デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
8款 財団法人理化学研究所
■綱文

第47巻 p.183-188(DK470033k) ページ画像

大正11年4月4日(1922年)

是日栄一、総裁伏見宮貞愛親王ノ実業家招待会ノ席上、当研究所ノ沿革ニツキ御前講演ヲナス。


■資料

集会日時通知表 大正一一年(DK470033k-0001)
第47巻 p.183 ページ画像

集会日時通知表  大正一一年       (渋沢子爵家所蔵)
三月廿六日 日 午前十時 理化学研究所理事会(日本工業倶楽部)


自卅九回 至七十四回 理事会書類(DK470033k-0002)
第47巻 p.183 ページ画像

自卅九回 至七十四回 理事会書類   (財団法人理化学研究所所蔵)
                   (大河内)  (水谷)
    第四十一回理事会議事録      (印) (印) (印)
大正十一年三月二十六日午前十時日本工業倶楽部ニ於テ開会、午後一時閉会
出席 大河内・渋沢・高松・和田・荘・高峰(代理塩原)各理事、片山研究員代表
大河内所長議長ト為リ左ノ諸件ヲ報告シテ一同ノ承認ヲ経タリ
      報告事項
  ○一、二、三、四略ス。
五、会員神野金之助氏去ル二月二十日死亡ノ件並ニ同氏ハ寄附金壱千円未払ニ付忌明後嗣子金重郎氏ニ会員トシテ賛助方ヲ懇請スル件
○中略
    決議事項
  ○一略ス。
二、会計事務取扱方ニ関スル件ハ原案ノ通リ実施スルコト
  ○三、四略ス。
           以上


集会日時通知表 大正一一年(DK470033k-0003)
第47巻 p.183 ページ画像

集会日時通知表  大正一一年     (渋沢子爵家所蔵)
四月四日 火 正午 伏見宮殿下ヨリ御招待(同宮邸)
          日華実業協会
            (服装フロツクコート、シルクハツト)
  ○日華実業協会ハ誤リナルベシ。


竜門雑誌 第四〇七号・第六〇頁大正一一年四月 伏見宮殿下実業家御招待(DK470033k-0004)
第47巻 p.183-184 ページ画像

竜門雑誌  第四〇七号・第六〇頁大正一一年四月
○伏見宮殿下実業家御招待 伏見元帥宮殿下には実業御奨励の思召を
 - 第47巻 p.184 -ページ画像 
以て、四月四日正午より東京・大阪・京都・名古屋・神戸・横浜六大都市の実業家及び山本農相・牧野宮相・神野大蔵次官・山崎内蔵頭・内田産業協会々長諸氏等五十余名を、紀尾井町の御本邸に御招待の上午餐会を催せられ、右畢つて殿下には別室に於て、青淵先生の「外遊所感」、倉知誠夫氏の「百貨店に就て」等の講演を聴召さるゝ所あり、同四時一同感激の裡に退出せる由なるが、当日御召に依りて参候せる本社会員は服部金太郎・大川平三郎・藤山雷太・佐々木勇之助の諸氏なりしと云ふ。
  ○右演題「外遊所感」トアルハ誤リ。(次掲資料並ニ本款昭和七年一月二十一日ノ条ニ収メタル「水谷清談話筆記」ニ拠ル)


