デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
3節 其他ノ教育関係
8款 早稲田大学
■綱文

第45巻 p.374-378(DK450147k) ページ画像

大正14年10月20日(1925年)

是日栄一、当大学新図書館・製図教室及ビ学生ホールノ開館式ニ出席シ、祝辞ヲ述ブ。尚、爾後開カレタル数次ノ当大学維持員会ニ出席ス。


■資料

集会日時通知表 大正一四年(DK450147k-0001)
第45巻 p.374-375 ページ画像

集会日時通知表 大正一四年       (渋沢子爵家所蔵)
十月八日 木 午后弐時 早大定時維持員会(恩賜館)
   ○中略。
十月廿日 火 正午 早稲田大学図書館開館式(大隈会館)午餐
 - 第45巻 p.375 -ページ画像 
アリ


早稲田大学書類(二)(DK450147k-0002)
第45巻 p.375 ページ画像

早稲田大学書類(二)       (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    定時維持員会報告書(大正十四年十月八日午後二時)
出席維持員
 侯爵大隈会長 市島 高田 田中 坪内 山田 山本 増田 昆田 寺尾 浅野 坂本 以上十二氏
定刻開会、大隈会長議長席ニ着キ、田中常務理事ヨリ左記報告ヲナシ
○中略
 一、新図書館・製図教室・学生ホール竣成ニ付、来ル二十日(記念日)午後二時開館式ヲ挙行シ、御大典記念事業寄附者・校賓其他ヲ招待シ、尚御大典記念事業報告書及記念絵葉書(五種)発行ノ事トシタリ
○中略
 右御報告申上候也
  大正十四年十月十日
             早稲田大学総長 高田早苗
        (宛名手書)
    維持員 子爵渋沢栄一殿
   ○前掲「集会日時通知表」ニ十月八日ノ記載アルモ、右報告書ニハ栄一ノ氏名ヲ欠ク。欠席ナルベシ。


