デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

9章 其他ノ公共事業
1節 記念事業
14款 其他 16. 元寇弘安役六百五十年記念会
■綱文

第49巻 p.199-201(DK490056k) ページ画像

昭和6年(1931年)

是年、弘安役以後六百五十年ニ当ルヲ以テ、元寇弘安役六百五十年記念会創立セラル。栄一、金百円ヲ寄付ス。


■資料

元寇弘安役六百五十年記念会紀要 同会編 第四―五頁昭和九年五月刊(DK490056k-0001)
第49巻 p.199-200 ページ画像

元寇弘安役六百五十年記念会紀要 同会編  第四―五頁昭和九年五月刊
 ○第二、其二 祭典の準備
    一、趣意書
○中略
      趣意書
 国家興隆ノ本ハ国民精神ノ剛健ニ在リ。之ヲ涵養シ之ヲ振作スルノ必要ナルコトハ、嚮キニ聖詔ニ明示セラレタル所ナリ。
 由来我国民ノ精神タルヤ、忠純ニシテ剛健、君ニ事ヘテハ能ク其ノ身ヲ致シ、国難ニ当リテハ其ノ生命ヲ顧ミズ、而シテ此精神ノ大ニ光輝ヲ放テルハ、実ニ曠古ノ国難タル蒙古入寇ノ時ニ在リトス。
 此時、蒙古朔漠ノ地ニ起リ、威ヲ八表ニ振ヒ、遠ク欧洲ニ侵入シ、又殆ンド支那ヲ併呑シ、国号ヲ元ト称シ、余威印度・朝鮮ニ及べリ。文永十一年、使ヲ我ニ遣ハシ、好ミヲ我ニ求ム。其ノ意義我ヲ臣隷トセントスルニ在リ。
 - 第49巻 p.200 -ページ画像 
 鎌倉ノ執権北条時宗、其書辞ヲ以テ無礼トナシ、奏シ請ヒテ之ヲ郤ク。凡ソ元使ノ至ル前後六回、皆拒ンデ容レズ。然ルニ元主暴慢、兵ヲ遣ハシ来リ侵シ、壱岐・対馬ヲ屠リ、尋イデ博多ニ寇ス。我軍奮戦シ撃テ之ヲ攘フ。之ヲ文永ノ役ト謂フ。
 後宇多天皇ノ御宇、元主更ニ使者杜世忠等ヲ長門ニ遣ハシ、強ヒテ我答報ヲ求ム、時宗之ヲ鎌倉ニ致シテ竜口ニ斬ル。使者復至ル。復之ヲ斬ル。是ニ於テ元主憤恚シ、兵十数万ヲ発シテ入寇ス。此時朝野憂惶シ 亀山上皇宣命ヲ伊勢神宮ニ上ツリ、身ヲ以テ国難ニ代ランコトヲ祈ラセ給フニ至ル。賊艦舳艫相銜ミ進ンデ筑前水域ヲ圧ス。我軍予メ海防ヲ厳ニシ、西国ノ諸軍多ク太宰府ニ集マル。是ニ於テ鎮西探題北条実政等奮戦死闘シ賊ヲ殺スコト算ナシ。賊遂ニ上陸スルヲ得ズ、退イテ肥前鷹島ニ拠ル。会々天風大ニ起リ、虜艦破砕スルヤ、我軍之ニ乗ジテ奮撃シ、虜兵ヲ殱滅セシコトハ、皆人ノ知ル所、是レ所謂弘安ノ役ナリ。此大勝タル、固ヨリ御稜威ノ致ス所ナリト雖、亦主将剛胆、大局ヲ断ジ、将士忠勇義烈、身ヲ挺シテ国ニ殉ゼシニアラズンバ安ンゾ能ク此奇功ヲ奏スルヲ得ンヤ。
 吾人嚮キニ文永役殉難者ノ祭典ヲ挙行シ、以テ聊カ其英霊ヲ慰メタリ。爾来七星霜、今玆昭和六年ハ又弘安役ノ六百五十年紀ニ当ル。因テ此機ニ臨ミ、同役記念会ヲ催シ、以テ追遠報謝ノ誠ヲ致サントス。
 顧フニ大正十二年聖詔渙発以来、国民大ニ覚悟スル所アリト雖、思想未ダ全ク剛健ナルニ至ラズ。風俗亦未ダ質実ナリト云フヲ得ズ。然リ而シテ方今宇内ノ列強虎視眈々タルモノ何ゾ曾テ胡元ニ譲ラン。他年一旦緩急アラバ、国民能ク祖先ガ元寇ヲ絶滅シタルガ若キ大功ヲ立ツルコトヲ得ベキヤ否ヤ。是レ吾人ノ此挙アル所以ナリ。乃チ此挙タル、天下ノ士気ヲ鼓舞シ、国民ノ精神ヲ作興スル点ニ於テ、多大ノ効果アルべキヲ信ジテ疑ハズ。
 冀クハ朝野憂国ノ諸君子、吾人ノ微衷ヲ諒トシ、奮ツテ支援賛助セラレンコトヲ。謹ミテ告グ。


元寇弘安役六百五十年記念会紀要 同会編 第一四一頁昭和九年五月刊(DK490056k-0002)
第49巻 p.200-201 ページ画像

元寇弘安役六百五十年記念会紀要 同会編  第一四一頁昭和九年五月刊
 ○会計報告
    第八、会計           (昭和九年一月現在)
      其一 収入
収入は次の如し
一金七千六百七拾六円拾参銭也
    内訳
金壱百円   御下賜祭粢料
金七拾円   皇族王族御供物料
      秩父宮     高松宮
      閑院宮     東伏見宮
      伏見宮     山階宮
      賀陽宮     久邇宮
      梨本宮     朝香宮
      東久邇宮    北白川宮
 - 第49巻 p.201 -ページ画像 
      竹田宮     昌徳宮
金七千参百八拾五円五拾銭
      発起人並賛助者一般の奉納
    内訳              (敬称略)
五百円也              三菱合資会社
五百円也              三井合名会社
参百円也              陸軍省
弐百五拾円也            東京株式取引所
弐百五拾円也            東株取引員組合事務所
弐百円也              安田善次郎
壱百五拾円也            小布施新三郎
壱百円也              海防義会
壱百円也            侯爵鍋島直映
壱百円也            侯爵山内豊景
壱百円也            侯爵細川護立
壱百円也            子爵渋沢栄一
壱百円也            男爵安保清種
壱百円也              増島六一郎
壱百円也              相馬半次
○下略