デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
8款 財団法人理化学研究所
■綱文

第47巻 p.132-136(DK470017k) ページ画像

大正6年7月10日(1917年)

是日栄一、当研究所事務所ニ開カレタル理事会ニ出席、当研究所敷地トシテ、東京府立巣鴨病院跡ノ譲受方出願ノ件等ヲ決議ス。更ニ七月二十一日東京商業会議所ニ於ケル評議員会ニ出席、寄付行為及ビ規則一部改正等ヲ決議、引続キ当研究所事務所ニ於ケル理事会ニ出席ス。


■資料

集会日時通知表 大正六年(DK470017k-0001)
第47巻 p.132 ページ画像

集会日時通知表  大正六年       (渋沢子爵家所蔵)
七月十日 火 午後一時 理化学研究所理事会(商業会議所)


自第壱回至第三十八回 理事会決議録(DK470017k-0002)
第47巻 p.132 ページ画像

自第壱回至第三十八回 理事会決議録  (財団法人理化学研究所所蔵)
    第十一回理事会
大正六年七月十日、当事務所ニ於テ第十一回理事会ヲ開ク、中野理事ハ寄附行為改正ニ関スル伏見宮附別当ノ意見ニ付、又渋沢副総裁ハ第一銀行及十五銀行ノ寄附額決定セルコト並寺内伯爵ノ招待会ニ関スル件ニ付報告シ、柴山農商務参事官ハ評議員会ニ関スル規則ノ一部改正方及敷地並敷地内地上物件購入方ニ付、又桜井理事ハ留学生派遣及商議員嘱託方ニ付、説明スル所アリ、協議ノ結果左ノ通決議シ、尚柴山参事官ハ岡崎久寿氏ヲ一同ニ紹介シ、書記トシテ任用ノ承認ヲ得、午後四時散会セリ
      決議事項
一、寄附行為及規則改正ノ件ハ原案ヲ可決シ、一応伏見官附別当ニ諮リ、来ル二十日前後ニ評議員会ヲ開催スルコト
二、理学博士西川正治氏及理学士浅原源七氏ヲ研究員補ニ任用シ二年間北米合衆国ニ留学ヲ命スルコト
三、研究員及研究員補ハ営利会社ノ顧問タルヘカラサルコト
   但シ理事会ノ議決ニ依リ特例ヲ設クルコトアルヘシ
四、商議員ヲ嘱託スルコト
五、銀行預金中ノ金弐拾五万円ヲ以テ六分利廻リ確実ナル有価証券購入方ヲ荘理事ニ委託スルコト
六、土地収用事業認定方ヲ其筋ニ申請スルコト
七、巣鴨病院敷地ノ一部払下方ヲ東京府ニ出願スルコト
本日ノ出席者左ノ如シ
 菊池・渋沢両副総裁、大橋・和田・中野・桜井・荘各理事、原監事柴山農商務参事官
                 理事 中野武営(印)
                 理事 桜井錠二(印)
  ○右決議事項第四項ノ商議員ハ、当研究所建築及ビ設備等ノ具体的設計ヲナス目的ヲ以テ、学者・実業家ニ委嘱セントスルモノナルガ、後、此ノ名称ニヨラズ建設委員会ヲ設ク。(水谷清談話ニヨル)


中外商業新報 第一一二三〇号 大正六年七月一一日 ○理研敷地の決定(DK470017k-0003)
第47巻 p.132-133 ページ画像

中外商業新報  第一一二三〇号 大正六年七月一一日
 - 第47巻 p.133 -ページ画像 
     ○理研敷地の決定
理化学研究所にては十日午後一時より四時迄、東京商業会議所に於て渋沢・菊池・大橋・和田・中野・桜井・荘の七理事出席の上(一)評議員廿名増員並に人選の件(二)留学生として理大講師理学博士西川正治氏及大学院在学理学士浅原源七氏を米国に派遣するの件に次で、(三)敷地として愈々府立巣鴨病院跡を譲り受くる事を協議決定し、正式に府に願書を提出する事となれり、敷地の坪数は一万二千坪にして坪当り三十五円の予定也、尚ほ理事会は現に研究所が収入済みとなり居れる百二万円の内を以て公債を買入れ適宜利殖の途を講ずることに決定せりと


