デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
4款 財団法人修養団
■綱文

第43巻 p.435-437(DK430072k) ページ画像

明治44年6月25日(1911年)

是ヨリ先、栄一、「修養団ノ精神」ト題スルパンフレット刊行ニ助力シ、是日、森村市左衛門ト連名ノ添書ヲ付シテ各方面ニ発送セシム。尚、七月、団員ノ各地遊歴ニ対シ栄一、森村市左衛門ト連署ノ紹介状ヲ与フ。


■資料

向上 第四巻第七号・第八一―八二頁明治四四年七月 △渋沢男爵の喜悦(DK430072k-0001)
第43巻 p.435-436 ページ画像

向上 第四巻第七号・第八一―八二頁明治四四年七月
    △渋沢男爵の喜悦
「修養団の発展は実に悦ばしい、本団が私共に見込まれたのは諸君の徳で、私共が諸君に見込まれたのは私共の徳である。御互に国家のために益々働かう。九月の大会は私の邸宅で開くことにしなさい」
 拝啓、御清適奉賀候、然者拙生共従来賛助致し居り候修養団は、真に国家の前途を憂へ青年の風紀改善を目的として、爾来、奮励尽瘁致すものにて、所謂志操堅固にして、実践躬行の青年に有之、現に各先輩より深く信用せられ居る団体に候処、此度別紙修養団の精神と題するものを印刷致し候に付、大方諸賢の御一覧を請へ、御賛成御助力を得度拙者共より此段添而御依頼申上候 敬具
 - 第43巻 p.436 -ページ画像 
  六月廿五日
                     渋沢栄一
                     森村市左衛門
渋沢・森村両顧問が古稀の高齢に達せられながら、帝国の向上発展のために御奮励さるゝことは、実に感歎惜く能はさる所也、或は自ら老躯を挺して遊歴に力め、或は資金を投じて慈善の業を企図せらる。就中本団のために御精力を注かるゝことの深きは本団に関係少き人の想像以外たるなり、今回渋沢男は「修養団の精神」を全国各中学校の模範生に配布せらるゝことになり、且つ右の如き書状を精神的中学校長《(マヽ)》に発送せられたり、其書状は精神こめて御執筆せられしものなり。


向上 第四巻第八号明治四四年八月 本部より団員諸君へ(DK430072k-0002)
第43巻 p.436-437 ページ画像

向上 第四巻第八号明治四四年八月
    本部より団員諸君へ
 夏は来れり、避暑遊食の徒、緑蔭惰眠の輩の跳梁すべき夏は来れり然れども我徒は断じて此匹儔たるべからず。休暇は来れり、いでや故山に父母を省し、更に斯道の為めに大方の青年に向つて福音せん、野に山に茨の道を踏みしだきて青年向上道を論ひ、流汗主義を語らひ、一日だも無意義の空生活を為すべからず、玆に四星霜斯主義の大旆の下に奮闘し来れる我が青年修養団は、今やあらゆる社会の階級より識認せられ、其の責任の重を加へたり、本部にては今夏季休暇を利用して、迷妄・喪心、将た奢侈・淫靡の荒野に活火を投げ入るべく一大遊歴を試みんとす、語に曰く『心頭滅却すれば火も亦涼し』と
 一、幹事委員の遊歴紹介状、本部にては熱実真面目なる団員諸君の遊歴の便を計り、左の如き『紹介状』を頒布す。

    添書
 拙生共の従来助力致し居候修養団は、真に国家の前途を憂へ青年の風紀改善を目的として、爾来奮励尽瘁致すものにて、所謂志操堅固にして実践躬行の青年に有之、現に各先輩より深く信用せられ居る団体に候、されば各地の先輩諸賢希くは此団体の発展上深厚なる援助と指導とを賜はり度、拙生共より添て御依頼申上候 敬具
                   顧問 渋沢栄一
                   顧問 森村市左衛門
  明治四十四年七月
    各地先輩諸賢


図表を画像で表示各地先輩諸賢

  岡田文部次官紹介状 修養団ノ青年夏季休暇ヲ機    各地遊歴ノ目的 トシ、今般各県ヲ巡回シ諸   一、高徳長寿ノ先輩ヲ訪ヒ 名士大家ヲ歴訪シテ其意見    以テ修養ノ指導ヲ受ケ ヲ叩キ、以テ修養ニ資セン    ント欲ス。 トノ希望アリ、又各地青年   一、世態人情ノ真相ヲ窺ヒ ト気脈ヲ通シ、益々向上発    以テ修養上ニ資セント欲ス。 展ノ途ヲ講スル所アラント 以下p.437 ページ画像  ス              一、忠臣義士ノ墳墓ニ詣デ 修養団ハ着実真面目ナル青    其英霊ニ謝セント欲ス 年ノ団体ニシテ、団員ハ概   一、赤誠ノ青年ニ本団ノ精 ネ学生若ハ教育者ナリ、其    神ヲ紹介シ相盟契シテ ノ平素ノ言動ト将来ニ対ス    以テ風紀改善ノ実ヲ挙 ル抱負トハ大ニ感スヘキ所    ゲント欲ス。 アリ、決シテ名利ヲ目的ト   左ノ者ハ、右ノ目的ヲ以テ シテ運動スルカ如キモノニ   遊歴スルモノニ候間、何卒 非ス             相当ノ御便宜ヲ与ヘ被下度 修養団ノ幹事来リテ巡回者   厚ク御願上候 ノ為ニ余ノ証言ヲ求ム、乃     七月二十日 チ大要ヲ記シテ之ヲ与フ、      東京市四谷区左門町 各地方到処此等青年ニ対シ      二十五番地 相当ノ便宜ヲ与ヘラレンコ        修養団本部 トヲ望ム  明治四十四年 月 日     遊歴者 住所氏名印    岡田良平 



○下略