デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
13款 社団法人国際聯盟協会
■綱文

第36巻 p.474-478(DK360179k) ページ画像

大正12年3月13日(1923年)

是ヨリ先一月、フランス共和国軍ドイツ国ノ賠償金不払ヲ名トシテ、ルール地方ヲ占領ス。是日、第三十四回理事会ノ決議ニ基キ、栄一、当協会会長トシテ、各国ノ国際聯盟協会ニ対シテ勧告書ヲ発シ、各国ノ協会ガ各自国政府並ニ国際聯盟ニ対シ、右問題ヲ国際聯盟ノ審議ニ付スベキヲ勧奨センコトヲ求ム。是ヨリ先、同趣旨ニヨリ政府並ニ国際聯盟事務局ニ対シテ勧奨ス。


■資料

国際知識 第三巻第三号・第五〇―五一頁大正一二年三月 ライン河畔の占領 青木得三(DK360179k-0001)
第36巻 p.474-475 ページ画像

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国際知識 第三巻第四号・第七九頁大正一二年四月 ルール占領に関し日本国際聯盟協会の勧告(DK360179k-0002)
第36巻 p.475-476 ページ画像

国際知識 第三巻第四号・第七九頁大正一二年四月
  ルール占領に関し日本国際聯盟協会の勧告
Sir
  The problem of reparations and of the occupation of the Ruhr is not only a cause of uneasiness between France and Germany; it may tend to endanger the peace of Europe as well as of the world at large.
  The governments and peoples of all countries are therefore deeply concerned to see it speedily settled.
  Considering the achievements attained in the past by the League of Nations, it is our firm conviction that the League will
 - 第36巻 p.476 -ページ画像 
be able to accomplish most valuable work in this connection.
  The Japanese Association for the League of Nations considers it highly desirable that the Council of the League of Nations should take up this matter, and as a first step, appoint an international commission of experts, including a representative of the United States, to investigate into and report upon Germany's real capacity of payment and the best means of realizing it in practice.
  However, to attain this end, we believe it to be necessary that joint action should be taken by the Associations for the League of Nations of all countries and accordingly we earnestly request that your Association will approach your Government and the League of Nations with this object in view.
  Our Association has already made an appeal on the lines above-mentioned to the Japanese Government and also to the Council of the League of Nations.
           Believe me, Sir,
             Yours faithfully,
                (E. Shibusawa)
              President of the League of Nations,
                Association of Japan
拝啓、陳者賠償並に「ルール」占領の問題は、単に仏・独両国に取り不安の因子たるに止らず、欧洲全土延いては世界の平和を脅かすものとして、各国の政府・人民共に其解決の一日も速ならんことを冀望致し居候、而して国際聯盟の過去の成績に顧みるに、本問題の解決に就ても聯盟は、必ずや有効なる貢献を為し得へしと信せられ申候
日本国際聯盟協会は、国際聯盟理事会が此際、速に本問題を審議し、先つ第一着の措置として米国を含む各国専門家委員会を任命し、独逸の実際支払能力及方法を調査報告せしむること最も望ましく存候、尤も之が為めには各国の国際聯盟協会に於て、一致の行動に出つること必要と認められ候間、貴協会に於ても貴国政府及国際聯盟に対し、右の趣旨に依り急速措置する様、御勧奨相成度切望に不堪候 敬具
 追て本協会よりは、既に日本国政府及国際聯盟事務局に対し、前記の勧奨申入置候
  大正十二年三月十三日
                  日本国際聯盟協会会長
                    子爵 渋沢栄一
    各国国際聯盟協会宛


国際知識 第三巻第八号・第八九頁大正一二年八月 仏国国際聯盟協会より本協会の通牒に対する回答文 (巴里本年五月十一日日附)(DK360179k-0003)
第36巻 p.476-477 ページ画像