総裁伏見宮貞愛親王殿下上申書(DK470033k-0005)
第47巻 p.184-186 ページ画像

総裁伏見宮貞愛親王殿下上申書   (財団法人理化学研究所所蔵)
    発端
大正二年六月、高峰譲吉博士ハ帝国ノ現状ニ鑑ミ国民科学研究所ノ設立ヲ提唱シ、朝野有志ノ賛同スルモノ尠カラサリシカ、該計画ハ約二千万円ノ資金ヲ以テ設立セムトスルニ在リシモ、我カ財界ノ事情ニ徴シ二千万円ノ資金ヲ募集スルコトハ容易ノ業ニアラサルヲ以テ、先ツ五百万円ノ資金ヲ以テ化学研究所ヲ設立セムコトヲ企劃セリ
    化学研究所設立請願
大正三年三月、渋沢男爵外六名ノ委員ハ貴衆両議院ヘ国費ヲ以テ化学研究所ヲ設立スルカ、否ラサレハ民間ノ是等企劃ニ対シ補助金ヲ与ヘテ之ヲ助成スルカ、適当ナル措置ヲ採ラシメラレムコトヲ請願セシモ議会解散ノ為目的ヲ達スルコトヲ得サリキ
    化学工業調査会設置
大正三年八月、欧洲大戦乱ノ突発スルヤ其余波日独戦争ト為リ、外国トノ交通一部杜絶シ、医薬品及工業原料ノ輸入梗塞又ハ制限セラレ、衛生上及産業上多大ノ障害ヲ来セシヲ以テ、政府ハ化学工業調査会ヲ設置シ、化学工業ノ振興策ヲ講スルコトトナレリ
    化学研究所設立建議
化学工業調査会ハ化学研究所ノ設立ヲ最モ急務ト認メ、大正三年十二月、農商務大臣ニ其旨ヲ建議シ、超エテ大正四年三月、同調査会ハ更ニ官民合同ノ設立委員会ヲ組織シ、其実行方ヲ農商務大臣ニ建議セリ
    理化学研究所設立計画
其後化学工業調査会ハ、産業ノ発達ヲ促進スルニハ化学ノミナラス、物理学ヲモ包括スル研究所ノ設立ヲ必要トスルコトヲ認メ、委員ハ屡政府当局及学者等ト凝議シ、又曩ニ化学研究所設立ヲ企劃セル渋沢男爵等ノ有志ト連絡シテ、初メテ理化学研究所設立案ヲ発表シ、次テ大正五年一月、渋沢男爵外十一名連署シテ首相・蔵相及農相ニ政府ヨリ補助ヲ仰カムコトヲ建議セリ
    国庫補助法制定
政府ハ理化学研究所設立計画ヲ助成セム為、第三十七回帝国議会ニ理化学ヲ研究スル公益法人ノ一ニ対シ国庫補助ヲ為スノ法律案ヲ提出シタルニ、両院ノ熱誠ナル賛同ヲ得、大正五年三月六日右法律ヲ公布シ理化学研究所設立ノ上ハ十年間ニ金二百万円ヲ補助スルコトトナレリ
 - 第47巻 p.185 -ページ画像 
    財団法人トシテ設立許可
其後数回ノ協議会ヲ経テ、発起人ノ人選ヲ了ヘ、更ニ発起人中ヨリ渋沢男爵ヲ創立委員長ニ、桜井・高松・団・和田・大橋・中野・荘ノ七氏ヲ常務委員ニ推挙シ、先ツ東京市ニ於ケル有力ナル実業家ノ賛同ヲ求メタルニ、大正六年三月十九日迄ニ寄附申込総額二百十八万七千円ニ達セリ、依テ渋沢男爵ハ設立者ノ総代トシテ、財団法人理化学研究所ノ設立ヲ其筋ニ申請シテ許可ヲ得タリ
総裁奉戴
伏見宮貞愛親王殿下ヲ理化学研究所総裁トシテ奉戴ノ儀ハ、設立者ノ熱望セル所ナリシヲ以テ、設立者総代渋沢男爵ハ其旨ヲ上申シタルニ大正六年三月二十八日御裁可アラセラレタリ
    副総裁・顧問其他役員
総裁宮殿下ハ大正六年三月二十八日、渋沢男爵ヲ副総裁ニ、山川男爵ヲ顧問ニ、其他理事十名・監事五名ヲ御委嘱アラセラレタリ
    御下賜金
本所設立ノコト上聞ニ達スルヤ、帝室ニ於テハ学術及産業御奨励ノ思召ヲ以テ、金百万円御下賜ノ恩命ヲ下シ給ハリタリ、依テ役員会ハ聖旨ヲ奉戴シ所期ノ目的ヲ貫徹セムカ為、恩賜金ハ之ヲ基金ニ充テ、永遠ニ保存スルコトヲ議決セリ
    敷地及建築設備
敷地ハ本郷区及小石川区ニ跨ル元巣鴨病院敷地ノ内一万二千坪ヲ東京府ヨリ購入シ、建築設備ハ大正六年度以降五ケ年ノ継続事業トシテ着手セリ、而シテ化学ニ属スルモノハ目下既ニ完成シ、物理学ニ属スルモノハ東京府ヨリ土地引渡シ遅延ノ為未タ完成スルニ至ラサルモ、大正十一年度中ニハ全部竣成スル予定ナリ、其建物ノ種類坪数左ノ如シ
