デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
8款 財団法人理化学研究所
■綱文

第47巻 p.138-142(DK470019k) ページ画像

大正6年9月1日(1917年)

是日栄一、当研究所事務所ニ開カレタル理事会ニ出席シ、後任所長銓衡委員トナル。次イデ十月三日ノ理事会ニ於テ、後任所長トシテ古市公威ヲ推ス。古市就任シ、十一月十九日理事会ニ於テ栄一ソノ経緯ヲ説明ス。


■資料

集会日時通知表 大正六年(DK470019k-0001)
第47巻 p.138 ページ画像

集会日時通知表  大正六年       (渋沢子爵家所蔵)
九月一日 土 午後一時 理化学研究所理事会(商業会議所)
  ○中略。
十月三日 水 午前九時 理化学研究所ノ件(商業会議所)


自第壱回至第三十八回 理事会決議録(DK470019k-0002)
第47巻 p.138-140 ページ画像

自第壱回至第三十八回 理事会決議録  (財団法人理化学研究所所蔵)
    第十三回理事会
大正六年九月一日午後一時、当事務所ニ於テ第十三回理事会ヲ開ク
桜井理事ハ北村建設技師ヲ一同ニ紹介シ、同氏ヨリ近ク東京府ヨリ譲受クヘキ巣鴨病院寄宿舎ヲ購入費ト共ニ約壱千円ヲ投スルニ於テハ、当分事務所トシテ使用セラルヽ旨ヲ報告シ
渋沢男爵ハ、故菊池男爵葬儀ニ際シ一同ニ代リ弔辞ヲ呈シタルコト、及地方寄附金募集方ハ本月寺内伯爵ノ西下ヲ煩ハシ着手ノ予定ナリシモ、同伯爵ハ十一月頃ニアラサレハ西下不可能ナル旨ヲ報告シ
水谷書記ハ柴山参事官ニ代リ、大正六年度政府補助金ハ、上山次官初メ当局者ノ尽力ニ依リ、大正五年度補助金交付後一ケ年ニ満タサルニモ拘ラス既ニ八月廿八旦父付セラレタルコト、並東京府ト予テ交渉中ノ敷地払下ノ件ハ内務大臣ニ申請シタル事業認定ニ関シ当局者ニテ意見ヲ異ニセル点アリ、従テ未タ認定ノ公告ナキモ、最近知事ニ於テ必ス解決スル事ヲ明言セラレタルヲ以テ、近ク契約ヲ締結シ、予定ノ通
 - 第47巻 p.139 -ページ画像 
本月中ニ敷地引渡ヲ受ケ得ラルヘキコト、又事務所ニ充ツヘキ建物ハ一坪平均六円乃至七円ノ割合ニテ払下ヲ受ケ、来十五日迄ニ引渡ヲ受クル旨ヲ報告シ、次テ協議ニ移リ、左ノ通決議、午後三時半散会セリ
      決議事項
一、事務所ニ充ツヘキ寄宿舎ハ北村技師ノ報告ニ基キ直ニ改造ノ準備ニ着手スルコト
二、地方寄附金募集方ハ寺内伯爵西下ノ期ヲ待テ着手スルコト
  尚本件ニ関シテハ渋沢男爵ヨリ寺内伯爵ニ報告スルコト
三、故菊池男爵ヘ弔慰ヲ表スル為金壱千円ヲ贈呈スルコト
四、本所創立ノ際尽力セラレタル学者等ニ、総額金弐千円乃至弐千五百円ノ範囲内ニ於テ相当ノ金品ヲ贈呈スルコト、但シ其配分額ハ桜井及高松両理事ニ於テ定メ、理事会ニ附議スルコト
五、副総裁及所長推薦ノ件ハ渋沢男爵・荘・団・中野各理事及原監事ヲ委員ニ挙ケ、更ニ上山理事ヲ参加委員トシテ詮衡スルコト
六、理学博士真島利行氏ヲ研究員ニ推薦スルコト、左記四氏ヲ研究員補ニ任用スルコト
          (兼任)理学博士 飯盛里安
          (兼任) 工学士 喜多源逸
          (専任) 理学士 久保田勉之助
          (兼任) 理学士 山口与平
  但シ其手当給与方ハ案ヲ具シテ更ニ協議スルコト
七、間瀬直一氏ヲ年俸七百弐拾円ニテ建設技師ニ、山辺鋼氏ヲ月俸五拾五円ニテ建設技手ニ任用スルコト
          以上
追テ閉会後、前記詮衡委員ハ副総裁及所長詮衡ノ為引続キ協議スル所アリタリ
当日ノ出席者左ノ如シ
 渋沢副総裁、大橋・和田・上山・団・塩原・中野・桜井・荘各理事原監事及蔵川工務課長

