デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
2節 女子教育
1款 日本女子大学校
■綱文

第44巻 p.601-602(DK440156k) ページ画像

大正6年4月18日(1917年)

是日、当校ニ於テ当校新任評議員奥田義人・久原房之助ノ披露式開催セラル。栄一出席シテ演説ヲナス。


■資料

集会日時通知表 大正六年(DK440156k-0001)
第44巻 p.602 ページ画像

集会日時通知表 大正六年          (渋沢子爵家所蔵)
四月十八日 水 午前九時 日本女子大学校ヘ御出向ノ約


竜門雑誌 第三四八号・第二七―二八頁大正六年五月 ○未来の維持者 青淵先生(DK440156k-0002)
第44巻 p.602 ページ画像

竜門雑誌 第三四八号・第二七―二八頁大正六年五月
    ○未来の維持者
                      青淵先生
  本篇は四月十八日青淵先生が女子大学評議員として今回新たに同校の評議員たるべき奥田・久原両氏の新評議員披露式に臨まれたる際の演説にして、同校桜楓会の機関新聞たる「家庭週報」に掲げられたるものなり(編者識)
△学校は教への道場 大隈侯爵の申される通り学校は金儲けをする所ではなく、或る教へを施き又は或る主義を拡張する為の道場であります。それ故、その道が発展すればする程金がかゝる一方であります。私は学校といふ処は即ちさうあるべきが当然だと心得て居りまするがとかく世の中には時たま学校といふ名のついて居る所でも矢張金儲けを目的として居るやうな所や、又は其れに依て権勢を得やうと欲する者などもないでもありませんが、これ等は先づ名は学校であつても其実は利己に属するもの即ち学校の純潔を保つことは出来ないものであります。
△学校維持の要件 そこで学校が立派にその目的を遂行して行くには二つの要件が必要であると思ひます、第一時勢に必要なる人物を養成する為の必要な知識を授けて行くこと、又これにつぐものは其の計画を宜しくしてこれに対する設備を供給して行くことの二つでありますつまり主義を以て学生を教養する、一方には其の学習するによき境遇を作り与へるといふことであります、これも先程大隈侯の申された通り高僧知識を出すには必ず其処に善良なる檀家がなければならぬといふ意味と同じであります。それについて今日はその学問上の力と、又これを維持する所の経営上の力と並び加はる所の奥田新評議員並に久原新評議員を得たことはこの学校の為めに実にこの上もない喜ばしいことであります。勿論今直ちにそれ等の全責任の御助力を御二方に請ふわけではないのでありますが、私共老人はこの少壮有為の方々を御迎へして将来の為め別して喜ばしく感ずるのであります。
△未来の良檀家 かく申すは皆さんも亦この学校を卒業なさつたならば、誰れも彼れも皆この学校の――即ち女子教育発展の為めによい檀家とならるゝ覚悟をお持ちにならなければならぬと思ひます。婦人の力は孟母三遷の例を引く迄もなく、実に国民の上に偉大な感化を与へるもので、若し皆さんが将来お国の女子教育の為めに或は学問上から或は経済上から一々よい檀家となつて奉仕する人々となられたならば今日のこの学校の理想はだんだんと実現されて行くと申すもの、これ即ち未来の奥田さん久原さんにつぐこの学校のよい檀家をこの学校にて養成されたあなた方皆さんに要求する所以であります。又今日の御厚意に対する最善の報恩はそれであらうと私は考へるのであります。