デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
12款 財団法人日仏会館
■綱文

第36巻 p.350-355(DK360142k) ページ画像

昭和4年2月16日(1929年)

是日、当会館及ビ日仏協会共同主催午餐会、丸ノ内日本工業倶楽部ニ開カレ、天皇ノ即位大礼ニ際
 - 第36巻 p.351 -ページ画像 
シテ爵位・勲章ヲ受ケシ両会会員二十七名ニ祝意ヲ表シ、旦ツ当会館学長ブラランジャン夫人及ビ理事山田三良送迎ノ意ヲ表ス。栄一出席シテ挨拶ヲ述ブ。午後、当会理事会同所ニ開カレ、栄一同ジク出席シテ、建築費借入ノ件其他ヲ議シ、更ニ栄一理事長トシテ評議員二十八名ヲ依嘱ス。


■資料

日仏会館書類(三) 【(謄写版) 拝啓 予而御裁可を得置候爵位勲章拝受会員に対し…】(DK360142k-0001)
第36巻 p.351 ページ画像

日仏会館書類(三)            (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓
予而御裁可を得置候爵位勲章拝受会員に対し祝賀の意を、渡欧の山田博士に対し送別の意を、及ブラランゲン氏夫人に対し歓迎の意を表する日仏協会共同の午餐会は、土曜日の方可然との御意見に基き、来る十六日(土曜)正午、丸之内日本工業倶楽部(会費金五円)に於て相催す事と致度候間、右御承認被下、同日午餐は御留保置願上度、此段予め御願上奉得貴意候 敬具
  昭和四年二月五日       常務理事 木島孝蔵
    理事長 子爵 渋沢栄一殿


