デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
2節 米国加州日本移民排斥問題
4款 日米関係委員協議会
■綱文

第35巻 p.263-267(DK350053k) ページ画像

大正9年1月10日(1920年)

是日、日米関係委員会、丸ノ内東京銀行倶楽部ニ開カル。栄一出席シテ本春東京ニ於テ、日米関係委員協議会開催ノ件ヲ議ス。是ヨリ三月ニ至ルマデ其準備ニ斡旋ス。


■資料

日米関係委員会諸取調書類 (一)(DK350053k-0001)
第35巻 p.263 ページ画像

日米関係委員会諸取調書類 (一)    (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、時下益御清適奉賀候、然ハ昨年四月桑港日米関係委員会ヲ代表シテ来朝シタル「アレキサンダー」及「リンチ」両氏ヨリ相談有之候彼我両委員協議会ヲ本年東京ニ於テ開催スルノ件ハ、此程両氏ヨリ渋沢宛ニテ本年二月開会致度旨申越候ニ付テハ、此際種々御協議相願ヒ夫是準備ニ着手致度ト存候間、御多忙ト察上候ヘ共来ル十日午後四時東京銀行倶楽部ヘ尊来被成下度願上候、右御案内申上候 敬具
  大正九年一月六日      日米関係委員会
                   常務委員 渋沢栄一
                   同    藤山雷太
    服部文四郎殿
  追テ乍御手数御来否御一報願上候


渋沢栄一 日記 大正九年(DK350053k-0002)
第35巻 p.263-264 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正九年          (渋沢子爵家所蔵)
一月十日 晴 寒
○上略 四時半銀行倶楽部ニ抵リテ日米関係委員会ヲ開キ要件ヲ議ス、金子・阪谷・団・梶原・姉崎・浅野其他諸氏来会シテ、本月三月開会《(年)》ノ協議会ニ付種々ノ打合ヲ為ス、夜九時過散会ス○下略
   ○中略。
一月二十七日 晴 寒
○上略
午後六時事務所ニ於テ夜飧シ、後原総理大臣宅ヲ訪フ○中略 金子子爵ノ来会ヲ得テ共ニ首相ト米国人招待ノ件ヲ内議ス、夜八時過帰宿ス○下略
   ○中略。
二月九日 晴 寒
○上略 十一時半銀行倶楽部ニ抵リ阪谷・目賀田・井上・早川.串田・姉崎等ノ諸氏ト来月中旬来遊スル米国人接待ノ方法ヲ協議シ分担ノ事ヲ定ム、服部書記長○東京商業会議所書記長服部文四郎小畑氏等モ同席ス○中略 午飧後米国人接待ノ談話ヲ継続シ○下略
   ○中略。
 - 第35巻 p.264 -ページ画像 
二月十七日 晴 寒
○上略
米国有志者招致ノ事ニ付金子・目賀田・近藤・井上日銀総裁・内田嘉吉氏等来会、種々ノ協議ヲ為シ、電報ノ趣旨ニ応シテ帰航ノ船舶ノ都合ヲ浅野東洋汽船社長ニ篤ト依頼スヘキ事ト議定ス○中略 午後一時事務所ヲ出テ帝国ホテルニ抵リ○中略 更ニ浅野氏ト会見シテ米国行船繰ノ事ヲ依頼ス○下略
   ○中略。
三月四日 晴 寒
午前十一時銀行倶楽部ニ於テ○中略 米国人来遊ニ関スル協議会ヲ開キ、金子・阪谷・近藤其他ノ諸氏来会、種々ノ協議ヲ為ス○下略
   ○中略。
三月十日 晴 寒
○上略 午後四時銀行倶楽部ニ抵リ日米関係委員会ヲ開キ、近日渡米ノ米人ト協議会開催ノ事ヲ談ス○下略
   ○中略。
三月十三日 曇 軽寒
○上略
午後四日銀行倶楽部《(時)》ニ抵リ○中略 日米関係委員会ヲ開キ金子・阪谷・添田・串田・姉崎・服部・増田氏等ト種々ノ協議ヲ為ス、夜食後尚談話ヲ継続シ、夜九時過散会ス○下略
三月十四日 雨 軽寒
○上略 午後三時過ヨリ事務所ニ抵リ、増田・小畑氏等ト日米協議会ノ事ヲ処理ス○下略


集会日時通知表 大正九年(DK350053k-0003)
第35巻 p.264 ページ画像

集会日時通知表 大正九年       (渋沢子爵家所蔵)
二月九日 月 午前十一時 国際協議会ノ件(銀行クラブ)
   ○中略。
三月四日 木 午後三時 アレキサンダー氏一行並ニ紐育ノ名士諸氏来朝ニ付御相談会(銀行クラブ)
   ○中略。
三月十日 水 午後四時 日米関係委員実行委員会(銀行クラブ)
   ○中略。
三月十三日 土 午後三時 日米関係委員実行委員会(銀行クラブ)


