デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
4款 財団法人修養団
■綱文

第43巻 p.491-493(DK430090k) ページ画像

大正4年9月18日(1915年)


 - 第43巻 p.492 -ページ画像 

是日、早稲田大学講堂ニ於テ、当団早稲田支部発会式挙行セラル。栄一出席シテ演説ヲナス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正四年(DK430090k-0001)
第43巻 p.492 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正四年           (渋沢子爵家所蔵)
九月十一日 曇
○上略 入浴ト朝飧トヲ畢リテ、宗像某ノ来訪ニ接ス、修養団支部ヲ早稲田大学内ニ設置スルニ付、其発会ヲ来ル十八日ヲ以テ開催スル為ナリ
○下略
九月十二日 曇
○上略 朝飧ヲ畢リ種々ノ来訪客アリ、蓮沼門三・瓜生喜三郎二氏来リ修養団ノ事ヲ談ス○下略
   ○中略。
九月十五日 曇
○上略 朝飧ヲ畢リテ○中略 鈴木輝三郎来リ修養団ノ事ヲ談ス○下略
   ○中略。
九月十八日 曇
○上略 午後一時早稲田学校ニ抵リ、修養団支部発会式ニ出席シ、一場ノ演説ヲ為ス○下略


集会日時通知表 大正四年(DK430090k-0002)
第43巻 p.492 ページ画像

集会日時通知表 大正四年           (渋沢子爵家所蔵)
九月十八日 土 午後一時 修養団早稲田支部発会式 (早稲田大学講堂)


向上 第九巻第一〇号・第七一頁大正四年一〇月 早稲田支部発会式報告(DK430090k-0003)
第43巻 p.492-493 ページ画像

向上 第九巻第一〇号・第七一頁大正四年一〇月
    早稲田支部発会式報告
 大正四年九月十八日(土曜日)は、実に吾等支部員の永遠に忘却し能はざる最も記念すべき日なり。当支部の成立以来三星霜、基礎漸く確立し内部充実して益々発展の気運に際せり。定刻(午後一時)に至るや既に満場立錐の余地なく流石に広大なる講堂も満員の盛況を呈したり。軈て拍手の裡に我が支部長本大学教授武田豊四郎先生登壇せられ最も単簡なる開会の辞あり、続いて平沼淑郎先生は『誠実は百行の根本』と題して約一時間に渡る大演説をなされたり。而して大拍手の裡に御降壇ありしが、次ぎに拍手に迎へられて壇上の人となりしは本会の顧問渋沢男爵閣下なりき。次ぎに本大学教授内ケ崎作三郎先生は『修養上団体の必要』と題して彼の流暢なる大演説あり、本大学に於ても追々此の種の団体の二・三百も設置せられん事を希望すと激賞讚嘆措く能はざるものありき。第四番目に壇上の人となりし方は、則ち蓮沼主幹にして熱烈なる弁論を以てされたり。題して『修養団の精神及事業』とありしが殊に今日は特に世界的大演説の如く拝聴せり。演説中は誠に静粛にして、熱誠なる血あり涙ある所の先生独特の雄弁を傾聴するのみなりき。軈て先生が『あゝ此の愛の力、此の愛の力』と絶叫せられたる時俄然流涕奮起禁ずる事能はざりき。嗚呼天下の青年は今や全く此の瞬間に於て確かに共鳴せるなり。間もなく増田義一先生は壇上に現はれ「青年の修養問題」と題して最も青年に適切なる訓戒を与へられたりき。(記事参照)
 - 第43巻 p.493 -ページ画像 
 此の間実に五時間の長きに渡りしが、未だ秩序整然として一糸乱れざりしは確かに本会の精神が了解せられたる事を証して明かなるべし終りに武田支部長の閉会の辞ありて拍手大喝采の中に散会しぬ。閉会後団員一同は後の始末を整へ一挙して今日の盛会を祝しつゝ第四向上舎に行き蓮沼主幹を初め支部長武田先生・瓜主幹事以下団員数十名は麦飯に菌汁等の会食あり。食後一同座敷に集ひて四望豁達たる雑司ケ谷の光景を眺めつゝ、論談暫しにして散会したるは午後七時半過ぎなりき。秋月将に天に懸りて吾等の前途を照せるものゝ如し。
 祝文を賜ひたる諸先輩各支部の芳名如左
  東京高等工業学校教授       杉田稔氏
  東京府北豊島郡西ケ原三六四    皆川秀一氏
  東京市小石川区音羽町四ノ二十一  第一向上舎
  福島県安積郡郡山町        修養団郡山支部
  東京市本郷区元町         鈴木寅彦氏
祝電を送られたる各支部の記名如左
 熊本支部・福島師範支部・神戸支部・香川支部(後藤氏)
尚其他に東京市麹町区下二番町七十一番地早川千吉郎氏より、及文部省の武部欽一より各祝文ありたり、今左に武部氏の祝辞を謹んで記さん
    祝辞
 青年元気ノ消長ハ国運ノ隆替ニ関スルコト至大ナリ、当今軽跳遊惰ノ風滔々トシテ俗ヲナサムトス、邦家ノ前途豈寒心ニ堪ヘンヤ此ノ時ニ方リ稲門慨世ノ士蹶然トシテ起チ、修養団早稲田支部ヲ結ビ協心戮力以テ身体ヲ鍛錬シ、剛健質実ノ気風ヲ養ヒ大ニ国家ノ進運ニ頁献セントス、余之ヲ聞テ喜ヒ禁スル能ハス、玆ニ発会式ニ際シ一言ヲ叙シテ其前途ヲ祝福ス
  大正四年九月十八日              武部欽一


向上 第九巻第一〇号・第二頁大正四年一〇月 【九月十八日、早稲田大学大講堂に…】(DK430090k-0004)
第43巻 p.493 ページ画像

向上 第九巻第一〇号・第二頁大正四年一〇月
  九月十八日、早稲田大学大講堂に於て修養団早稲田大学支部発会式大講演会を挙行せり
  席上、諸名士の説かるゝ所、殆ど悉く本団の二大精神たる「汗と愛」に融合渾一すると視たり。その所説の大綱を列挙すれば
○中略
本団顧問渋沢男爵は、繁忙裡に万障を排し来り、諸生を誡むるに
 1、邦家の前途を按ずるに、転た青年諸子の一大奮発を要するものあり。希くは徒らに学術にのみ捕へらるゝことなく
 2、世道人心の為めの学術技芸なりと心得られ
 3、折角、根本的修身斉家の徳行を養はれたく、要するに、
 4、貧賤富貴威武にも屈せざる一大道念を修得する様、依りて以て国家風教の為め協力奮発せられたし。……と