中外商業新報 第一一二〇一号 大正六年六月一二日 ○理化研究敷地 巣鴨病院跡か(DK470017k-0004)
第47巻 p.133 ページ画像

中外商業新報  第一一二〇一号 大正六年六月一二日
    ○理化研究敷地
      巣鴨病院跡か
理化学研究所の敷地としては、竹橋内の元騎兵聯隊跡を良候補地となし政府当局に交渉する所ありしも、事容易に捗どらず、其他の候補地として陸軍幼年学校脇の空地あれど面積狭少に過ぎ、白金火薬庫跡の使用も到底行はれ難く、要するに官有地の貸下は今の所実現を期待し易からざる状態にあれば、勢ひ敷地を購入する外なきが如し、而して購入敷地として目下指目せられつゝあるは巣鴨瘋癲病院跡の五千坪にして、右候補地は地盤も堅固の見込みなるのみならず、東京府に於ても若し理化学研究所に払下ぐるとせば便宜の処置に出づ可く、其払下価格は坪四十円以上也と云へるが、多分此方に決定すべき模様なりと


評議員会決議録 自設立総会 至大正十年九月(DK470017k-0005)
第47巻 p.133-134 ページ画像

評議員会決議録  自設立総会 至大正十年九月  (財団法人理化学研究所所蔵)
    第三回評議員会議事録
一、日時  大正六年七月廿一日午前十時開会、同十一時閉会
二、場所  東京商業会議所
三、出席員 評議員男爵渋沢栄一外十一名
      此外書面又ハ口頭ヲ以テ議題全部ニ対シ同意ノ旨通知シ来リタルモノ三十名
四、議事  評議員一同ノ推薦ニ依リ男爵渋沢栄一議長ト為リ開会ヲ宣シ、中野評議員及柴山農商務参事官ヨリ寄附行為及規則改正ニ関スル別紙原案ニ付説明シ、異議ナク可決セリ但シ寄附行為第四条中ノ事務所移転ニ関シテハ予定敷地小石川区駕籠町及本郷区駒込富士前町内東京府立巣鴨病院敷地ノ一部払下ヲ受ケ準備ノ成ルヲ俟テ其ノ筋ノ認可ヲ受クルコトトセリ 以上
右之通ニ候也
  大正六年七日二十一日
               財団法人理化学研究所
           議長 評議員   男爵 渋沢栄一栄一
              評議員 理学博士 桜井錠二(印)
              評議員      荘清次郎(印)
 - 第47巻 p.134 -ページ画像 
(別紙)
      寄附行為改正案
第四条中
   「東京市麹町区有楽町一丁目一番地」ヲ「東京市本郷区駒込富士前町……番地・東京市小石川区駕籠町……番地」ニ改ム
第七条第一項中
   「総裁ノ承認ヲ得」ヲ「総裁ニ上申シ」ニ改ム
第十条ヲ左ノ通改ム
   本所ノ予算ハ毎年度評議員会ノ議決ヲ経テ、決算ハ評議員会ノ認定ヲ経テ、総裁ニ上申スルモノトス
第十二条第四項ヲ左ノ通改ム
   副総裁ハ総裁ヲ輔翼ス
第十九条第一項中
   「総裁ノ承認ヲ得且ツ」ヲ「総裁ニ上申シ」ニ改ム
      規則改正案
第四条ニ左ノ一項ヲ加フ
   評議員会ニ出席セサル評議員ハ書面ヲ以テ表決ヲ為シ又ハ他ノ評議員ヲ以テ代理人ト為スコトヲ得
第二十条中
   「総裁ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス」ヲ「総裁ニ上申スルコトヲ要ス」ニ改ム


