デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

8章 軍事関係諸事業
3節 軍事関係諸問題
4款 シベリア出兵問題
■綱文

第48巻 p.690-691(DK480188k) ページ画像

大正7年7月18日(1918年)

是日栄一、総理大臣寺内正毅ヲ官邸ニ訪問シテ、シベリア出兵問題ニ就キテ意見ヲ述ブ。


■資料

中外商業新報 第一一六〇三号 大正七年七月一九日 ○渋沢男首相訪問(DK480188k-0001)
第48巻 p.690 ページ画像

中外商業新報  第一一六〇三号 大正七年七月一九日
○渋沢男首相訪問 渋沢栄一男は十八日午前十時五十分寺内首相を官邸に訪問、出兵に関する会談を為し十一時退出せり


竜門雑誌 第三五八号・第九三頁 大正七年三月 ○西伯利出兵問題に就て(DK480188k-0002)
第48巻 p.690 ページ画像

竜門雑誌  第三五八号・第九三頁 大正七年三月
○西伯利出兵問題に就て 東京朝日新聞記者が本月九日青淵先生を訪問して聴取せる意見の大要は即ち左の如くなりと云ふ。
  西伯利出兵の可否に就ては外交関係も知る所なく、又従来の外交経過の詳細と四囲の形勢を知るに非ずんば、之を云ふ能はざるものなれば自分としては相応の考へはあるも、其知識なきより、此際何とも公言する能はず、併し強て云ふなれば我国民一体の気風が大正三年独逸の宣戦を布告せし時の気分より、漸次遠ざかりつゝあるに非ざるなきかと思はるゝなり、大正三年の宣戦が単に英国との同盟に基き、其義理合に戦争の大事を敢てせし者に非ずして、軍国主義侵略主義に反対すべき大主義を以て立ちし以上は、現在と雖も尚此大方針の下に進まざる可からざるものなるべし、然るに国民の気風が動もすれば此大主義を忘却して、一時の繁栄に酔ひつゝあるかに見受けらゝるは、如何にも心外也。されば愈出兵決行と云ふ暁には夫れ以前に聯合国との交渉に手を尽し、其他外交上全般に亘り手続を了すべき事最も肝要にして、然る上に於て全く決行する事に立至りたらんには、仮令我国が焦土となりても、尚且軍国主義、侵略主義に反対せざる可からざるものなるべし。独逸の遣り口は軍国主義侵略主義の権化と云ふ様に見受けらるゝなり云々。


竜門雑誌 第三六三号・第六六頁 大正七年八月 ○出兵の目的に就て(DK480188k-0003)
第48巻 p.690-691 ページ画像

竜門雑誌  第三六三号・第六六頁 大正七年八月
○出兵の目的に就て 七月十四日発行の「報知新聞」は青淵先生談として左の如き記事を掲載せり。
 余は近時直接金融の事に当ることなきを以て、所謂対露出兵が我国の財界に如何なる影響を及ぼすべきかに就き
△明確に答解 するを得ざるも、大体観としては、苟も軍を起し兵を動かす以上、之が為めに産業方面所要の資金を奪ひ、且は之より生ずる警戒疑惧の為一般財界の不況沈滞を招来するや明白なり、故に財界のみの立場より云へば飽迄平和を好愛すべきや勿論なりと雖も、国家の大局より見て西伯利方面の実勢にして真に世上伝ふるが如きものありとせば、之に対し相当の処置を講ずる必要あるは当然にして、物価
 - 第48巻 p.691 -ページ画像 
の騰貴、正貨の流出と云ふが如き、財界に対する悪影響を云為して已むべきに非ず、須く国民一致して事に従ふを要す、而して今日の場合特に吾人の
△政府当局 に希望に堪へざるは、出兵の目的を国民に周知せしめ、形勢の真相を分明ならしめん事是れなり、固より外交上乃至軍事上の事柄は或程度の秘密を要し、全部の公開は不可能なるや勿論なりと雖も、出兵てふ一国の大事を決するに当り大本の目的にして分明を欠くが如きことあらんか
△国民の精神 統一上決して好ましきことに非ず、西伯利に関する情報も吾人は諸新聞の報道等にて断片的に聞知するのみにて、所謂独勢漸の如き危急の程度果して如何、出兵の是非得失を実際問題として判断するには、是等の実情に関する更に充分の説明を聞きたる後、始めて最後の断案を得べきなり