早稲田学報 第三六九号大正一四年一一月 祝辞(DK450147k-0003)
第45巻 p.375-376 ページ画像

早稲田学報 第三六九号大正一四年一一月
    祝辞
 早稲田大学の新図書館及び其の他の建物工事落成して、本日其開館式を挙行せらるゝに当り、老生も玆に祝辞を述ぶるの光栄を得たるは欣快措く能はざる所であります、依て老生は先づ本大学が歳月短くして早く隆盛の位地に達し、斯の如く異数の発展を為したる原因に就て平生確信し居る卑見を披瀝して満場諸君の高評を請はんと思ひます。諸君本大学の斯く適順に発達したるは、創立以来理事者の処理其宜しきを得、殊に現総長高田博士及び其他の諸氏の献身的勤勉の力亦多大なりと雖も要は創立者たる故大隈侯爵が早く時勢を達観せられ、教育をして民衆的施設たらしめたるの効果と断言し得ると思ひます。蓋し故侯爵が明治十四年の政変に際し、一時台閣を退きて、本大学の前身たる東京専門学校を創立し、拮据経営今日の基礎を確立せられたるは其先見達識実に敬服感佩に堪へぬのであります、老生は此場合に於て少しく冗長の嫌あるも故侯爵より受けたる知遇に就て其一端を叙して往時を偲びたいと思ひます。元来老生は埼玉県下の農家に生長して、固より順序ある学間もなく又見聞も少く、只少年より聊か漢籍を好みて多少政治に志望を抱き、首として封建制度打破を夢想し、終に家を離れて京都に遊び、一橋家に仕官して後素志に反して幕府の下士となり、徳川民部大輔の欧洲行に随従して仏国滞在中、幕府倒壊して王政維新の鴻業就り、庶政更治せられたるを以て其翌年仏国より帰朝せしも、既往を回顧して大に感ずる所あるによりて、全く意を政治に絶ちて、将来商工業の発達と其の社会の人格向上とに一身を傾注せんと期
 - 第45巻 p.376 -ページ画像 
念せしも、明治二年の冬誤つて朝命を蒙りて大蔵省の吏員に任ぜられ始めて大隈侯の本省に全権たるを知り、特に請うて築地の私邸を訪問し、膝を交へて既往の沿革と将来の企望とを詳陳して、切に官途より放免せられんことを請願せしも、侯の雄弁宏辞高所大局より遂に老生の述途に向つて其方向を指示せられたるは、実に五十八年前の昔夢にして、爾後侯の身辺には幾多の変遷ありしに拘らず、先年侯が簀を易へらるゝに至るまで終始一貫毫も間断なく懇情を継続せられ、老生も亦衷情を披きて其眷顧に浴したのであります。
 諸君故侯爵が東京専門学校を創立せられたるは、実に官学旺盛官吏万能の時でありました。此の際に於て僅に最近官途を退かれたる侯爵が、早く既に学問の官権と混同すべかざるの真理を論究し、殊に現下の時弊たる官尊民卑の陋習を矯正するは一に学問の民衆的発展にあることを断定し、大に私学を興して経済的に人材を養成輩出し、以て国家社会に提供せざるべからざる所以を詳述せられたるは、真に時勢に卓越せる達見にして、老生等実業界に在る者、特に官尊民卑の陋習を排除せんと期する者は、皆欣喜雀躍して其の趣旨を歓迎したのであります。当時官尊民卑の時弊に関する実例は枚挙に遑なき程なるも、余事に渉るを以て之を省略します。
 斯る理由よりして老生は、当初より東京専門学校の創立を衷心より賛成し、世間説を為す者の侯が学校に従事せらるゝは政治界の勢力扶植に在りとの謬見を弁解したることさへありしが、校運発展の事実は老生の予想より速にして、今日此盛典を見るに至り、老生も亦学園の一員として、此祝辞を呈するを得るは何等の幸福なるやと喜ぶと同時に、益々故侯爵の知遇に感激し、且其卓見に敬服せざるを得ぬのであります。因て此所感を述べて祝辞に代へます。
  大正十四年十月二十日
                      渋沢栄一


集会日時通知表 大正一四年(DK450147k-0004)
第45巻 p.376 ページ画像

集会日時通知表 大正一四年       (渋沢子爵家所蔵)
十一月七日 土 午后弐時 早稲田大学維持員会(同大学恩賜館)


早稲田大学書類(二)(DK450147k-0005)
第45巻 p.376-377 ページ画像

早稲田大学書類(二)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    定時維持員会報告書
          (大正十四年十一月七日午後二時)
出席維持員
 大隈会長 市島 池田 渡辺 高田 田中 上原 山田 山本 昆田 寺尾 坂本 宮田 子渋沢 塩沢 平沼 以上十六氏
○中略
 一、会計規定改正ノコト
 ヲ附議シ、同規定案第十六条ヨリ逐条審議ニ移リ、先ツ田中常務理事ヨリ第十六条原案修正ノ動議ヲ提出シ、山田維持員ノ之ニ対スル反対説アリ、田中理事更ニ原案作成ノ趣意ヲ開陳シ、昆田維持員モ亦之ヲ賛シ、山田維持員再ビ反対意見ヲ主張シ、市島・昆田・渡辺
 - 第45巻 p.377 -ページ画像 
上原・坂本諸維持員ヨリ意見出デ、議論区々ニシテ定マラザルヲ以テ、渋沢子爵ヨリ新タニ会計規定案審査委員ヲ選定シ、根本方針ヲ定メ新ニ立案ノ上当会ニ提出セラルヽ様トノ提議アリ、大隈会長ノ指名ニテ左記五氏ヲ挙ゲ
  田中穂積 市島謙吉 昆田文次郎
  山田英太郎 宮田脩
 午後四時二十分散会シタリ 以上
 右御報告申上候也
  大正十四年十一月十一日
              早稲田大学総長 高田早苗