国際知識 第三巻第八号・第八九頁大正一二年八月
    仏国国際聯盟協会より本協会の通牒に対する回答文
               (巴里本年五月十一日日附)
 予は貴協会の書翰を、本協会執行委員会議長巴里大学総長ポール・アツペール氏に廻送した。貴協会は其の書翰に於て、賠償問題並びに
 - 第36巻 p.477 -ページ画像 
ルールの軍事占領問題の、倶に重大緊急なるを説いて仏国の注意を求められた。貴協会は欧洲の平和及び世界の平和のために権威を有し、公平の立場に在る国際聯盟に此の困難にして悲痛すべき問題の解決を委托すべきである。若し然るべくんば各国専門家を以て国際委員会を組織し、独逸の財政的能力及び、その支払方法を公正に議定するの権限を賦与すべきであると思惟すると。
 本協会理事会は、最近の会合に於て貴協会の通牒を接受した、ポール・アツペル氏及び理事会は、左の趣旨を貴協会に通達せんことを予に命じた。仏国国際聯盟協会は貴協会と全く見解を一にするものである。仏国協会は本年一月九日、理事会々議に於て一の決議案を可決し『賠償問題及び聯合間国の債務問題を国際聯盟に附託せんこと』を要求した。此後数日、此の決議案は仏国に於て十四箇の協会を以て成る仏国国際聯盟協会聯合会の会議に於て可決せられ、斯くして本協会は我等の希望を表明せる此の決議を、一方に内閣議長ポアンカレー氏に送附して慎重の考慮を求めつゝ、一方にジュネーヴの国際聯盟事務局に送附した。
 斯れば貴協会の希望、即ち本協会の希望は近く考慮せらるゝことゝ見て然るべきか。併し乍ら玆に面倒なるは、此の希望は論理の必然であり正当であるに拘らず、幾多之を妨ぐるものあることである、これは貴協会も等しく認めらるゝ所であると思ふ、此の障碍は一種の心理問題に属するものである。仏国は今ルールを占領してゐる、
 仏国は是まで屡々、仏国は独逸を自覚せしむるに至るまでは、之を占領して一歩も撤退せざるべき旨を世界に声明した。此れはプレスチージュの問題である、アムープロプロク問題《(アムール・プロープル)》である。仏国人の多数は陰では仏国政府を批難するけれども、仏国の政策を賛助する様に見せかける、噫此れ悲しむべき現時代の国際政治の常態である。然しながら理智は少少づゝながらも、歩一歩地上に勝を制するものである。例へば仏国の最大勢力を有するル・タンは国際聯盟に托委して、独逸をして仏国の承認し得る提案を提出せしめんことを提唱した。又昨日英国下院に於てもフィッシャー氏、ロバート・セシル卿、アスフイタ氏は同趣意の演説した。………以上
   ○右賠償問題ニ対スルフランス国諸協会聯合会ノ動議、スイス国際聯盟協会中央委員会ノ同国政府ニ対スル勧告ノ動議並ニイギリス国国際聯盟協会執行委員会ノ決議及ビ各国国際聯盟協会ヘノ回牒アリ。其訳文左ノ誌上ニ掲ゲラレタリ。「国際知識」第三巻第五号(大正一二年五月)第二七・一〇八頁


国際知識 第三巻第九号・第一〇一―一〇二頁大正一二年九月 賠償問題を国際聯盟に附託せよ(DK360179k-0004)
第36巻 p.477-478 ページ画像

国際知識 第三巻第九号・第一〇一―一〇二頁大正一二年九月
    賠償問題を国際聯盟に附託せよ
 『吾々は聯盟に深き信頼を置く、聯盟は吾々と文明の滅亡との間に立つ』唯一のものである。然し聯盟はまだ若い。力は弱い。今之に過重な荷を負はす事は聯盟を片輪にすることである。米国は自ら聯盟外にゐる。独逸と露西亜は除外されてゐる。そして仏蘭西は今のところでは聯合国の後楯を恃んで力の政策を棄てやうとはせぬ。仏
 - 第36巻 p.478 -ページ画像 
蘭西のこの政策が失敗するならば昨年《(明年カ)》(?)の総選挙に於て政策の変更を見るだらう。それまでは聯盟は、仏蘭西をして道理に耳を藉さしむる事は出来ない。聯盟が強ひて之を試みんとするならば、それは聯盟の力を弱める事になる。……故に吾々の義務としては、今日聯盟を苦しめる事をせずに、仏蘭西が自ら覚めるまで、米国と独逸が加入し得るまで、聯盟を活かして置きさへすればいゝ。今日のところでは国際関係は頗る危機に立つてゐる。故に自分等の思ふ所では之等の事件は政府に委して置く事が一番賢なるものであらう。』
 日本聯盟協会がこの四月十日、賠償問題聯盟附託の声明を中外に発したに対するニウジランド聯盟協会の返事である。英・仏初め多くの協会が賛成意見を回答したに対し、一寸異色があると思つたので、特にこゝに挙げる。