デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和2年11月20日（1927年）

是日、日比谷電気倶楽部ニ於テ、当会秋季懇親会開カル。栄一出席シテ挨拶ヲナス。

集会日時通知表　昭和二年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
十一月二十日　日　正午　埼玉県人会秋季総会（電気クラブ）

埼玉県人会書類（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　会長挨拶之要旨
一、本会主催ノ講演会ニ出演セラレシ講師諸君ノ労ヲ謝スルコト
二、本年ハ本会創立満十五週年ニ相当スルコト
三、会員数壱千余名ノ多数ニ達セシコト
四、今後ノ発展策ヲ如何ニスベキカ考研セラレタキ事。
以上

埼玉県人会会報　第九号・第一―一二頁　昭和二年一二月刊
　　　　秋季懇親会記事
　　　　　　秋季懇親会開会通知
拝啓　秋冷之候愈々御健勝之段奉欣賀候、陳者本月二十日（日曜）左記之通り本会秋季懇親会開催致し候間、万障御繰合御来会被下度右御案内申上候　草々敬具
　追て会長渋沢子爵近来著しく健康を増し、当日も御出席の筈に御座候間為念申添候
　　尚当日は従来本会主催講演会に出席せられし講師各位をも請ずる筈に御座候
 - 第49巻 p.543 -ページ画像 
　　昭和二年十一月　日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　埼玉県人会
　一、日時　十一月二十日午前十時半受付開始
　一、会場　麹町区有楽町　電気倶楽部（市電日比谷省線有楽町下車）
　一、会費　金四円五拾銭
　一、当日次第大要
　　　　　食堂開始午後零時二十分
　　　　　会長渋沢子爵御挨拶
　　　　　会員有志演説
　　　　　別席懇談（知人紹介其他は此時に於てす）
　　　　　　　　　　以上
　　出席有無別紙端書にて十一月十八日迄に御願申候、尚出席御申込の上御欠席に候も当日の会費願ふこと可有之候
　　　　　　出席者
　　○氏名略ス。
　　　　　　食堂
　　会長渋沢子爵の挨拶
　　　　埼玉県人は立派なる国際的日本国民でなければならぬ
　私は本会の会長として一言御挨拶を申し上げます。従来多忙と申しましては勝手でありますが、県人会の会毎に欠席勝でありましたことを深くお詫び申したいと思ひます。偖て本日は本会が創立されてから満十五年になり、其間本会が主催せる県下各地に開催せる講演会に御出席下すつて御講演下すつた講師各位を御招待申し上げ、併せて会員各位との懇親会を開会しましたところ、斯く多数御出席下さいましたことを厚く感謝致すと同時に、先づ講師各位に対しましては会員一同を代表して厚く御礼を申上げる次第であります。次に只今申しました通り、本会も創立以来丁度十五年目に当り会員数も千名以上に相成りました、此は全く会員諸君御努力の結果と信じます、然し此儘で満足することなく更に充実を期して以て県のため且国家のため奉仕貢献するの礎地を造る必要が有るではないかと信じます。勿論此の事に就きましては従来とても副会長及幹事其他の方々が相寄り常に熟議しつゝありますが、此際会員諸君に於かれましても篤と御調査御研究をなされ御遠慮無く御申出でを戴きたいのであります。
　元来我が埼玉県は帝都に近く、凡ての点に於て便利を得て居りますが、一面に其欠点として兎角纏りが無く結合統一が無い様に見受けます、此は必竟大藩の在つた鹿児島や山口・石川とか云ふ県と同一には論ずることは出来ませんが、然し欠点は欠点として自覚した以上はお互に注意して改むる事こそ肝要であります。所謂愛郷愛国とて我が居所を愛し我が出生地を大事にすると共に、国際的に此精神を発輝することが亦必要であります。元より帝国の善良なる国民としては独り埼玉県人のみの専有ではありません、全国民同一でありますが、弥が上にも立派なる埼玉県人であると共に立派なる国際的日本国民でなければならないのであります。則思想を堅実鞏固にし毅然たる愛郷心を抱蔵することが、延て愛国心となり国際的となつて行くのであります。
 - 第49巻 p.544 -ページ画像 
決して偏狭的に臨てはならないことは改めて申す迄もありません。そこで本会を隆盛ならしむる改善案に就ては皆さんより御意見をも伺ひ尚会当局より提案致しまして篤と御審議を願度と存じます。本日は従来の御詫を申し、併せて県人会としての使命は斯くあれかしとの所感を述べて、御挨拶に代へる次第であります。
○中略
　終て別席に集り、互に知人紹介懇談等に時を移し、更に会員有志五分演説等あり、午後五時散会す。