    第十四回理事会
大正六年十月三日午前九時、当事務所ニ於テ第十四回理事会ヲ開ク、渋沢男爵ハ所長銓衡委員会ノ経過ニ付報告シ、次テ議事ニ移リ、左ノ通リ決議シ、午前十一時散会セリ
      決議事項
一、工学博士古市公威氏ヲ所長ニ推薦スルコト
二、工学博士古市公威氏ヲ理事ニ推薦スル為来ル十月十一日午後二時評議員会ヲ開催スルコト
三、給与規定ハ大体原案通可決シ、其ノ一部ノ修正方ヲ荘理事ニ一任スルコト
四、前理事会ノ議決ニ依ル本所設立ニ関シ尽力セラレタル学者等廿八名ニ対シ、原案ノ通謝金総額弐千四百弐拾五円ヲ贈呈スルコト
五、早稲田大学教授竹中二郎氏ヲ建設技師ニ任用シ、当分月俸金百円ヲ給スルコト
 - 第47巻 p.140 -ページ画像 

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 本日出席者下ノ如シ  渋沢・桜井・中野・荘・大橋・上山・高松各理事、原・安田各監事 




評議員会決議録 自設立総会 至大正十年九月(DK470019k-0003)
第47巻 p.140 ページ画像

評議員会決議録  自設立総会 至大正十年九月  (財団法人理化学研究所所蔵)
    第四回評議員会議事録
一、日時  大正六年十月十一日午後二時開会、三時半閉会
一、場所  東京商業会議所
一、出席員 評議員中野武営氏外十一名
      此外評議員中野武営並同桜井錠二氏ヲ代理人ト為ス旨書面ヲ以テ通知セシ者二十四名
一、議事  出席評議員ノ推薦ニ依リ中野武営氏議長ト為リ開会ヲ宜シ、全員一致工学博士古市公威氏ヲ評議員並理事ニ推薦セリ
一、報告  桜井副所長ハ長岡博士外研究部員十一名ヲ任用シ、東京京都及東北帝国大学内ニ教室ヲ借入レ、既ニ研究ヲ開始セルコト、並建設技師及技手ヲ任用シテ、建築及設備ノ設計ニ着手セル旨ヲ、又柴山農商務参事官ハ東京府ト敷地壱万弐千坪及建物五拾四坪ノ売買契約ヲ締結セルコト○中略 ニ付一同ノ承認ヲ経タリ
             議長 評議員 中野武営(印)
                同   荘清次郎
                同   桜井錠二(印)


自第壱回 至第三十八回 理事会決議録(DK470019k-0004)
第47巻 p.140 ページ画像

自第壱回 至第三十八回 理事会決議録 (財団法人理化学研究所所蔵)
    第十五回理事会
大正六年十月十一日第四回評議員会閉会後、第十五回理事会ヲ当事務所ニ開キ、評議員会ニ報告シ且ツ同会ニ於テ其ノ一部ノ修正方ニ付承認ヲ経タル給与規定案ニ付附議スル所アリ、左ノ通リ修正議決シ、午後四時半閉会セリ
一、給与規定案第五条第一項ニ依リ俸給ノ半額ヲ減シタル場合ノ支給期間ヲ通常六ケ月ト限定シ、爾後給与セサルコトヲ執務ノ内規トス可キコト、但シ斯ル内規ニ拠リ難キ場合アルトキハ、理事会ノ議ヲ経テ便宜参酌シ得ルコト
二、外国旅費額中支那・朝鮮ノ部ヲ削除シテ、諸外国ノ下ニ「支那ヲ除ク」ト附記スルコト
三、支那・朝鮮・樺太・台湾ノ旅費ニ付テハ更ニ講究スルト共ニ、差当リ必要アル場合ハ内国旅費額ニ対シテ相当ノ割増ヲ為スコト
四、現在ノ所員ノ俸給ハ本規定ニ依ル等級ニ一致セサルモノアルモ、今後増給ノ場合ヲ俟チテ相当整理ヲ図ルコト
出席者 中野・桜井・和田・荘・高松・団各理事、原監事


