デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
3節 其他ノ教育関係
1款 埼玉学友会
■綱文

第45巻 p.173-177(DK450054k) ページ画像

昭和2年10月30日(1927年)

是日栄一、飛鳥山邸ニ於ケル当会更生第一回大会ニ臨ミ、訓辞ヲナス。


■資料

集会日時通知表 昭和二年(DK450054k-0001)
第45巻 p.173 ページ画像

集会日時通知表  昭和二年        (渋沢子爵家所蔵)
十月十七日 月 午前八時 埼玉県学友会新井氏来約(アスカ山)


埼玉学生誘掖会書類(一)(DK450054k-0002)
第45巻 p.173 ページ画像

埼玉学生誘掖会書類(一)         (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、益々御清栄奉大賀候、陳者来十月三十日飛鳥山渋沢邸に於て開催之埼玉学友会に於て御講演御依頼申上候処、御快諾を賜り誠に難有奉存候、就ては同日は午前九時開会之事と決定致候間、何卒御含之上御賁臨被成下度願上候、右御案内迄如斯御座候 敬具
  昭和二年十月二十六日     埼玉学友会埼玉学友会幹事之印
    渋沢栄一殿


集会日時通知表 昭和二年(DK450054k-0003)
第45巻 p.173 ページ画像

集会日時通知表  昭和二年        (渋沢子爵家所蔵)
十月三十日 日 午前九時より 埼玉学友会園遊会ノ件(飛鳥山邸)


竜門雑誌 第四七〇号・第九〇頁昭和二年一一月 埼玉学友会大会(DK450054k-0004)
第45巻 p.173 ページ画像

竜門雑誌  第四七〇号・第九〇頁昭和二年一一月
    埼玉学友会大会
 昭和二年十月三十日午前十時から飛鳥山邸庭園にて埼玉学友会大会が開かれた。先づ新井英一郎君の開会の辞、経過報告があり、林学博士本多静六氏を座長に推し、会則を決定、次で会長に我が青淵先生を推戴した。従つて先生は直ちに快諾の上「世の進歩は人の力にある、我帝国の進歩を望む者は先づ自ら人として完成することに努めなければならない」とて、論語に曾子曰く「士は以て弘毅ならずんばあるべからず、任重うして道遠し云々」と云ふ言葉のあるのを引用して、学生生徒に益々黽勉努力せんことを訓へられた。役員は青淵先生の指命にて定り、又東京に於ける男女中等学校優等生十七名を表彰して賞状と賞品とを授与し、次で本多静六・加藤政之助・野口弘毅三氏の先輩としての演説が終つてから、駒沢大学小暮真雄君・専修大学星野廉君早稲田大学太田実君の学生演説があつて後、大島三之助君の閉会の辞で会を閉じ、更に園遊会に移り、模擬店を開き余興に興じて一同歓を尽し午後五時頃に至つて散会した。


学友会報 埼玉学友会編 第三五号・第二―三頁昭和三年一一月 所感 会長 渋沢栄一(DK450054k-0005)
第45巻 p.173-174 ページ画像

学友会報 埼玉学友会編  第三五号・第二―三頁昭和三年一一月
    所感             会長 渋沢栄一
 私は御覧の通りの老衰で、声もよく通らないが、私が会長の職を汚しまして、誠に身の程も知らないものとお叱りを蒙るでありませう。が然し生存して居る限り、郷党の事はお互に忘れないやうに心懸けた
 - 第45巻 p.174 -ページ画像 
いのであります。
 只今新井君は、学友会の生誕したのは明治二十年と申されましたが私は明治二十七年に会長をお受けした様に覚えてをります。此の学友会の外に埼玉学生誘掖会なるものがありますが、孰れがどうと云ふ事なく、共に立つて行くべきでありまして、云はゞ学友会は凡ての会を代表して行くべきものではなからうかと考へるのであります。どうか御意見のある方は寄稿なりして改善を図つて戴きたいと思ひます。
 今日迄の学友会は如何であつたかと申しますと我々は、誠に努力が足りなかつた。又諸君も等閑に付して来た様な感があります。世の進歩は人にあり、夫は即ち前途ある人による外はないのであります。新なる世の中責任の増す日本である事をお互が意識し、以て我帝国の進展に寄与する所がなければなりません。教育に政治に実業にそのたづさはる方面はいろいろありますが、その何れを問はず、己が務を完全に果すことが何より望ましいのであります。曾子の言葉に「士ハ以テ弘毅ナラズンバアルベカラズ。任重クシテ道遠シ。仁以テ己ガ任トナス。又重カラズヤ。死シテ後已ム。亦遠カラズヤ。」と云ふ事がありますが、私共も年こそ老いて居りますが任は実に重いのでありまして斃れて後已むと云ふ決心で県の為にも、国の為にも竭したいと存じます。(更生第一回大会御訓辞速記)
  ○右ニ会長就任ヲ二十七年トアルモ、三十二年ナリ。
   本資料第二十七巻所収「埼玉学友会」参照。


