デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
13款 社団法人国際聯盟協会
■綱文

第37巻 p.145-147(DK370025k) ページ画像

昭和2年5月21日(1927年)

是日、当協会日本女子大学校学生支部発会式、同校ニ催サル。栄一臨席シテ挨拶ヲ述ブ。


■資料

社団法人 国際聯盟協会会務報告 昭和二年度 同協会編 第三九―四〇頁昭和三年五月刊(DK370025k-0001)
第37巻 p.145 ページ画像

社団法人 国際聯盟協会会務報告 昭和二年度 同協会編
                        第三九―四〇頁昭和三年五月刊
 ○十四(三)各学生支部の活動
    ○日本女大支部
五月廿一日(発会式)会員千数百人
 女子の国際的奉仕             新渡戸稲造氏
 挨拶                   渋沢栄一会長
 一・二・三・四学年代表者支部設立に対する覚悟発表
○下略


家庭週報 第八九〇号 昭和二年五月二七日 国際聯盟学生支部発会式に 子爵渋沢栄一(DK370025k-0002)
第37巻 p.145-146 ページ画像

家庭週報 第八九〇号 昭和二年五月二七日
    国際聯盟学生支部発会式に
                    子爵 渋沢栄一
 お目出度い日に、また皆さんにお目にかゝる事の出来ました事を喜
 - 第37巻 p.146 -ページ画像 
びに存じます。
 今日、本大学の皆様が国際聯盟支部に自発的に加はられました事は本大学として悦ぶと同時に、国際聯盟会長としても深く御悦びを申す次第でございます。
 私が本大学に関係しております事は、度々皆さんに御目にかゝつて御話申上げましたが、国際聯盟会長としての私は初めて御目にかゝるわけであります。併しこの役柄は私として甚だ不似合ひであり、また皆さんからもおさげすみを受けるかと存じます。
 私は、不幸にして青年の時代に海外の事を学ばず、又老年となつても学ぶ機会を持ちませんでした。それ故、私程国際聯盟の会長に不似合な者はないと、誰が思ふよりか私自身がさう思ふのであります。然るに今から六年前に、国際聯盟は世界に是非必要であると思つて、その会に出席しました処、席上の皆さんが是非会長になれとのお薦めでございました、そしてそれを拒む事は会の精神に悖る事にもなると云ふやうな事になりまして、私はとうとう会長を御受合ひした次第でございました。
 今日の世の中では、古のやうな単なる愛国心・憂国心を以て自国に固着してゐるのみでは世を広く理解し愛してゆく事は出来ません。大に国際知識を養ふ事も必要で、たゞに老いたからと云ふ理由で何事も御免を蒙るよりは、先づ自ら務めてゆかなくてはならぬと考へてゐるのでございます。幸今日は国際聯盟の骨髄をよく知つてゐられる新渡戸博士に御出でを願ふ事が出来ましたので、皆さんと共に国際心に就て、また国際聯盟の主張に就て博士からお話を伺ひたいと存じます。
 世界に於ける東洋の位置、或はお互の考へねばならぬ事、又隣邦支那がどうなつてゐるかに就ては、先程学生の方からも御話がありましたから、私からは何も申上げませんが、世界に平和が必要な事は申す迄もない事で、アメリカの如き国柄のところでも、矢張国際聯盟に加はり、その精神を継続してゐるのを見ても、その如何に必要であるかを現してゐるものと見る事が出来ませう。
 これ迄、男子の学校には大分聯盟支部が設置されましたが、女子の学校で、然も有志と云はず、全校挙つて聯盟に入られた事は私の最も愉快に思ふ処で、同会に微力を致してゐる者としての私の悦びは、決して小なるものではありません。
 今後の世界平和は、決して男子の方のみでは出来ません。この事は故成瀬校長も度々云はれた事でありますから、皆さんは挙つて世界平和の一路に進んでゆかれる事を希ふ次第でございます。
 一言、何故私が国際聯盟の会長をしてゐるかの御申訳をのべ、之から新渡戸博士に、聯盟の実際に就てお話を伺ひたいと存じます。


国際知識 第七巻第七号・第一四四頁 昭和二年七月 ○本協会ニユース 女大学生支部発会式(DK370025k-0003)
第37巻 p.146-147 ページ画像

国際知識 第七巻第七号・第一四四頁 昭和二年七月
 ○本協会ニユース
▽女大学生支部発会式
 目白の日本女子大学では、五月廿一日渋沢子・新渡戸博士等の臨席を得て華々しく挙げた。学生支部員として全学生千数百名を包含する
 - 第37巻 p.147 -ページ画像 
斯の如き大なる支部の誕生にふさわしい程に恵まれた集ひであつた。尚同学支部幹事の氏名は左の通り。竹内成子・辻村もと子・竹森八重子・大塩貞子・清水利子・岡上千代子の諸嬢。
 当日の新渡戸博士講演々題は(女子の国際的奉任)、渋沢子爵も老躯に似合はぬ元気で一場の拶挨をなし、一・二・三・四学年代表者は支部設立につき各々その覚悟を述べた。