デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

6章 学術及ビ其他ノ文化事業
2節 演芸
1款 帝国劇場
■綱文

第47巻 p.375-378(DK470093k) ページ画像

明治43年8月30日(1910年)

是日、東京商業会議所ニ於テ、当劇場第七回定時株主総会開カレ、栄一出席ス。次イデ十月三日、帝国ホテルニ於テ、当劇場主催俳優招待会開カレ、栄一出席シテ演説ヲナス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四三年(DK470093k-0001)
第47巻 p.375 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四三年         (渋沢子爵家所蔵)
八月三十日 晴 暑
○上略 午前十時東京商業会議所ニ抵リ、帝国劇場会社ノ株主総会ヲ開キ諸計算ヲ議決ス○下略


(帝国劇場株式会社)第八回報告書 明治四三年下半期・第一―八頁 刊(DK470093k-0002)
第47巻 p.375-378 ページ画像

(帝国劇場株式会社)第八回報告書
               明治四三年下半期・第一―八頁 刊
 ○第八回報告書
    第一 第七回定時株主総会
明治四十三年八月三十日(火曜日)午前十時、東京市麹町区有楽町一丁目一番地東京商業会議所ニ於テ、帝国劇場株式会社第七回定時株主総会ヲ開ク、出席人員委任状共八十三名、株数一万三千六百三十個ニシテ、取締役会長男爵渋沢栄一氏会長席ニ就キ、明治四十三年上半期事務報告・貸借対照表・財産目録・利益金処分案等ヲ議シ、総テ原案ノ通リ承認サル
    第二 事業ノ経過
本期間ニ於ケル帝国劇場建築工事ニ関シ各主要ナル施工事及取扱ヒタル事項ヲ蒐集概記スレバ左ノ如シ
 一地下工事ハ、前期ヨリ継続施工中ナリシ本館外部煉瓦塀・排水溜桝完成ニ達シ、土中室床コンクリート打工事ハ十一月二十日竣工シ、排水土管埋設工事ハ十二月二十五日竣工シタリ
 一石材工事ニアツテハ、人道石材工事ハ十二月十日竣工シ、便所並ニ大階段踊場用大理石工事ハ十一月二十五日ニ、玄関腰廻リ階段手摺ノ大理石工事ハ九月十三日ニ、同切符売場ハ十二月二十五日ニ、大階段腰羽目用及ビ便所用大理石並ニ貴賓席丸柱及正面階段用大理石等ハ、其使用材料ヲ伊太利国ヨリ輸入シ、之ガ据付ハ一月十三日ヲ以テ竣成シタリ
  而シテ大階段巾木並ニ笠石等ノ大理石工事ハ、一月十六日ニ完成シ、正面玄関床敷石工事ハ施工ノ都合上稍々遅レタルモ、目下殆ンド竣工ニ近ヅキタリ
 一煉瓦工事ハ、前期マデニ於テ殆ンド竣工セシヲ以テ、当期間ニ於ケル施工ハ各所ノ残部ノ補足及目地塗工事ニシテ、孰レモ完成シタリ
 一木材工事ハ、其大部分ハ当期間ノ施行ニ属シ、殊ニ化粧床・腰羽
 - 第47巻 p.376 -ページ画像 
目等装飾的ノ工事ハ全部当期ニ於テ施工シタリ、而シテ其施工ノ主ナルモノハ、各間内床工事・左右玄関木製階段・二階大休憩室造作・同床寄木張工事並ニ木象篏羽目板工事、外部切符売場・各入口及窓枠工事、北側非常用階段・左右玄関階上下腰羽目・観客席造作工事、南北貴賓休憩室造作・同床寄木張工事、舞台並ニ周囲床張工事、観客席床下・天井・舞台小屋床工事等ハ予定ノ通リ全部竣工シタリ
 一建具工事ハ、前期ヨリ継続セル各階入口及窓建具ハ十一月十三日ニ於テ、表門二ケ所及追加建具ハ十一月十四日ニ、観客席周囲ノ建具工事ハ一月十七日ニ竣工シ、期末門扉ノ釣込ヲ残スノミトナレリ
 一泥工事、本館各階ノ天井及壁工事ハ八月十日ヨリ起工シ、十二月十二日ニ竣工シ、其他観客席大天井工事並ニ之ニ附帯スル各石膏彫刻ハ各区分シテ請負ハセ、各室中心飾ハ十一月十五日ニ、南北貴賓休憩室壁工事ハ十二月十六日ニ、階上下広間柱飾石膏彫刻ハ其製作及取付トモ一月二十五日ニ孰レモ竣工シタリ
  其他コンクリート床セメント塗及外部煉瓦塀塗トモ、期末竣工シタリ
 一塗師工事ハ、楽屋廻リペンキ塗、暖房パイプ及放熱器アルミニユーム塗、其他内部壁ペンキ塗工事ハ、期末其一部ヲ残スノミトナレリ
  観客席内部金箔工事ハ、一月四日ヨリ著手シ、期末ヲ以テ竣工シタリ
 一硝子工事ハ、汽缶室天窓ハ八月十五日ニ、本館各窓硝子ハ十一月二十日、楽屋窓硝子篏込ハ九月十五日、各入口廻硝子工事ハ一月二十二日ニ、孰レモ竣工シタリ