(阪谷芳郎) 日米関係委員会日記 大正九年(DK350053k-0004)
第35巻 p.264-265 ページ画像

(阪谷芳郎) 日米関係委員会日記 大正九年
                  (阪谷子爵家所蔵)
○九、一、一〇 銀行クラフ渋沢・金子・団・梶原・土方・早川・埴原・阪谷・小幡《(小畑)》・増田・浅野・服部等
        アレキサンダー及リンチ両氏渡来ニ付打合、実行委員トシテ渋沢・山科・串田・早川・姉崎五氏ヲ挙ク此日串田氏ニビル氏来状写ヲ貸ス、一月廿三日更ニ追加ノ写ヲ串田ニ送ル
   ○中略。
 - 第35巻 p.265 -ページ画像 
○九、二、九 小集相談、渋沢・阪谷・早川・串田・井上・山科・姉崎・服部・小畑、桑港委員一行三月十六日来着ニ付協議事項相談、余及埴原移民ノ件ヲ受持ツ
        二月二十五日右移民ノ問題案ヲ服部文四郎ニ郵送ス
   ○中略。
    三月十日
   実行委員会


(増田明六) 日誌 大正九年(DK350053k-0005)
第35巻 p.265 ページ画像

(増田明六) 日誌 大正九年      (増田正純氏所蔵)
十日○一月 土 晴
○上略
午後四時銀行集会所ニ開会セラレシ日米関係委員会ニ出席、此日ノ議案ハ主トシテ来ル三月開会セラルヽ日米協議会開催ニ関スル準備及議題ノ協議ナリ
○中略
男爵ハ此日青年会館ニテ国民教育会発会式ニ臨ミ演説ヲ試ミラレタルカ、夫レヨリ咳頻リニ出テ、関係委員会ニ於テハ何時モノ御元気無キ様御見受ケシタリ
○下略


日米関係委員協議会報告書 日米関係委員編 第九九―一〇五頁大正九年一二月刊(DK350053k-0006)
第35巻 p.265-267 ページ画像

日米関係委員協議会報告書 日米関係委員編
                    第九九―一〇五頁大正九年一二月刊
      附録
一、米国側委員の日本到着の時日確定するや、日本側委員は屡々東京銀行集会所に会合し其準備に就て協議せり、一月十日の準備会に於て協議したる事項左の如し、
    日米協議会ニ関スル事項
 一、協議会ノ名称ヲ定ムル事
 二、米国側一行ノ為メニ乗船賃ノ割引ヲ汽船会社ニ交渉スル事
 三、一行ノホテル準備ノ事
 四、プログラム調製ノ事
 五、一行ノ鉄道無料乗車券ヲ心配スル事
 六、一行到着ノ際ハ本会代表者ヲ汽船迄出シテ歓迎ノ意ヲ表シ、且大体ノ打合ハセヲ為ス事
 七、一行到着ノ上ハ充《(先カ)》ツ本会ニ於テ歓迎晩餐会ヲ催シ朝野名士ニ紹介スル事、又一行辞去ノ際ハ送別会ヲ催ス事
 八、一行ノ為メニ米国ニ関係ヲ有スル会社・銀行又ハ個人ニ於テ晩餐会又ハ午餐会ヲ催スコトヲ依頼スル事
 九、一行各地観光ノ場合ハ本会ヨリ各地商業会議所ニ依頼シ、ホテルノ準備、歓迎会ノ開催等款待ヲ請フ事
 十、協議会開催中一行婦人ノ為メニ相当款待ノ方法ヲ講スル事
 十一、協議会開催中ノ自働車ハ本会ヨリ提供スル事
 十二、一行日本滞在中ハ特ニ接待員ヲ附スル事
 十三、接待費用ハ本会ヨリ支出スル外、米国ニ関係ヲ有スル銀行・
 - 第35巻 p.266 -ページ画像 
会社又ハ個人ヨリ相当ノ寄附金ヲ請フ事
 十四、協議会ノ場所ヲ東京商業会議所及ビ東京銀行集会所トスルコト、之為東京銀行集合所《(会)》[東京銀行集会所]ノ一室ヲ借切ル事
 十五、先方ニ左記各項照会ノ事
  一、乗船ノ日、船名
  一、一行ノ員数(男子、婦人各別ノ数)
  一、其他必要ノ事項
 十六、議題ヲ定ムル事
 十七、以上ノ各項実行ノ為メ、必要アラハ数人ノ委員ヲ設ケ分担処理スル事(委員ハ山科・串田・早川・姉崎)