集会日時通知表 大正六年(DK470019k-0005)
第47巻 p.140 ページ画像

集会日時通知表  大正六年        (渋沢子爵家所蔵)
十一月十九日 月 午前十時 理化学研究所理事会(同所)

 - 第47巻 p.141 -ページ画像 

自第壱回 至第三十八回 理事会決議録(DK470019k-0006)
第47巻 p.141 ページ画像

自第壱回 至第三十八回 理事会決議録 (財団法人理化学研究所所蔵)
    第十六回理事会
大正六年十一月十九日午前十時、第十六回理事会ヲ当事務所ニ開ク、渋沢男爵ハ所長銓衡ニ関スル経過ヲ報告シ、古市博士ハ所長トシテ就職ノ辞ヲ述ヘ、又渋沢男爵ハ寺内伯爵ニ於テ地方寄附金募集ノ為関西地方ニ出張ノ予定ヲ中止セラレタル件ヲ報告シ、次テ寄附金募集ノ件研究員推薦ノ件、所員待遇ニ関スル件等ニ付協議スル所アリ、左ノ通決議、午後一時散会セリ
一、渋沢副総裁及古市所長ヲ煩シ寄附金募集ノ為十二月上旬名古屋・京都・大阪及神戸ヘ出張ヲ請フコト
二、理学博士田丸節郎氏ヲ研究員ニ推薦スルコト、但シ就職後米国ゼネラル・ケミカル・カンパニー式窒素固定事業ノ移殖ニ関与スルコトハ、就職前ヨリノ特別関係アルコトナレハ已ムヲ得ス之ヲ承認ス、而シテ其ノ関与ノ方法及本人ニ対スル待遇ハ適宜所長及副所長ニ於テ決定スルコト
三、研究事項ノ都合上田丸博士ノ所宅ヲ構内ニ建築スルコト
四、農学博士鈴木梅太郎氏ヲ研究員ニ推薦スルコト
五、本年度内ニ建設ニ着手スルコトトナリ、経費予算ニ不足ヲ生シタルトキハ追加予算ヲ請求スルコト
          以上
出席者左ノ如シ
 渋沢・古市・桜井・団・上山・塩原・高松・和田各理事、原監事



