デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
7款 帰一協会
■綱文

第46巻 p.621-625(DK460153k) ページ画像

大正5年6月27日(1916年)

是日当協会、中央亭ニ於テ、例会兼服部宇之吉帰国歓迎会ヲ開ク。栄一出席シテ歓迎ノ挨拶ヲナス。


■資料

集会日時通知表 大正五年(DK460153k-0001)
第46巻 p.621 ページ画像

集会日時通知表 大正五年         (渋沢子爵家所蔵)
六月廿七日 火 午後五時半 帰一協会服部博士歓迎会(中央亭)


帰一協会会報 第八号・第一六八頁大正五年七月 ○六月例会兼服部幹事歓迎会(DK460153k-0002)
第46巻 p.621-622 ページ画像

帰一協会会報 第八号・第一六八頁大正五年七月
    ○六月例会兼服部幹事歓迎会
 - 第46巻 p.622 -ページ画像 
 大正五年六月廿七日午後五時半、中央亭に於て開会。出席者三十三名、左の講演ありき。
 国体と宗教            頭本元貞氏
 右講演に対し質問・異見続出し、爾後此問題を以て研究題目と為すべきか否やに付き再び議論となりしが、結局題目として定めざるにせよ、尚ほ一二回本問題の研究を続行したき希望出で之に一致したり。
 七時半食卓を開き、服部博士の歓迎に移る。即ち渋沢男の大要左の如き挨拶あり。
 年長者の故を以て皆様に代り、服部博士に対する歓迎の御挨拶をいたします。年来博士が我帰一協会の為に御尽力下され、又昨年ハーヷード大学教授として、渡米せられた事は諸君の既に御承知の事であります。而して、其の大任を終へて去る十五日御無事帰朝せられたのであります。為に彼地に於て日本の文化を紹介し、殊に博士の専門の知識を彼地の各方面の人に弘められました事は、邦人の大に愉快に感ずる次第であります。米国と交通の頻繁なるのみでも、彼我の親善を助くるものでありますのに、更に教育方面に於て其の密接なる関係を加へまする事は、吾々一同の大に欣び、誇とする所であります。本夕は幸に御臨席下さいまして、玆に諸君と共に博士の為に乾杯いたします云々。
 次で別席に移り、服部博士の在米中の感想談あり。斯くて会員中にて博士の講演に関し、或は種々の談話ありて時の移るを知らず、散会したるは午後十一時、蓋し近来に無き盛会なりき。


帰一協会録事 第二(DK460153k-0003)
第46巻 p.622-623 ページ画像

帰一協会録事 第二           (竹園賢了氏所蔵)
    服部幹事歓迎兼例会
六月廿七日 ○大正五年 午後五時半開会
  当日出席者左の如し
 服部宇之吉氏   頭本元貞氏
 秋月左都夫氏   増田義一氏
 宮岡直記氏    床次竹二郎氏
 佐藤鉄太郎氏   矢野茂氏
 姉崎正治氏    テンネー氏
 内ケ崎作三郎氏  本多日生氏
 水野錬太郎氏   塩沢昌貞氏
 服部金太郎氏   マツケンジー氏
 斎藤七五郎氏   五代竜作氏
 荘田平五郎氏   成瀬仁蔵氏
 古谷久綱氏    成田勝郎氏
 山内繁雄氏    中島半次郎氏
 井上雅二氏    アツキスリング氏
 筧克彦氏     中島力造氏
 渋沢栄一氏    高木兼寛氏
 阪井徳太郎氏   宮岡恒次郎氏
 マツコーレー氏
 - 第46巻 p.623 -ページ画像 
本夕の講演は左の如し
 国体と宗教            頭本元貞氏
 帰朝談              服部宇之吉氏
 六時十分開会左の講演あり
国体と宗教=曰く本問題はむしろ国体と神道といふ言適当なり、――諾冊二尊は漢の高祖時代――日本歴史の年代――古神道を国教と見るや――古神道の神と基督教の神――国体を宗教化するの弊害……等主として筧博士の古神道大義に基く神道を前提に置きたる論にして、古神道大義の批評の如くなりき(七時了)
右了つて今後此の問題を研究討議すべきか否かに付き種々の異見出でたり、即ち国家と宗教と為すべきか或は国体と神道と為すべきかといふに付き是非の論ありしが、結局研究問題として掲ぐべしといふは別問題となし、唯本夕のみの講演にては一同物足らぬ感あるを以て更に一二回有志の人の説を聞き度き希望出で、右に一致したり、仍て今後幹事は右様の希望を念頭におき、爾後の講演者を依頼せん事を以てし一同の承認を得たり
 (姉崎、佐藤、筧、増田、水野、頭本、秋月、高木男、中島力、床次、渋沢諸氏の間に於て再三右の討議行はれたり)
 七時半食卓を開き、服部博士の歓迎に移る、斯くて食卓に於て渋沢男の大要左の如き挨拶あり
 年長者の故を以て服部君に対する歓迎の御挨拶をいたします、年来博士が、我帰一協会の為に御尽力下され、又昨年ハーヷード大学教授として渡米せられた事は諸君の既に御承知の事であります、然して其の大任を終へて過日無事帰朝せられたのであります、為に彼地ニ於て日本の文化を紹介し、殊に博士の専門の知識を彼地の各方面に拡められました事ハ、邦人の大に愉快に感ずる次第であります
 米国と交通の頻繁なる計りでも其の親善を助くるものなるに、更に教育方面に於て其の密接なる関係を加へまする事は、吾々一同の大に愉快とし、誇とする所であります
 本夕は幸に御臨席下さいまして、玆に皆様と共に博士の為に乾杯いたします、云々
 次で別席に移り、服部博士の米国感想談あり
 斯くて会員中相互間に種々の談話あり、後佐藤少将の戦争談に花咲き時の移るを知らず、散会したるは午後十一時なりき、梅雨しきりに降りてやまず
尚ほ本回は近来になき盛会を見たるは非常に幸なりき