学友会報 埼玉学友会編 第三四号・第八―一〇頁昭和二年一〇月 経過報告 幹事 新井英一郎(DK450054k-0006)
第45巻 p.174 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

学友会報 埼玉学友会編 第三四号・第二―三頁昭和二年一〇月 学友会復興に際して 会長 渋沢栄一(DK450054k-0007)
第45巻 p.174-175 ページ画像

学友会報 埼玉学友会編  第三四号・第二―三頁昭和二年一〇月
    学友会復興に際して      会長 渋沢栄一
 我々日本人の任務の重大なる事は、今更多言する必要はないのでありますが、就中我々の現に背負はされて居る重大なる使命は、東西文
 - 第45巻 p.175 -ページ画像 
明の融合であると思ひます。由来、宗教・道徳・教育・学術、其の他百般の文化現象は、其の国々に依り独特の発達を為し来つたもので、そこには壱貫した精神と風習とがあり、他国の追随を許さないのであります。勿論我国にも世界に誇るべき文化があります。殊に三千年の歴史を有する東洋文化……精神文明は実に世界に炳として輝いて居ります。而して此の文明の生んだ道徳と、欧米の科学とは或場合には一致するのでありますが、或場合には矛盾する事が無いと申されません今や我が国の文化は、挙げて欧米の流れを汲み、且それにならつて事物を解すると云ふ風になつて居ります。
 かゝる教育を受けつゝある諸君は、ともすれば新智識を求むるに急で、古来の日本道徳を閑却するやうになる恐れがあります。勿論智識は世界に求めなければなりません。之は畏多い事でありますが 明治天皇が御誓文に於ても仰せられて居ります。実に智識は広く求めなければなりませんが、然し模倣追随は自己の本領を忘れ勝で、最も注意を要するものでありまして、其の弊は独り学生ばかりでなく、おしなべてさうであります。
 憶ふに米欧文明は物質文明であつて、東洋文明は精神文明でありませう。此等両者の間には自ら異つた道徳が芽生へて居りますが、我々日本人たるものは東西両文明を調和し融合し、新なる文明・道徳を樹立し世界人類の為に貢献する所がなくてはなりません。現代の日本の中堅となつて活動して居る人々、特に大家名士と云はるゝ方々は、比較的古来の文化道徳の影響を受けて居りますが、学生諸君は之に反して欧米のそれに倣ふ事が多い様に思はれます。按ずるに古き智識のみに固着して新智識を求めないものは固陋に陥り易く、又新智識のみを追求するものは、軽佻浮薄に流れる傾向があります。此両極端を程よく調和して行く者は円満無碍の思想の持主となり、真に人格者と崇められるのであります。此の意味に於て我々は日本人として、東西文明の融合を計ると同時に、個人として老いたるものと若きものとの考へを調和する事が必要であります。右の点に着眼しまして、我々埼玉県人の意思疎通の機関として学友会を設立してから、歳月を経る久しいの事でありますが、未だ以て其の真意を発揮するに全きを得たとは申されません。勿論学友会の一方の目的は愛郷の念を増し平素の親みを増進するにありますが、更に大なる目的があります。即ち古来の善風を作興し智識を世界に求めて而もそれをよく我が物とし、両々相俟つてこゝに我々日本人の使命である東西文明の融合の一助となさんとすることにあります。諸君は之等の意をよく理解して今度此の会を開かれた事は、真に個人的にも国家的にも喜ばしい事であります。
 どうか皆様は此の点を深く心に銘し、出来るだけ全き方法を採り、学友会の基礎を愈々鞏固にし、其の目的を達成せしめる様に努力せられんことを望む次第であります。(文責在記者)