  而シテ二・三階休憩室窓各五ケ所並ニ天窓四ケ所、三階廊下天窓二ケ所、観客席中央ステンド硝子、二・三階大階段踊場窓、左右玄関三階大窓二ケ所等ノ装飾硝子工事ハ最終ノ施工ヲ十二月二十日トシ全部竣工シタリ
  其他化粧室鏡取付工事ハ一月二十三日其取付ヲ了リタリ
 一板金工事ハ、前期ヨリ継続工事ノ軒蛇腹及打出装飾的工事並ニ正面庇工事共全部竣工シ、其他当期中ニ大小屋新空気塔・楽屋防火戸・正面大柱双盤・客席真鍮双盤及カピタル・旋風機室模様替・パラペツト電灯座受並ニ唐戸銅板張其他左右玄関庇家根、及同竪樋・柱形上部持送リ・楽屋廻庇工事等ハ客席真鍮双盤並ニカピタル取付工事ヲ最終トシ一月二十七日迄ニ全部竣工シタリ
  其他観客席大天井メタル張工事及客席一・二階天井中心飾ノ取付工事ハ全部完成シタリ
 一鉄骨及金属工事ハ前半期ヨリ施工継続中ナリシ正面玄関庇工事、左右玄関ブロンズ手摺金物・窓廻手摺金物・左右木製階段手摺金物・同玄関伸縮扉等ハ全部竣工シタリ
  切符売場金物・正面出椽及ドライヱリヤ鉄柵工事並ニ二階広間上部手摺金物等亦完成ス
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  其他当期間ニ著手セシモノニシテ、観客席手摺金物・配景枠及釣出椽工事、電気室及舞台床下ケ工事、左右玄関鉄庇工事、正面アーク灯釣枠、上ゲ下ゲ窓分銅及空気抜金物、外部人除柵等ノ各工事ハ一月二十三日ヲ最終トシ全部竣工シタリ
 一経師工事ハ壁上張用壁紙全部輸入品ノミニシテ、期末其一部分ヲ余シ他ハ全部竣工シタリ
  観客席天井・二階大休憩室・同広間・貴賓休憩室等ニ施行スベキ「カンバス」ハ已ニ大部分ヲ了シタリ
 一衛生工事ハ、前期中ニ起工シタル各便器取付工事ハ総テ一月二十八日ヲ以テ竣工シ、其他南北側便所手洗用温水供給工事及湯釜製作・楽屋浴漕装置等ハ全部竣工ヲ告ゲタリ
  水道工事ニ在ツテハ、本館内四ケ所、館外二ケ所ノ消火栓ヲ設ケ之ニ対スル諸道具ノ予備製作及便所及浴室並ニ汽缶室附属建物等ニ至ル各給水設備ハ一月二十八日ヲ以テ全部完成シタリ
 一煖房工事ハ、其用具ノ主ナルモノハ重ニ外国品ヲ採用シ、之ニ内地製品ヲ補足シ期末完成シタリ
  其他館内換気装置ノ新空気口並ニ観客席内部空気抜孔ハ定雇工ヲ以テ施行シ、十二月二十五日竣工シタリ
 一電灯工事ハ重ニ当期間ノ施行ニ属シ、舞台内部ヲ除キタル以外ノ配線工事ハ期末一部ヲ余スノミニシテ、装飾器具「シヤンデリヤー」「シーリングライト」ハ外国製品及内地製品ヲ混用シ、完成ニ至リタリ
  電球ハ独逸製「タンタラム」球ヲ採用シ、其他「セード」「グローブ」等重ニ内地製造業者ヲシテ製作セシメ、之ヲ採用シタリ蓄電池ハ「シーメンス・シユツケルト」電気株式会社ヨリ購入ノモノニテ、其据付工事ハ竣工セリ
 一瓦斯工事ハ東京瓦斯株式会社ノ供給ヲ受ケ、専ラ料理場使用ノ目的ヲ以テ設備ヲナシ、十一月下旬全部完成シタリ
 一家具及什器ニ在テハ、一・二等客席椅子ハ付属番号札共、一階左右休憩室及二・三階大休憩室等ノ備付品、南北貴賓休憩室用椅子卓子、化粧室鏡額縁及化粧台、三・四等客腰掛並ニ同敷布団、携帯品預リ室及事務室並ニ切符売場等ノ戸棚其他凡テ期末ニ竣工シタリ
  館内自働電話室ハ期末殆ンド落成ニ及ビタリ
 一敷物及緞帳工事ハ、本館内部一・二階「リノリヤム」敷大階段五ケ所及観客席周囲・廊下・各内部通路並ニ時別席等ノ絨氈敷、楽屋各室畳敷並ニ三階休憩室・廊下廻畳敷込ハ既ニ竣工シタリ
  緞帳ハ貴賓席用ノモノ及舞台緞帳トモ全部竣工シタリ
 一舞台設備工事ハ殆ンド当期ニ於テ施行セシモノニテ、舞台床引込装置・舞台釣出縁工事、同配景枠工事、配景釣取付及置舞台ノ設備等已ニ完成シタリ
 一附属工事ニアツテハ、蓄電室新設、供侍所並ニ下足室、配景画室及音楽教室・道具部屋等ノ各付属工事予定ノ如ク進行シタリ
 其他本館地下々足室並ニ便所・左右玄関階上運動場ノ敷瓦工事及ビ
 - 第47巻 p.378 -ページ画像 
一・二階便所、階下左右玄関、貴賓便所内部等ノ敷瓦ハ十二月二十日迄ニ全部竣工シタリ
工事ノ進捗略ボ前述ノ如クニシテ、最早全部落成ノ期近ヅキタリ、陽春三月開場ノ予定ナリ
前期以来募集中ナリシ脚本ハ投稿数百七八十種ニ達シ、優秀ナルモノモ少カラザルニツキ、開場ノ暁ニハ此等ヲ採用上場スベキ予定ナリ
十月三日帝国ホテルヘ新旧俳優中ノ重立タル向三十余名ヲ招待シ、意見ノ交換会ヲ催シタリ
開場後使用スベキ男子事務員及女子案内員等ノ募集ヲナシ、之レガ採用ヲナセリ、建築物竣成ニ伴ヒ漸次俳優組織ノ着手ニ従事シ、期末ニ於テ殆ド之レヲ結了スルニ至リタリ


