デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正15年7月2日（1926年）

是日、当学舎事務所ニ於テ臨時評議員会開催、栄一出席シテ当学舎創立五十年式典挙行及ビ教務拡張ノ件並ニ寄付行為改正ノ件ヲ可決ス。次イデ九日、寄付行為改正ニ関スル認可ヲ文部大臣ニ申請シ、九月一日ソノ認可ヲ得。

渋沢栄一　日記　　大正一五年　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月三十一日　晴　寒
○上略　佐倉孫三氏ノ来訪ニ接シ、牛島別天詩集印刷製本ノ事ヲ協議ス、又二松学舎ノ現況ヲ聞知シ、且将来維持ノ方法ニ付佐倉氏ノ意見ヲ徴シ、他日尾立氏ト熟議ノ事ヲ注意ス
○下略
　　○中略。
三月十三日　晴又曇　寒
○上略　二松学舎尾立維孝氏来訪ス、爾来同氏ノ起居及学舎ノ現状ト将来ニ付種々ノ意見ヲ交換ス、且モシ必要ナラハ孟子ノ講義ヲ着手スヘキ事ヲ協議ス○下略

竜門雑誌　　第四五五号・第七一頁大正一五年八月
　　　　青淵先生動静大要
　　　　　　七月中
二日　○中略　二松学舎評議員会（同舎）

二松学舎書類（一）　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
(控)
　　　　臨時評議員会議事録
大正十五年七月二日午後三時、財団法人二松学舎事務所ニ於テ、臨時評議員会ヲ開ク
現在評議員弐拾参名ノ内出席者左ノ如シ
　　　子爵渋沢栄一　　　尾立維孝
　　　　　佐倉孫三　　　池田四郎次郎
　　　　　速水柳平　　　国分三亥
 - 第45巻 p.591 -ページ画像 
　　　　　林直方　　　　那智佐典
　　　　　浜隆一郎　　　三島広
評議員佐倉孫三ヘ評決ヲ委任セシ評議員左ノ如シ
　　　　　荘田要二郎　　西愛
　　　　　堀内伊太郎　　安井小太郎
　　　　　五弓安二郎　　田島義方
　　　　　田畑大蔵　　　平野猷太郎
　　　　　山田準
評議員尾立維孝ヘ評決ヲ委任セシ評議員左ノ如シ
　　　　　岡田起作
是ニ於テ弐拾名ノ出席トナル、即チ寄附行為第三十六条ニ適合スル評議員出席シタルモノトス
議長渋沢栄一開会ヲ宣言ス
　第一議案
　　二松学舎創立五十年式典挙行及ヒ教務拡張ノ件並ニ其経費ノ件
理事尾立維孝説明ヲナシテ曰ク、創立五十年式典挙行並ニ教務拡張ニ付、有志者招待費・印刷費等金壱千円支出ヲ要スト
　　決議
　　出席評議員満場一致ニテ可決ス
　第二議案
　　寄附行為改正ノ件
理事尾立維孝説明シテ曰ク、財団法人二松学舎維持員ヲ設ケ、理事弐名ヲ増員シ、其他改正ノ点別紙議案ノ通リナリ
　　決議
　　出席評議員満場一致ニテ可決ス
右議事録ノ正確ナルコトヲ証明スル為メ、左ニ署名捺印ス
　　　　　　　　　　　　　　　　署名人　国分三亥印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　那智佐典　花押
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　林直方(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　議長　　渋沢栄一栄一
　　○別紙ヲ欠ク。

二松学舎書類（一）　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
(控)
　　　　　　　　　　　　　　　　（維孝）
会長栄一　　当番理事(印)
　　　　　　　　　　　理事
　　　　　　　　　　　　　書記
　　　大正十五年七月五日起案
　　　　寄附行為改正ニ付認可申請書
　　　　　　　　　東京市麹町区一番町四十六番地
　　　　　　　　　　　　　　　　　財団法人二松学舎
右財団法人二松学舎寄附行為中改正ノ件
本月二日臨時評議員会ニ於テ、別紙ノ通議決致候間御認可被下度、議事録相添此段申請候也
 - 第45巻 p.592 -ページ画像 
　　大正十五年七月九日
　　　　　　　　　財団法人二松学舎長　子爵渋沢栄一
　　　　文部大臣岡田良平殿
　　○別紙ヲ欠ク。

二松学舎六十年史要　国分三亥編　　第一一八頁昭和一二年一二月刊
　○第二編　財団法人二松学舎沿革
　　　　第三章　財団法人二松学舎時代
○上略
　大正十五年七月二日、評議員会開催、寄附行為中改正の件を議決し九月一日文部大臣の認可を得たり。○下略

二松学報　　第一〇号大正一五年一一月
　　　　財団法人二松学舎趣意書
明治十年十月十日文学博士三島中洲翁創立ノ二松学舎ヲ永遠ニ存続シ東洋固有ノ道徳文学ヲ維持拡張スル目的ヲ以テ、其子孫門人及ヒ有志ノ士胥謀リ、三十六年六月一日二松義会ヲ組織シ、之レカ後援ヲ為スコト六年、其資金五千円ニ及ベルヲ以テ、四十二年六月二十一日文部大臣ノ認可ヲ受ケテ財団法人トナシタリキ、爾来　今上陛下ノ恩賜金アリ、大方諸士ノ寄附金アリ、又三島復君寄附ノ宅地弐百拾八坪二合五勺アリ、之ヲ積算スレハ其額凡ソ七万円ニ達ス、大正七年十月ヨリ八年六月ニ渉リ更ニ資金ヲ増募シテ凡ソ六万円ヲ獲タリ、則チ独立自営ノ基礎確立セルニ因リ、八年八月二十三日財団法人二松学舎ト改称シ、従来ノ二松学舎ヲ包容ス、十三年四月四日三島美代子ヨリ宅地四百九十七坪ノ寄附アリ、十四年十二月卅一日ノ現在資産金弐拾参万九千八百拾参円弐拾八銭ナリ、今年ハ恰モ本舎創立五十年ニ相当スルヲ以テ、更ニ資金ヲ増募シテ一段ノ発展ヲ為シ、以テ上ハ　天恩ノ万一ニ報シ、中ハ中洲翁ニ酬ヒ、下ハ大方ノ厚意ニ答ヘント欲ス
　　大正十五年七月二日