デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

9章 其他ノ公共事業
1節 記念事業
4款 財団法人聖徳太子奉讃会
■綱文

第49巻 p.49-51(DK490019k) ページ画像

大正13年9月26日(1924年)

是日及ビ十月十六日、総裁久邇宮家ニ於テ、当会主催聖徳太子奉賛展覧会準備ノタメ、関係者ニ賜餐アリ。栄一出席、令旨ニ対シ、会長ノ代理トシテ奉答ス。


■資料

竜門雑誌 第四三三号・第三七頁 大正一三年一〇月 青淵先生動静大要(DK490019k-0001)
第49巻 p.49 ページ画像

竜門雑誌  第四三三号・第三七頁 大正一三年一〇月
    青淵先生動静大要
      九月中
二十六日 聖徳太子一千三百年御忌奉賛会の件に関し久邇宮家に於て午餐を賜ふ


竜門雑誌 第四三四号・第八五頁 大正一三年一一月 青淵先生動静大要(DK490019k-0002)
第49巻 p.49 ページ画像

竜門雑誌  第四三四号・第八五頁 大正一三年一一月
    青淵先生動静大要
      十月中
十六日 聖徳太子御忌奉賛会理事会(久邇宮邸)に出席し晩餐を賜ふ


(聖徳太子奉讚会)会報 大正一四年一一月号 聖徳太子奉讚美術展覧会は斯くして生れた(DK490019k-0003)
第49巻 p.49-51 ページ画像

(聖徳太子奉讚会)会報  大正一四年一一月号
    聖徳太子奉讚美術展覧会は斯くして生れた
○上略 本会総裁久邇宮殿下には厚き思召を以て展覧会の内相談之ため特にお召になつたのである。かくて参殿したのは実に昨年の九月二十六
 - 第49巻 p.50 -ページ画像 
日で、川合玉堂・横山大観・竹内栖鳳・山元春挙・小堀鞆音・小室翠雲・荒木十畝・下村観山の八氏の外には、故会長徳川頼倫は当時御病気のため拝辞され、副会長渋沢栄一子及び展覧会主任理事正木直彦・常務理事黒板勝美・主事山岡超舟の三名とで、時の宮務監督国分三亥同事務官野村礼譲・御附武官梅沢銀造三氏列席の上、一同午餐の御陪食の光栄に浴し、且つ優渥なる左記の令旨を賜はつた。
 本日諸君のお集りを得ましたのは、今回財団となりました聖徳太子奉讚会に於て、大正十年奉行の一千三百年御忌大法用より起算して毎五ケ年目に中法用の展覧会を開催し度いと思ふ、就ては御協議の上、宜敷御尽力を願ひ度い。
これに対して渋沢副会長は、会長に代つて左記の通り奉答申上げた。
 只今は優渥なる令旨を賜はり、寔に感佩に堪へないのであります。列席の美術家諸君に於かせられては、太子に奉仕する覚悟を以て、是非御尽力の程私からも御願して置く次第であります。
同年十月二日夜、上野精養軒で第二回の協議会を開いた(但し青淵先生欠席)(以下略す)
同年同月十六日総裁宮殿下よりお召を拝する事となつた。お召の光栄に浴して出席した人々は左の諸氏を初め卅二名である。
 岡田三郎助・和田英作・川合玉堂・横山大観・渋沢栄一・伊東忠太・高楠順次郎・黒板勝美
斯くて一同拝謁後晩餐の御陪食を賜はり、その上殿下には畏くも左の令旨をたまはつたので、何れも感激した次第である。
 今夕は御多忙の処、斯く皆様の御集りを得ましたのは私の欽快とする処である。皆々様も御承知之通り、聖徳太子奉讚会もお蔭で漸次発展致しまして、こゝに永久的のものとなりましたことは、私の最も満足する処で、最初から本会に関係せられました徳川会長以下の方々に対し、此之機会に於て感謝いたします。
 斯く永久的になりました奉讚会に於ては、其事業の一として、大正十五年の春太子の一千三百五年御忌聖霊中会と共に、絵画・彫刻・工芸美術等を網羅しました綜合的紀念美術展覧会を開催する事に決定致しました。就きましては、本日お集りの美術家諸君には、太子の霊を慰むるといふお考へで、一層の御尽力をお願する次第であります。其の方法に就ては、当局の者と御協議を下さいまして、太子の聖霊を慰め奉り、讚仰の至誠を徹底せしめるやう、切にお力副を希望致します。
この優渥なる令旨に対し奉り、会長代理渋沢副会長は
 本夕は殿下の御召に預りまして、こゝに優渥なる令旨を賜はり、会長に代つて奉答するの光栄を得ましたのは、不肖栄一の感佩に堪へない処であります。実は会長も是非お召の光栄を蒙り、親しく御礼言上すべき筈でありましたが、所労のため拝辞致されましたので、私がその代理を勤める次第であります。
 只今殿下より賜はりました令旨の通り、奉讚会もこゝに永久的のものとなつて、益々発展することとなりましたのも、一に殿下の御指導の宜しきと、その御徳の然しむる処と、深く感佩に堪へないので
 - 第49巻 p.51 -ページ画像 
あります。特に徳川会長以下私共関係者一同に対し、優渥なる令旨を賜はりましたのは、自ら省みて寔に恐懼汗顔の至りであります。会長にもその旨を詳細に伝へまして、其の光栄に浴せしむることに致します。
 又本会が紀念美術展覧会を開催するに就きまして、特に美術家諸君へ賜はりました優渥なる令旨に対し奉りましては、美術家諸君も必ずや、誠心誠意殿下の令旨に副ひ奉らんことを期さるゝ事と存じます。就ては諸君に於かせられても、殿下の御心に副ひ奉るやう、十分の御援助を切に懇願しておく次第であります。
○下略