デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
1節 学術
8款 財団法人理化学研究所
■綱文

第47巻 p.221-227(DK470046k) ページ画像

昭和2年6月15日(1927年)

是日栄一、日本工業倶楽部ニ開カレタル当研究所理事会・評議員会ニ出席ス。評議員会ニ於テ当研究所ノ発明ヲ工業化スル会社設立ニツキ報告アリ。七月二十七日開カレタル理事会・評議員会ハ、理化学興業株式会社設立賛同ノ決議ヲナス。栄一出席ス。次イデ十二月七日ノ理事会ニ出席ス。


■資料

渋沢栄一 日記 昭和二年(DK470046k-0001)
第47巻 p.221 ページ画像

渋沢栄一日記  昭和二年          (渋沢子爵家所蔵)
一月十七日 曇 寒気厳ナラス
○上略午後阪谷男爵来訪、理化学研究所発展ノ方法ニ付談話ス、因テ至急大河内所長ト面議シテ何分ノ回答ヲ為スヘキコトヲ約ス○下略
一月十八日 曇後晴 寒気稍緩ナリ
○上略 夕方理研所長大河内子爵来ル、昨日阪谷男ト談話セシ要務ヲ協議ス
○下略


集会日時通知表 昭和二年(DK470046k-0002)
第47巻 p.221 ページ画像

集会日時通知表  昭和二年        (渋沢子爵家所蔵)
六月十五日 水 午前十時半 理化学研究所理事会・評議員会(日本工業倶楽部)


自卅九回至七十四回理事会書類(DK470046k-0003)
第47巻 p.221-222 ページ画像

自卅九回至七十四回理事会書類     (財団法人理化学研究所所蔵)
    第五十六回理事会議事要録
一、場所及日時 昭和二年六月十五日午前十時半日本工業倶楽部ニ開会、十一時閉会
一、出席  渋沢子・大河内子・大橋・団・青木・塩原・森村男各理事、片山研究員代表
 - 第47巻 p.222 -ページ画像 
一、決議事項
 (イ)大正十五年度決算、原案ノ通
 (ロ)左記役員ノ推薦
   理事大河内正敏君来ル九月三十日任期満了ニ付再選スルコト
   文部次官粟屋謙君ヲ理事並ニ評議員ニ推薦スルコト
   文部専門学務局長西山政猪君ヲ評議員ニ推薦スルコト
  ○(ハ)略ス。
        以上
            議長 理事 子爵 大河内正敏(印)
            理事    子爵 渋沢栄一(印)


自昭和二年一月至昭和拾年一月定時評議員会(DK470046k-0004)
第47巻 p.222 ページ画像

自昭和二年一月至昭和拾年一月定時評議員会   (財団法人理化学研究所所蔵)
    昭和二年六月定期評議員会議事要録
一、場所及日時 昭和二年六月十五日午前十一時日本工業倶楽部ニ開会、正午閉会
一、出席  渋沢子・大河内子・大橋・小倉・小野・田中(栄)・高松団・中村(清)・青木・塩原・森村男・鈴木(三)各評議員、其他他ノ評議員ヲ代理人ト為ス旨通知セシモノ二十八名、片山研究員代表
一、報告
  ○(イ)(ロ)(ハ)略ス。
 (ニ)当所ノ発明ヲ工業化スル株式会社設立ノ議目下有志間ニ計画中ナルヲ以テ遠カラス具体案ニ就キ報告スルコト
○中略
           議長 評議員 子爵 渋沢栄一(印)
           評議員    子爵 大河内正敏(印)


理化学研究所書類(一)(DK470046k-0005)
第47巻 p.222 ページ画像

理化学研究所書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
拝啓 大橋新太郎殿の命により、新会社か設立と同時に着手すへき営業科目を摘記仕候間、右御参考までに高覧に供し申候 敬具
  昭和二年七月三日
                      水谷清
    渋沢子爵閣下


