デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
3節 其他ノ教育関係
12款 東京帝国大学関係 1. ヘボン氏寄付講座
■綱文

第45巻 p.469-473(DK450173k) ページ画像

昭和4年7月3日(1929年)

是日、東京帝国大学大講堂ニ於テ、当講座委員会開カル。栄一出席ス。八月六日、栄一、エー・バートン・ヘボン夫人ニ書翰ヲ発シ、当講座ノ実情ヲ報告ス。


■資料

集会日時通知表 昭和四年(DK450173k-0001)
第45巻 p.469 ページ画像

集会日時通知表 昭和四年        (渋沢子爵家所蔵)
七月三日 水 午後三時半 ヘボン講座ニ関スル報告会(帝大校内大講堂会議室)


ヘボン講座書類(一)(DK450173k-0002)
第45巻 p.469 ページ画像

ヘボン講座書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、時下愈々御清祥大賀之至ニ御座候、陳者来ル七月三日(水曜)午後三時半ヨリ構内大講堂会議室ニ於テ、ヘボン氏寄附講座ニ関スル委員会開催致度候間、御繰合御臨席賜ハリ度此段御案内申上候 敬具
  昭和四年六月二十七日
           東京帝国大学総長 小野塚喜平次 
    子爵渋沢栄一殿
 - 第45巻 p.470 -ページ画像 

ヘボン講座関係書類(DK450173k-0003)
第45巻 p.470 ページ画像

ヘボン講座関係書類    (東京帝国大学本部庶務課所蔵)
        (太字ハ朱書)
         発送  六月廿八日  (印)
             昭和四年六月廿五日起案 (印) (印)
  庶務課長 (印)
 総長 (印)
  高木教授 (印)
    一案○略ス
    二案
拝啓、時下愈々御清祥大賀之至ニ御座候、陳者来ル七月三日(水曜)午後三時半ヨリ構内大講堂会議室ニ於テ、ヘボン氏寄附講座ニ関スル委員会開催致度候間、御繰合御臨席賜ハリ度此段御案内申上候 敬具
  年 月 日
                         総長
    子爵 渋沢栄一  出
    子爵 石井菊次郎  宛欠
       井上準之助 欠
       山川男爵     欠

○ヘボン氏寄附講座ニ関スル委員会
 七月三日(水曜)午後三時半開会
  (大講堂南側控室ニ於テ)

           出席者    子爵 渋沢栄一
           〃         中田法学部長
           〃         姉崎教授
           〃         高木教授
           〃         高柳教授
           〃         小野塚総長
           〃         江口書記官

○ヘボン氏寄附講座ニ関スル委員会
 昭和四年七月三日午后三時半大講堂南側控室ニ於テ開会
 小野塚総長ノ開会ノ辞ニ次デ、高木八尺教授エー・バートン・ヘボン氏寄附金ニ依ル事業ノ報告(自昭和三年四月至昭和四年三月)アリ、次テ渋沢子爵ヨリ総長・高木教授等ノ労ヲ謝スル挨拶、及ヘボン氏在世当時ノ懐旧談有、最後ニ現在ノヘボン講座実情等ヲ、在紐育ノ同氏遺族ニ子爵ヨリ報告スルニ付、一応其ノ原案ヲ高木教授ニ一覧ヲ乞フコトニ決定、一同曩ニ、エール大学フイルムサーヴイスヨリ教育映画ヲ本学ニ寄附セラレシコトモ、ヘボン氏ノ関係ニヨル等、並ニヘボン講座ニ関スル談話ヲ交換シ、午后四時半頃、和気藹々裡ニ散会セリ


ヘボン講座書類(一)(DK450173k-0004)
第45巻 p.470-471 ページ画像

ヘボン講座書類(一)         (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    「米国憲法・歴史及外交」講座報告(自昭和三年四月至昭和四年三月)
 - 第45巻 p.471 -ページ画像 
  ○講義
一、昭和三年度ニ於テハ、本講座ノ講義ハ改メテ政治学科第二学年ノ学生ヲ中心トスル随意科目トシ、前年通リ一週四時間宛、半学年ノ講義ヲナシタリ。講義ノ題目ハ「米国政治史」ナリ
一、聴講学生ノ数ハ二十数名ニシテ、皆熱心ノ態度ヲ持続セシコト、殊ニ其ノ数名ハ特別研究事項ニ就テ報告ヲ出シ、就中両三名報告並ニ試験ニヨリ、極メテ優秀ノ成績ヲ示ス者ヲ存シタリシコトハ、好徴候ト考ヘラレタリ
  ○出版
一、本講座ノ主催ノ下ニ、曾テ本学ニ於テ為サレタル米国「アレン・ジヨンソン」博士ノ三回講演ヲ、法学部助手松本法学士ト協力シテ和訳シ『米国三偉人の生涯と其の史的背景』ト題シ「米国講座叢書第三編」トシテ刊行シ(昭和三年七月)、二百五十部ヲ購入シテ約二百部ヲ各方面ニ寄贈シタリ