〔参考〕竹園賢了氏所蔵文書(DK460153k-0004)
第46巻 p.623-625 ページ画像

竹園賢了氏所蔵文書
    六時十分開会
      頭本元貞氏講
 むしろ国体と神道といふべきを至当とす
 国体に対する考――万世一系の天皇の治す国なり
 根本事実
×諾冉二尊ハ漢ノ高祖時代
 - 第46巻 p.624 -ページ画像 
×日本の年代考
×学者の仮面
×古神道を国教と見るか
×古神道の神と基督教の神
×国体を宗教化する害毒
                     ――七時了
姉崎氏―右問題に干する希望、公表すべきか否かは別問題として、更に今後研究を続行すべし
佐藤氏―筧博士の説に対する観察方面
 博士の説を妥当ならずとせば問題とならずと思ふ
姉崎氏―頭本氏の説を問題とするに非ず、一般の問題に関して也、始めなる点を問題となすか、一般的に国体と宗教とに干して也
佐藤氏―我国体と宗教か、国体と神道との問題なるか
筧氏―自説としては別なるも、右の問題を研究したし
増田氏―国体と神道との範囲にしたし
水野氏―具体的ナラザル方可也、故に国体と宗教としたい
佐藤氏―例に上けられし点甚だ薄弱也、宗教と国とを一にするの不可なるは同感なり、但し神道は他の宗と比肩すべきものにあらずと信ず礼なり、神道は之を押立て行くべきものなりと信ず、而して木の如く肥料にあらず、大宗教なるも他の教と一ならず
 国家と宗教とするを可とす、国体として直に日本に応用するは不可なり
頭本氏―国体と神道とを論したるは神道を
 紀元等ノ事ハ歴史ノ断察トシテノベタルニアラズ、研究ノ例トシテイヘルノミ、日本歴史研究は容易ならず
佐藤氏―
姉崎氏―如何なるものを問題と為すか
秋月氏―国家と宗教とせは本会の研究問題とはならず
高木男―国体を研究するか、神道を研究するか
姉崎氏―関係問題なるも夫々の本質研究となる
筧氏―正面より国体云々となすべし、之より他に開展すべし
中島氏―国体研究にあらす、神道は宗教か、何の意味にて宗教なるかの問題にて研究を進めたし、研究は同時に非難を含む
頭本氏―国体研究の要なし、神道研究なり、神道が国体に如何に干係するかの研究なり
増田氏―神道との干係、宗教なるや否や
姉崎氏―国体と干連したる点から見たる神道
頭本氏―宗教なりや
水野氏―研究題目と固定せずして、興味あるものを研究すべし
佐藤少将―
姉崎氏―幹事が今後の講演を乞ふ場合に念頭に置くべき為ニ
中島博士―此問題は実際困難を感する問題なれば、大学の講義問題に非ず、但し各方面に触るゝ故に考もの也
床次氏――研究、決議なりは別として、更に一二回講演を聞きたし、
 - 第46巻 p.625 -ページ画像 
此儘にては物足らぬ感あり
渋沢氏―右同断、名士の説を聞きたい、宗教なりやとの問、国体と神道とするとも、角張らず承りたい
姉崎氏―承引を仰ぐ
   ○右ハ当日ノメモナルベシ。竹園ノ筆録カ。