理化学研究所書類(一)(DK470046k-0006)
第47巻 p.222-223 ページ画像

理化学研究所書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(朱書)
(秘)
    理化学興業株式会社設立と同時に営む事業
一、アドソールの製造並に冷房及乾燥工事の請負を為すこと
  従来東洋瓦斯試験所に委托せし本業は、宣伝良しきを得は需用増進の見込にして、初年度に於ては逓信省・海軍省其他売揚総額約八十万円を算する予定にして、之れより生する純益は約二割十六万円を下らさる見込なり
二、理研製作品の販売を引受くること
  左記の商品は従来理研に於て製造販売し又は製造を開始せんとす
 - 第47巻 p.223 -ページ画像 
るものにして、売揚総額百十余万円に達する見込なり、仮りに平均五分の手数料を収得するものとするときは、約六万円の純益を挙げ得へく、猶当社に於て此等の製造を引受くるときは、更に相当の収益を挙くることを得るのみならす、理研の研究能率を増進するを以て、逐次製造をも引受くる予定なり
      記
 (イ)ヴイタミンA 過去四ケ年間の経験に徴し、本年度六十万円を売揚くる予定なり
 (ロ)ウルトラヂン眼鏡及濾光器
   本品は三共株式会社に其の販売を托し居るも、成績良しからさるを以て、本年十二月契約満期と同時に販売を引受くる予定にして、初年度の売揚を壱万円と仮定す
 (ハ)ネオトン殺虫剤
   本品は熱帯産業株式会社の委托により、理研に於て製造販売せるものにして、需用頗る多きも、原料不足に付き初年度の売揚を参万円と仮定す
 (ニ)コランダム砂布
   本品は従来原料或は製品にて海外より輸入せられたるものにして、其額詳かならさるも百万円を下らさるへく、理研に於ては現に其製造設備を完成し最近製造を開始する予定なり、初年度の売揚を拾万円と仮定す
 (ホ)陽画感光紙
   本品は最近理研に於て製造を開始するものにして、内地品に比し品質遥に優良にして、而も価額に差異なく、又輸入品に比すれは品質に於て優れるのみならす、価額低廉なるを以て需用必すや多かるへきも、初年度売揚を五万円と仮定す
 (ヘ)ヴイタミンB
   本品は原料蒐集の関係上大阪に工場を設置し、最近製造を開始せるものにして、初年度の売揚を参万円と仮定す
 (ト)合成酒
   理研に於て目下一ケ月五百石の製造能率を有する工場建設中なるを以て、初年度の売揚を参拾万円と仮定す


理化学研究所書類(一)(DK470046k-0007)
第47巻 p.223-224 ページ画像

理化学研究所書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓 時下益御健勝奉賀候、陳者当所ヲ後援スル株式会社創立ノ件ニ付理事会開催致候間、甚暑ノ折柄御迷惑ト存候得共来ル二十七日(水曜)午前十時半丸ノ内日本工業倶楽部ヘ御来駕相煩シ度、此段御通知申上候 敬具
  昭和二年七月二十一日
            財団法人理化学研究所
           所長 工学博士子爵大河内正敏 
    (宛名手書)
    子爵渋沢栄一殿
 追テ理事会閉会後直ニ臨時評議員会開催可致候間御含置被下度候也
 - 第47巻 p.224 -ページ画像 
  ○右ト同趣旨ニテ臨時評議員会開催ノ案内状アルモ略ス。


集会日時通知表 昭和二年(DK470046k-0008)
第47巻 p.224 ページ画像

集会日時通知表  昭和二年        (渋沢子爵家所蔵)
七月廿七日 水 午前十時半 理化学研究所ノ件(工業倶楽部)
        引続    同所臨時評議員会(〃)


理化学研究所書類(一)(DK470046k-0009)
第47巻 p.224 ページ画像

理化学研究所書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    第五十七回理事会議事要録
一、場所及日時 昭和二年七月二十七日午前十時三十分、日本工業倶楽部ニ於テ開会、正午閉会
一、出席者  大橋・大河内子・高松・団・内藤・粟屋・渋沢子・塩原森村男ノ各理事、顧問古市男
一、決議事項
  一、理化学研究所ノ発明品ヲ工業化スル一機関トシテ、目下有志間ニ設立ノ議アル理化学興業株式会社ニ関シ、左ノ如ク決議セリ
   (一)理化学研究所ハ右会社設立ニ同意スルコト
   (二)理化学研究所ハ右会社設立ニ際シ其ノ株式約五拾万円ヲ所持シ得ルコト
  二、主事水谷清ハ前記会社ノ支配人トシテ就任セシムル予定ニ付之ヲ免シ、主事後任者トシテ鵜野正方ヲ任用スルコト
                        以上
          議長 理事 子爵大正内正敏
                       (別筆)
          理事    子爵渋沢栄一 昭和二、一一、一五 小印