(高木八尺)書翰 写 小畑久五郎宛昭和四年七月一七日(DK450173k-0005)
第45巻 p.471-472 ページ画像

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渋沢栄一書翰 控 エー・バートン・ヘボン夫人宛昭和四年八月六日(DK450173k-0006)
第45巻 p.472-473 ページ画像

渋沢栄一書翰 控 エー・バートン・ヘボン夫人宛昭和四年八月六日
                    (渋沢子爵家所蔵)
                 (栄一鉛筆)
                 四年七月二十九日一覧
                 早々発信有之度候事
    案
 紐育市パーク・アヴエニユー四七一
  エー・ビー・ヘボン未亡人様
   昭和四年七月 日        東京 渋沢栄一
拝啓、時下炎暑の砌益御清適奉賀候、然ば本月三日東京帝国大学に於て、ヘボン財団名誉評議員会開催せられ候に付、老生も出席致し同財団の下に遂行中の事業に関する報告を聴取仕、且必要なる協議を遂げ候、右会の顛末に就ては已に高木八尺氏より直接御報告申上候由に付玆には記述を差控へ候、只右会に出席仕種々報告等を聞くに付けても往事を思ひ起し真に感慨無量なるもの有之候間、聊か此等に付申上度と奉存候
先づ第一に老生の念頭に浮び候事は、一千九百十七年六月十一日付を以て故ヘボン氏より寄せられたる意味深長の御書面に御座候、時恰も欧洲戦乱の酣なりし頃に有之、故人は当時独逸系米国人が貴国内に於て種々の反逆的行為を逞うし、又独逸政府が武力を以て陸に海に蛮行を擅にせしを憤慨せられ、畢竟するに今回の大戦乱も国際関係が平素親善を欠くに起因するものとせられ、国際了解の必要、殊に日米両国の相互了解の必要を痛感被成、両国親善の増進と相互了解に資せんとの目的を以て、東京帝国大学に永久的講座創設の御希望を披瀝せられ其目的達成の為め、老生に於ても努力致候様申越され候次第に御座候老生は多大の感激を以て来示拝読、直ちに当時東京帝国大学総長なりし山川健次郎氏に協議致候結果、故人と同総長との通信交換と相成、又紐育市に於ける故人・一宮鈴太郎氏及目賀田男爵との協議等と相成結局諸方面の了解を得て、終に東京帝国大学にヘボン講座を設置することに決定致し、翌一千九百十八年二月十六日愈開講の運びと相成候に付、老生は歓喜不禁ヘボン氏に対し左の通り打電仕候
 「講座成立、本日開講、聴衆堂に満ち終始満足を以て聴講せり」
                          渋沢
右に対し故人は翌日電報を以て左の如く回答せられ候
 「唯今閣下の電報を拝受し欣快の至りなり、多大の御援助によりて
 - 第45巻 p.473 -ページ画像 
講座の設置を見、已に活動を始めたりとの御通信に接し満悦至極なり、本講座が国内的にも国際的にも有効ならん事を祈りて止まず、爰に深厚の謝意を表す ヘボン」
而して最初の臨時講演者が、貴国に最も親み深き新渡戸稲造博士なりしことは、確かに本講座の幸先を祝せしものと存候
ヘボン講座担当教授高木八尺氏は、就任以来忠実に其任務を果され、聴講生も年々増加致候は御同慶の至りに御座候、若し御良人にして御在世に候はゞ、本講座の進展を御承知相成御喜被下候儀と存候も、今や御報告仕候よすがも無之、真に残懐措く能はざる次第に御座候
以上本年を以て九十歳を迎へ候老人の繰言の一端として御聴取被下候はゞ幸甚の至りに御座候
右御挨拶旁得貴意度如此御座候 敬具
   ○右英文書翰ハ八月六日付ニテ発送セラレタリ。


(高木八尺)書翰 小畑久五郎宛(昭和四年)八月一三日(DK450173k-0007)
第45巻 p.473 ページ画像

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