デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2017.12.19

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
12款 財団法人日仏会館
■綱文

第36巻 p.335-339(DK360137k) ページ画像

昭和3年4月28日(1928年)

是日、当会館評議員会開カレ、理事ノ補欠選挙ヲ行フ。後、当選者中姉崎正治外二名辞任ヲ申出ズ。栄一、書翰ヲ送リテ之ヲ慰留ス。


■資料

財団法人日仏会館第五回報告(自昭和三年四月一日至昭和四年三月三一日)第一―三頁刊(DK360137k-0001)
第36巻 p.335-336 ページ画像

財団法人日仏会館第五回報告(自昭和三年四月一日至昭和四年三月三一日)第一―三頁刊
    二、評議員会
○上略
一、昭和三年四月二十八日、左記諸氏ニ評議員ノ重任又新任ヲ依嘱セリ。
 重任――子爵渋沢栄一氏、男爵古市公威氏、男爵富井政章氏、姉崎正治氏、木島孝蔵氏、服部金太郎氏、梶原仲治氏、児玉謙次氏、大橋新太郎氏、杉山直治郎氏、結城豊太郎氏、山田三良氏、辰野隆氏、白仁武氏、子爵曾我祐邦氏、山本信次郎氏、男爵平山成信氏、木村清四郎氏、団琢磨氏、木村久寿弥太氏、シルバン・レビ氏。
 新任――鈴木島吉氏
○中略
    三、理事会
○中略
一、昭和三年四月二十八日、評議員会ニ於テ任期満了シタル理事・監事ノ補欠選挙ヲ行ヒ、更ニ理事中ニ於テ理事長・副理事長・常務理事ヲ互選シタルニ其結果左ノ如シ
 理事長 ――子爵渋沢栄一氏。
 副理事長――男爵古市公威氏・男爵富井政章氏。
 常務理事――姉崎正治氏・木島孝蔵氏・鈴木島吉氏。
 理事  ――服部金太郎氏、梶原仲治氏、児玉謙次氏、大橋新太郎氏、山田三良氏、杉山直治郎氏、辰野隆氏、子爵曾我祐邦氏、山本信次郎氏、白仁武氏、男爵平山成信氏、木村清四郎氏、シルバン・レビ氏、ジヤン・
 - 第36巻 p.336 -ページ画像 
レイ氏。
 監事  ――団琢磨氏・木村久寿弥太氏・結城豊太郎氏
○下略
   ○右評議員会ニハ栄一出席セズ。


日仏会館書類(三) 【拝啓 時下益々御清栄奉慶賀候、陳者日仏会館評議員及理事の御任期満了に付…】(DK360137k-0002)
第36巻 p.336 ページ画像

日仏会館書類(三)            (渋沢子爵家所蔵)
拝啓
時下益々御清栄奉慶賀候、陳者日仏会館評議員及理事の御任期満了に付、今回評議員会に於て満場一致、更に評議員を御依嘱申上候事と相成候処、評議員互選及理事互選の結果、重ねて理事長に御当選相成候間、右併而御承諾相願度、此段奉得貴意候 敬具
  昭和三年四月廿八日
        日仏会館評議員会議長 男爵古市公威(印)
    子爵 渋沢栄一殿


日仏会館書類(三) 【辞任書 正治儀 御推挙ヲ蒙り従来日仏会館理事…】(DK360137k-0003)
第36巻 p.336 ページ画像

日仏会館書類(三)            (渋沢子爵家所蔵)
    辞任書
                          正治儀
御推挙ヲ蒙り従来日仏会館理事として、その学務方面に関する常務の責を負ひ候処、公職の本務益々多端と相成候為、会館に対する責任を果す上に於て遺憾甚多きを自覚仕候、加之一己の所見として会館の事業、特に学務方面は此際一刷新を施さゞる限は、萎靡不振に陥るの虞多かるべしと信し候、此見解を抱き理事としての職責に忠ならんとせば、本務を閑却するの已むを得ざるに至るべく、本務に忠ならん為には会館理事の責任を尽す能はざるは明白の事に有之、且又旧人退き新進有為の人士をして局に当らしむるは、刷新を図る為に緊急の事と存し候、依て日仏会館理事の任を辞退仕候、此段微衷御斟酌の上宜しく御処置相成度候也
                  日仏会館理事
  昭和三年四月廿四日          姉崎正治(花押)
    日仏会館理事長 子爵渋沢栄一殿


