デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正2年2月28日（1913年）

是日栄一、当劇場ニ於テ開カレタル、当劇場第十二回定時株主総会及ビ臨時株主総会ニ出席ス。

渋沢栄一　日記　　大正二年　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
二月六日　曇　寒
○上略　十一時帝国劇場会社ノ重役会ヲ中央亭ニ開キ、昨半季ノ決算ヲ議決ス○下略
　　○中略。
二月二十八日　晴　寒
○上略　午後二時帝国劇場ニ抵リ、株主総会ヲ開キ、定期総会ノ議事ヲ決ス○下略

（帝国劇場株式会社）第十三回報告書
　　　　　　　　　　　　　　　　大正二年上半期・第一―二頁　刊
　○第一三回報告書
　　　　第一　第十二回定時株主総会及臨時株主総会
大正二年二月二十八日午後一時、東京市麹町区有楽町一丁目一番地帝国劇場内ニ於テ帝国劇場株式会社第十二回定時株主総会ヲ開ク、出席人員委任状共壱百弐拾九名、此株数壱万参千四拾株ニシテ、取締役会長男爵渋沢栄一氏会長席ニ就キ、大正元年下半期事務報告・貸借対照表・財産目録・利益金処分案等ヲ議シ、総テ原案ノ通リ承認シタリ、引続キ臨時株主総会ヲ開キ、取締役及監査役全員満期ニ付改選ノ処、取締役ニ男爵渋沢栄一・大倉喜八郎・福沢桃介・西野恵之助・日比翁助・益田太郎・田中常徳・手塚猛昌ノ八氏、又監査役ニ浅野総一郎・村井吉兵衛ノ二氏重任ニ決定セリ、更ニ取締役会開催左ノ通リ互選ナリタリ
　　　　　　　　　　　　　　取締役会長　男爵　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　専務取締役　手塚猛昌
定款中監査役任期壱ケ年ヲ弐ケ年ト改正ノ件ハ仮決議ヲ為セリ
大正二年三月廿日午後一時、東京市麹町区有楽町一丁目一番地帝国劇場内ニ於テ、帝国劇場株式会社臨時株主総会ヲ開ク、出席人員委任状共壱百弐拾八名、此株数壱万参千九拾五株ニシテ、取締役手塚猛昌氏会長席ニ着キ、曩キノ臨時株主総会ニ於テ仮決議ヲ為シタル、定款中監査役任期壱ケ年ヲ弐ケ年ト改正ノ件、原案ノ通リ承認シタリ
　　　　第二　営業ノ概況
本期間即チ二月一日ヨリ七月末日ニ至ル六ケ月間、此日数百八十一日ノ内、左ノ通リ興業回数十三回、此開演日数百六十九日間トナレルヲ以テ、其閉場日数ハ僅ニ十二日間トナルヲ見ルベシ、而カモ此十二日
 - 第47巻 p.401 -ページ画像 
間ノ閉場日数中畏多クモ　聖上陛下御不予ノ趣拝聞シ恐懼謹慎ノ意ヲ表シ、又タ　有栖川宮殿下御薨去ニ付御遠慮閉場シタル日数五日間ヲ控除スレバ真ノ閉場日数ハ僅ニ七日間ナリトス、斯ノ如ク間断ナク劇場ヲ活動セシムルニ努力メタル結果トシテ、諒闇中ニモ不拘、前半期間ニ比スレバ較々良好ナル成績ヲ挙グルヲ得タリ
　　　　本期間興行表○略ス

（帝国劇場株式会社）第十四回報告書
　　　　　　　　　　　　　　　　大正二年下半期・第一―二頁　刊
　○第一四回報告書
　　　　第一　第十三回定時株主総会
大正二年八月二十一日午前十時、東京市麹町区有楽町一丁目一番地帝国劇場内ニ於テ、帝国劇場株式会社第十三回定時株主総会ヲ開ク、出席人員委任状共壱百参拾五名、此株数壱万五千参百七拾株ニシテ、取締役会長男爵渋沢栄一氏旅行中欠席ニ付、取締役大倉喜八郎氏代テ会長席ニ就キ、大正二年上半期事務報告・貸借対照表・財産目録・利益金処分案等ヲ議シ、総テ原案ノ通リ承認シタリ
　　　　第二　営業ノ概況
本期間即チ大正二年八月一日ヨリ同三年一月三十一日ニ至ル六ケ月間此日数百八十四日ニ於ケル営業ノ概況ハ、別表ニ示ス如ク、其興行数ヲ重ヌルコト二十回、開演日数本興行百七十二日、マチネー十五日間ニシテ、閉場日数ハ僅カニ十二日ヲ算ス、而カモ此十二日間中一日ハ故徳川慶喜公御葬儀当日御遠慮休場、残余ノ十一日間ハ極暑中ノ閉場ニシテ、不断開演ニ努メタル結果、世上不景気ノ反影トシテ蒙ル演劇界ノ特ニ不振ナルニモ不拘、相応ノ成績ヲ見ルヲ得タリ、而シテ専属男優補導ノ下ニ専属女優ヲ九月一日ヨリ十二日迄十二日間、神戸市聚楽館ニ、同十四日ヨリ二十日迄七日間名古屋市御園座ニ、又十月二日ヨリ十九日迄十八日間大阪市中座ニ出演セシメタリシニ、到ル処非常ナル人気ヲ博シタリ
　　　　本期間興行表○略ス

竜門雑誌　　第三〇四号・第七八頁　大正二年九月
○帝国劇場定時総会　帝国劇場株式会社にては、八月廿一日午前十時より、同劇場二階大食堂に於て第十三回定時株主総会を開きたり、当日取締役会長青淵生先は旅行中にて欠席せられたるを以て、大倉喜八郎氏代理として会長席に着き、配当案は原案通り年五朱（一株に付金一円七銭五厘）に決定し、即時閉会を告げたりと。
　　○栄一、八月中旬ヨリ箱根ニ避暑シ、二十三日帰京ス。