〔参考〕財団法人理化学研究所第一回(大正六年度)事業報告書 第一―二頁 大正七年六月刊(DK470019k-0007)
第47巻 p.141-142 ページ画像

財団法人理化学研究所第一回(大正六年度)事業報告書  第一―二頁 大正七年六月刊
 ○第一章 研究事業
    第一節 研究ノ開始
研究所ノ建築及設備ハ建設事業ノ章ニ於テ記述スルカ如ク、大正十年度ヲ以テ完成スルノ予定ナルモ、其一部若ハ全部ノ完成ヲ俟テ研究ヲ開始スルトキハ、徒ラニ歳月ヲ空費シテ現下ノ急務ニ応スルコト能ハサルノミナラス、仮令研究ノ設備成ルモ一時ニ適当ナル多数ノ研究者ヲ得ルコト困難ナル事情アルニ依リ、本所ハ之カ過渡的方策トシテ、差当リ大学其他適当ナル場所ニ於テ研究室ヲ借入レ、直ニ研究ヲ開始スルト共ニ、一面研究者ノ養成ヲ図ルノ計劃ヲ樹テタリ、即チ大正六年九月以来東京・京都及東北ノ各帝国大学ノ研究室ニ於テ、専務又ハ兼務ノ研究員及研究員補ヲシテ研究ニ従事セシムルノミナラス、研究員補二名及職工一名ヲ簡抜シテ海外ニ留学又ハ実習セシメツツアリ、而シテ大正六年度末日現在研究事業ニ従事セル者ハ、研究員五名(内専務一名)研究員補七名(内専務四名)其他助手雇員六名、職工二名ニシテ、漸ク研究ノ緒ニ着手シタルニ過キス、従テ研究ノ成績未タ大ニ見ルヘキモノヲ求ムルコト難キハ勿論ナリト雖、是等所員ノ研究事項並ニ研究ノ経過概要ハ次節ニ之ヲ掲載スルコトトセリ、而シテ之カ所要経費ハ末章ノ事業費勘定ニ於ケル如ク尚少額ニ止マレリ
尚七年度以降ニ於テハ、当分前記ノ方針ヲ以テ各方面ヨリ普ク堪能ナ
 - 第47巻 p.142 -ページ画像 
ル研究者ヲ収容スルト共ニ、又之ヲ養成スルコトニ努メ、一面建築及設備ノ完成ヲ急キ、以テ研究事業ノ堅実ナル発展ヲ期セムトス



〔参考〕財団法人理化学研究所第一回(大正六年度)事業報告書 第一三―一四頁 大正七年六月刊(DK470019k-0008)
第47巻 p.142 ページ画像

財団法人理化学研究所第一回(大正六年度)事業報告書  第一三―一四頁 大正七年六月刊
 ○第二章 建設事業
    第一節 敷地ノ選定並ニ事務所ノ移転
研究所建設ノ敷地ハ事業ノ性質上地質・位置、其他四囲ノ情況等慎重講究ヲ要スルモノアルヲ以テ、之カ選定ニ当リテハ官公私有地ニ就キ普ク其候補地ヲ捜索スルト共ニ、精細ナル調査ヲ遂ケ、各候補地ニ就キテ其利害得失ヲ比較考量シタル結果、遂ニ東京府立巣鴨病院敷地ノ一部ヲ以テ最モ適当ナルモノト認メ、東京府ヨリ面積一万二千坪ヲ購入シ、内約六千坪ハ大正六年十月十六日既ニ引渡ヲ受ケ、残部約六千坪ハ大正八年八月三十一日限引渡ヲ受クルコトトセリ
本所ハ創立事務開始以来東京商業会議所ノ好意ニ依リ其一室ヲ借受ケ同所ニ於テ執務シ来リタルモ、前記購入シタル敷地内ニ存在セル約五十坪ノ木造家屋ヲ購入シ、之ニ修繕ヲ加ヘテ便宜事務所ニ充当スルコトトシ、大正六年十一月八日玆ニ移転セリ
    第二節 建設事務並ニ予算
本所ハ大正六年七月建設技師以下係員ヲ任用シ、更ニ専門学者中ヨリ建設委員三名ヲ嘱託シ、之レニ所長以下ノ所員ヲ加ヘテ建設会ヲ組織シ、以テ建物ノ配置、事業ノ緩急、其他施工上重要ナル事項ヲ審議調査シ、大体ノ計劃ヲ樹テテ設計ニ着手スルコトトセリ、而シテ建築及設備ハ大正六年度以降五ケ年ノ継続事業トシテ一応ノ完成ヲ見ルヘク先ツ化学部ノ建設ヲ第一着手トセリ、然ルニ時局ノ推移ニ伴フ諸物価ノ暴騰ニ由リ、既定ノ予算額ヲ以テシテハ到底予定ノ研究設備ヲ完フシ得サルノミナラス、更ニ当面ノ必要ニ由リ建設ノ規模ヲ増大スルノ已ムヲ得サルニ至レリ、是ハ於テカ数回ニ亘レル建設会ノ調査ニ基キ理事会ノ議ヲ経テ従来ノ予算ヲ変更シ、土地・建物及設備ノ経費予算総額金二百四十万円ヲ計上シ、評議員ノ承認其他ノ手続ヲ経テ之ヲ決定セリ、爾来此計劃ニ基キテ建築及設備ノ設計、工事ノ進捗ヲ急キツツアリ○下略