自第壱回 至第三十八回 理事会決議録(DK470017k-0006)
第47巻 p.134 ページ画像

自第壱回 至第三十八回 理事会決議録 (財団法人理化学研究所所蔵)
    第十二回理事会
大正六年七月廿一日第三回評議員会閉会後、第十二回理事会ヲ当事務所ニ於テ開キ、会計事務ニ関シ協議シ左之通決議シ、直ニ銀行預金主名義変更方ヲ取扱銀行ニ照会スルコトトセリ
      会計事務取定
一、所長ハ研究所ヲ代表シテ一切ノ事ヲ取扱フハ勿論ナレドモ、資金運転・銀行預金出納ニ関スル取扱ハ便宜上協議ノ上之ヲ大橋・荘ノ両理事ニ委任ス、従テ銀行預金ノ名義ハ右両名トス
二、事務所ニ要スル器具備付、其他印刷物等普通事務取扱ニ係ル必要品買入等ハ柴山氏ニ委任シ、同氏ノ承認ヲ得テ担当書記之ヲ実行スルモノトス
三、諸支払ハ払日ヲ定メ置キ(例ヘハ月ニ二回)書記請求書ヲ取揃ヘ荘理事承認ノ上預金ヨリ之ヲ支払フモノトス
四、事務所用小口支払ノ必要アルトキハ書記ノ手許ニ金壱百円ヲ備ヘ置キテ之ヲ支弁シ、支払日ニ於テ其支弁ノ承認ヲ受ケ、同日其分丈ヲ補充シ、常ニ百円ヲ備ヘ置クモノトス
当日ノ出席者左ノ如シ
 大橋・和田・高松・中野・桜井・菊池・渋沢・荘ノ各理事
            理事   男爵 渋沢栄一栄一
            理事 理学博士 桜井錠二(印)
            理事      荘清次郎(印)

 - 第47巻 p.135 -ページ画像 

中外商業新報 第一一二六三号 大正六年八月一三日 ○理研敷地決定(DK470017k-0007)
第47巻 p.135 ページ画像

中外商業新報  第一一二六三号 大正六年八月一三日
    ○理研敷地決定
過般来東京府と理化学研究所との間に交渉中なりし同所敷地問題は愈愈卅五円にて一万二千坪を譲り受くることに決定し、目下調印の運びとなり居るを以て、近々其手続を終了する筈にて、休暇明けより愈々事業の進捗に着手すべしと


中外商業新報 第一一二八六号 大正六年九月五日 ○理研建設地確定(DK470017k-0008)
第47巻 p.135 ページ画像

中外商業新報  第一一二八六号 大正六年九月五日
    ○理研建設地確定
財団法人理化学研究所は小石川区駕籠町及本郷区駒込上富士前町の地域に建設することに確定し、寺内首相は土地収用法に依り同地区の土地を収用し得ることを認定せる旨四日公示せり



