デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
7款 帰一協会
■綱文

第46巻 p.603-606(DK460146k) ページ画像

大正4年10月13日(1915年)

是日栄一、上野精養軒ニ於ケル当協会第六回時局問題研究委員会ニ出席ス。


■資料

集会日時通知表 大正四年(DK460146k-0001)
第46巻 p.603 ページ画像

集会日時通知表 大正四年         (渋沢子爵家所蔵)
拾月十三日 水 午後五時 帰一協会特別委員会(上ノ精養軒)

 - 第46巻 p.604 -ページ画像 

渋沢栄一 日記 大正四年(DK460146k-0002)
第46巻 p.604 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正四年         (渋沢子爵家所蔵)
十月十三日 曇
○上略 午後五時上野精養軒ニ抵リ、帰一協会ノ委員会ヲ開キ戦乱後ニ関スル国民ノ覚悟ニ付種々ノ協議ヲ為ス、夜十時過帰宅○下略


帰一協会会報 第六号・第二八二頁大正四年一一月 ○第六回委員会○時局問題研究(DK460146k-0003)
第46巻 p.604 ページ画像

帰一協会会報 第六号・第二八二頁大正四年一一月
    ○第六回委員会○時局問題研究
 十月十三日開会。出席者九名。
 前回提出されし姉崎氏の宣言草案並同第二案に就きて出席委員中に研究討議ありき。


帰一協会録事第二(DK460146k-0004)
第46巻 p.604 ページ画像

帰一協会録事第二             (竹園賢了氏所蔵)
    十月十三日○大正四年
午後五時本会特別委員会ヲ開ク、出席者左ノ如シ
                    添田寿一氏
                    中島力造氏
                    成瀬仁蔵氏
                    姉崎正治氏
                    阪谷芳郎氏
                    佐藤鉄太郎氏
                    宮岡恒次郎氏
          欠食        秋月左都夫氏
                    渋沢栄一氏
本夕ハ前回提出サレシ国民ノ覚悟ニ対スル宣言草案(第一・第二案姉崎博士起草)ニ就キ出席会員中ニ討議アリ


