公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2025.3.16
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大正5年9月(1916年)
是月、梶山彬「竜門雑誌」中ノ栄一ノ論語ニ関スル講話ヲ編集シ「論語と算盤」(全一冊)ト題シテ東京ノ東亜堂書房ヨリ発行ス。昭和二年二月、凡例中ノ渋沢男爵ヲ渋沢子爵ト改メ、忠誠堂ヨリ刊行ス。同三年一月同所ヨリ再版刊行。更ニ同二十九年十月、浅野重次郎、編者並ニ出版者ノ承認ヲ得テ別版ヲ刊行ス。同三十年六月、同人再版刊行。
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 凡例 大正五年九月刊(DK410086k-0001)
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論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 凡例 大正五年九月刊
凡例
一、本書題して『論語と算盤』とせしは、毫も奇を衒ひ異を好みて世人に迎合せんが為にあらずして、其の命名は全く次項の理由に基くものなり
一、本書収むる所は、我邦実業界の一大権威たると共に、特に財界の恩恵者たる渋沢男爵が、明治の初年大に慨する所あり、輙ち印綬を解きて野に下り、翻然として実業界に投ぜらるるに方り、信条を孔子教に執り、爾来四十有余年の久しき、『論語と算盤』とは必ず合致すべきもの、又合致せしめざる可からざるもの、換言すれば『仁義と殖利』とは、其の根柢に於て必ずしも捍挌するものにあらざることを創唱し、実践し、身を以て範を垂れ、且つ筆に舌に鼓吹せられつゝあるの精髄なり。
一、簡冊を成すが如きは、素より男爵の志にあらざるは敢て再言するの要なしと雖も、世上今尚ほ『道義と金銭』とは枘鑿相容れざるものゝ如き謬想に囚はるゝもの尠少にあらざるを以て、玆に偉人の活教訓を提供して、之が迷夢を警醒せんが為め、特に快諾を得て蒐集編纂せるものなり。
一、書中に蒐輯せるものは、男爵が時処に関はらず、物に応じ事に接して訓話せられたるものなれば、固より一の著述に於けるが如く、秩序的の系統をなさゞるは言を須ゐざるのみならず、往々重複するもの尠からざれども、重複は即ち丁寧反覆の意にして、特に其の事項に対して注意を促すものと謂ふべきのみ。
一、書中、篇を設け章を別ちたりと雖も、是れ固より毎訓話の全璧に亘るものにあらずして、中に就て崑山の片玉を捃摭し、読書子の繙閲に便ぜんが為め、特に編者が推類区分したるに過ぎざるなり。
一、本書を編纂するに方りては、之が資料は悉く竜門雑誌に仰ぎたるものなれば、爰に明記して責任を明かにす。
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一、本書の刊行に際しては、男爵門下の竜門社幹事八十島親徳氏は、常に公私の要務多端なるにも関らず、一再ならず貴重の時間を割愛し、以て懇篤なる幇助と便宜とを与へられたり、仍つて玆に特記し謹んで感謝の意を表す。
大正五年九月 編者識
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 奥付 大正五年九月刊(DK410086k-0002)
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論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 奥付 大正五年九月刊
大正五年九月 七日印刷 縮刷名著叢書 第三十七編 大正五年九月十三日発行 正価金壱円 述者 渋沢栄一 編者 梶山 彬 [img 図]不許複製 発行者 伊東芳次郎 東京市牛込区神楽町一丁目一番地 印刷者 今村 扶 東京市本所区番場町四番地 印刷所 凸版印刷株式会社分工場 東京市本所区番場町四番地 発行所 東京市牛込区神楽町一丁目 電話番町五三七・六一七一 振替東京一七一番 東亜堂書房
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 第一―三頁 大正五年九月刊(DK410086k-0003)
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論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 第一―三頁 大正五年九月刊
論語と算盤
男爵渋沢栄一述
処世と信条
○論語と算盤は甚だ遠くして甚だ近いもの
今の道徳に依つて最も重なるものとも言ふべきものは、孔子のことに就て門人達の書いた論語といふ書物がある、是は誰でも大抵読むと云ふ事は知つて居るが、此の論語といふものと、算盤といふものがある、是は甚だ不釣合で、大変に懸隔したものであるけれども、私は不断に此の算盤は論語に依つて出来て居る、論語は又算盤に依つて本当の富が活動されるものである、故に論語と算盤は、甚だ遠くして甚だ近いものであると始終論じて居るのである、或時私の友人が、私が七十になつた時に、一の画帖を造つて呉れた、其の画帖の中に論語の本と算盤と一方には「シルクハツト」と朱鞘の大小の絵が描いてあつた一日学者の三島毅先生が私の宅へござつて、其の絵を見られて甚だ面白い、私は論語読みの方だ、お前は算盤を攻究して居る人で、其の算盤を持つ人が斯くの如き本を充分に論ずる以上は、自分も亦論語読みだが算盤を大に講究せねばならぬから、お前と共に論語と算盤を成るべく密著するやうに努めやうと言はれて、論語と算盤のことに就て一の文章を書いて、道理と事実と利益と必ず一致するものであると云ふことを、種々なる例証を添へて一大文章を書いて呉れられた、私が常に此の物の進みは、是非共大なる慾望を以て利殖を図ることに充分でないものは、決して進むものではない、只空理に趨り虚栄に赴く国民は、決して真理の発達をなすものではない、故に自分等は成るべく政治界・軍事界などが唯跋扈せずに、実業界が成るべく力を張るやうに希望する、これは即ち物を増殖する務めである、是が完全で無ければ
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国の富は成さぬ、其の富を成す根源は何かと云へば、仁義道徳、正しい道理の富でなければ、其の富は完全に永続することが出来ぬ、玆に於て論語と算盤といふ懸け離れたものを一致せしめる事が、今日の緊要の務と自分は考へて居るのである。
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 奥付 昭和二年二月刊(DK410086k-0004)
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論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 奥付 昭和二年二月刊
昭和二年二月三日印刷 論語と算盤=奥付 昭和二年二月五日発行 定価金壱円五拾銭 述著 渋沢栄一 編者 梶山 彬 [img 図]不許複製 東京市神田区今川小路二丁目十四番地 発行兼 高倉嘉夫 印刷者 東京市神田区今川小路二丁目十四番地 印刷所 忠誠堂印刷所 発行所 東京市神田区今川小路 電話九段33一九五八番 忠誠堂 振替東京二九四三一番
○昭和三年一月十五日発行書、奥付・印刷・発行日以外右ニ同ジ、略ス。
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 跋 昭和二九年一〇月刊(DK410086k-0005)
第41巻 p.349-350 ページ画像
著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 後付 昭和三〇年六月再刊 【「論語と算盤」の再刊 高木一夫】(DK410086k-0006)
第41巻 p.350-352 ページ画像
著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 奥付 昭和三〇年六月再刊(DK410086k-0007)
第41巻 p.352 ページ画像PDM 1.0 DEED
論語と算盤 渋沢栄一述 梶山彬編 奥付 昭和三〇年六月再刊
昭和二十九年九月二十五日印刷 昭和二十九年十月 一日発行 昭和三十年 六月 十日再刊発行 [img 図]承認済再刊 述者 渋沢栄一 編者 梶山 彬 発行者 浅野重次郎 印刷人 印刷所 青樹印刷株式会社
○右ハ刊行ノ際追補セルモノナリ。