(姉崎正治)書翰 増田明六宛昭和三年四月二五日(DK360137k-0004)
第36巻 p.336-337 ページ画像

(姉崎正治)書翰 増田明六宛昭和三年四月二五日
                     (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、数日前手紙を以て子爵へ申上げたい事を開陳して御申達を願ひましたが、その後も一往参上して親しく陳述したいと存しまするが、大学の方の問題が色々と生じまするので、その意を得ず今日に及びました、而して明後日頃には日仏会館の会合もあるとの事で、その節には小生辞任の事を御披露願ひたいと存じまする故、封中の辞任書○前掲を郵便で差出す事に致しまする、今日夕帰一協会々合の前には貴方へ参るのが丁度好都合とは存じまするが、今日午後の教授会も中々時間をとりそうで、その余裕を得ること疑問と考へ此の様にして差出す次第でござります、尚先日レビー氏の仏教辞典の事にふれましたが辞典そのものは誠に歓迎すべきもので、それを批評する意は毛頭なく、只
 - 第36巻 p.337 -ページ画像 
此に使用する人々に対する待遇について会館側の処置に不満があるといふ事を申上げるに止めまする、兎に角、子爵へ宜しく御言上を願ひ度く存します 頓首
  昭和三年四月廿五日
                        姉崎正治
    増田明六様


(姉崎正治)書翰 増田明六宛昭和三年四月二八日(DK360137k-0005)
第36巻 p.337 ページ画像

(姉崎正治)書翰 増田明六宛昭和三年四月二八日
                     (渋沢子爵家所蔵)
                   (別筆)
                   三、四、二三《(マヽ)》、落手明六
拝啓、先日来宗教大会の件に関して、種々御配慮を辱う致しまして御礼を申上ます、尚今後も宜しく願ひたう存します
今日は日曜日で幸ひ時間も出来ましたので、飛鳥山へ参上して子爵に親しく御話し申度くと存し、今朝から電話で伺つて見まするがいつも御話し中で余程御多事の様に見へまする故、参上する事を差控へ(但し後刻尚ほ電話を試みるつもりでは居りまするが)書面で貴下に申上げ御伝達を願ひたいと存します
事柄は日仏会館に関し、要点は日仏会館は此際英断を以て大刷新を加へざる以上、段々に萎靡して参ると考へ、而してその刷新には第一に理事半数の改選をすべく、其中の一人として小生は断然退任すべきだと信じまする、半数の改選が行はれないと致しましても、小生一人はどうしても退任して他に少壮有為の人を容れるが至当且つ至要と信じまするから、諸方面から御勧告等も出て参りませうが小生は断じて退任致しまする、子爵に親しく御話し得れば色々申上げる順序もありませうが、書面では先づ右の決心を最後の断として申上げる次第です
右については、理由は色々複雑も致して居りまするが、結局過去一年或は一年半の間会館の事業、即ち文化に関する事業は不振の甚しきものあり、少壮有為の学徒は段々会館に遠り、会館は単に財団維持の事務所となり、その他にはレビー氏の仏教辞典の事業が行はれてゐるのみでござります(此の辞典についても申上げたい事もありまするが、今直接の必要なき故省略)此の如き状態になりましたについては、レビー氏も責任の一部を負担せらるべきと存しまするが、それは傍系の点で、主なる責任者は木島理事と小生と二人であると信じまする、然し木島理事は一向にその責任を感じて居られぬやに見えまするから、敢てそれを感ぜよとは申しませぬ、只小生はその責任を痛感する者として断然退任し、会館の事業を有意義に遂行し得る新人物を推挙していたゞく様にお願ひ致したく、此事をどうか子爵へ御言上下さる様切にお願ひを致しまする 再拝
  昭和三年四月廿八日          姉崎正治
    増田明六様
          座下


(姉崎正治)書翰 渋沢栄一宛昭和三年五月八日(DK360137k-0006)
第36巻 p.337-338 ページ画像

(姉崎正治)書翰 渋沢栄一宛昭和三年五月八日
                     (渋沢子爵家所蔵)
 - 第36巻 p.338 -ページ画像 
拝復 四月二十八日附を以て日仏会館理事及常務理事に小生当選の趣御通知に接し候、小生は去四月廿三日附を以て、理由を具して理事辞任の事御考慮を煩し候通り、到底理事の任を尽し得ざる状態に有之、任期満期改選を経候とも、小生一身上の事情は同様にて変化無之、従つて辞任の事も違変無之候につき、今回の改選は到底御受け致し難く甚遺憾なから御断り申上くる外無之につきその段御諒承被下度候、先日辞任申出て候も改選に際して御考慮被下候様にとの微意に出て候もその点御一顧だに賜はらざりし事甚遺憾に存候、兎に角右御通知の改選重任は如何にしても御請け致し得ざる次第御諒承相成度候 敬具
  昭和三年五月八日          姉崎正治(花押)
    日仏会館理事長 子爵渋沢栄一殿


