デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
4節 国際記念事業
3款 玉泉寺本堂修繕
■綱文

第38巻 p.440-444(DK380044k) ページ画像

昭和2年9月22日(1927年)

是日栄一、帝国ホテルニ於テ開催ノ日米協会第十九回円卓午餐会ニ出席シテ、玉泉寺修繕ノ経過並ニ会計ノ報告ヲナス。


■資料

(日米協会)邦文記録 第四号(DK380044k-0001)
第38巻 p.440 ページ画像

(日米協会)邦文記録 第四号     (社団法人日米協会所蔵)
昭和二年度
    第十七、第十九回円卓午餐会
時日  昭和二年九月二十二日正午(木曜)
場所  帝国ホテル
来会数 八十九名(米大使マクベイ・埴原大使・添田寿一・鎌田栄吉・藤山雷太・阪谷男等出席)
司会者 徳川公爵
来賓  子爵 渋沢栄一
    Mr. and Mrs. J.D. Greene
    Mr. and Mrs. Neville
    Mr. and Mrs. A.R. Preston
    Dr. H. Akagi
午餐后、渋沢子爵ヨリ玉泉寺修理完了式、並ニハリス記念碑建立ノ報告アリ ○下略


玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類(DK380044k-0002)
第38巻 p.440-442 ページ画像

玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類       (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓、時下益御清適奉賀候、然ば米国最初の使臣たりしタウンセントハリス氏の遺跡(伊豆玉泉寺)修理保存の義に関し、昨年日米協会会長徳川公爵に御援助方願上候処、貴台にも右資金の中へ御寄附被成下難有奉存候、御援助に依りて修繕工事無滞完了致、去四月同寺檀家総代並住職に引渡を了候間、別紙報告書相添御礼旁御通知申上候、尚同寺境内に右ハリス氏の本邦に於て始めて米国国旗を樹立せし位置を卜し記念碑建設の計画有之、来る九月頃迄に竣工の筈に付、其除幕式と
 - 第38巻 p.441 -ページ画像 
共に修築工事落成式をも挙行する予定に付、其節は御案内可申上候間何卒御参会御一覧被下度候、右御礼旁可得貴意匆々如此御座候 敬具
                    渋沢栄一
  昭和二年五月二十日