渋沢栄一 日記 明治四三年(DK470093k-0003)
第47巻 p.378 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四三年       (渋沢子爵家所蔵)
九月二十八日 曇 冷
○上略
此日ハ帝国劇場会社ノ為ニ、夜帝国ホテルニ於テ俳優多人ヲ(数脱カ)案内セシモ、病ノ為メ来月三日ト改メテ通知セリ、堀井医師来診スルモ病ハ全ク愈ヘタルヲ覚フ
○下略


竜門雑誌 第二六九号・第四八頁 明治四三年一〇月 ○帝国劇場新築披露(DK470093k-0004)
第47巻 p.378 ページ画像

竜門雑誌  第二六九号・第四八頁 明治四三年一〇月
○帝国劇場新築披露 帝国劇場株式会社にては、十月三日午後七時より、帝国ホテルに京阪の新旧俳優組合の役員、俳優中の古老及び劇界の関係者を招待して、同劇場建築披露の祝宴を開きたり、宴酣なる頃青淵先生は起つて、帝国劇場設立の理由より現今に至れる経営、俳優今昔の所感及び今後の地位方針に付て意見を陳じ、中村芝翫は旧派を佐藤歳三は新派を代表して夫々挨拶を為し、終りて帝国劇場・帝国俳優の万歳を三唱し、十時半和気靄々の裡に散会したるが、当夜参会者は左の如し
 青淵先生・大倉喜八郎・浅野総一郎・田中常徳・福沢桃介・益田太郎・手塚猛昌・西野恵之助・右田・伊坂・二宮等の諸氏 俳優側にては中村芝翫・市村羽左衛門・尾上梅幸・市川高麗蔵・市川八百蔵 市川小団次・市川段四郎・沢村宗十郎・市川左団次・市川九女八・沢村源之助・市川紋之助・市川団蔵・尾上松助・中村歌六・尾上菊五郎・中村吉右衛門・片岡市蔵・坂東三津五郎・高田寛・佐藤歳三 喜多村緑郎・中野信近・深択恒造・伊井蓉峰等


渋沢栄一 日記 明治四三年(DK470093k-0005)
第47巻 p.378 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四三年         (渋沢子爵家所蔵)
十月二十九日 雨 冷
○上略 十一時中央亭ニ抵リ、劇場会社重役会ニ出席ス○下略