公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第36巻 p.146-153（DK360058k） ページ画像
昭和2年5月（1927年）
是ヨリ先、在留中華民国学生、母国動乱ノタメ学資ノ送途ヲ断タレ、困難セルモノ少カラズ。是月当会、右救済寄付金ヲ募集シテ同学生ニ交付ス。栄一、金二百円ヲ寄付ス。
財団法人日華学会書類（一） 【（謄写版） 中華留日学生救助ニ関スル報告】（DK360058k-0001）
第36巻 p.146-148 ページ画像
財団法人日華学会書類（一） （渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
中華留日学生救助ニ関スル報告
中華留日学生ハ官私費ヲ論セス、近年来本国動乱ノタメ学資送付ノ途
- 第36巻 p.147 -ページ画像
ヲ絶タレ困難セルモノ少カラス、就中湖南・江西両省学生ノ如キハ共産党ノ勢力範囲ニ在リテ、官費ハ取消サレ私費モ亦家庭ノ送金ヲ阻止セラレ困難其極ニ達シ、甚シキニ至リテハ一日ノ食モ満足ニ得ルコト能ハス、帰国センカ旅費ナク、留マランカ更ニ難ク、所謂進退両難ノ苦境ニ陥リ真ニ傍観スルニ忍ヒサルモノアルニ依リ、本会ハ曩ニ監督処ヘ其意思ヲ伝ヘ諒解ヲ得テ、各方面有志ノ同情ニ訴ヘ寄附金ノ募集ニ着手シ、去ル五月末ヨリ運動ヲ開始シ各方面ヘ懇請ノ結果、七月下旬マテニ金三千九百円ノ寄附ヲ得テ募集ヲ終了セリ、其分与方法ハ学生困難ノ情況程度ヲ精査シテ六月初ヨリ分配ニ着手シ、別紙ノ如ク其其分配ヲ終了セリ
今回ノ救助ハ原ヨリ徹底的ノモノニ非サルモ、最モ窮情ニ在ル学生ニ取リテハ無論多少ノ便宜トナリ、一時的ナカラモ救済ノ目的ヲ達シ得タルハ寄附者諸彦ノ厚キ同情ニ基クモノニシテ、本会同人ノ深ク感謝スル処ナリ、玆ニ延引ナカラ寄附者ノ芳名・金額及ヒ分配ヲ受ケタル学生ノ氏名ト金額ヲ掲ケテ及報告候也
昭和二年 月 財団法人日華学会
常務理事 山井格太郎
中国留日学生救助費寄附者芳名
一金五百円 三菱合資会社殿
一金五百円 三井合名会社殿
一金参百円 大倉組殿
一金参百円 安田保善社殿
一金参百円 南満洲鉄道株式会社殿
一金参百円 住友銀行殿
一金参百円 某氏
一金弐百円 古川合名会社殿
一金弐百円 渋沢栄一殿
一金弐百円 大日本麦酒株式会社殿
一金弐百円 日本郵船株式会社殿
一金弐百円 日本銀行殿
一金弐百円 服部金太郎殿
一金壱百円 東京商業会議所殿
一金壱百円 鈴木三郎助殿
救助学生明細表
○略ス。救助金ヲ交付サレタル学生ハ湖南省朱応会他百二十七名ナリ。
収支差引表
一金参千九百円也 救助寄附金総額
内
金参千八百弐拾円也 救助金総額
金四拾五円也 学生困窮状況調査費・為換手数料・書留料其他雑費
金参拾五円也 不日分配ノ予定
右之通ニ候也
- 第36巻 p.148 -ページ画像
昭和二年九月 財団法人日華学会
礼状往復（一）（DK360058k-0002）
第36巻 p.148 ページ画像
著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。
昭和五年度 財団法人日華学会第十四回年報 自昭和五年四月至昭和六年三月 第一一―一二頁昭和六年六月刊 本年度事業状況（DK360058k-0003）
第36巻 p.148 ページ画像
昭和五年度
財団法人日華学会第十四回年報 自昭和五年四月至昭和六年三月 第一一―一二頁昭和六年六月刊
本年度事業状況
昭和四年秋以来激落ノ兆ヲ示シツヽアリシ銀為替ハ五年六月ニ至リ半価以下大暴落ヲ来セル為メ、本国ヨリ送金ヲ受クル中華民国留学生ハ非常ナル打撃ヲ受ケ、学業ヲ中途放棄シテ帰国ノ止ムナキニ至レル者モ少ナカラザリシガ、之ニ加フルニ昨年七月中華民国教育部ハ駐日留学生監督ニ対シ、将来文化事業部ニ日支協定ニヨリ学費ノ補給ヲ受クベキ学生ニツキ補欠者ヲ送附スベカラザル旨指令シタル為メ、九月以降ハ留日学生学費補給制度ハ自然一部分停頓ノ状態トナリ、当然補給ヲ受クベキ資格者モ新ニ補給ヲ受ケ又ハ将来継続補給ヲ受ケ得ル希望ナキコトトナリ、銀貨ノ暴落ト相俟チ留日学生ハ二重ノ打撃ヲ受ケ未曾有ノ大災厄ニ遭遇セル為メ、新ニ渡来スル留学生数モ激減シテ、昨年度ノ五分ノ二ニモ達セザル状態トナレリ、又従来文化事業部ノ援助ニヨリ渡日視察セル中華民国教育界ノ各種参観団及個人旅行者モ、本国政府ノ指命ニヨリ文化事業部関係ヲ以テシテハ旅行シ得ザルコトトナリ、昨年度頻繁ヲ極メシ所謂文化往来ハ五年九月以来全然其ノ跡ヲ絶チ誠ニ秋風落漠ノ感アリ、多数ノ留日学生及日支文化交通ノ為メニ、我等ハカカル不自然ナル状態ガ一日モ早ク軌道ニ復センコトヲ切望シテ止マザルモノナリ
昭和六年度 財団法人日華学会第十五回年報 自昭和六年四月至昭和七年三月 第一〇頁（昭和七年）刊 本年度事業概要（DK360058k-0004）
第36巻 p.148-149 ページ画像
昭和六年度
財団法人日華学会第十五回年報 自昭和六年四月至昭和七年三月 第一〇頁（昭和七年）刊
本年度事業概要
昭和五年六月以降ノ銀為替暴落ニ次ギ、六年夏長江流域ノ大水災ニ
- 第36巻 p.149 -ページ画像
遭ヒ民国学生ノ日本留学ハ大イニ低調ヲ辿リツヽアリシガ、九月十九日満洲事変、七年一月廿九日上海事変突発以来正ニ一落千丈、事変前二千余名ノ留学生ハ七年三月末現在デハ六百内外ニ激減スルニ至レルモ、七年二月末以来ボツボツ留学生ノ帰東スル者アリ、会務モ従テ活気ヲ呈セリ
参観視察ノ旅行者ニ至ツテハ満洲事変後絶無僅有ノ状態ナリ
日華学会二十年史 砂田実編 第七〇―七七頁昭和一四年五月刊（DK360058k-0005）
第36巻 p.149-153 ページ画像
著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。