頼ノ紐育日本協会書記ダンバー氏夫妻本邦視察旅費ニ関スル件ハ、同地ニ支店・出張所ヲ有スル各位ヨリ別紙ノ通金壱万壱千壱百円ト、横浜・米国間往復乗船賃トノ寄附ヲ受ケ候間、右寄附者ノ厚意ハ乍御手数貴方ヨリ可然同氏ヘ御伝被下度候、尚同金額ハ小生ニ於テ銀行ニ預ケ入レ保管致居候ニ付、御都合ニヨリテハ直接同氏ヘ送付可致候間何分ノ義御申越相成度候、又往復乗船賃ハ日本郵船会社ニ於テハ横浜・桑港又ハ沙市間、大阪商船会社ニ於テハ横浜・沙市間各夫妻一等片道乗船賃ノ寄附ニテ、孰レモ紐育・桑港及沙市ノ支店ヘ本店ヨリ夫々指図済ニ候
右御通知申上候　敬具
　　昭和二年六月一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　日米関係委員会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一

外務省関係書類　（三）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　六月十一日入手　小畑　明六
急
拝啓、時下益々御清祥奉賀候、陳者紐育日本協会書記ダンバー氏夫妻本邦視察旅費調達方ニ関シ種々御配慮相煩シ候処、今般金壱万壱千壱
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百円並ニ同夫妻横浜・米国間往復乗船賃御調達ノ趣御通知ニ接シ厚ク御礼申上候
右ハ早速電報ヲ以テ在紐育内山総領事代理ヲ経テダンバー氏ニ通報致シ置キ候処、今般同代理ヨリ回電有之、ダンバー氏ニ於テハ深ク寄附者各位ノ御厚意ヲ謝シ居リ、今秋若クハ来春適当ノ時期ヲ見テ夫人同伴渡日ノ予定ナルニ付、同氏ニ対シテハ船切符以外ニ旅費トシテ米貨参千八百弗丈支給スルコトトシ、右金額ハ在紐育柏木・田島両氏ノ名儀ニテ正金銀行本店ニ半ケ年定期預金トシテ預入レ度、又残額ハ総領事館監督ノ下ニ柏木・田島両氏其他ノ保管ニ附シ、日米関係共同啓発事業資金ノ補充トシテ利用シ度希望ノ趣ニ有之候、就テハ前記参千八百弗ヲ目下紐育ニ滞在中ノ柏木・田島両氏名儀ニテ正金本店ニ預金スルコトハ其引出ニ際シ不便アルヤニ思考致候間、尊台ノ御名儀ニテ同本店ニ預金方御取計相願度、又貴委員会ニテ御同意ナラハ残額ハ直接内山総領事代理宛御送金相成様致度此段得貴意候　敬具
　　昭和二年六月十日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小村外務省情報部次長
　　　　　　　　　　　　（常務委員）
　　　　渋沢日米関係委員会々長殿

紐育日本協会関係書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　明六
拝啓、時下益御清適奉賀候、然ハ紐育日本協会書記ダンバー氏夫妻本邦視察旅費ノ義ハ予テ御申越ノ次第モ有之、左記ノ通取計ヒ候間御承知相成度候、此段得貴意候　敬具
　　昭和二年六月廿八日　　　　　　　　日米関係委員会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　外務省情報部長《（次脱）》
　　　　侯爵　小村欣一殿
　　　　　　記
　一金壱万壱千壱百円　　　　　紐育関係銀行及会社寄附金額
　一金五拾六円参拾五銭　　　　銀行預ケ金利息
　合計金壱万壱千百五拾六円参拾五銭
　　　　内支払
　金八千弐拾壱円拾銭　ダンバー氏夫妻旅費引当横浜正金銀行東京支店へ拙者名義ヲ以テ六ケ月定期預金トナス
　　但米貨参千八百弗ニ相当為替率四七弗八分ノ三
　金参千百参拾五円弐拾五銭　　紐育総領事代理内山清氏へ送金
　　但米貨千四百八拾五弗参拾弐仙ニ相当為替率同右
　合計金壱万壱千百五拾六円参拾五銭
　差引残ナシ

紐育日本協会関係書類　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓、益御清適賀上候、然ば紐育日本協会書記ダンバー氏並同夫人本邦観光の為め来る卅一日コレア丸にて横浜着の予定に候間、来四月五日（木）午後三時麹町区有楽町東京会館に於て御紹介旁茶話会相催候間、何卒御来車被下度此段御案内申上候　敬具
 - 第35巻 p.76 -ページ画像 
　　昭和三年三月廿八日　　　　　　　　　日米関係委員会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　会員中及外務省関係九氏殿
　　御諾否御一報願上候

日米関係委員会集会ニ関スル控　　　　　　　（日米関係委員会所蔵）
昭和三年四月五日　（木）　午後三時　於東京会館
　ダンバー氏夫妻招待茶話会
　　　　　　　　（太丸ハ朱書）
　　　　　　　　○ダンバー氏　　　　　○渋沢栄一
　　　　　　　　○同夫人　　　　　　欠○阪谷芳郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　団琢磨
　　　　　　　外務省情報部第二課
　　　　　　　　○若杉要　　　　　　　○一宮鈴太郎
　　　　　　　　○同令夫人　　　　　　○同令夫人
　　　　　　　同
　　　　　　　　○石沢豊　　　　　　　○添田寿一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○頭本元貞
　　　　　　　日米協会幹事
　　　　　　　　○武田円治
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○増田明六
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○小畑久五郎

（阪谷芳郎）　日米関係委員会日記　　昭和三年
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（阪谷子爵家所蔵）
　　三、四、五　華族会館ニテ日米協会小集、紐育日米協会ノ会長補助ダンバール夫妻招待、此日米大使館ヅーモン氏出席、ペルリ氏ノ遺物持参（髪、指輪、制服ノボタン符号ノ切）余・宮岡・阪井・小委員トナル（処分方）云々徳川
　　○右招待会ニハ栄一出席セズ。

外務省関係書類　（三）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　ダンバー氏夫妻に対する御召状は確かに同氏よりの使に手交せり（四月十七日）
拝啓、陳者本月六日附貴翰ヲ以テ紐育日本協会幹事ドグラス・エル・ダンバー氏夫妻ヲ、近々御催ノ観桜会ヘ召サルル様願出方御依頼越ノ次第致敬承候、右ハ早速宮内省ヘ願出置タル処、今般右夫妻ニ対スル御召状御下附相成候間、右別添ノ通玆ニ及転送候条、本人ヘ交付方可然御取計相成度此段申進候　敬具
　　昭和三年四月十一日　　　　　　　　　　出淵勝次
　　　　子爵　渋沢栄一殿

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