デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
2款 講道館 1. 財団法人講道館
■綱文

第43巻 p.348-350(DK430048k) ページ画像

大正3年9月21日(1914年)

是日、神田一ツ橋学士会事務所ニ於テ、当館評議員会開カレ、当館ト提携シテ斯道ノ発達普及ヲ図ル団体柔道会ヲ組織、大正四年一月ヨリ、機関誌「柔道」ヲ発刊スルコトヲ決ス。栄一出席ス。


■資料

集会日時通知表 大正三年(DK430048k-0001)
第43巻 p.348 ページ画像

集会日時通知表 大正三年          (渋沢子爵家所蔵)
廿一日○九月 月 午後四時 講道館評議員会(一ツ橋学士館)


大正三年度講道館事業及会計決算報告書 (大正四年)刊(DK430048k-0002)
第43巻 p.348 ページ画像

大正三年度講道館事業及会計決算報告書 (大正四年)刊
    事業状況
○上略
柔道会組織ノ件久シキ以前ヨリ懸案トナリ、屡々評議員会ノ議ニ上リ既ニ一旦法人講道館ノ一事業トシテ興スコトニ決シタレトモ、其後九月廿一日ノ評議員会ニ於テ、財団法人講道館トハ経済上ノ関係ヲ有セス、全ク独立ニテ組織スルコト、但会長ハ講道館長之ヲ兼ネテ事業上聯絡ヲ図ルコトニ評議一決シタレハ、爾来同会ハ単独組織トシテ十二月ニ至リ愈々決行スルコトニ至リ、柔道ト題スル雑誌ヲ大正四年一月ヨリ毎月発行スルコトヽナリタレハ、直接関接ニ本館趣旨ノ貫徹及事業ノ進行ニ対シ尠カラサル便宜ヲ得ルコトヽナルベシ


中外商業新報 第一〇三三五号 大正四年一月二九日 ○講道館と柔道会(DK430048k-0003)
第43巻 p.348 ページ画像

中外商業新報 第一〇三三五号 大正四年一月二九日
○講道館と柔道会 高等師範学校長嘉納治五郎氏は、明治十五年講道館を創設せしより玆に三十余年、常に世の弊風と対抗し来りたるが、今や門下生世界各地に渉りて其数三十余万に及び、自から直接指導し難きのみならず、適当の教員を派遣する事も俄に行ひ難き為め、今回柔道を中心とせる一団体たる柔道会を組織し、雑誌「柔道」を発行し講道館の内外相応じ以て益々斯道の発達普及を図らんとし、其の発会式を廿六日富士見軒に挙行したり


柔道 第一巻第一号・第一―四頁大正四年一月 『柔道会』創設の趣旨(DK430048k-0004)
第43巻 p.348-350 ページ画像

柔道 第一巻第一号・第一―四頁大正四年一月
    『柔道会』創設の趣旨
 我が国泰西の文明を輸入するや、制度文物範を彼に取り更革する所多く其の文化の上に裨補したる効果甚大なりと雖、為に我が国民思想に動揺を来したること亦少からず。加之近年富の増殖に伴ひ奢侈遊惰の風日を逐ひて益々甚しからんとする。是れ国を愛する人士の等しく憂慮する所にして、又其の矯正に最も心力を注ぐ所たり。予が柔道に
 - 第43巻 p.349 -ページ画像 
於けるも亦実に此の間に尽す所あらんことを期せしに外ならず、予は明治十五年講道館を創設し、柔道を唱道してより玆に三十有余年、常に世の弊風と対抗し、国民の身体を鍛錬し士気を鼓舞し徳操を涵養し国民思想を統一維持せんことを務めたり。幸に国運の隆昌と共に斯の道益々発達し、今や我が国粋の一として遍く海内に行はるゝのみならず、延いて遠く海外に及べるもの、門下諸士が努力翼賛の結果たるは論を待たずと雖、亦柔道其の者に能く今日あるを致すべき素質あるに因らずんばあらず。
 今日各地に在りて柔道を教ふる者実に千を以て数ふべく、各々其の指導の任に当り鞠躬及ばざらんことを之れ恐る、其の熱誠賞歎するに余あり、但し久しく地方の地に在りて斯道の進歩に伴ふこと能はざるを憾むるものあり、又修行半途にして出でて教職に就きし者少からず是を以て或は適当の方法を以て更に指導を得んことを希望し、或は予の自ら巡遊して地方の子弟を直接指導するあらんことを要請して止まず、更に斯道に志し修業の途を求むるも適当なる師を得ること能はざる者、亦幾十万なるを知らず、然れども予自ら全国を巡歴して直接指導するが如き、一々書信に応答して其の要望を満足せしむるが如き、又適当の教員を到る処に派遣して全国の志望者を指導するが如き、皆俄に行ひ得べきことに非ず。是に於て予は、柔道を中心とせる一団体を組織し、適当の機関を設けて講道館と内外相応じ、以て柔道の本旨を発揮すると同時に、益々斯道の発達普及を図らんと欲し、玆に柔道会を興すことゝせり。
 柔道会は、此の目的を貫徹せんが為、雑誌及図書を発行し、講演会及講習会を開き、諸方に視察員を派遣し、以て柔道の本義を闡明し、適当なる修行の方法を授け、人として今日の世に処する道を知らしめ柔道の主旨に基づける学術上及修養上の説話を為し、会員の知見を弘め思想を高めんことを期す。蓋し柔道会は、時運の趨勢に鑑み必要に応じて興りたるものにして、柔道をして啻に外形上のみならず精神的に発達普及せしめ、依つて以て優秀健全なる国民を作らんとするに外ならず。希はくは大方の諸君本会の趣旨を諒し、別掲の規則に準じ、奮つて入会又は賛成せられんことを。
  大正三年十二月
                    嘉納治五郎