 化学ニ属スルモノ
   三階煉瓦造一棟        延一、一二四坪 完成
   平家煉瓦造一棟        延  一六四坪 完成
   平家鉄筋コンクリート造一棟      三〇坪 完成
   平家トタン張一棟           五〇坪 完成
 物理学ニ属スルモノ
   二階鉄筋コンクリート造一棟  延  三二五坪 完成
   同上             延  四〇〇坪 完成
   同上             延  三二五坪 工事中
   三階鉄筋コンクリート造一棟  延一、〇〇〇坪 近ク着手
    資金ノ状況
設立計画当時ニ在テハ御下賜金百万円、政府補助金二百万円、一般寄附金五百万円、合計八百万円ノ資金ヲ得、敷地ハ政府ヨリ無償交付ヲ受ケ、建設費トシテ約百万円ヲ投シ、残額七百万円ヲ基金トシ、之レヨリ生スル利息約四十万円ヲ以テ年々経費ヲ支弁スル予定ナリシカ、不幸財界ノ不況ニ際会シ、寄附金予定ノ額ニ達セス、漸ク三百十余万円ノ申込アリシノミニシテ、資金総額ハ六百十万余円ニ過キス、而モ敷地ノ購入ヲ要シタルト、建築諸材料及工賃ノ昂騰シタルトニ因リ、建設費ニ三百五十余万円ヲ要スルニ至リタルヲ以テ、基金トシテ剰ス
 - 第47巻 p.186 -ページ画像 
所ノモノハ僅ニ二百五十万円アルノミ、従テ年々経費ニ充ツヘキモノハ之レヨリ生スル利息十五万円ナルニ過キサルヲ以テ、将来著シク経費ニ不足ヲ告クルモ、所長初メ職員諸氏ノ奮励努力ニ依リ着々研究成績ノ見ルヘキモノヲ生スルニ至リタルヲ以テ、今後資金ノ充実ヲ図ルコト必スシモ至難ニアラサルヘシ
    職員
目下研究ニ従事スル職員ハ、主任研究員十四名、其他研究ノ介助ヲ為ス者九十五名、海外留学中ノ者三名、事務其他雑役ニ従事スル者十名合計百二十二名ナリ
    研究事業
昨年十月研究室ヲ新館ニ移シタル以来、研究事業著シク発展シ、其成績ノ見ルヘキモノ尠カラス、目下特許ヲ受ケタルモノ十二件アリ、尚工業トシテ既ニ応用セラレ又応用セラレムトスル重ナルモノ左ノ如シ
一、米ヲ用ヰサル清酒ノ製造法
 本研究ハ既ニ完了シ、工業的試験亦好成績ヲ得、目下市場ニ販売ヲ試ミムトスル迄ニ至レリ、本邦ニ於テ清酒ノ醸造ニ用ヒラルル米ハ年約四百万石ニ達スルカ故ニ、本法成功ノ暁ハ食糧問題ノ解決上一大福音タルノミナラス、従来市場ニ販売セラルル清酒ノ如キ有害物ヲ含有セサルヲ以テ、保健上有益ナル発明ト思料セラル
二、製塩法
 嘗テ上聞ニ達シタル製塩法ハ、其後微細ニ研究ノ歩ヲ進ムルト共ニ大蔵省専売局磯原試験所ニ於テ大規模ノ試験ニ着手スルコトトナリ既ニ諸機械ノ据附ヲ了ヘ、今ヤ試製スルノ運トナレリ
三、空気ノ乾燥法
 本法ハ製鉄用空気ノ乾燥、倉庫又ハ室内ノ湿度整理、夏期空気ノ冷却、綿火薬・写真乾板・食料品等ノ乾燥及貯蔵等無数ノ応用アリ、遠カラス実用ニ供セラルルニ至ルヘシ
四、天然瓦斯及石炭瓦斯ヨリ揮発油分ヲ採取スル方法
 従来機械力ヲ用ヒテ瓦斯中ヨリ揮発油分ヲ採取スル方法アルモ、莫大ナル経費ヲ要スルノミナラス、其成績良好ナリト云フヘカラス、然ルニ本所ノ発明ニ係ル方法ハ酸性白土ヲ用ユルモノニシテ、経費至テ尠ク、且ツ揮発油分ノ採取殆ント完全ニ行ハルヽモノナルヲ以テ、是亦実用ニ供セラルルニ至ルヘシ
五、防虫剤クロルピクリン
 穀類・羊毛・生糸等ノ害虫ヲ駆除スルニ適シ、応用ノ範囲頗ル広ク殊ニ従来使用セラルル二硫化炭素ノ如ク引火ノ虞ナク、品質ヲ害セス、遥ニ有効ナルコトハ、昨年政府ノ貯蔵米ニ応用シテ実証セラレタル所ナリ
            以上
(欄外記事)
                         (水谷)
 [大正十一年四月四日渋沢副総裁御前講演要項    (印)



