デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

8章 軍事関係諸事業
1節 第一次世界大戦関係
8款 世界大戦講和成立祝賀会 1. 東京市主催平和祝賀会
■綱文

第48巻 p.593-594(DK480162k) ページ画像

大正8年7月1日(1919年)

是ヨリ先、六月二十八日パリニ於テ講和条約調印セラル。是日、帝国ホテルニ於テ東京市主催平和祝賀会催セラレ、栄一出席ス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正八年(DK480162k-0001)
第48巻 p.593 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正八年          (渋沢子爵家所蔵)
七月一日 曇 暑
○上略 十一時半帝国ホテルニ抵リ、東京市主催ノ平和祝賀会ニ出席ス、余興畢リテ午飧ノ饗アリ、来スル者約五百人、頗ル大会ナリ○下略


竜門雑誌 第三七四号・第五〇頁 大正八年七月 東京市の平和克復祝賀会(DK480162k-0002)
第48巻 p.593 ページ画像

竜門雑誌  第三七四号・第五〇頁 大正八年七月
○東京市の平和克復祝賀会 東京市に於ては、七月八日正午《(一)》、帝国ホテルに於て、平和克復祝賀会を催せり、当日青淵先生にも出席せられたり



〔参考〕中外商業新報 第一一九五一号 大正八年七月二日 栄光と歓喜に満つる祝賀会の空気 首相と露大使肩を並べ 余興場で先づ諧謔一番(DK480162k-0003)
第48巻 p.593-594 ページ画像

中外商業新報  第一一九五一号 大正八年七月二日
    栄光と歓喜に満つる
      祝賀会の空気
        首相と露大使肩を並べ
        余興場で先づ諧謔一番
緑葉と国旗に彩られた帝国ホテルは、栄光と歓喜に燃えた、此日ホテルには東京市の媾和条約成立祝賀会が催ふされたのであつた、正午のホテル前庭は自働車と人力車で埋められた、朝野の
◇貴顕紳士 の悉くが網羅せられたのである、余興場には今し舞台が開いて「再春萩蒔種」和解祝彩と銘打たれ、新作の祝賀踊が可憐なゲーシヤガールによつて行はれてゐる。場の周囲は竹の葉で蔽ふて冷涼を添えてゐるが、折柄の炎暑で人といふ人の額からは汗が流れた、舞台の直ぐ下の第一列には原首相が中心になつて
◇其隣りが 外交団の首席クルペンスキー露大使、瑞西・仏蘭西の大公使が居流れ、三人目に敵党の首領加藤高明子がドス黒い底光りのする目を光らしてゐるのも一寸目につく、第二列には内田外相の碧色の眼がチヨコチヨコと働いて、大岡議長や徳川将軍や扨ては田中陸相、渋沢・大倉の両男等が点綴する、ゲーシヤガールが長い旗を持つて
◇踊り出す と舞台の上から首相や露大使の頭の上へパツパツ塵埃が灰のやうになつて降る、露国大使はハンカチで鼻口を蔽ひ乍ら「之はやり切れぬ」と原首相を顧みる、首相は平然として曾て仏蘭西留学時代の古色蒼然たる仏語を操り「日本では此塵埃を浴びるのが芸術家に対する最高の尊敬であるのです、女義太夫の如きは
 - 第48巻 p.594 -ページ画像 
◇床の下に ゐて其義太夫語りの唾液を吐きかけられるのが男の光栄であり誇りであるとして居る位です、あなたは今日は非常な幸運なのです」と聊か怪しげなる通人振を振廻すと、クルペンスーキ氏何も知らないものだから「それは嬉しい」とか何とか云つて鼻を蠢かして態と舞台の塵埃を吸はうとする、隅の方では阿部知事と
◇田尻市長 が昔の選挙談に花を咲かしてゐる「その話は兎も角こんなに狭くちや仕様がないね、何とかして大きな公会堂の設備をしやうぢやないですか」と阿部氏が口を切れば、市長は「ナーニ、三百万円もあれば出来るのだがね、どうも成金が金を出さないのでね」などゝ飛んだ処へ飛火する、十二時半愈々食堂が開く、原首相と田尻市長が中央に
◇向ひ合ひ 両隣が瑞・仏の大公使及び露大使・英大使、清浦奎吾子や渋沢男などはズツト下座の方へ押しやられる、聯合国の各国歌奏楽裡然るべくフオークを動かした時に六尺豊の大男がヌーツと立つた、それは露国大使である、鮮かな日本語で「ニツポン、テンワウヘイカコーゴーヘイカバーンザーイ」と三鞭の杯を挙げる、続いて田尻市長
◇立ち上り 「聯合国各元首万歳」でコツプを打つゝける、それが済んでデザートコースに入り、田尻市長型の如き祝辞を述べ、今井市長秘書之を英釈する、代つて露大使の「暴虐が弱小を圧迫する不義に抗して起つた正義の戦ひに日本が参加して、終始渝らなかつた貢献を認め、玆に杯を挙げて日本国及び東京市民の為に
◇再び万歳 を三唱す」といふ挨拶があつて杉田外国語学校教授が翻訳する、君ケ代がある、三鞭がポンポン抜かれる、平和の日本の東京の縮図は斯くして和楽に充ちて三時閉ぢられたのである
  ○パリ講和条約ニ関シテハ本款三「全権委員西園寺公望歓迎会」参照。