デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
4款 財団法人修養団
■綱文

第43巻 p.610-612(DK430134k) ページ画像

大正12年10月17日(1923年)

是ヨリ先、九月一日関東ノ大震火災ニ、浅草蔵前ノ当団本部マタ罹災シ、仮事務所トシテ協調会館ノ一室ヲ借受ケ、是日同所ニ移転ス。栄一尽力ス
 - 第43巻 p.611 -ページ画像 
ル所アリ。


■資料

向上 第一八巻第一号・第四〇頁大正一三年一月 仮事務所の移転(DK430134k-0001)
第43巻 p.611 ページ画像

向上 第一八巻第一号・第四〇頁大正一三年一月
    仮事務所の移転
△浅草旧本部の焼跡にバラツクを建てゝ事務を執らうと思つたが、戦乱後同様の惨状を呈する浅草地方のことゝて、交通機関・通信機関が杜絶された計りでなく、物資の買入れも現金を要する始末、且つ本部に宿泊せる多くの青年事務員は本部及妹尾理事と私同様、一物も残さず丸焼けとなり、衣食住凡て窮迫したので、已むなく瓜生・林理事及石橋・和田・牧野諸君が七・八月中に移住した市外洗足の田園都市に一時避難して、そこに仮事務所を急設したものでありましたが、困憊せる事務員諸君の避難所慰安所、物資の如きも通帳で求められ、又朝鮮其他から来団された同志諸君を御泊めすることも出来、非常な便宜を得たのであります。
△本部焼け跡は、農商務省の希望を容れ給米保管場として一時貸与致しました。其縁故で浅草支部の団員は、市内七ケ所の配給米監視の役目を依嘱されたので毎夜六時から翌朝六時迄奉仕して居ります。同省建築の大バラツクは一月中に本部に下附又は払ひ下げになる筈であります。其折を待つて玆に或計画を立てます。
△渋沢顧問及協調会の御尽力と御好意とによつて、協調会館の一室を貸与されましたので、十月十七日から玆に仮事務所を移し、机や椅子迄借用して本部復興の活動に着手したのであります。協調会に於ては添田理事長・鈴木会館主事始め各位が予てより唇歯の関係にある本団に対し特別の好意を寄せて、万事便宜を与へて下さるので、一同は自宅に在る気分で愉快に勤務して居ります。


向上 第一七巻第一〇号・第一〇頁大正一二年一一月 修養団救護部の活動 各地支部の総動員 一斉救護に着手す(DK430134k-0002)
第43巻 p.611 ページ画像

向上 第一七巻第一〇号・第一〇頁大正一二年一一月
    修養団救護部の活動
      各地支部の総動員
      一斉救護に着手す
○上略
 二十六日○十月 上野公園に希望社救護班及国民学校訪問の途次、飛鳥山に渋沢顧問を訪問し、途中西ケ原で子爵の自動車に遭遇した。所が
   老子爵自動車を途中に捨てゝ
 三角章の襯衣に赤縁の襷を掛け、向鉢巻勇ましく一隊を滝の川役場の玄関前に接見され、情理を尽した懇切の御話三十分間に亘つて歓迎と激励に努められた。尚ほ自分も八十四の老人ではあるが一方政府の審議会に列して東京の復興に当り、一面善後会に関係して罹災民の救助に努力しつゝあると附言して、一般国民の元気を鼓舞奨励されたのであつた。○下略


渋沢子爵親和日録[渋沢子爵親話日録] 第一 自大正十二年十一月至同年十二月 高田利吉筆記(DK430134k-0003)
第43巻 p.611-612 ページ画像

渋沢子爵親和日録[渋沢子爵親話日録] 第一 自大正十二年十一月至同年十二月 高田利吉筆記
                    (財団法人竜門社所蔵)
十一月二十日
 - 第43巻 p.612 -ページ画像 
○上略
△次に修養団の主幹蓮沼門三・理事兼会計主任林平馬の両氏を引見せらる、今度の震災に浅草の本部寄宿舎をも焼失して損害多大なるが上に、団員よりの団費もはかばかしく集まらず、かたがた経営困難にして雑誌の発行も思ふに任せず、将来如何にせば可ならんと申す子爵ハ善後の処置ハ予一人のみのよくすべきにあらず、森村氏ともよく協議せよと答へられ、尚二人の意見の誤れる点などを指摘注意せらる
○下略


(瓜生喜三郎)書翰 渋沢栄一宛大正一二年一二月一日(DK430134k-0004)
第43巻 p.612 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

修養団書類(一)(DK430134k-0005)
第43巻 p.612 ページ画像

修養団書類(一)             (渋沢子爵家所蔵)
    向上出版費恩借願
一金四阡八百円也
    但シ向上九・拾月号出版費
右震災ノ結果会計不足ヲ告ケ候ニ付、甚タ恐縮ノ至リニ不堪候ヘ共、右金額大正十三年六月末日迄御立替被下度、別紙事情報告書並ニ会計明細書相添ヘ此ノ段御願仕候也
  大正十三年一月十日    財団法人修養団
                主幹 蓮沼門三(印)
    顧問 子爵 渋沢栄一殿
    顧問 男爵 森村開作殿
   ○別紙略ス。