〔参考〕学友会報 埼玉学友会編 故渋沢子爵追悼号第三八号・第一―三頁昭和七年一月 埼玉学友会々則(DK450054k-0008)
第45巻 p.175-177 ページ画像

学友会報 埼玉学友会編
              故渋沢子爵追悼号第三八号・第一―三頁昭和七年一月
    埼玉学友会々則
 - 第45巻 p.176 -ページ画像 
  第一章 総則
第一条 本会ハ埼玉学友会ト称ス
第二条 本会ハ本部ヲ東京市内ニ置ク
    会員ヲ有スル各学校ニ支部ヲ置ク、但シ各学校ノ埼玉県人会ハ之ヲ支部ト為スコトヲ得
第三条 本会ハ会員相互ノ親睦ヲ厚ウシ、其ノ智識品性ノ向上発展ヲ図リ、以テ埼玉県文化ノ進展ヲ期スルヲ目的トス
第四条 本会ノ目的ヲ達センガ為左ノ事業行フ
    一、大会毎年秋期之ヲ開催シ、必要ニ応ジテ臨時大会ヲ開ク
    一、会報発行
    一、其ノ他理事会ニ於テ必要ト認メタル事業
  第二章 会員
第五条 会員ヲ分チテ左ノ二種トス
    一、埼玉県出身者ニシテ専門学校及大学在学者ヲ通常会員トス
    一、通常会員ノ資格ヲ有セシ者ニシテ既ニ業ヲ卒ヘタル者及本会ノ目的ヲ賛助スル者ヲ賛助会員トス
第六条 本会々員タラントスル者ハ、書面ニ依リ其ノ申込ヲナスモノトス
    脱会セントスルモノハ、其ノ旨理事会ニ届ケ出スルモノトス
    本会ノ趣旨ニ反シ体面ヲ汚シタル者ハ、理事会ノ決議ニヨリ之ヲ除名スルコトアルベシ
  第三章 役員
第七条 本会ニ左ノ役員ヲ置ク
    一、会頭      一名
    一、副会頭     一名
    一、会計主任    一名
    一、編輯主任    一名
    一、理事      十名
    一、幹事      若干名
    一、評議員     若干名
  第八条 会頭ハ大会ニ於テ之ヲ推戴ス
第九条 副会頭及会計主任及編輯主任ハ、賛助会員中ヨリ会頭之ヲ嘱託ス
    理事ハ幹事会ニ於テ之ヲ互選ス
    幹事ハ通常会員中ヨリ大会ニ於テ会頭之ヲ指名ス
    評議員ハ賛助会員中ヨリ会頭之ヲ推薦ス
第十条 役員ノ任期ハ会頭・副会頭・会計主任・編輯主任及ビ評議員ハ四ケ年、其ノ他ハ一ケ年トシ、毎年秋期之ヲ改選ス、但シ重任ヲ妨ゲズ
第十一条 会頭ハ本会ヲ総理シ、副会頭ハ会頭ヲ補佐ス
第十二条 会計主任ハ基本金ヲ保管シ且会計ヲ範理ス
 - 第45巻 p.177 -ページ画像 
第十三条 編輯主任ハ会報ノ編輯ヲ主宰ス
第十四条 理事ハ会頭ノ命ヲ受ケテ会務ヲ掌ル
第十五条 幹事ハ理事ヲ補佐シ併セテ本部ト支部トノ連絡ヲ図ル
第十六条 評議員ハ会頭ノ諮問ニ応ジ且重要ナル会務ニ参与ス
  第四章 会議及会計
第十七条 本会ノ会議ヲ理事会・幹事会・評議員会ノ三種トス
     理事会ハ理事ヲ以テ之ヲ組織シ随時之ヲ開ク
     幹事会ハ幹事ヲ以テ之ヲ組織シ必要ニ応ジ理事之ヲ招集ス
     評議員会ハ評議員ヲ以テ之ヲ組織シ必要ニ応ジ会頭之ヲ招集ス
第十八条 本会ノ経費ハ会費並ニ寄附金ヲ以テ之ヲ支弁ス
  第五章 附則
第十九条 本会会則ノ変更ハ大会ニ於テ出席者ノ過半数ノ同意ヲ経ル事ヲ要ス
   注意 本会ノ事務所ハ当分牛込区砂土原町三ノ廿一埼玉学生誘掖会(電話牛込一五九三)内ニ置ク
  ○右ハ学友会更生第一回大会ニ於テ決議サレタル会則ナリ。