デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
5節 外賓接待
15款 其他ノ外国人接待
■綱文

第39巻 p.54-56(DK390015k) ページ画像

明治44年4月8日(1911年)

是日、東京商業会議所主催アメリカ合衆国シカゴ東洋視察団接見会、同所ニ開カル。栄一臨席シテ挨拶ヲ述ブ。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四四年(DK390015k-0001)
第39巻 p.54 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治四四年        (渋沢子爵家所蔵)
四月八日 晴 軽寒
○上略午後五時商業会議所ニ抵リ、米国観光団接見会ニ出席シ、一場ノ挨拶ヲ為ス○下略


竜門雑誌 第二七五号・第六五―六七頁明治四四年四月 ○シカゴ観光団接見会(DK390015k-0002)
第39巻 p.54-56 ページ画像

竜門雑誌 第二七五号・第六五―六七頁明治四四年四月
    ○シカゴ観光団接見会
四月七日午前、モンゴリヤ号より横浜に上陸したる米国シカゴ東洋視
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察団一行五十余名の中、シカゴ大学教授グード氏其他四十余名は、既報の如く八日午後二時三十分新橋着の列車にて上京したり。
△上野の観桜 是れより先き同駅には中野商業会議所会頭、日比谷副会頭、根津・杉原の各常議員等の出迎えあり、中野会頭以下の案内にて会議所より差廻せる十数輛の馬車に分乗し、先づ上野公園に至りて桜花を賞し、サクラサクラと絶叫し、夫れより池ノ端に開会中なる東京勧業展覧会を縦覧したる後、東京商業会議所に於ける接見会に臨み、軈て午後四時三十分食堂は開かれたり。
△主賓の挨拶 中野会頭を始め其他の常議員等は、先年米国に渡航しグード教授等とは旧識の間柄とて、互ひに久濶を叙しつゝ打ち寛ぎて談笑歓語し、宴半となるや中野会頭の発声にて米国大統領の万歳を唱へ、次でグード教授の発声にて日本天皇陛下の万歳を唱へ奉り、次で中野会頭は起て「巨船ミネソダ号故障起りたる為め、折角企画せられたる米国大観光団の来遊中止せられたるは頗る遺憾の至りなり、併し図らずも本日斯く多数の紳士淑女の御来遊ありて、一堂の中に相見ゆるを得たるは深く光栄とする所なり、先年我が家業家の渡米したる際には、頗る懇切なる待遇を与へられたるを謝すると同時に、本日は時間切迫の為めに思ふ程の御款待を為す能はざるを遺憾とす」と述べて加藤辰弥氏之れを英訳し、グート氏は熱誠なる態度を以て歓迎の好意を謝し且つ述べて曰く、過ぐる日露戦役に於いて日本が連戦連勝の快報に接する毎に、我米国人は自国の勝利を得たる如く喜べり、爾来日米の親交は依然として愉らず、偶々黄色紙の荒誕無稽の言論に依りて悪評を伝へられ、蜜の如き親交を傷けんとせられたるは頗る遺憾の極みと謂ふべし、是れは決して米国民多数の本意に非ざると同時に、日本国民諸氏の本意にもあらざるべしと思ふなり、由来貴国は東洋に於ける美術国なり、又茶絹織物等の名産ありて海外に名声を博し居れり今度自分等一行は汪洋たる太平洋の波上を踏破し来りたるに就て思ひ浮べる感想あり、試に之を日本絹に喩へんか、太平洋を渡りて日米間を往来する多数の船舶は経にして又両国間を往来する日米人は則ち緯なり、此経緯相待つて密接せば則ち美麗なる絹を織上ぐるを得る如く日米間の親交は美なる絹織物を織上ぐる為め益々往来の頻繁ならん事を望むと述べ、満堂の喝采を博し山崎シカゴ領事之を邦語に訳せり。
△君ケ代の合唱 次に青淵先生先年渡米実業団の款待に対する謝辞を述べ、只今グード教授より申されたる美麗なる絹を完織する事は尤も望しき事にて、これによりて商業の益々発達する事ともならば、尚ほ更らに可なるべし、商業上の発達は両国の親善を鞏固にする基礎である云々と結び、頭本元貞氏の翻訳にてシカゴ団の喝采を博し、夫れより主客打ち解けて歓語せしが、終りにグード教授の音頭にて一行は一斉に起立し、日本の国歌君ケ代を合唱したるが、其の音調抑揚の巧妙なる之れが外人の口より出でたる日本国歌かと疑はるゝばかりに、満堂嘆賞して拍手急霰のごとくなりき、軈がて会果てゝ散会せんとする時に方り、グード教授は一行を促がし立て、シカゴシカゴ日本日本万歳を唱和し、会議所楼上更らに一段の和気を加へて互ひに握手を交換し婦人連も頻りに「左様なら」と愛嬌を振撒き、嬉々然として新橋に向
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ひ、午後六時新橋発にて神戸に直行したり、当日来会者の重なるは石井外務次官・荻原通商局長・押川農商務次官・青淵先生・高橋副総裁・清野南満理事、其他実業団の諸氏並に夫人・令嬢数十名なりき
   ○「中外商業新報」第八九五六号(明治四十四年四月九日)ニ米観光団入京ニ関スル記事アリ。略ス。