デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正5年6月5日（1916年）

是日当協会幹事会、渋沢事務所ニ於テ開カル。栄一出席シテ、モートン・プリンス及ビジェー・ビー・ミレット歓迎ノ件ヲ協議ス。十三日、飛鳥山邸ニ当協会主催、同人等ノ招待会開カレ、栄一歓迎ノ辞ヲ述ブ。

集会日時通知表　大正五年　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
六月五日　月　午後四時　帰一協会幹事会（兜町）

帰一協会録事　第二　　　　　　　　　　　　（竹園賢了氏所蔵）
　幹事会
六月五日○大正五年　午後四時
日本橋渋沢事務所に於て会合し、プリンス博士・ミレツト氏歓迎会開催の件ニ関し下相談あり
　　　　　　　　　　　　　　　　　　出席者左の如し
 - 第46巻 p.620 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一氏
　　　　　　　　　　　　　　　　　　姉崎正治氏
　　　　　　　　　　　　　　　　　　成瀬仁蔵氏
　　　　　　　　　外ニ　　　　　　　中島力造氏
　　　　　　　　　　　　　　　　　　宮岡恒次郎氏
即ち十三日午後三時半王子渋沢邸に開会すべき事を決議す。

中外商業新報　第一〇八三六号大正五年六月一四日
○渋沢邸両氏招待会　帰一協会は、十三日午後三時より王子渋沢男邸に、今次米国より来朝せるプリンス博士及ミレツト氏を招待し、盛大なる歓迎会を催せり

帰一協会録事　第二　　　　　　　　　　　（竹園賢了氏所蔵）
　　　　プリンス博士・ミレツト氏歓迎会
　米国タフト・コレジ教授にして医学心理学者たるプリンス博士並ニボストン出版業者にして日本に関する書籍を出版したるミレツト氏来朝に付き、六月十三日午後三時半王子渋沢邸に於て歓迎会を開き、会員外より陪賓として、春秋会・日米関係委員・紐育日本協会協賛会、及びハーヷード倶楽部員を招待せり。
　　　会員出席者左の如し
　　菊池大麓氏　　　　　井上哲次郎氏
　　姉崎正治氏　　　　　矢野茂氏
　　加藤玄智氏　　　　　古谷久綱氏
　　山内繁雄氏　　　　　原田助氏
　　成瀬仁蔵氏　　　　　麻生正蔵氏
　　頭本元貞氏　　　　　中島力造氏
　　海老名弾正氏　　　　高木壬太郎氏
　　日下義雄氏　　　　　福岡秀猪氏
　　早川千吉郎氏　　　　大橋新太郎氏
　　渋沢栄一氏　　　　　宮岡恒次郎氏
　　中島久万吉氏　　　　増田義一氏
　　マツコーレー氏　　　秋月左都夫氏
　　ケールン氏　　　　　綱島佳吉氏
　　五代竜作氏　　　　　アツキスリング氏
　　ヘムマル氏　　　　　コールマン氏
　　ベンニングホツフ氏　黒岩周六氏
　　江原素六氏　　　　　川島令次郎氏
　　　春秋会々員出席者
　　本野英吉郎氏　　　　伊達源一郎氏
　　小久保喜七氏　　　　川島友三氏
　　小野瀬不二人氏代人
　　井上宅治氏　　　　　牧野輝智氏
　　斯波貞吉氏　　　　　福良虎雄氏代
　　　　　　　　　　　　石村誠一氏
　　　日米関係委員出席者
　　浅野総一郎氏　　　　串田万蔵歳氏
 - 第46巻 p.621 -ページ画像 
　　　ハーヷードクラブ員出席者
　　桜井信四郎氏　　　　高木真一氏
　　中村精次郎氏
　　Buchanan, D. H.
　　Allan W. Cooke
　　James McD. Gardiner
　　Joseph E. Sharkey
　　W. H. Price
　　Eills John
　　Kauffman, James Lee
主賓
　　Dr. Prince; Mr. Millet
　　　　外ニ写真技師二名
外ニ八十島親徳氏　増田明六氏
　　男爵家ノ方二名及書記二名
　定刻ニ到り一同打揃ふや、主賓・会員全部は庭園に出で、一同愛蓮堂に入りつゝ、博士・ミレツト氏・男爵と一同は握手の礼を為し暫らくにして堂を下る、其の昇降の場を一方より技師は活動写真のフヰルムに収む、右活動写真ハ日米親善に資せんが為めに彼地に於て日本の情況を知らしめんとする目的なりといふ
　右終つて一同は、洋館前の庭園芝生上に張りつめられたる大天幕内の席に着き、先づ男爵は立ちて、歓迎の辞を述べ、博士の世界平和に関する大使命を賛し、本来の帰一協会の主義に其の使命の相応しき事を喜び、且つ又写真によりて本日を記念したる事を一同と共に欣ぶとの旨を述べらる
　次でプリンス博士は、歓迎を謝し、博士の心理学的立場より論を起して、謂はゞ社会的意義ともいふべき一大潜勢力の命を奉じて、世界万国は互に相争ふ事なきに至るべきを論ぜられたり（此間姉崎博士の通訳あり、右挨拶・講演は別に記する事とせん）
　右終つて天幕を出で庭園内隅なくすゞろあるき、五時過き書院にて用意せられたる食卓に着き、主客十分の歓を尽して七時頃散会せり
　　　○尚モートン・プリンス、ジェー・ビー・ミレット来日ニ関スル他ノ資料ハ本資料第三十九巻所収「其他ノ外国人接待」大正五年六月七日、十三日ノ条ニ収ム。