デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
5節 修養団体
6款 財団法人清明会
■綱文

第44巻 p.62-66(DK440022k) ページ画像

大正13年9月(1924年)

是月栄一、財団法人清明会ノ顧問トナル。


■資料

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号・別刷第二二頁 昭和六年一二月刊(DK440022k-0001)
第44巻 p.62 ページ画像

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編
               竜門雑誌第五一九号・別刷第二二頁 昭和六年一二月刊
    大正年代
 年 月
一三 九 ―財団法人清明会顧問―昭和六、一一。
  ○本款次条参照。


中外商業新報 第一一七四六号 大正七年一二月九日 清明会の設立(DK440022k-0002)
第44巻 p.62 ページ画像

中外商業新報  第一一七四六号 大正七年一二月九日
○清明会の設立
記帳計算及出納等の繁瑣なる業務に従事する会社銀行及商店員等が、現下の時代病たる黄金万能の思想に感染し易く、他方に於て其毒素を以て誘惑せらるゝ者尠からざるより、此等に対し慰安及修養を与へ、以て善良なる財務管理者を得るの目的の下に、渋沢男・寺内伯・阪谷男・田尻子・大迫大将、安田善三郎・藤山雷太・志村源太郎・早川千吉郎・池田謙三氏等を始め朝野の名士の賛成を得て、来る十五日京橋会館に於て、清明会の設立大会を開く筈なるが、同会普通会員たらんとする者は、氏名・住所及職業を記したる書面を、芝区琴平町二番地清明会事務所に申込むべしと



〔参考〕中外商業新報 第一一七五三号 大正七年一二月一六日 清明会の設立大会 会衆数百名(DK440022k-0003)
第44巻 p.62 ページ画像

中外商業新報  第一一七五三号 大正七年一二月一六日
    ○清明会の設立大会
      会衆数百名
実業に従事する青年の思想を善導し、其精神の修養、霊性の開発を図るを目的とし
△朝野名士の 賛成を得て設立せられたる清明会は、其設立大会を十五日午後二時京橋区金六町京橋会館に於て開会、宮岡海軍中将司会の下に、理事長宮原六郎氏同会の趣意及事業の概要を説明し、併せて設立事務の経過を報告せる後、同会の綱領を朗読し、次いで内務大臣・東京市長・東京商業会議所会頭の祝辞あり、其より講演に移り、海軍中将佐藤鉄太郎氏の「日本国体と日蓮主義」と
△本多日生師 の「国民道徳と仏教」と題する講演あり、終つて余興として浪花節及薩摩琵琶あり、午後六時散会せるが、来会者数百名、頗る盛会を極めたり、因に同会の事務所は芝琴平町二番地にあり、実業に従事する青年にて同会々員たらんとする者は、住所及職業を記入せる書面を以て申込むべしと