集会日時通知表 大正一四年(DK450147k-0006)
第45巻 p.377 ページ画像

集会日時通知表 大正一四年        (渋沢子爵家所蔵)
十二月八日 火 午后弐時 早稲田大学定時維持員会(同大学恩賜館)


早稲田大学書類(二)(DK450147k-0007)
第45巻 p.377 ページ画像

早稲田大学書類(二)           (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    定時維持員会報告書
          (大正十四年十二月八日午後二時)
出席維持員
 市島 渡辺 金子 田中 坪内 山本 寺尾 宮田 子渋沢 塩沢 平沼 以上十一氏
○下略


集会日時通知表 大正一五年(DK450147k-0008)
第45巻 p.377 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年        (渋沢子爵家所蔵)
壱月十五日 金 午后弐時 早稲田大学定時維持員会(同大学恩賜館)


早稲田大学書類(二)(DK450147k-0009)
第45巻 p.377 ページ画像

早稲田大学書類(二)           (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    定時維持員会報告書
         (大正十五年一月十五日午後二時)
出席維持員
 大隈会長 市島 池田 渡辺 金子 高田 田中 山田 山本 伯松平 増田 昆田 寺尾 坂本 宮田 子渋沢 塩沢 平沼 以上十八氏
○下略


集会日時通知表 大正一五年(DK450147k-0010)
第45巻 p.377 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
弐月八日 月 午后弐時 早稲田大学維持員会(同大学恩賜館)


早稲田大学書類(二)(DK450147k-0011)
第45巻 p.377-378 ページ画像

早稲田大学書類(二)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    定時維持員会報告書
          (大正十五年二月八日午後二時)
出席維持員
 - 第45巻 p.378 -ページ画像 
 大隈会長 市島 金子 高田 田中 山田 山本 昆田 寺尾 浅野 坂本 宮田 子渋沢 塩沢 以上十四氏
○下略


集会日時通知表 大正一五年(DK450147k-0012)
第45巻 p.378 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
十二月八日 水 午后弐時 早稲田大学定時維持員会(同大学)


早稲田大学書類(二)(DK450147k-0013)
第45巻 p.378 ページ画像

早稲田大学書類(二)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    定時維持員会報告書
          (大正十五年十二月八日午後二時)
出席維持員
 侯爵大隈会長 市島 渡辺 金子 高田 田中 山田 山本 伯爵松平 増田 昆田 寺尾 浅野 坂本 宮田 子爵渋沢 塩沢 平沼 鈴木 以上十九氏
○中略
 次デ予テ委員会ニ於テ審議中ノ
 一、早稲田大学会計規程改正ノコト
 ヲ議題ニ供シ、二・三字句修正ノ上、別紙ノ通リ可決確定シタリ
 尚田中常務理事ヨリ本規程ノ実施ニ関シ新会計規程第七条ニ依レハ「各勘定ノ項目及会計事務取扱規則ハ維持員会ノ決議ヲ経テ別ニ之ヲ定ム」トアリ、随テ此際直チニ各勘定ノ項目及会計事務取扱規則ノ制定ニ着手スベキナレトモ、既ニ明年度予算ノ編成ニ近ツキ慎重ナル審議ヲ経ルノ遑ナキヲ以テ、仮リニ理事者ニ於テ之ヲ定メテ施行シ、其経験ヲモ参考シテ徐ロニ制定スルコトニシタキ旨提議アリ満場異議ナク之ヲ承認シ、午後三時四十分散会シタリ
                          以上
○下略
   ○別紙略ス。



〔参考〕集会日時通知表 大正一五年(DK450147k-0014)
第45巻 p.378 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
参月十四日 日 午前九時 早稲田大学難波氏来約(飛鳥山)
   ○中略。
十月五日 火 午后弐時 早稲田大学臨時評議員会(大隈会館)