帰一協会会報 第七号・第一八―二三頁大正五年三月 ○宣言決定に至る経過大要(DK460146k-0005)
第46巻 p.604-606 ページ画像

帰一協会会報 第七号・第一八―二三頁大正五年三月
 ○宣言決定に至る経過大要
同年十月十三日○大正四年第六回委員会
 本夕は姉崎正治氏再稿宣言草案に付きて討議し、其の結果、更に同第三案を起草せらる。再稿案及び第三案ハ次の如し。
    (第二案)国民ノ覚悟ニ関スル宣言草案
 開国進取ノ宏謨ヲ拡充シ、国運ノ伸張、国力ノ充実ニ努力スルハ、日本国民ノ急務ニシテ、国家文明ノ隆盛ハ、世界ニ於ケル日本ノ品位ヲ高ムル所以タルノミナラズ、国民ガ世界ノ進運ニ参与シ、万国彼此相倚ルノ実ヲ挙グル道亦玆ニ存ス。日本国民ハ、明治ノ盛世ニ国運維新ノ功業ヲ翼賛シ来リ、今大正更始ノ際ニ世界ノ大乱ニ処シ、東亜全局ノ治乱ヲ負担シテ立ツベキ位置ニアリ、是ヨリ進ンデ、世界ニ国ヲ建ツルノ真意義ヲ発揮スルハ、吾人ノ共ニ双肩ニ負担スベキノ大任務ナラズヤ。
 思フニ、日本ガソノ国民生活ノ特徴トシテ世界ニ誇ルベキ長所ハ、上下心ヲ協ハセテ国事ニ尽シ、人々献身ノ誠ヲ致シテ、国家ニ奉仕スルノ一事ニアリ。ソノ光輝アル歴史ハ、此一精神ノ発揚ニ外ナラズ、而シテ献身ノ忠節ハ、此国家ガ正義ニ依ツテ国ヲ建テ、天地ノ大道ヲ
 - 第46巻 p.605 -ページ画像 
以テ、国民徳性ノ大本トナシ、此心ヲ以テ、異体同心ノ実ヲ挙ゲタル結果ニ外ナラズ。時勢ハ如何ニ廻転シ、世務政策ハ如何ニ変遷スルトモ、立国ノ大道ニ至リテハ一モ渝ハルベカラズ。此ヲ以テ、国家ガ世界ニ処スルノ道モ亦此徳性ヲ世界ニ発揚シ、強ヲ怖レズ、弱ヲ侮ラズ現前ノ利害以上、更ニ正義ノ擁護者タル天職ヲ尽スニアリ。世界戦乱ノ結果、国際関係ノ変動ト、利害ノ観念トニ支配セラレ、形勢ニ応ジテ国家ノ節操ヲ変ジ、守ル所ヲ二・三ニスルガ如キコトアラバ、是レ建国ノ大旨ヲ没却シ、国民ノ徳性ヲ破壊スルニ外ナラズ。若シ此ノ如クニシテ、自ラ立ツ所以ヲ思ハズ、自ラ守ル所ヲ失ハヾ、兵強ク国富ムモ、ソノ力ハ浮雲ニ同ジク、精神上ニハ自ラ破滅ヲ招ク所以ナリ。
 然ラバ我等ガ、国家ノ進運ヲ翼賛スル所以ノ道ハ、痛切ニ建国ノ主義ヲ自覚シ、国民ノ徳性ヲ発揚スルニアリ。即チ上下心ヲ同ジウシ、力ヲ協ハセ、内ハ国民生活ノ大本ヲ確立シテ、東洋文明ノ代表者タルノ実ヲ挙ゲ、外ハ与国ト共ニ、国際正義ノ擁護者トナリ、将来文運ノ発展ニ有力ナル貢献ヲナスベシ。是レ実ニ今日ノ急務ニシテ、永遠ノ国是タリ。
 此ノ目的ヲ達スル為ニハ、国家ガ内外共ニ重大ナル時機ニ際会セルヲ自覚シ、官民心ヲ一ニシテ、此ノ国是ヲ遂行スルニ努力セザルベカラズ。就中左ノ条項ニ就キテ真摯ナル考慮研究ヲ遂ゲ、熱誠ソノ実行ヲ講ズルヲ要ス。
    (条項ハ之ヲ略ス)
 (第三案甲)国民ノ覚悟ニ関スル宣言草案
 明治維新ノ宏謨ヲ拡充シ、国民ノ伸張、国力ノ充実ニ努力スルハ、日本国民ノ急務ナリ。而シテ国家文明ノ隆盛ハ、世界ニ於ケル日本ノ品位ヲ高ムル所以ニシテ、国民ガ世界ノ進運ニ貢献スルノ道亦玆ニ存ス。日本国民ハ、明治ノ盛世ニ国運維新ノ功業ヲ翼賛シ来リ、今大正更始ノ際ニ、世界ノ大乱ニ処シ、東亜ノ平和ヲ保持スルノ位置ニアリ此ヨリ進ンデ国ヲ建ツルノ真意義ヲ世界ニ発揮スルハ、吾人ノ共ニ双肩ニ負担スベキノ大任務ナラズヤ。
惟フニ日本国民ガ其特徴トシテ、世界ニ誇ルベキハ、忠孝ヲ本トシ、上下心ヲ協セテ国事ニ尽シ、人々献身ノ誠ヲ致シテ国家ニ奉仕スルノ一事ニアリ。其光輝アル歴史ハ、此精神ノ発揚ニ外ナラズ。而シテ献身ノ忠節ハ、此国家ガ正義ニ依リテ国ヲ建テ、天地ノ公道ヲ以テ、国民徳性ノ大本トナシタル結果ニ外ナラズ。時勢ハ如何ニ廻転シ、世務政策ハ如何ニ変遷スルトモ、立国ノ大道ニ至リテハ一モ渝ルベカラズ此ヲ以テ国家ガ世界ニ処スルノ道モ亦此ノ徳性ヲ世界ニ発揚シ、強ヲ怖レズ、弱ヲ侮ラズ、正義ノ擁護者タル天職ヲ尽スニアリ。
然ラバ、国家ノ進運ヲ翼賛スル所以ノ道ハ、痛切ニ建国ノ本義ヲ自覚シ、国民ノ徳性ヲ発揚スルニアリ。即チ上下協同シテ、内ハ国民生活ノ大本ヲ確立シ、外ハ国際正義ノ擁護者トナリ、世界文運ノ発展ニ有力ナル貢献ヲナスベシ。是レ実ニ今日ノ急務ニシテ、永遠ノ国是タリ。
 今ヤ国家ノ地位陞進ト倶ニ、国民ノ責任ハ一層重ヲ加ヘタリ。特ニ国家ガ、内外共ニ重大ナル時局ニ遭遇シタルヲ自覚シ、国民一致、此
 - 第46巻 p.606 -ページ画像 
国是ノ遂行ニ努力セザルベカラズ。就中左ノ条項ニ就キ、真摯ナル考慮研究ヲ重ネ、熱誠其実行ヲ講ズルヲ要ス。
 一、自他ノ人格ヲ尊重シ、国民生活ノ基礎ヲ鞏固ニシ、活気ヲ充実スルコト。
 二、割拠的気風ヲ打破シ、協同ノ精神ヲ喚起シ、国民一致ノ実ヲ挙グルコト。
 三、国家伝来ノ美風ヲ発揚シ、自立ノ基ヲ固ウスルコト。
 四、科学ノ応用ヲ盛ニシ、独創ノ研究ヲ奨励シ、以テ進歩ノ実ヲ挙グルコト。
 五、学制ヲ改善シ、教育者ノ人格ヲ尊重シ、其自発的活動ヲ奨励シ以テ教育ノ実効ヲ挙グルコト。
 六、近世文明ノ特徴タル組織的活動ヲ促進シ、東洋ノ精神的修養ニ努メ、以テ日本文明ノ特色ヲ発揮スルコト。
 七、国際道徳ヲ重ンズルト共ニ、国家自衛ノ実ヲ挙ゲ、国威ヲ発揚スルコト。
  (尚此外添田寿一氏提出条項あり、次の如し)
 一、国民生活上、理想ヲ一定シ、有形無形ニ個人ノ完成ヲ主トシ、国民トシテ将又人類トシテ、其本分義務ヲ完クスルコト。
 一、勤勉活動、以テ自己生計ノ独立向上ヲ図リ、併セテ国家経済力ノ充実ニ資スルコト。