日仏会館書類(三) 【理事会】(DK360142k-0002)
第36巻 p.351-353 ページ画像

日仏会館書類(三)            (渋沢子爵家所蔵)
    理事会
 昭和四年二月十六日午後二時半、丸之内日本工業倶楽部ニ於テ開催
 全数 理事二十名、監事三名
出席 十一名
   渋沢子・古市男・富井男・木島氏・杉山博士・山田博士・辰野氏・山本少将・平山男・木村清四郎氏・レイ氏、
欠席ニ付議決権委任者 九名
   姉崎博士・梶原氏・児玉氏・大橋氏・鈴木氏・結城氏・白仁氏・団男・木村久寿弥太氏
外ニ列席者 ド・ビイ仏国大使、学長ブラランゲン教授
    議事
一、仏国政府送金ニ関スル件
 仏国政府ヨリ会館建築資金中へ寄贈ノ弐万円ハ、唯今仏国大使ヨリ親シク理事長ニ手交セラレタル処、右ハ仏国側希望ノ通リ差向キ建築費ニ流用シ、将来ハ仏国派遣学者用ノ宿舎建築、若クハ研究設備ニ使用スル事
  但シ還元ノ方法ハ仏国大使ト協定ノ事
二、建築費借入ノ件
 会館新築資金不足分ハ、左記方法ヲ以テ補充スル事
 一、金四千円
  日仏協会ヨリ利率年六分、期間一ケ年数回更新ノ条件ヲ以テ、三月末借入ルヽ事
 二、金四万円
  日本興業銀行ヨリ利率年七分五厘、三年据置十ケ年以内ニ償還契
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約ノ下ニ、土地担保トシテ四月金弐万円ヲ借入レ、残金弐万円ハ議事第一項仏国政府寄贈金ノ使用ヲ要シタルトキニ便宜、土地又ハ家屋ヲ担保トシテ借入金ヲナス事
三、寄附金募集ノ件
 当会館新築ノ機会ニ於テ負債ヲ償却シ、若干ノ基金積立ノ為メ寄附金募集ノ件ハ、弗々研究着手スル事トセリ
四、山田博士仏国訪問ニ関シ依頼ノ件
 一、仏国ヲ訪問シ、日仏会館ノ事業タル両国学界ノ親近ヲ計リ、及求メニ応シ大学其他ニ於テ講演ヲナス事
 二、巴里日仏会館委員従来ノ好意ニ対シ、当会館理事会ノ謝意ヲ伝達シ、同委員ニ当方ノ現状ヲ説明シ、互ニ意志ノ疏通ヲ計リ、並ニ事業ノ発展ニ関シ意見ヲ交換スル事
五、仏教辞典編纂ニ関スル件
 昭和二年四月廿一日、理事会ニ於テ本辞典編輯ノ為メ館内ノ一室ヲ貸与スル事トナリシ以来、事業ハ遅緩ナガラ歩ヲ進メ来リ居リ、今般同辞典(法宝義林)ノ所有権ヲ当会館ニ譲渡ニ付、別紙写ノ契約致度旨関係者ヨリ申出ノ処、右ハ最初ヨリ本件ニ関アル姉崎・高楠両氏ノ意見ヲ聴取シタル上ニテ協議スル事トシ、本件ハ将来ノ理事会ニ譲ル事トセリ
六、アヴノル(Avenol)氏来朝ニ付、饗応ノ件
 国際聯盟事務副総長ナル同氏ハ、仏人ニシテ支那視察ノ途次来邦、来ル三月十八日ヨリ二十八日迄滞京ノ由ニテ、外務省ヨリ依頼ノ次第モ有之候ニ付、当会館及日仏協会共同ニテ同氏一行ノ歓迎ノ為メ三月廿日午餐会ヲ催ホス事
七、和蘭青年学者ラデル(Rahder)氏来館ノ件
 仏教辞典編纂事業助力ノ為メ、仏国政府特派ニカヽリ三月末来着ノ予定ナル同氏夫妻ニ対シ、ブラランゲン学長ト打合セ会館内ニ宿泊ヲ許容スル事
八、ピエヴアシ(Piedvache)氏来邦ノ件
 同氏ハ数学専攻ノ巴里理科大学助教授《アグレジエー》ニシテ、仏国政府ヨリ当館ニ特派セラルヽ事トナリタル由ニ付、着京ノ上ハ会館内ニ宿泊セシムル事
右之通リ
  昭和四年二月十六日
           議長 理事長 子爵 渋沢栄一
           書記 常務理事   木島孝蔵(印)
 追テ本日渋沢理事長ヨリ評議員ノ任期満了者二十七名及欠員壱名ニ対シ左記ノ如ク依嘱アリタリ
  エミル・エツク、長屋順耳、横田秀雄、久米桂一郎、吉江喬松、子爵渡辺千冬、下村宏、山口勝、アンベルクロード、林毅陸、和田英作、五来欣造、稲畑勝太郎、正木直彦、ボンマルシヤン、松岡新一郎、武石弘三郎、堀越善重郎、松村純一、与田作造、ジヤン・レイ氏の以上二十一名重任
外務次官吉田茂(出淵前次官米国ヘ赴任ニ付)、文部次官粟屋謙(松
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浦前次官京城ヘ赴任ニ付)、海軍主計少将服部邦光(佐分利貞男氏英国ヘ赴任ニ付)、文学士後藤末雄(山科礼蔵氏跡)、仏国大使館二等書記官ドブレル(前仏国大使館参事官ジヤンテー氏跡)、仏国大使館付陸軍武官バロン(前陸軍武官ルノンドウ中佐跡)、男爵大倉喜七郎(大倉喜八郎氏跡)氏ノ七名ヲ後任トシテ新タニ依嘱セラル


日仏会館書類(三) 【拝啓 時下益々御清祥奉大慶候、陳者当会館創立の際より…】(DK360142k-0003)
第36巻 p.353 ページ画像

日仏会館書類(三)(渋沢子爵家所蔵)
拝啓
時下益々御清祥奉大慶候、陳者当会館創立の際より御先考の御賛助を得、爾来役員として御尽力相成り居候処、今般其補充を要するに付、後任として貴男爵に当会館評議員御依嘱申上度候間右御承諾被下、当館事業ノ為メ御尽力相願度、此段御依頼迄奉得貴意候 敬具
  昭和四年二月十六日
        財団法人日仏会館理事長 子爵渋沢栄一
    男爵 大倉喜七郎殿