一、協議事項に就ては、大正八年四月アレキサンダー氏がリンチー氏と共に渡来せられたる際の協定に依り、移民・合同事業・土地所有権通信交通機関・交換教授並に実業家の交歓等を議題とすることとし、予め其準備の為め右各議題に就て左の如き委員を設け攻究せしむることとせり、而して右委員中より左の如き報告書提出せられしも、其報告書は別に米国側委員に示すことをなさゞりき。
    移民問題
一、日本移民ニ付米国側委員ハ如何ナル冀望ヲ有セラルヽヤ伺度シ
二、如何ニセハ、日本移民ニ対スル米国人中或者ノ反対ヲ緩和シ得ヘキヤ
三、米国人ノ欲セサル欠点ヲ日本移民ヨリ取リ去ルトキハ、現在ノ移民制限ハ緩和シ得ヘキヤ
四、米国人ノ欲セサル日本移民ノ欠点ハ如何ナルモノナルヤ
五、米国人ノ欲セサル日本移民ノ欠点ハ如何ニセハ改善シ得ヘキヤ
    資本合同
      事業提携
一、米日ノ関係ヲ改善シ、両国間ノ交誼ヲ増進セントスルニハ、両国民ノ経済的結合ニ依ルヲ良策ト信ス、而シテ米国ハ資本豊富ニ機械技術進歩シ、日本ハ東洋ノ事情ニ通シ凡テノ生産物ヲ東洋ニ販売スル中心点タルノ便宜アリ、今後大ニ合同事業ヲ奨励スルノ必要アリト認ム、米国側ノ之ニ対スル高見如何
二、米日合同事業ノ種類並ニ経営方針ハ概略左ノ方法ニ依ルヘキモノト信ス、之ニ対スル高見如何
 (A)米日両国民経済的結合トナルヘキ事業ハ金融・保険・海運・海底電信・生糸・缶詰・自動車・コンデンスミルク・ホテル・アパートメントハウス其他一般商業的関係事業トス
 (B)事業ノ経営方法ハ米日双方ニ於テ各々其半額ノ資本ヲ提供シ、製造業ノ種類ニ依リ、本社又ハ本工場ノ米国ニアルモノハ支社又ハ分工場ヲ日本ニ置キ、本社又ハ本工場ノ日本ニアルモノハ支社又ハ分工場ヲ米国ニ置クモノトス、特ニ製品販路ノ東洋ニアルモノハ日本若クハ支那ニ工場ヲ置キ、米日合同資本ヲ投シ之ヲ経営ス
 (C)合同事業ノ首脳者タル重役ハ米日双方ニ於テ各半数ヲ選出シ、各本国ニ於テ事業ノ経営ヲ分担スルモノトス
 - 第35巻 p.267 -ページ画像 
三、日米両国ノ関係委員ハ米日合同事業ノ成立ヲ奨励シ、之ニ便宜並ニ助力ヲ与フルカ為メ両国ニ之ニ関スル特別委員ヲ設ケ、合同事業ノ申込ヲ為サシムルヲ可トセスヤ
土地所有権問題
一、一九一三年加州土地法実施以来、事実在留日本人ハ土地所有権ヲ奪ハレ借地期間モ三年ニ局限セラレタリ
二、右規定ハ
 (A)不当ノ区別ヲ為シ不公正ナリ
 (B)加州農業ノ発展ヲ害ス
 (C)在留日本人ヲシテ永久的施設ヲ為ス能ハサラシム
 (D)日米両国ノ親善ヲ阻害ス
三、一九一八年ニ於テハ開戦以来在留日本人ノ徴兵及国債応募等ノ結果、排日運動モ幾分緩和セラレ、借地権ヲ十ケ年ニ延長スルノ計画サヘ現ハレタリ
四、一九一九年以降形勢再ビ思ハシカラズシテ、全然在留日本人ノ借地権ヲ奪フノ必要ヲ唱フル者ヲ生シ、各種ノ排日法案ヲ議スル為メ加州臨時議会召集ノ要求アリシモ、幸ニ、スチブンス知事ノ許容スル処トナラス以テ今日ニ至レリ
五、今後実行ヲ要スルハ
 (A)米国側ニアリテハ、一九一三年ノ土地法ヲ全廃スルコトニアリ、若シ此事行ハレ難シトセハ少クトモ借地期間ヲ他ノ欧洲人ト同一ナラシムルコト
   右ノ如何ニ関セス日本人ノ帰化ヲ許可スルコト
 (B)日本側ニアリテハ速ニ外国人土地所有ニ関スル法律実施ノ勅令ヲ公布シ、必要ノ改正ヲ該法ニ加フルコト
   其他在留日本人ノ向上改善ニ一層ノ力ヲ用ヒ、以テ排日論者ノ口実ヲ一掃スルコト