デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和6年4月27日（1931年）

是ヨリ先、昭和五年六月五日、文部大臣ヨリ二松学舎専門学校ニ対シ、高等学校高等科若クハ大学予科ト同等以上ト指定セラレシガ、是日、文部省告示第百九十一号ヲ以テ、同校昭和六年三月以降ノ卒業者ニ対シ、中等教員漢文科無試験検定ノ取扱ヲ許可セラル。栄一之ニ尽力ス。

二松学舎六十年史要　国分三亥編　　第七一頁昭和一二年一二月刊
　○第一編　第二章　歴年沿革
　　　　昭和五年
○上略
　六月五日、文部省告示第百六十八号を以て、二松学舎専門学校を大正七年文部省令第三号第二条により、高等学校高等科若は大学予科と同等以上と指定する旨告示せらる。
○下略

法令全書　昭和五年下巻　内閣印刷局編　刊
文部省告示第百六十八号
大正七年文部省令第三号第二号ニ依リ、左記ノ学校ヲ高等学校高等科若ハ大学予科ト同等以上ト指定ス
　　昭和五年六月五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　文部大臣田中隆三
　一、二松学舎専門学校
　　　但シ本科卒業者ニ限ル
○下略

二松学舎六十年史要　国分三亥編　　第七二頁昭和一二年一二月刊
　○第一編第二章歴年沿革
　　　　昭和六年
　二月三日、文部省は第一部、第二部、第三学年生に午後五時より七時迄国語科学力考査を、同四日前日同様漢文科の学力考査を施行す。
○下略

二松学舎書類（二）　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（写）
 - 第45巻 p.627 -ページ画像 
粛啓仕候　閣下益御健康ニ被為入、日夜為国家御賢労被遊候段、誠ニ感佩ノ至ニ奉存候、偖玆ニ一事御賢慮相煩シ度義有之候、余事ニ無之現在老生二松学舎々長トシテ其下ニ経営致居候二松学舎専門学校ノ件ニ候、抑同学舎ハ故三島毅博士カ明治十年ニ創立致候唯一ノ漢学塾ニ有之、爾来五十余年ノ間ニ一万有余ノ人物ヲ養成致候、老生ハ深ク同博士ノ学問識見ニ服シ、其晩年ヨリ歿後ノ今日迄十余年来、舎長トシテ博士ノ門下高弟ヲ督励シテ学舎ヲ維持致シ来リ候処、近年ノ時勢人情ニ鑑ミル所有之、更ニ堅実ナル中等教員ヲ養成スヘク、嚮ニ国語・漢文ヲ主トシタル専門学校ヲ設ケ、孜々トシテ其充実ヲ図リ候結果、来ル三月ヲ以テ始テ百数十人ノ卒業生ヲ出シ候事ニ相成居候、然ル処専門学校ノ卒業生ハ検定試験ヲ受ケスシテ中等教員免許状ヲ授与セラルヘキ御規定有之、既ニ幾多ノ実例モ有之候ニ付、本校モ昨年早ク御省普通学務局ヘ国語漢文ノ中等教員ノ無試験検定ヲ願出候処、先般来数度ニ渉リテ校舎ノ内容及ヒ授業生徒ノ学力等御考査ニ相成候間、今ハ唯其資格ノ御授与ヲノミ翹望致居候次第ニ御座候、固ヨリ御許否ハ一ニ考査ノ結果ニ因ルヘキコト勿論ニ候得共、本舎ノ創立者三島博士ハ畏ケレトモ大正天皇潜竜ノ御時ヨリ多年侍講申上、御登極ノ際ニハ特ニ本舎基本金トシテ一万金御下賜ノ恩命ヲ拝シ、又本校設置ノ際ニモ御下賜金ヲ蒙リ候事有之、終始一貫忠孝仁義ニ本ツイテ国体ヲ尊重スヘク、堅実ナル教旨学風ヲ鼓吹致居、其内容決シテ他ノ同種学校ニ譲ラサルヘキヲ確信仕候、就テハ此際幾多ノ同種学校ト同シク、国語漢文ノ無試験検定資格御授与被下候様御厚配ヲ蒙リ度此段折入而奉願上候、実ハ老生拝謁親シク御願可申上ノ処、病後元気未ダ十分回復不致候ニ付、乍不本意書中ニテ願意吐露仕候、御煩務ノ折柄瑣事申出テ実以テ、恐縮ニ存候得共、本校浮沈ノ岐ルヽ所御賢察被成下、何分共宜敷御取計被下候様奉願候、時下春寒尚料峭折角御愛護被遊度候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　草々拝具
　　昭和六年二月十八日　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　文部大臣　田中隆三閣下
　　　　　　　　　　　　　貴執事

二松学舎六十年史要　国分三亥編　　第七三頁昭和一二年一二月刊
　○第一編第二章歴年沿革
　　　　昭和六年
○上略
　四月廿七日、文部省告示第百九十一号を以て本校第一部生に対し、中等教員漢文科無試験検定の取扱方許可せらる。
○下略

法令全書　昭和六年第四号　内閣印刷局編　刊
文部省告示第百九十一号
明治四十四年文部省告示第二百四十二号公立私立学校卒業者ニ対シ、師範学校・中学校・高等女学校教員無試験検定ノ取扱ヲ許可シタル学校中、私立広島女学校ノ項ノ次ニ左ノ如ク加フ
 - 第45巻 p.628 -ページ画像 
　　昭和六年四月二十七日　文部大臣　田中隆三
　二松学舎専門学校　第一部　漢文　昭和六年四月二十五日　昭和六年三月以後ノ卒業者ニ限ル