デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
2款 講道館 1. 財団法人講道館
■綱文

第43巻 p.334-336(DK430045k) ページ画像

明治43年2月27日(1910年)

是日、当館下富坂道場ニ於テ、当館理事・監事会開カレ、当館ノ維持経営ニ関スル寄付金募集等ニ就キ協議ス。栄一出席ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四三年(DK430045k-0001)
第43巻 p.334 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治四三年          (渋沢子爵家所蔵)
二月二十七日 晴 風寒
○上略 午前十一時講道館ニ抵リ、嘉納氏、若槻・矢作・柿沼ノ諸氏ト寄附金募集ノ事ヲ協議ス○下略


財団法人講道館本部記録壱(DK430045k-0002)
第43巻 p.334 ページ画像

財団法人講道館本部記録壱           (財団法人講道館所蔵)
    明治四十三年度
      二月
二十七日 日曜 晴 午前十時、理事監事会ヲ下富坂道場ニ開ク、嘉納・若槻・矢作ノ三理事、渋沢・柿沼ノ監事出席、決議シタル事項左ノ如シ
  一、明治四十二年六月ヨリ十二月ニ至ル事業ノ状況、処務ノ要件、収支計算書・貸借対照表・財産目録ヲ報告シ、計算法ハ始メ道場ハ独立経済トシ不足ヲ補助シ余剰ヲ本部ニ納付セシムル法ナリシヲ、凡テ法人直接経営ト改メ、従テ決算及予算ノ編成ヲ改ムル事トナレリ
  一、寄附金募集賛助者トシテ依頼スベキ人名ヲ議定シ、承諾ヲ得テ理事・監事・評議員・賛助員列名ニテ募集ニ着手スル事
  一、寄附行為ニ依リ設立者選定ノ維持員ヲ急ニ定ムル事
 設立者ハ右維持員選定ノ標準トシテ、第一柔道ノ技術ヲ有スル者、第二技術ナキモ講道館ニ籍ヲ有スルモノニシテ閲歴性行ノ優レタル者、第三館外ノ有力者ニシテ社会ニ勢力アル者、等ヨリ選抜スルコトヲ明示セリ
   ○明治四十二年六月ヨリ十二月ニ至ル事業ノ状況、処務ノ要件、収支計算報告・財団法人講道館寄附行為・同寄附金募集規定・同会計規則ハ、本資料第二十六巻所収「講道館」明治四十二年五月三十日ノ条参照。


渋沢栄一 日記 明治四三年(DK430045k-0003)
第43巻 p.334 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治四三年          (渋沢子爵家所蔵)
六月十七日 曇 冷
○上略 兜町事務所ニ抵リ、伊東祐忠氏・大川平三郎氏等ニ接見ス、又嘉納治五郎氏ノ来訪ニ接ス○下略