財団法人日仏会館第五回報告(自昭和三年四月一日至昭和四年三月三一日)第一一頁刊(DK360142k-0004)
第36巻 p.353 ページ画像

財団法人日仏会館第五回報告(自昭和三年四月一日至昭和四年三月三一日)第一一頁刊
    七、集会及接伴
○上略
一、昭和四年二月十六日、本会館及日仏協会共同主催ニテ、過般御即位大礼ニ際シ爵位勲章ヲ拝受セル両会々員二十七名ニ祝意ヲ表スル為メ、並ニ今般来着ノ当館学長ブラランゲム氏夫人、及万国学士院会議出席ノ機会ヲ利用シ、日仏会館事業ノ為メ訪仏ス可キ当館理事法学博士山田三良氏ニ歓迎送別ノ意ヲ表スル為メ、丸之内日本工業倶楽部ニ於テ午餐会ヲ開キタリ。出席者四十九名。男爵富井政章氏・若槻礼次郎氏・山田博士・仏国大使・渋沢子爵ノ挨拶交換アリ、二時半閉会ス。
○下略


日仏協会第二十一回報告(自昭和三年四月一日至昭和四年三月三一日)第五頁刊(DK360142k-0005)
第36巻 p.353 ページ画像

日仏協会第二十一回報告(自昭和三年四月一日至昭和四年三月三一日)第五頁刊
    六、送迎及講演会
○上略
一、昭和四年二月十六日、本会ト日仏会館ト共同主催ニテ過般御即位ノ大礼ニ際シ、爵位勲章ヲ拝受セル両会々員二十七名ニ対シ祝意ヲ表スル為メ、並ニ今般来着ノ日仏会館学長ブラランゲム氏夫人、及万国学士院会議出席ノ序ヲ以テ日仏会館事業ノ為メ、仏国ヲ訪問セラルベキ法学博士山田三良氏ヲ送迎スル為メ、丸之内日本工業倶楽部ニ於テ午餐会ヲ催セリ、出席者四十九名、男爵富井政章氏・若槻礼次郎氏・山田博士・仏国大使・及渋沢子爵ノ挨拶交換アリタリ
○下略


日仏会館書類(三) 【(全文栄一墨書) 四年五月二十八日木島氏来訪ニテ本書ニ実印ヲ捺シテ交付セリ】(DK360142k-0006)
第36巻 p.353-354 ページ画像

日仏会館書類(三)            (渋沢子爵家所蔵)
(全文栄一墨書)  四年五月二十八日木島氏来訪ニテ本書ニ実印ヲ捺シテ交付セリ
 - 第36巻 p.354 -ページ画像 
実印 借用証
一金四千円也
 右ハ当会館建築資金トシテ三ケ年借用致候ニ付、元金ハ此期限満了ノ節返済可致、利子ハ年六分ノ割合ニテ毎年六月及十二月ノ両度ニ御支払可致候、為後日証書仍テ如件
  昭和四年五月一日
          日仏会館理事長 子爵渋沢栄一印
 日仏協会理事長
  子爵 曾我祐邦殿


日仏会館書類(三) 【(栄一鉛筆) 四年五月二十八日木島孝蔵氏持参会見ノ上落手ス 借入金内訳】(DK360142k-0007)
第36巻 p.354 ページ画像

日仏会館書類(三)           (渋沢子爵家所蔵)
         (栄一鉛筆)
         四年五月二十八日木島孝蔵氏持参会見ノ上落手ス
借入金内訳
 金弐万円也 男爵原田熊雄氏
   借入 昭和三年三月十二日 土地代金未払分 利率年六分(三年間ニ随時返済ノ約)
   期限 昭和六年三月十二日 利息支払日 三・四・五年ハ年末、六年ハ期日
 金弐万円也 日本興業銀行
   借入 昭和四年三月廿九日(土地担保)利率年七分五厘
   期限 昭和十四年六月廿五日 三ケ年据置后七ケ年々賦償還
     別紙○次掲参照
金四千円也   日仏協会
   借入 昭和四年五月一日 利率年六分
   期限 満三ケ年 但更新シ得ル約 利息支払ハ毎六月・十二月
 外ニ
金弐万円也   仏蘭西勘定(仏政府寄贈)
 受入昭和四年二月十八日
  将来仏政府ノ希望ニ基キ、寄宿舎ナリ又ハ其他ノ設備ニ用ユル約束ノ下ニ寄与サレ、一時現建築資金ニ融用シ、爾后剰余金ヨリ本金額丈ヲ積立テ置ク約ナリ