渋沢栄一書翰 姉崎正治宛(昭和三年)九月二二日(DK360137k-0007)
第36巻 p.338 ページ画像

渋沢栄一書翰 姉崎正治宛(昭和三年)九月二二日(姉崎正治氏所蔵)
拝啓、益御清適奉賀候、然ハ予而日仏会館理事として御尽力被下難有厚く御礼申上候、然る処先般御辞任御希望之由ニて尊書被下候処、折悪しく病臥中なりし為め其儘と相成、欠敬至極之段何とも申訳無之候此程漸く事務を見るに至候ニ付てハ、一応拝光親しく申上候てハとも存候得共、御多忙之際却て失礼と存し、書中得貴意候義ニ御坐候間、何卒御諒恕被下度候、重々の尊示ニ対し敢て申上候ハ恐縮ニも有之、且種々御事情も可有之とハ察上候得共、此度丈ハ是非御就任被下、老人を御援助被成下候様切ニ御願申上候、愚衷御諒察の上何卒御承諾被下度懇願之至ニ御坐候
右申上度如此御坐候 敬具
  九月二十二日              渋沢栄一
    姉崎正治様


(姉崎正治)書翰 増田明六宛(昭和三年)九月二三日(DK360137k-0008)
第36巻 p.338 ページ画像

(姉崎正治)書翰 増田明六宛(昭和三年)九月二三日
                     (渋沢子爵家所蔵)
残暑容易に去りませぬが子爵御壮健で誠に結構尚御自愛を祈り奉ります、昨日子爵から日仏会館理事の事に関して御手紙を頂だい致し誠に恐縮致し、特に「老人を援助」する意味で残れと仰せられては何とも申上け様のない次第ですが、それについては篤と申上げたき点もありその中折あらば御目にかゝりて御話を願ひたいと存しまする故、左様御申達を願ひ、どうか宜しう願上ます
但し他の事で御助け申上け得る事は微力なから致しませうか、日仏会館の事については何とも致方なき心地か致しまする旨も合せて申上たう存します
右宜しう、尚時候お大事に
  九月廿三日               姉崎正治
    増田明六様


(白仁武)書翰 木島孝蔵宛昭和三年五月七日(DK360137k-0009)
第36巻 p.338-339 ページ画像

(白仁武)書翰 木島孝蔵宛昭和三年五月七日(渋沢子爵家所蔵)
          (別筆)
          此三件○姉崎・白仁・服部理事辞退ノコトニ対スル措置
 - 第36巻 p.339 -ページ画像 
ハ理事長並ニ古市博士ノ快復ヲ待ツコト必要ナラン (印)《(富井)》
拝啓、今回日仏会館理事ニ再選ノ趣御通知ニ接シ候処、近来公私共多忙ニテ例令御請致ストモ出席致スコト困難ニ有之候ニ就テハ、此際他ニ適当ナル方ヲ御選定相成候様希望致候、右念ノ為メ申進候 草々
  昭和三年五月七日            白仁武
    木島孝蔵様
         侍史


(服部金太郎)書翰 渋沢栄一宛昭和三年五月一〇日(DK360137k-0010)
第36巻 p.339 ページ画像

(服部金太郎)書翰 渋沢栄一宛昭和三年五月一〇日(渋沢子爵家所蔵)
芳翰拝誦仕候、陳ハ小生貴会館評議員及理事任期満了ニ付、今回更ニ評議員御依嘱相成拝承仕候、尚互選之結果理事ニ再選之旨御通知被下候処、近来特ニ多忙を極め到底其任を尽し難き虞有之候ニ就てハ、此際右理事を辞退致度候間御承認被成下度、御回答旁得貴意候 敬覆
  昭和三年五月十日
                         服部金太郎
    日仏会館理事長
     子爵 渋沢栄一閣下


渋沢栄一書翰控 白仁武・服部金太郎宛昭和三年九月二二日(DK360137k-0011)
第36巻 p.339 ページ画像

渋沢栄一書翰控 白仁武・服部金太郎宛昭和三年九月二二日
                     (渋沢子爵家所蔵)
                     明六
拝啓、益御清適奉賀候、然ば先般日仏会館理事に御再選相成候に付、御通知申上候処、御辞退の尊書に接し遺憾千万に御座候、御迷惑の義は真に恐入候得共、此場合は何卒御承諾被下候様切望罷在候に付ては重ねて申上候は欠敬の至に候得共、是非御承諾被成候様拝願申上度如此御座候、愚衷御諒察の上何卒御承引被下度候
右拝願迄得貴意候 敬具
  昭和三年九月廿二日            渋沢栄一
    白仁武様
             (鉛筆)
    服部金太郎様    各通
   ○右辞任ヲ申出タル三名ハ留任ス。