    報告
伊豆柿崎ノ玉泉寺ハ辺陬ノ一小寺ナルモ、安政開国ノ初米国総領事タウンセント・ハリス氏ノ駐箚ニ依リ、我国ニ於ケル最初ノ外国使臣館トシテ遠ク外国ニ其名ヲ知ラルヽニ至レリ、ハリス氏ハ勇敢真摯ノ士ニシテ当時世界ノ大勢ニ疎キ我国ニ対シ、威圧ヲ加フルガ如キコト無ク、隠忍持久三年ノ久シキニ亘リテ誘導啓発シ極メテ公平ナル通商条約ヲ締結シ、以テ後来諸外国ヲシテ其規範ヲ超ユル能ハザラシメタルノミナラズ、爾来頻発セル幾多外交上ノ葛藤ニ対シテモ、能ク我国情ヲ察シテ常ニ懇切穏当ノ態度ヲ持シ、多大ノ便益ヲ得セシメタルハ真ニ我カ開国ノ恩人ト云フベシ、然ルニ横浜ノ開港ト共ニ下田港閉鎖セラレ、米国国旗撤去セラルヽニ及ビテ玉泉寺ハ復タ昔日ノ寒寺トナリ了リ、爾来六十余年ノ星霜ヲ経テ幕末維新史上忘ルベカラザル此遺跡モ、甚シク荒廃シテ徒ニ雑草ニ埋ルヽコトヽナリ、加之大正十二年ノ大震災ニ於テ屋傾キ壁墜チ殆ト旧形ヲ矢ハントスルニ至レリ、於是同寺ノ住職檀家並ニ関係町村長等深ク之ヲ慨シ、汎ク資ヲ募リテ之ヲ修繕センコトヲ期シテ予ノ賛助ヲ求メラルヽニ会シ、現今日米国交上ノ関係ニ鑑ミ坐ニ感慨已ミ難ク、此計画ヲ成就セシメント日米協会会長徳川公爵ニ謀リ、同会員各位ノ後援ヲ得、堂宇ヲ旧観ニ復シ、以テ永ク後世ニ伝フルコトヲ得ルニ至レルハ欣喜ニ絶ヘザル処ナリ
工事ニ関シテハ義捐者各位ノ厚意ニ違ハザルベキヲ期シ、建築家清水釘吉君ニ依頼シ、特ニ技師ヲ派遣シテ終始工事ノ監督ヲ請ヒ、又下田町長・浜崎村長・玉泉寺住職・檀家総代及小生事務所員ニ修繕委員ヲ嘱託シテ、工事及会計事務ヲ取ラシムルコトヽシテ、大正十五年十月着手シ、昭和二年二月工ヲ了リ、同二年四月修繕委員立会ノ上、檀家総代ニ之ヲ引渡シタリ
工事ヲ種別スレバ本堂全部芥洗ヒ、本堂直立水平屋直シ、屋根茅葺ヲ銅板葺ニ改造、本堂全部ノ外部修繕、同床修繕、同壁塗替、タウンセント・ハリス氏、ヒユースケン氏及館員等ノ居室並同応接室、同事務室内外廊下等ノ修繕ナリ
会計ニ関シテハ別紙収支計算書ノ如ク、収入支出各合計金八千五百壱円八拾六銭ニシテ差引残金ナシ
    玉泉寺修繕費収支計算書
   収入ノ部
一金八千参百拾参円七拾弐銭  寄附金総額(寄附者芳名別紙ノ通)
一金百八拾八円拾四銭     右預金利子
 合計金八千五百壱円八拾六銭
   支出ノ部
一金七千七百参拾九円弐拾壱銭 本堂及附属物修繕及屋根改造ノ費用
  金弐千八百弐拾七円九拾六銭 材木及雨戸材料代
 - 第38巻 p.442 -ページ画像 
  金千六百五拾壱円弐拾銭   銅瓦四千八百枚(屋根葺用)代
  金八拾壱円六拾銭      フエルト金具(屋根葺用)代
  金千五百四拾九円八拾五銭  大工手間代(但シ一人ニ付金弐円四拾銭ノ割)
  金弐百円也         鳶方手間及足代損料
  金八拾八円也        石屋手間及材料代
  金参百五拾円也       錺方手間代
  金弐百四拾円也       左官手間及材料代
  金百弐拾五円六拾銭     雨戸工作手間及材料代
  金四百四拾五円也      畳工事手間及材料代
  金八拾五円也        芥洗ヒ代
  金九拾五円也        大小釘金物代及雑工事費
    〆
一金七百六拾弐円六拾五銭   雑費
  金五拾壱円七拾五銭     火災保険料
  金百弐拾九円参拾銭     諸印刷費
  金六拾円七拾五銭      郵券代
  金弐拾五円拾弐銭      封筒用紙代
  金参百参拾参円七拾弐銭   工事監督ニ係ル諸掛費
  金百六拾弐円壱銭      諸雑費
 合計金八千五百壱円八拾六銭
差引残ナシ
(朱書)
原簿 玉泉寺修繕費寄附者芳名   (A・B・C順)
○中略
 一金壱千円也        子渋沢栄一
○中略
  以上合計金八千参百拾参円七拾弐銭 百拾四名


玉泉寺本堂修繕決算報告書(DK380044k-0003)
第38巻 p.442-443 ページ画像

玉泉寺本堂修繕決算報告書         (渋沢子爵家所蔵)
    玉泉寺本堂修繕決算報告書
一、弐千四百七拾七円九拾六銭也  材木代金及雨戸材料共一色
一、参百五拾円也         臨時材木代金一色
一、千五百四拾九円八拾五銭也   大工手間賃 但シ一人ニ付弐円四十銭ノ割
一、弐百円也           鳶方手間及足代損料共
一、八拾八円也          石屋材料手間代金共
一、八拾五円也          芥洗代金
一、百円也            ヘルト及金具代金
一、参百五拾円也         錺方手間賃
一、弐百四拾円也         左官材料手間代金
一、九拾円六拾銭也        雨戸工作手間
一、四百四拾五円也        畳工事材料手間代金
一、四拾五円也          開山室及便所屋根材料手間共
一、参拾五円也          雨戸用建具金物代金
一、五拾円也           大小釘金物代金
一、拾五円也           天井紙張代金
 - 第38巻 p.443 -ページ画像 
一、拾四円也           障子紙張代金
一、百七拾五円也         火災保険料及諸雑費
一、百円也            障子材料代金
一、参百参拾円也         障子工作手間及襖代金
 計金六千七百四拾円四拾壱銭也   支払金
  内 一金百六拾四円也 障子襖修繕取止メノ為控除金
 差引  一金六千五百七拾六円四拾壱銭也
     一金六千弐百九拾五円四拾弐銭也 銅板代金除キ請負金一切
 差引不足金  一金弐百八拾円九拾九銭也 不足金
  右之通リニ候也
          修繕委員 下田町長 鈴木寅之助(印)
          〃    浜崎村長 曾我彦右衛門
          〃         寺川嘉三郎
          〃         土屋仁佐吉(印)
          〃         村上文機(印)
  昭和二年四月
  渋沢事務所
    増田明六殿


玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類(DK380044k-0004)
第38巻 p.443 ページ画像

玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類       (渋沢子爵家所蔵)
(控)    村上文機様
拝啓、其後御無音ニ相成候処、益御清勝之段敬賀の至りに候、御寺修繕工事の義貴兄始め委員各位の御尽力と、高橋技師の適当なる督工と将又請負人増田柳平君以下従業者各位の奉仕的意念ニ依りて、予定之通り竣工し、今や僅に襖修繕を存するのみに相成候由、高橋技師より承り大に安心致候、小生も工事の中一度実地を検分致度心掛候も多忙の為め其時日を不得遂ニ其機を逸候
ハリス記念碑も其後設備進捗して、最早碑正面の英文彫刻を終了し、不日裏面の邦文彫刻ニ着手する運と相成候、来四月中にハ建設地基礎工事も完成して、完全に建碑を為し、五月上旬にハ除幕式を執行致度予定ニ候
御寺修繕工事落成式も右除幕式と同時に挙行致度、右両式にハ東京より米国大使・渋沢子爵其他有名なる人々参会する筈ニ候、其氏名等ハ後日御報知可致候
御寺襖修繕費支弁の運無く御困難の由にて、当方にて之を支弁する資金なき哉と高橋技師より懇談有之、誠に御気之毒と察居候へ共、当方にても醵金全部を修繕費に充当し、落成式ニ要する費用を如何にして得べき哉と考慮致居候次第にて、到底修繕費予算以上貴方ニ送金する余裕無之候間、右資金ハ貴方ニて御工夫被成度候
先ハ得貴意度匆々如此御座候 拝具
                 増田明六
(欄外日付)
[昭和二年二月二十一日

 - 第38巻 p.444 -ページ画像 

玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類(DK380044k-0005)
第38巻 p.444 ページ画像

玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類        (渋沢子爵家所蔵)
  玉泉寺住職
    村上文機殿
拝啓、時下益御清適賀上候、然ば御寺修繕工事の義は当方より派遣の高橋技師より常に進工の報告を受け居候処、去二月無滞竣工致候に付き、更に同氏を派遣して去月右御引渡を為致候次第にて、右は全く貴下始め委員各位の御多忙にも不拘、長日間御尽力被下候結果に外ならすと深く感謝の至に御座候、右竣工に付ては渋沢子爵も大に悦はれ、委員各位に対し深く感謝の意を表し、本日謝状を発せられ候、尚請負者増田柳平君、及御地大工組合へは小生より夫々謝状を発送致置候
本日別封にて貴寺修繕工事落成に付、引継に関する書面発送致置候間貴着候はゞ貴下並檀家総代各位の御連名を以て、之が受書御送附被下度候
右得尊意度如此御座候 匆々拝具
  昭和二年五月十日           増田明六


玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類(DK380044k-0006)
第38巻 p.444 ページ画像

玉泉寺本堂修繕ニ関スル書類        (渋沢子爵家所蔵)
    御受書
   修繕工事目録
 一本堂全部芥洗ヒ
 一同 直立水平屋直シ
 一同 全部外方修繕
 一同 全部床修繕
 一同 全部壁塗替
 一同 タウンセント・ハリス氏居室及次ノ間修繕
 一同 領事館事務室修繕
 一同 上ノ間修繕
 一同 開山室修繕
 一同 其他ノ各室修繕
 一同 内外廊下修繕
 一同 便所修繕
   以上
 右之通リ御受仕リ候也
  昭和二年五月十三日
                玉泉寺住職
                     村上文機(印)
                同寺檀家総代
                     鈴木仙蔵(印)
                     土屋仁佐吉(印)
                     増田久太郎
                     増田由蔵
タウンゼントハリス氏
  遺跡保存有志総代
   子爵 渋沢栄一閣下