デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

9章 其他ノ公共事業
7節 関係団体諸資料
3款 埼玉県人会
■綱文

第49巻 p.540-542(DK490186k) ページ画像

大正15年6月6日(1926年)

是日、飛鳥山邸ニ於テ、第十六回当会総会並ニ春季懇親会開カル。栄一出席シテ挨拶ヲナス。


■資料

集会日時通知表 大正一五年(DK490186k-0001)
第49巻 p.540 ページ画像

集会日時通知表 大正一五年       (渋沢子爵家所蔵)
六月六日 日 午後一時 埼玉県人会春季懇親会(飛鳥山邸)


埼玉県人会書類(一)(DK490186k-0002)
第49巻 p.540 ページ画像

埼玉県人会書類(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    総会並に懇親会通知
拝啓 初夏新緑の候益々御壮健の段謹で御祝申し上げます
偖て来る六月六日王子飛鳥山渋沢邸に於て、本会第十六回総会を兼ね春季懇親会を開会致しますから、左記事項御一覧の上何卒御来会の程切望致します 敬具
  大正十五年五月 日
              埼玉県人会
                会長 子爵渋沢栄一

一、日時  六月六日午後一時受付開始
一、会場  王子飛鳥山渋沢邸内
一、総会  報告 議事
    講演 衆議院議長   粕谷義三氏
       曹洞宗大学々長 忽滑谷快天氏
    余興 {説教節 若松若太夫 浪花節 春日亭米吉
一、懇親会 摸擬店開始(午後三時半)
      寿司・団子・おでん・焼豚・甘酒
      かん酒・ビールスタンド
一、お土産 品々
一、会費  金弐円
一、家族及県人知己同伴 {差支ありません、寧ろ歓迎いたします、但し会費は各人二円宛です
一、御回答 {準備の都合がありますから、六月三日迄に氏名人員を御通知願ひます
一、注意  {当日御履物は靴若くは草履に願ひます足駄はご遠慮下さい
          以上
 - 第49巻 p.541 -ページ画像 

埼玉県人会会報 第七号・第四四―四五頁 大正一五年一〇月刊 第十六回総会 大正十五年六月六日 飛鳥山渋沢邸に於て(DK490186k-0003)
第49巻 p.541 ページ画像

埼玉県人会会報 第七号・第四四―四五頁 大正一五年一〇月刊
    第十六回総会           大正十五年六月六日 飛鳥山渋沢邸に於て
○上略
 此の日午前七時頃より細雨霏々として降り来りしが、九時頃には全くやみ、十時頃より空麗はしく晴れ渡りしかば、宛も塵湿しの如く邸内の新緑は洗ふが如く一層の趣を添へ会員を待つものゝ如くなりき、渋沢邸にては本会のため邸内全部を提供せられたる而已ならず、会場用の天幕・椅子其他式場に要する諸般の用具一切を供給せられたれば幹事一同は人夫と共に準備に従事し、正午迄には万端引届き会員の来会を待つのみとなれり。
 午後になり会員続々と詰掛けたれば受付掛は非常に多忙を極め、開会時刻には約三百名に達せり。蓋し本日の準備は三百名を標準とせしに宛も能く適中し、土産品は勿論、摸擬店等に過不足なく会員に聊も不満を与へざりしは会長閣下に対し幹事一同深く光栄に感ぜり。殊に会長閣下には頗る御壮健に元気麗はしく臨席せられ、一場の御講演の上親しく園遊会摸擬店を一周せられ、一般会員に一々挨拶せられたるには会員一同深く感涙を催ふせる有様なりき、当日三須琴風氏・竹内良助氏・沼尻作平氏は幹事を援助して大に斡旋尽力せられたるを深く感謝す。
   ○右標題ニ第十六回トアルモ前条大正十三年五月十七日ハ第十二回トアリ。綱文回数ハ資料ノ示ス所ニ従フ。

埼玉県人会会報 第七号・第一―二頁 大正一五年一〇月刊 第十六回総会に於ける会長渋沢子爵の挨拶(DK490186k-0004)
第49巻 p.541-542 ページ画像

埼玉県人会会報 第七号・第一―二頁 大正一五年一〇月刊
    第十六回総会に於ける会長渋沢子爵の挨拶
 本日の埼玉県人会を折角此処で御催しになりました事は、私にとりまして大に光栄と存じます。朝来天気が悪かつたので、心配致しましたが、幸ひ雨も止んで、斯く多数御来会の上、盛大に開催されましたことは、誠に御同慶の至りに堪へません。
 県人会が今日に至る迄の経過は、私が喋々するまでもなく会員諸君の御熱心と、幹事諸氏の努力の致すところと深く感謝の至りに堪えません。唯其の主旨とする所は県民相互の親睦を厚し、各々志す所に努め、県下郷里のためにするは勿論、進んでは我が国家社会否世界的に尽くすと云ふことは私の申す迄もない事であります。老衰の私は近年切に思ひます、歳月人を待たず、世の進歩変化は実に急激であります従て国家に任ずる心を益々鞏固にしなければならんと。而して後れ馳せ乍ら我帝国が、国際的になつた事は甚だよろこばしいが、然し其の反面には国民の負担と責任が甚だ重くなつた事を考へなければならんのであります。斯く申しますると、私共の如き老人が余計な心配をしないで寝てゞも居たら好からうと思召す方があるかも知れませんが。私も本年は八十七歳で来年米寿になる訳であります、そこで私は仮令百歳になりませうとも、国家の為には精力の続く限り飽くまで尽す所存であります。偖て近年著しく我が国の学術は進歩し西洋諸国に伍して敢て劣らぬ様になり、政治の組織も頗る変つて来た様でありますが
 - 第49巻 p.542 -ページ画像 
夫に伴ひ悲しむべき事がありやせぬか、兎角私共は権利のみを主張して、義務は閑却してもよいのでありませうか。これはお互ひが自分で十分警しむべき問題であらうと思ひます。
 今申します通り、各人の責任が一層増したにも拘らず、思想が軽佻浮薄になつたとは、独り杞憂を念とする老人のみの考へではござりますまい。これには諸君も御同感であらうと思ひます。今日の此のお目出度い席上で、老衰せる私が、別して同郷の埼玉県人諸君に、平日抱く所の衷情を申上げる所以は一に、先づ我より始めると云ふ考に基いたからでありまして、諸君と共に憂へ諸君と共に改め、先づ我が埼玉県よりこの精神を起し、頓て全国に及ぼし度いと思ひます、其には互に一致努力するより外はないのであります。私は何時も皆さんと御会ひ申す機会が少く甚だ残念に存じて居りましたが、今日は久々にて多数県民諸君と親しく御目にかゝり、且愚見を申上ぐることが出来ましたのは、老生の甚だ満足に思ふ次第で御座います、誠に手狭な処で万事不行届でありますが緩々寛ろがれんことを切望いたします。亦粕谷衆議院議長・忽滑谷学長・斎藤知事公等の御出を戴きましたことを厚く御礼を申します。