自昭和二年一月至昭和拾年一月定時評議員会(DK470046k-0010)
第47巻 p.224 ページ画像

自昭和二年一月至昭和拾年一月定時評議員会   (財団法人理化学研究所所蔵)
    昭和二年七月臨時評議員会議事要録
一、場所及日時 昭和二年七月二十七日午前十時三十分、日本工業倶楽部ニ於テ開会、正午閉会
一、出席者 渋沢子○外一七名ノ各評議員其他ノ評議員ヲ代理人ト為ス旨通知セルモノ二十五名及顧問古市男
一、決議事項 理化学研究所ノ発明品ヲ工業化スル一機関トシテ目下有志者間ニ設立ノ議アル理化学興業株式会社ニ関シ、左ノ如ク決議セリ
      一、理化学研究所ハ右会社設立ニ同意スルコト
      二、理化学研究所ハ右会社設立ニ際シ其ノ株式約五拾万円ヲ所持シ得ルコト
                        以上
           議長 評議員 子爵渋沢栄一(印)
           評議員    子爵大河内正敏(印)


理化学研究所書類(一)(DK470046k-0011)
第47巻 p.224-225 ページ画像

理化学研究所書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
 - 第47巻 p.225 -ページ画像 
    理研と会社との契約条項骨子
一、理研は、理研の所有する特許発明の実施権並に製造販売せる製作品の一手販売権を、会社に優先許諾すること、但し既に他と契約済のものは此限に非す
二、会社は、前条の特許発明の実施権又は製作品の一手販売権を第三者に授与するを有利と認むるときは、理研と第三者との間に立ちて仲介を為すこと
三、会社の利益金処分方は定款第三十条に依ること
四、理研は、何時にても、会社の事業上若は計算上の事項に付報告を求め、又は帳簿物件を検査し得ること
五、理研は、会社か第一条に記載する特許発明の実施又は製作品の販売に付充分の努力若は施設を為さゝるものと認めたるとき、又は理研に支払ふへき報酬金の支払を遅滞し其他契約条項に違背したるときは、契約を解除し得ること


理化学興業株式会社書類(一)(DK470046k-0012)
第47巻 p.225-226 ページ画像

理化学興業株式会社書類(一)       (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    理化学研究所ト理化学興業株式会社トノ契約条項
第一条 財団法人理化学研究所ヲ甲トシ、理化学興業株式会社ヲ乙トシ、甲乙間ニ左ノ事項ヲ契約ス
第二条 甲ハ甲ノ有スル特許権ノ実施及甲ノ製造スル物品ノ一手販売ヲ乙ニ許諾シ、乙ハ右特許発明ヲ有効ニ実施シ且甲ノ製造ニ係ル物品ノ販売ニ関シ充分ノ努力ヲ為ス義務ヲ有スルモノトス、但シ特許発明ノ実施又ハ物品ノ一手販売ニシテ既ニ他ニ契約シタルモノハ此限ニ在ラス
第三条 乙ハ前条ノ特許発明ノ実施又ハ製品ノ一手販売ヲ第三者ニ許諾スルヲ有利ナリト認メタルトキハ、甲ノ承認ヲ受ケテ、第三者ニ許諾スルコトヲ得ルモノトス
第四条 乙カ甲ノ所有スル特許発明ノ改良ニ係ル新規ノ発明ヲ為シタルトキハ、特許ヲ受クルノ権利ハ甲之ヲ承継ス
第五条 乙ハ毎年六月三十日及十二月三十一日ヲ決算期トシ、総収入金ヨリ総支出金ヲ控除シテ得タル金額ヨリ、甲及乙ノ協議ニ依リ其百分ノ五以内ヲ、甲ニ対スル第一報償金トシテ甲ニ納付スルモノトス
第六条 乙ノ利益金処分方法ハ左ノ規定ニ依ルモノトス
    一、利益金中ヨリ百分ノ五以上ノ法定積立金、百分ノ五以内ノ役員賞与金ヲ支払ヒ、其残額ハ年八分ノ割合ニ至ル迄第一次配当金トシテ之ヲ株主ニ配当スルヲ得
    二、利益金中ヨリ前項ノ金額ヲ控除シタル残額ノ三分ノ一ヲ甲ニ対スル第二次報償金トシテ甲ニ納付シ、三分ノ二ハ之ヲ第二次配当金トシテ株主ニ配当シ、試験費若ハ別途積立金トシテ積立テ、又ハ後期繰越金ト為スコトヲ得
第七条 乙カ甲ニ支払フヘキ報償金ハ乙ノ決算期後一ケ月内ニ之レカ支払ヲ為スヘキモノトス
 - 第47巻 p.226 -ページ画像 
第八条 甲ハ何時ニテモ乙ノ事業上若クハ計算上ノ事項ニ付報告ヲ求メ、又ハ帳簿物件ヲ検査スルコトヲ得ルモノトス
第九条 左ニ掲クル事項ハ甲ノ承認ヲ受クルモノトス
    一、定款ノ変更
    二、事業計劃及ヒ其変更
    三、株金ノ払込
    四、社債ノ募集
    五、附帯事業ノ経営
    六、甲ノ発明考案ニ付工業ヲ実施スル会社、又ハ組合等ヘノ投資
    七、役員ノ選任
    八、利益金ノ処分
    九、合併及ヒ任意解散
    十、前諸項以外ノ重要事項
第十条 乙カ解散ヲ為シタル場合ニ於テハ、本契約ニ依リ甲カ乙ニ許諾シタル特許発明ノ実施権及製品ノ一手販売権ハ当然消滅スルモノトス
    乙ノ解散ノ場合ニ於ケル残余財産ハ、乙ノ払込株金額ヲ限度トシ、各持株ノ割合ニ応シテ株主ニ分配シ、尚残余財産アルトキハ其ノ二分ノ一ハ株主ニ分配シ、残余ハ甲ニ納付スルモノトス
第十一条 乙カ本契約ノ条項ニ違背シタルトキハ、甲ハ将来ニ向テ本契約ヲ解除スルコトヲ得ルモノトス
第十二条 本契約書ハ原本弐通ヲ作成シ、甲及乙ニ於テ各壱通ヲ保有スルモノトス


