デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
8款 財団法人理化学研究所
■綱文

第47巻 p.174-177(DK470031k) ページ画像

大正10年2月24日(1921年)

是日栄一、日本工業倶楽部ニ開カレタル当研究所理事会ニ出席、国庫補助増額申請書ノ文案ニツキ修正ヲ提議シテ一任セラル。次イデ五月三十日ノ理事会、六月二十九日ノ評議員会ニ出席ス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正一〇年(DK470031k-0001)
第47巻 p.174 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正一〇年       (渋沢子爵家所蔵)
二月十六日 曇 寒 此日朝来曇天午後ヨリ雨降リ寒気殊ニ強シ
○上略 五時過工業倶楽部ニ抵リ、理化学研究所理事会ニ列ス、古市・桜井其他ノ理事及研究所員等ノ《(ト)》本所ノ経営ヲ協議ス○下略
  ○中略。
二月二十四日 雪 寒
○上略 十二時工業倶楽部ニ抵リ、理化学研究所ノ理事会ニ出席ス、本日ノ議題タル資金補足ノ請求ニ付政府ヘノ上申書ハ修正ヲ要スルニ付、其文案ヲ引受ク○下略


集会日時通知表 大正一〇年(DK470031k-0002)
第47巻 p.174 ページ画像

集会日時通知表  大正一〇年       (渋沢子爵家所蔵)
二月廿四日 木 正午 理化学研究所理事会(日本工業倶楽部)


自第壱回 至第三十八回 理事会決議録(DK470031k-0003)
第47巻 p.174-176 ページ画像

自第壱回 至第三十八回 理事会決議録  (財団法人理化学研究所所蔵)
    第三十五回理事会議事録
大正十年二月二十四日正午日本工業倶楽部ニ開会、○時半閉会
出席 渋沢・古市・桜井・田中・団・和田・大橋各理事及吉野工務課長
古市議長ハ予メ廻付シ置キタル別紙国庫補助金増額申請案ニ付説明スル所アリシガ、渋沢子爵ハ原案ノ趣旨ニ於テハ何等異議ナキモ、寄附金ガ予定ノ額ニ達セサリシハ時期不良ナリシトハ云ヘ、全ク自分等ノ力足ラザリシニ由ルモノナレバ、此等ノ点ニ関シ字句ヲ修正シ、今少シ辞ヲ厚フシタル方宜シカラントノ希望ヲ陳述セラレタルニ、一同其
 - 第47巻 p.175 -ページ画像 
旨ヲ諒トシ、子爵ヲ煩ハシテ原案字句ヲ修正シテ当局ニ申請スルコトヲ議決セリ
 追テ閉会後、渋沢・古市・桜井各理事ハ午餐卓上ニ於テ、農商務次官タル田中理事及吉野工務課長ニ、本件ニ関シ特ニ尽力方ヲ懇請セラルヽ所アリ、尚渋沢子爵ハ原案字句修正ノ上ハ直ニ総裁宮殿下ニ上申スル旨申出ラレタリ
(別紙)
    国庫補助金増額申請案
大戦乱ノ教訓ト戦後世界ノ趨勢トニ鑑ミ、欧米諸国ハ相競フテ理化学ニ関スル各種研究機関ヲ拡張シ、之カ経費ヲ増大シ、又ハ新研究所ヲ増設スル等適切ナル施設ヲ為スニ急ニシテ、戦前ニ数倍スル努力ヲ以テ理化学ノ研究ヲ促進シ、之ニ依リ益々産業ノ発達ヲ謀リ、国富ト国防トノ充実ニ資セントスル状況ナリ、翻テ我邦ノ現状ヲ観ルニ、理化学ノ研究ハ依然トシテ振ハス、而モ唯一ノ理化学研究所タル本所ハ事業漸ク其ノ緒ニ就カントスルニ際シ、事業費ニ大ナル不足ヲ生スルニ至レルカ為、有為ナル学者ヲ網羅シテ研究ニ膺ラシムルノ用意漸ク成リ、且ツ研究室ノ建設ヲ整ヒ研究上遺憾ナカラシメンコトヲ期シタル所アルニ拘ラス、此ノ国家的事業ヲ十分ニ遂行スルコト能ハズ、之レ単リ本所ノ甚タ遺憾トスル所ナルノミナラス、亦以テ国家ノ一大恨事ト為サザルヲ得ス、而シテ此ノ状態ヲシテ徒ラニ推移セシメンカ、産業ノ基礎タル理化学研究ニ於テ、由来欧米諸国ニ後ルルコト甚タ遠キ我邦ハ更ニ益々彼レニ後レ、世界ノ平和的競争ニ於テ常ニ敗者ノ位地ニ立チ、又不幸ニシテ一朝事アルモ到底勝者タルコト能ハサルノ運命ヲ有スルニ至ルベシ、今ニシテ思ヲ玆ニ致シ、国家枢要ノ機関タル本所ヲシテ健全ナル発達ヲ遂ケシムルニ非サレバ、将来復如何トモスルコト能ハザルニ至ルベキヲ虞ル
本所設立計画当時ニ於テハ、御下賜金百万円・政府補助金二百万円・一般寄附金五百万円、計八百万円ノ資金ヲ得、敷地ハ政府ヨリ無償交附ヲ受ケ、建築及設備費トシテ約百万円ヲ投シ、残額七百万円ヲ基金ニ充テ、之レヨリ生スル収入約四十万円ヲ以テ年々事業費ヲ支弁スル予定ナリシカ、抑モ此ノ計画タルヤ、欧州大戦乱勃発前ノコトニ属シ今日ニ於テハ研究用機械器其ノ他諸材料ノ暴騰セル為、又職員ニ対スル給与ノ増額ヲ要スル為、単ニ設立当時ノ計画ヲ遂行セントスルモ尚別紙○略ス 予算概算書ノ通年額百万円ノ支出ヲ要シ、時勢ノ必要ニ応シ之レカ拡張ヲ企画スルニ於テハ、更ニ数十万円ノ増額ヲ必要トスヘシ而モ一方ニ於テハ、一般寄附金ハ予定ノ五百万円ニ達セスシテ僅ニ三百十余万円ニ止マリ、他ノ一方ニ於テハ、敷地ノ購入ヲ要シ、建築諸材料及工賃著シク昂騰シ、更ニ設備費ニ於テ多大ノ経費ヲ要シタルトニ因リ、建設費ハ敷地代ヲ合セテ三百六十余万円ヲ要スルニ至レル為基金トシテ僅ニ二百五十万円ヲ剰スノミニシテ、収入ハ之レヨリ生スル利息年額十六万余円ナルニ過キス
右ノ事情十分御考察ノ上、本所ノ事業遂行上遺憾ナカラシムル様、国庫補助金増額ノ儀御詮議相成度、理事会ノ決議ニ依リ此段申請候也
  大正十年二月 日
 - 第47巻 p.176 -ページ画像 
           財団法人理化学研究所
               所長 工学博士 男爵 古市公威