〔参考〕自明治四十三年一月至同 年十二月財団法人講道館報告書 刊(DK430045k-0004)
第43巻 p.334-336 ページ画像

自明治四十三年一月至同 年十二月財団法人講道館報告書 刊
 - 第43巻 p.335 -ページ画像 
    事業ノ状況
財団法人講道館ハ、明治四十三年度ニ於テ、寄附金募集規定・会計規則等ヲ制定シテ、内部ノ整頓ヲ計ルト同時ニ外部ニ向テ寄附金募集ヲ発表シタリ
柔道ノ修業者ハ年々ニ増加シ、当年新ニ講道館ニ入門シタル者、下富坂道場六百八十四名、開運坂道場六十三名、静岡道場義正館九十七名合計八百四十四名ニ及ヒ、此外内地ハ言フニ及バズ朝鮮・台湾・満洲等ニ於テ講道館柔道ヲ修行スル者其数益々多キヲ加フルニ至レリ、而シテ講道館柔道ガ青年子弟ノ体育上及ヒ神精修養上ニ於ケル勢力ノ拡張スルト共ニ、本館ノ責任亦軽カラサルモノアリ、是ヲ以テ可成的良好ノ教師ヲ養成スルコトニ努メ、又監督ノ方法ヲ講シ、先ツ市内柔道ノ統一ヲ図レリ、追テ尚漸次一般ニ及ホスノ精神ナリ
講道館ハ独リ青年者ヲ訓陶スルノミニ止マラス、父兄ニ対シテ柔道ノ本旨ヲ紹介シ、斯道ニ対スル智識ヲ普及スル必要ヲ認メ、時々講演会ヲ開キテ、理論ト実地トニ就キ之ヲ説明スルトコロアリタリキ
之ヲ要スルニ、講道館ハ将来ニ於テ為スヘキ事業多シト雖モ、今ハ僅カニ法人トシテ呱々ノ声ヲ揚ケタルニ止マリ、是ヨリ基金ノ募集ニ着手スル次第ナルヲ以テ、未タ進テ事業ノ発展ヲ計ル能ハス、資力ノ充実スルニ従テ漸次計画スルトコロアルヘシ
    処務ノ要件
一市内ニ於テ柔道ヲ課セル各種学校及ヒ道場ノ柔道教育上可成一定ノ方針ヲ執ル必要ヲ認メ、二月二十六日聯合協議会ヲ開キ、聯合勝負等ノ場合ニ於ケル矯弊進善ノ道ヲ講シ、大ニ得ルトコロアリタリ
一三月十二日ヲ以テ財団法人講道館寄附行為・理事監事姓名住所及ヒ財産目録ヲ東京府知事ニ申告ス
一明治四十二年六月ヨリ同年十二月末ニ至ル事業ノ状況、処務ノ要件収支計算及ヒ財産目録ヲ三月十二日東京府知事ヲ経テ、文部大臣ニ申告ス
一講道館柔道ノ本旨ヲ、天下ノ識者ニ紹介スル目的ヲ以テ、三月二十日・二十一日ノ両日、貴衆両院議員・在京高等官・府市区会議員・東京商業会議所会員・医師・弁護士・銀行会社長・新聞通信記者等ヲ招待シテ、講道館ノ沿革ヲ話シ、従来ノ柔術ト講道館柔道トノ関係、講道館柔道ノ性質・目的、講道館柔道教育ノ方法ヨリ、年齢ニ応シ教授上及ヒ修行上ニ要スル注意等ニ就キ講演シ、特ニ乱捕形等ニ至テハ、実地ニ就キ説明ヲ為シ、斯道ニ関スル智識ノ普及ヲ努メタリ
一講道館静岡道場義正館建築功成リ、四月十七日落成式ヲ挙行シ、館長出席シテ講演ヲ為シ、来観者ノ耳目ヲ新ニセリ
一設立者ハ寄附行為ニ基キ、五十名ノ維持員ヲ選定シ、五月二十九日維持員会ヲ開キ、事務ノ経過、四十二年度会計決算等ヲ報告シ、維持員ハ嘉納治五郎氏ヲ講道館長ニ推選シテ其承諾ヲ得、又評議員二十名ヲ選出セリ、同日引続キ評議員会ヲ開キ、評議員ハ館長以外ノ理事及ヒ監事ヲ選出スルニ際シ、従前ノ通リ理事ニ若槻礼次郎・矢作栄蔵両氏、監事ニ男爵渋沢栄一・柿沼谷蔵両氏ヲ挙ケ、其承諾ヲ
 - 第43巻 p.336 -ページ画像 
得タリ
一評議員ハ五月廿九日ヲ以テ寄附金募集規定ヲ定メ、七月廿八日ヲ以テ会計規則ヲ議定セリ
一横浜養義館ノ申請ニ対シ、六月廿二日師範ハ講道館柔道修行場ヲ許可シ、同時ニ修行場誓文ヲ定ム
一七月秋田県警察部長ヨリ二名、名古屋陸軍地方幼年学校長ヨリ一名及ヒ其後秋田県知事ヨリ女子一名ノ練習生ヲ派遣シ来リタルニ依リ館長ハ夫々教師ヲ選定シテ指導ノ任ニ当ラシメ、相当ノ成績ヲ挙クルコトヲ得セシメタリ
一理事ノ決議ヲ以テ、本館取引銀行ヲ株式会社第一銀行ト定メ、九月初メヨリ特別当座取引ヲ開始セリ
一、寄附金送付ノ便利ヲ計ル為メ、九月六日振替貯金加入ヲ請求シ二十日許可サル、其口座番号ハ東京八弐〇九番ナリ
一寄附金募集趣意書・募集規定・会計規則、及ヒ寄附金申込書等ヲ封入シ、寄附金募集ヲ明示シテ、十一月十日市内重立チタル人士ヲ講道館下富坂道場ニ招待シテ、講道館ノ来歴ヲ述ヘ、講道館柔道ノ目的・方法、攻撃防禦ノ法トシテノ柔道、体育法トシテノ柔道、精神修養法トシテノ柔道等ニ就キ説明ヲ与ヘ、講道館真剣勝負ノ形、体操ノ形、五ノ形、投及ヒ固ノ形等ヲ実演シテ参考ニ供シ、将来ノ柔道教育ニ関シテ広ク世人ノ同情ヲ求メテ、講道館ヲ永遠ニ維持スルノ必要ヨリ寄附金ヲ募集スルノ希望ヲ公表シタリ
一十一月十八日寄附金募集認可ノ申請書ヲ、小石川警察署ヲ経由シテ警視庁ニ差出シ、十二月十日之ヲ許可サレタリ
一十二月二十一日、評議員会ヲ開キ、明治四十四年度寄附金募集及ヒ経常費収支予算ヲ議定ス
一十二月二十三日ヲ以テ、小石川区下富坂町十八番地所在道場木造瓦葺二階家壱棟百六拾四坪弐合五勺、二階拾参坪五合、同事務所木造二階建壱棟弐拾五坪壱合参勺、二階弐拾四坪、木造瓦葺平家壱棟拾七坪八勺、此買入価額合計金壱万四千〇六拾七円九拾八銭ニ対シ、金壱万円ノ火災保険契約ヲ、向フ壱ケ年間、明治火災保険式株会社ト締結ス