    柔道会規則
第一条 本会ハ柔道会ト称シ、柔道ノ発達及普及ヲ図ルヲ以テ目的トス
第二条 第一条ノ目的ヲ達センガ為、左ノ事業ヲ為ス
 一雑誌及図書ヲ発行スルコト
 一講演会及講習会ヲ開催スルコト
 一各地ニ視察員又ハ講師ヲ派遣シ、柔道ノ状況ヲ視察シ且其ノ奨励指導ヲ為スコト
第三条 本部ヲ東京市小石川区大塚坂下町百拾四番地ニ置キ、支部ヲ内外各地ニ置ク
 - 第43巻 p.350 -ページ画像 
第四条 本会ハ会員及賛成員ヨリ成ル
第五条 会員タラント欲スル者ハ、入会ノ際入会費金五十銭ヲ納ムベシ
第六条 会員ハ会費トシテ毎年金壱円五拾銭ヲ前納スベシ、但シ会員ノ希望ニ依リ金五拾銭ヅヽ三回ニ分納スルコトヲ得
 一時ニ金弐拾円ヲ前納スル者ハ、終身会員トシ爾後会費ヲ要セズ
第七条 会員ハ本会ヨリ毎月雑誌ノ配布ヲ受クル外、左ノ特遇ヲ得
 一本会開催ノ講演会及講習会ニ出席スルコト
 一本会発行ノ図書ヲ特価ニテ購求スルコト
 一柔道ニ関スル質問ヲ為スコト
 一地方在住ノマヽ本会ノ紹介ヲ以テ入門規則ニ依リ講道館ニ入門スルコト
○中略

      附則
第一条 入会セントスル者ハ左ノ書式ニ倣ヒ、申込書ヲ認メ、入会金及会費ヲ添ヘ、本部事務所ニ申込ムベシ
    入会申込書
 拙者儀貴会規則ニ拠リ入会致度此段申出候也
  年 月 日
      本籍 職業 (学校ニアル者ハ何学校在学 学校卒業生ハ何学校卒業)
      現住所            姓名 印
                     生年月日
    柔道会々長嘉納治五郎殿
○中略
    柔道会支部規則
第一条 百人以上ノ会員ヲ有スル地方ニ於テハ、支部ヲ設置スルコトヲ得
  但シ特別ノ事情アル場合ニ限リ、百人ニ満タザルモ特ニ支部ノ設置ヲ許可スルコトアルベシ
第二条 支部会員ハ必ズ本会々員タルコトヲ要ス
第三条 支部役員ハ支部ニ於テ選定シ、本会会長ノ承認ヲ受クルモノトス
○中略

    柔道会会計規則
○下略



〔参考〕講道館本部要件録二(DK430048k-0005)
第43巻 p.350 ページ画像

講道館本部要件録 二           (財団法人講道館所蔵)
    大正四年度
      三月
六日 日本勧業銀行ニテ七分利付債券ヲ発行スルノ挙アリ、多賀義三郎氏ヨリ館長ニ応募方勧誘セラレタルニ依リ、本館基本金ノ内金壱万円応募スルコトノ可否ニ付理事及監事ニ書面ヲ以テ協議ス
 右理事監事共凡テ賛成ノ返事来ル