〔参考〕清明会要覧 同会編 第一―四頁 昭和四年三月刊(DK440022k-0004)
第44巻 p.62-64 ページ画像

清明会要覧 同会編  第一―四頁 昭和四年三月刊
 - 第44巻 p.63 -ページ画像 
    第一節 設立趣意
世道人心の頽廃、国民思想の動揺今日の如く甚だしきは、前古未だ曾てあらざる所なり。若し今にして的確なる匡救の道を講ずるにあらざれば、皇国の存立を危うする無きを保せず、是れ志士仁人の斉しく憂慮して措かざる所ならん。而して世道人心の頽廃を来せし源頭を察し国民思想の動揺を見るに至りし根本に溯れば、一に物質的文明に偏傾して、精神的文明を閑却し、教化事業を軽視したるに基因せずんばあらず、我が清明会は此に見るあり、時弊の根本的匡救として、精神的文明を高調し、実社会に活動する人々をして健全なる思想を持し、崇高なる修養を積ましめ、以て其の霊性を開発せしめんと欲し、既に毎週一回東京浅草北島町統一閣に仏教講義会を開催して、仏陀の聖教を紹介し、又毎週一回東京神田西小川町日本弘道会館に儒教講義会を開催して、聖賢の訓言を紹介し、又時々各処に修養講演会を開催し、時に国民思想涵養講習会を開催し、以て聊か精神的文化運動に寄与し来れり。今や更に一段の活動を起して神道講義会を開催し、尚進みて国民教化の新運動を開始すべく、其基礎を鞏固にするの必要を認め、本会の組織を財団法人と為せり。冀くば同感の士女此挙に賛し、其組織を完成し、其内容を充実せしめ給はゞ、啻に本会の光栄に止まらず、因て以て東洋文明の権威を発揮し、世道人心の頽廃を匡救し、国民思想の動揺を防止し、国民教化の根本を確立するの一助たらんか。謹で宣す。
大正八年天長節祝賀の日
第二節 宣言(其一)
我が清明会は、実社会に活動する人々に対して精神修養を勧説し根柢深き信念に立たしめんことを希望して起りしものなり。顧ふに、現時我が思想界は、諸種の主義主張林立して、適従する所を知らざるの感あり。此の秋に方り、最も健実なる主義信念を把持せんと欲せば、先づ我が東洋文明の本義を明かにし、以て西洋文明を批判するの識見を養ふを要す。而して東洋文明の本義を明かにせんとせば、必ずや仏教の大綱と儒教の要旨とを正確に解釈し、我が建国の大精神を体得せざるべからず、此に於てか本会は、既に仏教及儒教の講義会を開催せしも、今や進みて神道古典の講義会を開催し、以て其の急需に応ぜんと欲す。斯くて東洋文明の要諦を明かにし、根柢深き信念に立たしむるを得ば、啻に自己一身の進路を誤らざるのみならず、必ずや世の指導に任ずる者を出すに至らんか。要するに、本会活動の目標は、一に東洋文明の権威を発揮し、国民思想の根柢を築き、国民教化の大業に資せんとするにあり。幸に大方諸彦の賛助を得ば、独り本会の光栄たるのみならず、国民精神の涵養に貢献し、復以て国運隆昌の一助たるを得んか。謹で宣す。
  大正九年二月十八日
    第三節 目的
教育勅語の聖旨を奉して、教化の淵源を究め、且憲法発布勅語の聖旨を体して、臣民翼賛の大道を明かにし、忠良なる国民を教養するを目的とす。
 - 第44巻 p.64 -ページ画像 
    第四章 事業要項
一、清明文庫を設立すること
  清明文庫は勝海舟先生の遺蹟を保存し、国民教化の資源とする為め、国民精神涵養に資すべき図書を蒐集して、公衆の閲覧に供ふ
二、清明講座を開催すること。
  清明講座は求道者又は篤学者に研究修養の機会を与ふる為め、倫理・宗教・哲学・国史・国法・政治・経済・軍事・外交等に関する講義を行ふ。
三、清明講演会を開催すること。
  清明講演会は民衆教化の為め国民精神作興に資すべき講演を行ふ
    第五節 事業成績概観
本会は大正七年七月を以て事業の執行を開始せるが、其後昭和三年十二月迄に執行せる事業を概観すれば左の如し。

   種別      回数  延時間   聴講延人員
  仏教講義     九六  一八〇   四、〇一二
  儒教講義     五二  一二〇   三、二三四
  神道及国史講義  二〇   四〇   一、〇六一
  政道及法制講義  四八  一〇九   二、三〇一
  国民教化講演   五〇  一六六  二四、三〇〇
   合計    二六六   六一五  三四、九〇八




〔参考〕財団法人清明会書類(一)(DK440022k-0005)
第44巻 p.64-66 ページ画像

財団法人清明会書類(一)        (渋沢子爵家所蔵)
  清明会顧問及役員氏名
               顧問
                 伯爵 松平直亮
                 子爵 渋沢栄一
                 子爵 金子堅太郎
            理学博士 男爵 山川健次郎
            法学博士 男爵 阪谷芳郎
            法学博士    一木喜徳郎
            法学博士    高田早苗
            文学博士    井上哲次郎
               理事
            会長   男爵 平山成信
            文学博士    服部宇之吉
            法学博士    志田鉀太郎
                    大橋新太郎
                    矢野恒太
                    日下吉平
                    宮原六郎
               監事
                    菅原恒覧
                    渋谷嘉助
                    綿貫助次郎
 - 第44巻 p.65 -ページ画像 
               評議員
            文学博士    服部宇之吉
                    服部金太郎
            文学博士    春山作樹
            法学博士    穂積重遠
            大僧正     本多日生
            陸軍少将    小原正恒
                    小野耕一
                    大橋新太郎
            文学博士    渡辺世祐
            文学博士    加藤玄智
            海軍大将 男爵 加藤定吉
                    勝田孫弥
                    亀岡豊二
            文学博士    吉田熊次
            文学博士    吉田静致
                    高島平三郎
                    竹越与三郎
                    成瀬正恭
                    村上寿夫
            文学博士    宇野哲人
                    植村澄三郎
            権大僧正    野口日主
            文学博士    黒板勝美
                    日下吉平
                    矢野恒太
            検事      矢野茂
            陸軍中将    山口勝
            陸軍大将    町田経宇
                    増田義一
            文学博士    深作安文
                    小林一郎
                    有賀定吉
            海軍中将    佐藤鉄太郎
            文学博士    沢柳政太郎
                    佐々木勇之助
            文学博士    紀平正美
                    橘井清五郎
            文学博士    三上参次
                    光永星郎
                    宮原六郎
            海軍中将    宮岡直記
            法学博士    志田鉀太郎
            文学博士    白鳥庫吉
 - 第44巻 p.66 -ページ画像 
            法学博士    清水澄
                    下村鹿次郎
                 男爵 平山成信
  ○右ハ後掲十二月九日付(大正十四年カ)宮原六郎ノ栄一宛書翰ニ同封セラレタルモノナリ。