日仏会館書類(三) 【(栄一鉛筆) 四年五月二十八日木島孝蔵氏持参会見ノ上落手ス 日本興業銀行借入金勘定】(DK360142k-0008)
第36巻 p.354 ページ画像

日仏会館書類(三)         (渋沢子爵家所蔵)
        (栄一鉛筆)
        四年五月二十八日木島孝蔵氏持参会見ノ上落手ス

図表を画像で表示日本興業銀行借入金勘定

     日本興業銀行借入金勘定 分割弁済期日   元金     利息 昭和4・6・25     0・  〃・12・25     0・    750・00   5・6・25     0・    750・00  〃・12・25     0・    750・00   6・6・25     0・    750・00  〃・12・25     0・    750・00   7・6・25   1,300・00   750・00  〃・12・25   1,300・00   701・25   8・6・25   1,300・00   652・50  〃・12・25   1,300・00   603・75   9・6・25   1,300・00   555・00  〃・12・25   1,300・00   506・25  10・ 6・25   1,300・00   457・50  〃・12・25   1,300・00   408・75  11・ 6・25   1,300・00   360・00  〃・12・25   1,300・00   311・25  12・ 6・25   1,300・00   262・50  〃・12・25   1,300・00   213・75  13・ 6・25   1,300・00   165・00  〃・12・25   1,300・00   116・25  14・ 6・25   1,800・00    67・50          20,000・00  9,881・25 


 - 第36巻 p.355 -ページ画像 


〔参考〕財団法人日仏会館第六回報告(自昭和四年四月一日至昭和五年三月三一日)第三―四頁刊(DK360142k-0009)
第36巻 p.355 ページ画像

財団法人日仏会館第六回報告(自昭和四年四月一日至昭和五年三月三一日)第三―四頁刊
    四、仏国政府派遣ノ碩学、青年学者及其他来館ノ学者
一、昭和四年五月十九日、ブラランゲム教授ハ夫人同伴講演ノ為メ、京都帝国大学及関西日仏学館ニ出張シ、序ヲ以テ山陽地方ヲ見学シ同六月一日帰館
 同年六月中旬、仏国ベルヴユー所在ベルトロウ研究所ニ於テ、同教授ト共同管理者タリシ同所化学部主任ムウリユ教授逝去ノ報アリ、旬日ヲ出デズシテ、ブラランゲム教授夫人ノ父君ラングロア教授モ亦逝去セラレタリトノ報アリ、コヽニ於テ教授夫妻ハ急遽帰国ヲ要シ、同年七月四日東京発シベリヤ経由ニテ帰国セリ、出発ノ際ハ約三ケ月後帰任ノ予定ナリシガ、其後同教授自身前記研究所長ニ任ゼラレタルト、其他同氏ガ従来関係セル学業ノ都合上、今後巴里ニ居住スルヲ必要トシ、昭和四年末当館学長ヲ辞任シ其儘巴里ニ止リ、当館ニハ帰任セザル事トナレリ
 同教授ハ私費ヲ以テ神奈川県鎌倉町稲村ケ崎ニ試作園ヲ設ケ研究ニ従事シ、又暇アル毎ニ当市小石川植物園ニ遊ブヲ常トシ、池野・藤井・柴田・早田諸博士ト往来シテ互ニ所見ヲ披瀝シ、又長与又郎・佐藤秀三両博士ノ尽力ニカヽル日仏生物学会ノ創立ニ寄与スル所アリタリ
 同教授ノ斡旋ニヨリ、千九百三十年二月八日ノ省令発布セラレ仏国政府ヨリ当館ニ派遣セラルヽ留学生ハ、総テ巴里最高ノ学校ニ属スル事トナリ、其結果今後当館留学ノ期間ヲ了シテ帰国スルモノハ、此期間巴里ノ大学及専門学校ニ属シタルモノト同一ノ待遇ヲ受クル事トナリタリ
 同教授ニハ、当会館事業ノ為メ種々計画アリタル如クナリシガ、在館僅ニ八ケ月余、其一端ノ実現ヲ見タルノミナリシハ甚ダ遺憾トスル所ナリ
○下略