水谷清談話筆記(DK470046k-0013)
第47巻 p.226 ページ画像

水谷清談話筆記              (財団法人竜門社所蔵)
               昭和十二年七月十六日、於丸ノ内第一銀行応接室、松平孝・新井静子聴取
    財団法人理化学研究所に就いて
○上略
子爵は理化学興業株式会社の設立には賛成されたが、理研が投資するのは反対せられてゐた。それで大河内所長の考はこの会社はとても利益の上る会社だから出来る丈投資しろと云はれたが、子爵のお考は営利会社は損することもあるし、そこへ投資することは所期の目的に反するから、その投資丈は止めた方がよいと言はれた。寄附行為では理化学興業株式会社の設立は認めるといふ事が出てゐますが、子爵が以上のやうなお考へだつたので、両者間の契約書は私の手で握りつぶしてしまひました。
○下略
  ○理化学興業株式会社ニツイテハ本資料第三篇第二部第三章商工業中「理化学興業株式会社」参照。


集会日時通知表 昭和二年(DK470046k-0014)
第47巻 p.226 ページ画像

集会日時通知表  昭和二年        (渋沢子爵家所蔵)
十二月七日 水 午前十一時 理化学研究所理事会(日本工業倶楽部)

 - 第47巻 p.227 -ページ画像 

自卅九回至七十四回理事会書類(DK470046k-0015)
第47巻 p.227 ページ画像

自卅九回至七十四回理事会書類   (財団法人理化学研究所所蔵)
                             (鵜野)
                           主事 (印)
 所長(印) 第五十八回理事会議事要録
一、場所及日時
 昭和二年十二月七日午前十一時日本工業倶楽部ニ於テ開会、正午閉会
一、出席者
 大橋・大河内子爵・内藤・粟屋・渋沢子爵・塩原ノ各理事及委任状参通
一、決議事項
 (一)昭和三年度予算ノ件
 (二)理事青木菊雄・四条隆英、監事久原房之助三氏昭和三年二月二十三日任期満了ニ付、再任方ヲ来ル一月定期評議員会ニ提出ノ件
 (三)小竹無二雄・池田鉄作・芝彦一三氏ヲ研究員ニ推薦ノ件
   ○(四)略ス。
 (五)小口支払準備金参千円ヲ金五千円以内ニ増額ノ件
   ○(六)略ス。
                         以上
              議長 理事 子爵 大河内正敏(印)
              理事    子爵 渋沢栄一(印)