〔参考〕財団法人理化学研究所案内 第二〇―二四頁昭和二年一一月刊(DK470017k-0009)
第47巻 p.135-136 ページ画像

財団法人理化学研究所案内  第二〇―二四頁昭和二年一一月刊
    寄附行為、規則及規程
〔寄附行為〕
      第一章 目的及事業
第一条 本所ハ産業ノ発達ニ資スル為理化学ヲ研究シ其ノ成績ノ応用ヲ図ルコトヲ以テ目的トス
第二条 本所ハ前条ノ目的ヲ達スルニ必要ナル施設ヲ為スノ外左ノ事業ヲ行フ
 一、一定ノ事項ヲ指定シテ研究ヲ依頼シ又ハ本所ノ設備ノ利用ヲ希望スル者アルトキハ其ノ需ニ応ズルコト
 二、研究及発明ヲ奨励スベキ施設ヲ為スコト
 三、研究及調査ノ成績ヲ公ニスル為印刷物ヲ刊行シ又ハ講話ヲ為スコト
      第二章 名称及事務所
第三条 本所ハ財団法人理化学研究所ト称ス
第四条 本所ハ事務所ヲ東京市本郷区駒込上富士前町三十一番地ニ置ク
      第三章 会員及資産
第五条 本所ノ事業ヲ翼賛シテ金銭又ハ物件ヲ寄附シタル者ヲ会員ト称ス
第六条 本所設立ノ日ニ於ケル資産ハ左ノ如シ
 一、現金拾万五千円也
 二、設立初年目ニ於ケル寄附年賦金五拾万五千七百円也
 三、設立二年目ニ於ケル寄附年賦金四拾五万五千七百円也
 四、設立三年目ニ於ケル寄附年賦金四拾五万四千六百円也
 五、設立四年目ニ於ケル寄附年賦金参拾参万参千円也
 六、設立五年目ニ於ケル寄附年賦金参拾参万参千円也
第七条 本所ノ資産ハ評議員会ノ議決ヲ経テ総裁ニ上申シ其ノ一部ヲ基金ニ充ツ
 基金ハ他ノ資産ト区別シテ之ヲ管理保存スルモノトス、但シ評議員
 - 第47巻 p.136 -ページ画像 
会ノ議決ヲ経総裁ニ上申シ之ヲ処分スルコトヲ得
第八条 本所ノ資産ハ国債証券又ハ確実ナル有価証券ヲ買入レ若ハ郵便官署又ハ確実ナル銀行ニ預入レ利殖ヲ図ルモノトス
第九条 本所ノ経費ハ基金ノ利息及其ノ他ノ収入ヲ以テ之ヲ支弁ス
第十条 本所ノ予算ハ毎年度評議員会ノ議決ヲ経テ決算ハ評議員会ノ認定ヲ経テ総裁ニ上申スルモノトス
第十一条 本所ノ会計年度ハ毎年四月一日ニ始リ翌年三月三十一日ニ終ル
      第四章 総裁・副総裁及顧問
第十二条 本所ニ総裁一人及副総裁二人ヲ置ク
 総裁ニハ皇族ヲ奉戴ス
 副総裁ハ総裁之ヲ委嘱ス
 副総裁ハ総裁ヲ補翼ス
第十三条 総裁ノ諮詢ニ応ズル為顧問ヲ置クコトヲ得
 顧問ハ総裁之ヲ委嘱ス
      第五章 役員
第十四条 本所ニ理事二十人以内監事十人以内ヲ置ク
 理事及監事ハ評議員会ノ推薦ニ依リ総裁之ヲ委嘱ス
 前項ニ依リ選任セラレタル理事ノ就任スルニ至ル迄ノ間ハ設立者ヲ以テ理事トス
第十五条 本所ニ所長一人ヲ置ク
 所長ハ理事中ヨリ総裁之ヲ委嘱ス
 所長ハ本所ヲ代表ス
 所長ハ理事過半数ノ同意ニ依リ委任ヲ受ケタル事務ニ付之ヲ専行ス
 所長故障アルトキハ総裁ノ指名シタル理事代テ其ノ職務ヲ行フ
第十六条 理事及監事ノ任期ハ三年トス、但シ再任スルコトヲ妨ケス
 補欠役員ノ任期ハ前任ノ者ノ残任期間トス
第十七条 本所ニ評議員百五十人以内ヲ置ク
 設立当初ノ評議員ハ設立者ノ推薦ニ依リ総裁之ヲ委嘱ス
 評議員ノ補充ヲ要スルトキハ評議員会ノ推薦ニ依リ総裁之ヲ委嘱ス
      第六章 補則
第十八条 本寄附行為ノ施行ニ関シ必要ナル細則ハ別ニ之ヲ定ム
第十九条 将来本寄附行為ノ条項ヲ変更セムトスルトキハ評議員会ノ議決ヲ経テ総裁ニ上申シ主務官庁ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
 前項評議員会ノ議決ハ事務所ヲ変更スル場合ヲ除クノ外評議員総数三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為ス
  ○以下研究所規則等略ス。