渋沢栄一 日記 大正一〇年(DK470031k-0004)
第47巻 p.176 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正一〇年         (渋沢子爵家所蔵)
三月五日 晴 寒
○上略 十一時貴族院ニ抵リ、原首相ニ会見シテ種々ノ要務ヲ談ス○下略
(欄外記事)
 [○上略 原首相トハ理化学研究所ノ事○中略 ヲ談話ス


集会日時通知表 大正一〇年(DK470031k-0005)
第47巻 p.176 ページ画像

集会日時通知表  大正一〇年         (渋沢子爵家所蔵)
五月三十日 月 午前九時半 理化学研究所理事会(日本工業倶楽部)


自第壱回 至第三十八回 理事会決議録(DK470031k-0006)
第47巻 p.176 ページ画像

自第壱回 至第三十八回 理事会決議録   (財団法人理化学研究所所蔵)
 (古市)(桜井)                  (水谷)
  (印)(印)第三十六回理事会議事録           (印)
大正十年五月三十日午前十時日本工業倶楽部ニ開会、正午閉会
出席 渋沢・古市・桜井・高松・大橋・和田・荘・高峰(代理塩原)各理事及原監事
      決議事項
一、大正九年度決算報告、別紙○略ス 原案承認
二、東京高等師範学校教授武原熊吉君ニ研究員補ヲ嘱託スルコト
  ○三、四、五略ス。
六、研究成績ノ工業的試験並ニ特許出願方等ニ関スル規程案ヲ作成シ理事会ニ附議スルコト
七、大正十年上半期兼務職員手当並ニ専務職員以下雇員賞与支給ノ件原案通、但古市所長ニ対シテモ前期ト同額ヲ支給スルコト
八、日本郵船会社長伊東米次郎君ヲ評議員ニ推薦スルコト
九、定期評議員会ヲ六月下旬開催スルコト
 追テ渋沢子爵ハ前回決議シタル国庫補助金増額申請案修正意見ヲ述ヘラレタルニ一同其ノ旨ヲ諒トシテ其ノ修正方ヲ同子爵ニ一任シ又古市男爵ハ逓信省ヨリ非公式ニ交渉アリタル本所ノ敷地一部譲受方ニ付一同ノ内意ヲ聴取セラルヽ所アリシカ、本件ハ学者側ニ於テ異議ナキ限リ相当ノ価額ヲ以テ譲渡スルモ差支ナシトノ議ニ一致セリ


集会日時通知表 大正一〇年(DK470031k-0007)
第47巻 p.176 ページ画像

集会日時通知表  大正一〇年       (渋沢子爵家所蔵)
六月廿九日 水 午前十時半 理化学研究所評議員会(日本工業倶楽部)


評議員会決議録 自設立総会 至大正十年九月(DK470031k-0008)
第47巻 p.176-177 ページ画像

評議員会決議録 自設立総会 至大正十年九月  (財団法人理化学研究所所蔵)
    大正十年六月定期評議員会議事録
一、日時  大正十年六月二十九日午前十時半開会、十一時半閉会
二、場所  日本工業倶楽部
三、出席者 渋沢、○外九名ノ評議員 此ノ外他ノ評議員ヲ以テ代理人ト為ス旨通知セシ者二十五名 山川顧問、池田・鈴木・大河内各研究員
 - 第47巻 p.177 -ページ画像 
四、議事及報告 出席評議員ノ推挙ニ依リ渋沢子爵議長ト為リタルモ子爵ハ当日十一時他ニ無拠用件アリシヲ以テ、資金ノ現況並ニ将来ノ事業費支弁方ニ関スル理事会決議ノ要項ヲ報告シタル後、桜井博士ヲ議長ニ推シテ中座セラレタリ依テ桜井博士ハ大正九年度事業概況(要旨別紙○略ス 記載ノ通)ヲ報告シ、尚同年度決算報告書ヲ提出シテ一同ノ承認ヲ経、次テ左記両氏ヲ評議員ニ推薦スルコトヲ決議セリ
        日本郵船株式会社長  伊東米次郎君
        南満洲鉄道株式会社長 早川千吉郎君
右ノ通候也
  大正十年六月三十日
       財団法人理化学研究所評議員会
          議長 評議員 子爵 渋沢栄一(印)
             評議員 桜井錠二(印)
             評議員 荘清次郎