〔参考〕評議員会決議録 自大正十一年一月 至大正十五年十二月(DK470033k-0006)
第47巻 p.186-188 ページ画像

評議員会決議録  自大正十一年一月 至大正十五年十二月 (財団法人理化学研究所所蔵)
    大正十一年一月定期評議員会議事録
 - 第47巻 p.187 -ページ画像 
一、日時 大正十一年一月二十八日午前十一時開会、〇時半閉会
二、場所 日本工業倶楽部
三、出席 大河内○外評議員六名 其ノ他ノ評議員ヲ代理人ト為ス旨通知セシ評議員三十一名
四、議事 出席評議員ノ推薦ニ依リ高松博士議長ト為リ、別紙○略ス 記載ノ議題ニ就キ協議シ、大河内所長ヨリ詳細ニ説明スル所アリシガ、第四項中高田釜吉氏ヲ評議員ニ推薦方ノ件ハ考量ヲ要スルヲ以テ更メテ調査スルコトヽシ、本件ヲ除クノ外何レモ原案ノ通可決セリ
     決議事項
 (イ)規則第三章職制改正ノ件 別紙第壱号ノ通
 (ロ)大正十一年度業務計画 別紙第弐号ノ通
 (ハ)大正十一年度収支予算 別紙第参号ノ通
 (ニ)南理事、住友・久原両監事ハ来二月七日任期満了ニ付再選スルコト
 (ホ)大日本人造肥料株式会社ヲ評議員ニ推薦スルコト
五、報告 大河内所長ヨリ左ノ諸件ヲ報告シ、一同ノ承認ヲ得○中略
    記
  ○(イ)(ロ)略ス。
 (ハ)建設係ヲ廃シ建設工事ノ設計監督ヲ中村田辺事務所ニ委托シタル件
            以上
  大正十一年一月三十日
         評議員会議長 評議員 高松豊吉(印)
                評議員 大河内正敏(印)
                評議員 塩原又策(印)
(別紙)
(朱書) 規則改正案
(第一号)
      第三章 職制
第十二条 本所ニ所長ノ外左ノ職員ヲ置ク
  研究員   若干人
  助手    若干人
  技師    若干人
  技手    若干人
  主事    一人
  書記    若干人
  雇     若干人
第十三条 所長ハ所務ヲ統理シ職員ヲ指揮監督ス
第十四条 研究員ハ所長ノ推薦ニ依リ理事会ノ議ヲ経テ総裁之ヲ委嘱ス
  技師及主事ハ所長ノ推薦ニ依リ理事会ノ議ヲ経テ所長之ヲ任免ス
  助手・技手・書記及雇員ハ所長之ヲ任免ス
第十五条 所長ハ業務ノ都合ニ依リ嘱託員又ハ研究生ヲ置クコトヲ得
      参照
 - 第47巻 p.188 -ページ画像 
    旧職制○略ス
  ○別紙第二号、第三号略ス。